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めがね先生

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めがね先生

「国語は読むことだけでなく,書くことも同時に大切!」という考えから,国語の勉強でちょっと行きづまったら作文を書くことをすすめています。自分が伝えたいことを正確に伝られるようになると,国語の力はもっと成長します。いっしょにがんばりましょう。
小春学院塾長 めがね先生
ホームページ http://www.koharugakuin.info

第11回 これからも作文を練習していこう!


 みなさん,こんにちは。
 今年度の公立中高一貫校入試がすべて終わり,受検生のみなさんはそれぞれの結果がすでに出たところでしょう。その結果に関わらず,受検生のみなさんは,公立中高一貫校入試に向けて一生懸命準備をしてきたと思います。
 まず,そのようなことをしたということにみなさんは自信を持ってください。みなさんぐらいの年齢(ねんれい)の小学生が本気で勉強をするというのは並々ならぬものではありません。普段,小学生を指導している一人として受検生のみなさんはすばらしいと心底思います。

 このコラムでは,作文についていろいろお伝えしました。これまでの10回のコラムで,作文の基本事項と実際の適性検査問題への取り組み方をまとめてきましたが,みなさんは第1回目のコラムの内容を覚えていますか。作文を書くための心がまえをまとめた内容がこのコラムの第1回目の内容でした。

 みなさんが知っていることを相手の人が知っているとは限りません。そして,自分と相手では,物事の受け取り方が同じであるとは限りません。
 作文を書くために大切な心がまえとは,読む相手にわかってもらえるように心配りをするということです。みなさんが思いついたよい考えも相手に伝わらなければ作文としては不十分です。

 この数か月にわたって作文の練習をしてきたみなさんは,きれいな文章を書く練習をしてきたのではありません。相手に分かってもらえる文章を書く練習をしてきたのです。そういう意味で,作文の練習を通して,相手のことを考えながら自分の考えを伝えるよい訓練ができたのではないでしょうか。

 自分の考えを伝えるということは,適性検査だけのことではありません。大人になってもその力は試されるのです。そのときに,読む人,聞く人のことを考えた文章が書かれていれば,彼らは十分にわかってあげようとみなさんの考えを読んだり,聞いたりしてくれます。内容だけではなく,文字のていねいさ,話し方,ことばの選び方,一つ一つに注意をはらいながら,表現された文章は,読む人,聞く人にわかってもらえるものです。

 「コミュニケーション」ということばで,難しく説明されるテーマがあります。「コミュニケーション」とは人と人との考えの伝え合いということです。コミュニケーションを上手に進めることができるようになることの根本には相手への心くばりがあるのです。みなさんはそのことを作文の練習を通して身につけることができたのではないでしょうか。もちろん,これからもコミュニケーションに関わる力をのばせるように,自分の考えをいろいろな場で表現していってください。これからもいっしょにがんばっていきましょう!


掲載日:2014年2月24日
次回の掲載は,2014年3月24日の予定です。

第10回 検査時間内に課題作文にのぞむ


 みなさん,こんにちは。
 これまで,実際に出題された適性検査を使って課題作文の書き方を学んできました。今回も同様に進めていきますが,公立中高一貫校入試直前ということで,実際に検査時間内にどのように書き進めていかなければならないのか,課題作文に取り組む心構えについても伝えていきます。

 今回,説明に使用する問題は,2013年度に横浜市立南高等学校附属中学校で出題された適性検査Ⅰです。実入試問題はこちらからダウンロードをお願いします。


 前回もふれましたが,2つ以上の文章を読んで作文をしていく形式の問題については,それぞれの文章に書かれている共通のテーマは何か,そのテーマについてそれぞれの文章ではどのような主張がなされているのかを読み解くことが大切です。そのことをふまえて今回の文章に入っていきましょう。

 今回の課題では,「身の回りの言葉づかい」をテーマとした3つの文章があたえられています。出典は次の通りです。
【ア】松平定知「心を豊かにする言葉術」(小学館101新書)
 ・・・松平定知さん・山根基世さんという2人のアナウンサーによる対談です。
【イ】加藤秀俊「なんのための日本語」(中公新書)
【ウ】兼好法師「徒然草」第二十二段より(現代語に訳されています)


 他の問いになっていますが,松平さん,山根さん,加藤さん,兼好法師の主張を整理していくと,松平さんは「言葉が便利さを求めて変わることに抵抗があり,言葉の変化を許すと限りなく乱れていってしまうのではないか」,山根さんは「最近の言葉の使い方には,日本の社会や日本人の心情が表され,最近の敬語表現はていねいすぎる」,加藤さんは「言葉の使い方や意味には,明確な基準やきまりごとがあるわけではなく,言葉の意味や使い方はそれぞれの人の育った環境によって異なる」,兼好法師は「言葉にしても道具にしても,新しいものより昔ながらのもののほうがよく,今の文章に比べれば,昔の失敗した文章の方がよほど良い」とそれぞれ主張しています。それらの主張をふまえて「身の回りの言葉づかい」というテーマで意見文を450字以上500字以内で書いていくのが今回の課題です。条件には「始め,中,終わり」を明確にして文章全体を構成することとありますので,そのあたりをふまえながら何を書いていくかを考えていきます。

 他にも問いがある中で,限られた時間内(45分間)で文章を読んで,作文にまとめなければなりません。日ごろの学習であれば,書き直しという作業ができます。何を書くかを考える時間も十分にあります。しかし,実際の適性検査の時間では書き直しや内容をゆっくり考える時間はかなり限られます。となると,作文の内容は文章を読みながら,ある程度準備しておかなければならないでしょう(作文に関わる問いをあらかじめ読んでおくとよいでしょう)。今回の課題であれば,「身の回りの言葉づかい」というテーマでの作文なので,あらかじめ自分なりの解答を用意しながら本文を読み進め,4人の主張の中で自分の考えに同意できそう,受け入れやすそうな主張をしっかり読んでいきながら何を書くかの設計図を思いうかべていかなければならないでしょう。段落は3つ,4つとなれば,書くことはどんなに用意しても1つだけです。その1つを,本文をふまえながら,書き切らなければならないのです。書き直しの時間がないとなれば,下書きなしの本番です。1つ1つの文を,主語・述語の対応,「です・ます」「だ・である」のいずれかの文体の統一,一文の長さなどをふくめて日本語として通じるものであるかを考えながら,注意深く書くようにしましょう。時間にして20~25分あるかないかの時間を,自分が書こうとする1つの内容にとにかく集中し,ていねいに文章を完成させていきましょう。

 今回の課題は3つの段落で「身の回りの言葉づかい」について書いていきます。もし加藤さんのそれぞれの人が用いることばを決まったモノサシではかることはむずかしいという考えに同意して作文をしていくのであれば,はじめに自分が加藤さんの考えについて思うところとそれが「身の回りの言葉づかい」とどう関係するのかを記(しる)し,次の段落で具体例をおりまぜながら自分の主張の根拠を示し,最後の段落で結論を導き出すような構成で文章をつくってみましょう。一文一文に注意をはらっていければ十分に字数を満たすことができる文章の組み立てです(文字数を満たせなくなるのはいろいろなことをいろいろおりまぜて書こうとするからでしょう)。

 試験中の時間配分はとても重要です。あらかじめ過去問からこの問題は何分,作文は何分で答えると決めておくとよいでしょう。時間への意識があるのとないのとでは解答を進めていく上で大きな差になります。本番はもうすぐです。いま一度,それぞれの問題への時間配分を見直してみてはいかがでしょうか。「あせりは禁物」であるなら,あせらない準備をしておくことも同じように大切です。


掲載日:2014年1月20日
次回の掲載は,2014年2月24日です。

第9回 おたがいに理解し合うということ


 みなさん,こんにちは。
 実際に出題された適性検査を使って課題作文の書き方を学び始めてから,今回で3回目になります。課題作文にどのように向かい合えばよいか,少しずつ分かってきましたか。
 では,今回は平成25年度東京都立武蔵高等学校附属中学校の適性検査Ⅰを使って,課題作文の上達の道を切り開いていきましょう。
 くわしい出題内容は,学校ホームページにて確認(かくにん)をしてください。


 今回は,2つの文章を読んでから作文を書いていく問題です。2つ以上の文章を読ませるタイプの問題は,比較的(ひかくてき)多くの公立中高一貫校で出題されています。しかし,2つ以上の文章が出されていても,基本的にはテーマは1つであることが多いので,文章を読みながら,それぞれの文章に共通するテーマをまずとらえるようにしましょう。これが文章を読む上での大切なことの一つ目です。
 もう一つ大切なことは,それぞれの文章どうしの関係を見通すことです。同じテーマの内容の文章でも話の進め方や意見がちがっています。たがいの文章を補強し合うよう関係で2つの文章が並べられている場合もありますし,まったく反対の方向から同一テーマが語られている場合もあります。それぞれの文章の関係を見通せるようにしておくことは課題作文の内容を考える上でとても大切になります。題材として挙げられている文章はしっかり読むようにしましょう。


 今回の課題では<文章A>と<文章B>があたえられています。<文章A>には鎌倉時代に活動していた吉田兼好の「徒然草」の古い文章に,峯村文人さん・齋藤義光さんの「徒然草の研究」(績文堂)からの口語訳(現代語訳)があたえられています。<文章B>は森博嗣さんの「自分探しと楽しさについて」(集英社新書)から抜粋(ばっすい)された文章です。鎌倉時代の文章と現代の文章が並べられているのですね。しかし,上述したとおりテーマは1つなのです。それは「異なる人間どうしがいかに理解し合っていくのか」ということです。このテーマについて<文章A>と<文章B>がたがいに補強し合いながら並べられています。


問題
 あなたは,他者をどのような存在だと考えますか。また,今後,自分と意見がちがう他者と,どのように関わっていきたいと思いますか。<文章A>と<文章B>の内容をふまえて,三百六十字以上四百字以内で述べなさい。


 ポイントの一つ目は「<文章A>と<文章B>の内容をふまえて」とうい条件があたえられているということです。作文の添削(てんさく)をしていますと,このような条件にしたがわない文章を目にします。課題作文という書かせることを意図した問題であっても,読めているかどうかがしっかり評価されます。
 <文章A>では,相手に気づかいをしすぎて自分の言いたいことも言えないのでは,ちょっとさみしく,少し意見がちがっている人と言い合っているとひまな気持ちも少しはなぐさめられる一方で,「真実の心の友には,はるかに遠いところがあるにちがいないのが残念なことだ」と結ばれています。
 <文章B>では,自分と意見がちがう人に対して,できる限り尊重しなければならなく,意見がちがうことを認識(にんしき)し,どうすれば良いかを考えることに価値があると述べています。意見がちがうと,どうしてもおたがいのことを否定し,けなし合ってしまう,あるいは自分の考えを分からせようとするが,それでは相手に影響(えいきょう)をあたえることができません。相手がそういう意見を持っていると理解することで「他者」に対する「自分」の存在がより明確なものになるのだと結んでいます。


 二つ目のポイントです。問題文を振(ふ)り返ってみましょう。「他者とは,どのような存在だと考えますか。」という問いかけについては,<文章B>の内容から自分の考えをふくらませてみましょう。しかし,少し難しいですね。そこで,鏡をヒントにして考えてみましょう。自分が右手を挙げれば,鏡に映る自分は左手を挙げてきます。自分が後ろを向けば,相手も後ろを向いて背中合わせになります。鏡に映る自分とは正反対の自分になります。他者というのは案外そういった自分なのかもしれませんね。

「他者」がどんな考えを持っていても,「他者」を尊重する,それによって,「自分」が確かなものになる,......


 「他者」がいるから「自分」がはっきりわかるようになります。「他者」とは「自分」がどんな存在であるかをはっきり示してくれる鏡のような存在なのではないでしょうか。ですから,自分が自分の意見を分からせようようとしても,相手も自分の分からせようと鏡に向かうように必死になってくるのです。他者のことをしっかり受け入れ,そこから「自分」という存在を確かめながら他者と向かい合っていくことは大切なことではないでしょうか。「自分と意見がちがう他者と,どのように関わっていきたいと思いますか」という問いかけに対して,このような意見をまとめてみるのはいかがでしょうか。


 今回の課題は,鎌倉時代の文章と現代の文章が並べられていましたが,昔も今も,おたがいが理解し合うということについて,同じような考えをもっていたのでしょうね。そう考えると,望ましい人間関係を作ることの難しさは,昔も今も変わらないのでしょうか。
 昔の人とおもしろいテーマで会話ができるおもしろい題材でした。
 みなさんは,どう考えますか?


掲載日:2013年12月22日
次回の掲載は,2014年1月20日です。

第8回 過去は未来へのヒント~過去の経験の積み重ねを大切に~


 みなさん,こんにちは。
 前回から,公立中高一貫校で出題される課題作文の書き方について,実際の適性検査を題材にしながら学習しています。今回は,2013年度東京都立富士高等学校附属中学校の適性検査Ⅰを使用します。
 当該ホームページ
 http://www.fuji-fuzoku-c.metro.tokyo.jp/cms/html/top/main/index.html


 さて,今回の課題は茂木健一郎さんの『それでも脳はたくらむ』(中公新書ラクレ)から抜粋(ばっすい)された文章を読んでの作文です。人間の脳(のう)のはたらきの中で最も重要なものは未来を予想することで,未来を予想するには過去をしっかり把握(はあく)しなければならない,と茂木さんは本文の中で主張されています。その主張をもとに次のような話で文章を結んでいます。
 人間は,より高度なことができるはずだ。目の前のことばかりにとらわれず,過去や未来に大いに「タイム・トラベル」するのがよい。
(タイム・トラベル...現在,過去,未来を自由に行き来できるという空想上の旅。ここでは,想像のなかで行うこと。)


問題
 人間は,より高度なことができるはずだ。目の前のことばかりにとらわれず,過去や未来に大いに『タイム・トラベル』するのがよい。という筆者の考えをふまえて,あなたは今後どのような生活を送りたいと考えますか。あなたの考えを四百五十字以上五百字以内で書きなさい。そのとき,自分自身の経験を必ず入れること。


 ポイントの一つ目は,筆者の主張をどのようにとらえるかということです。ちょっとかみくだいてみましょう。(この主張に到達するまでの話の展開は実際の問題をたしかめてください。)
 人間は,(動物)より高度なこと(未来を想像すること)ができるはずだ。(問題や悩みなど)目の前のことばかりにとらわれず,過去や未来に大いに「タイム・トラベル」する(過去を振り返り,未来を想像する)のがよい。つまり,人間は動物とちがい難しいことを考えることができるのだから,現在のことばかり考えるのではなく,時には過去の経験をふり返り,そして過去と現在をヒントにしながら未来のことを想像してみよう,ということになるでしょうか。その考えをふまえながら,みなさんはこれからどんな生活を送りたいですか?これまでの経験から学んできたことを使いながら文章を書いてみましょう,というのが問題の意図するところです。


 ポイントの二つ目ですが,あえて書いてはいけないことにふれておきます。この文章は国語の勉強で分類されている「説明文・説明的文章」にあたるものです。そうすると本文で説明されている具体的な例を,自分の作文の中でまた説明してしまう人がいます。しかし,問題は「筆者の主張をふまえて」ということですから,具体例にふれる必要はありません。それから,本文の具体例に「地球温暖化」ということばがありますが,このテーマと関連づけて話を書こうとするのもさけておきましょう。問題には「あなたは今度どのような生活を送りたいと考えますか」とありますから,自分の生活について考えていけばよいでしょう。テーマは大きくしない方が書きやすいですね。


 では,実際にどのようなことを文章にすればよいのでしょうか。例えば,おそらく生活の中からということで書きやすいものは失敗をしたときへの対応として過去をふり返り,これから(つまり未来にむけて)どうすべきかについてまとめるという作文でしょうか。ただ,これはやや後ろ向きな内容になって抵抗(ていこう)がある人もいるでしょう。そういう人は過去のうれしい経験や楽しい経験から自分はこれからの行いについてまとめていくのもよいでしょう。ポイントは未来への根拠を過去の経験に求めようとするところです。現在の自分にばかりとらわれていてはいけない,というようなこともふまえるとおもしろい作文に仕上がるかもしれません。


 しばしば,課題作文では「自分自身の経験を入れて」という条件があたえられます。経験は未来へのヒントになります。作文だけの話ではなく,みなさんのこれからの生き方にも大きなヒントになってきます。生活の中の小さな経験の積み重ねをぜひ大切にしていきましょう。


掲載日:2013年11月18日
次回の掲載は,2013年12月22日です。

第7回 季節の変化を感じる~感じるアンテナをみがく~


 みなさん,こんにちは。
 前回までは,作文を書くために大切な言葉の使い方の一部を学習してきました。今回からは,公立中高一貫校で出題される課題作文の書き方について,実際の適性検査を題材にしながら学習していきます。

 さて,課題作文には必ず条件があたえられています。しばしば,「どんなことを書けばよいいのかわからない」という疑問を耳にしますが,実は書かなければならないことはあらかじめ決められています。それが課題作文というものですから。
 つまり,自由に書いてはいけないのです。作文で書く内容は「問い」で指示されたことを,指示されている通りに書くようにすれば,その時点でどんなことを書くかは決まってきます。


 では,実際の適性検査を使いながら学習してみましょう。今回は,東京都立南多摩中等教育学校の平成25年度実施分の適性検査Ⅱを使用します。
 当該ホームページ
 http://www.minamitamachuto-e.metro.tokyo.jp/cms/html/entry/627/6.html


 まずは問題の要約です。
 日高敏隆さんの『春の数えかた』(新潮文庫)から文章が抜粋(ばっすい)されています。筆者にとって1年の中で「特別な思いを抱(いだ)かせる月」が2月。春の訪(おとず)れを告(つ)げるかのように降(ふ)る2月の雨とその雨で芽(め)吹(ぶ)くチューリップ,冬の林の中で花咲(さ)くハンノキを見ながら「冬から春へ」の季節の変化について,筆者は「植物たちは,暖かい寒いなどという表面的なことではなく,概念(がいねん)時計と呼ばれている生物時計によって,ちゃんと季節を計っているのだ。」とまとめています。要するに,植物は自分たちにとって必要な時期になれば,自分たちを囲む環境(かんきょう)がどうあれ,ちゃんと春を迎(むか)えるのだ,と筆者はまとめているのです。

 そのような文章をふまえて,「冬から春へ」という題で,身近な自然に「目をこらし」てみなさんが発見したことを,そのとき感じたことをくわしく説明しながら書いていきましょう,というのが課題となっています。では,条件を整理してみましょう。
① 題「冬から春へ」・・・冬から春にかけての変化ということでしょう。
② 身近な自然に「目をこらし」て・・・植物,動物などの身のまわりの自然を具体例としながらということでしょう。
③ 自分が発見したこと,感じたこと。

 だんだん何を書いていけばよいのかわかってきましたね。
 問いを言いかえれば,「冬から春にかけての変化について,自分の身のまわりの植物や動物などの自然を具体例としながら,発見したこと,気づいたこと,感じたことを書いてみよう」ということになります。そして,「せっかく日高さんの文章もあるのですから,それも参考にしてみてはどうでしょうか」,という問いの意図も入ってくるのです。

 以上のことから,春だからといって4月の桜だけのことを作文の内容とするのでは内容として不十分です。時期はいつでもよいですし,寒い暖かいもどちらでもよいのですから,冬から春へ移り変わる変化について書ききればよいのです。
 たとえば,まだ寒いというのに花だんからつくしがはえていたというのでも,はく息がまだ白いというのにちょうちょが飛んでいたというのでも結構です。大切なのは変化を書くということです。そして,その変化からどんな発見,気づきを得て,何を感じたのかを説明していけばよいのです。

 具体例としてあげられるものは,やはり日ごろの生活の中での事がらです。
 ちょっとしたことでも,ちゃんと文章にしていく習慣を身につけてみましょう。小さな積み重ねが,作文では大切な根拠になってきます。季節の変わり目にみなさんはどんなことに気づきますか,感じますか? いつの間にか寒くなった,暑くなったというのではなく,その変化の様子を感じて,それを言葉で表現してみましょう。おもしろい作文が書けるかもしれませんね。

 では,また次回もいっしょに勉強していきましょう。


掲載日:2013年10月21日
次回の掲載は,2013年11月18日です。

第6回 動作を表す言葉-なんでも「する」で表さない-

 みなさん,こんにちは。
 前回は,感情や気持ちを表す言葉について説明しました。感情表現が多種多様に使えるようになると,表現できる内容も広がります。ぜひ,いろいろな感情表現を身につけていってください。

 今回は,日本語の便利さについあまえてしまうという話です。その代表的なものが「~する」という表現です。

 夏休みの最終日,私(わたし)は家族といっしょにカラオケをしました。父が歌っている間,母と私はお茶をしていました。父の歌が終わると,母はお茶をやめ,カラオケをし始めました。母がやっているとき,父はトイレをしにいき,ぼくはゲームをしはじめました。・・・

 やや強引(ごういん)なところがありますが,これに近い表現を使った作文は多く目にします。この文を読んで,みなさんはどんな印象を持ちますか。「別に,意味がわかるから大丈夫(だいじょうぶ)だよ。」と思う人もいるでしょう。この文は,人に意味がちゃんと通じている,「わかる」文なのですから。

 では,なぜこの文は意味が通じてしまうのでしょう。ここが日本語の便利なところなのです。日本語は,ものや事がらを表す言葉の後ろに「~する」,「~やる」をつけるだけで言葉を作ることができるのです。動作を表す言葉を動詞(どうし)といいますが,日本語は「~する」を名詞(ものや事がらを表す言葉)の後ろにおいて,動詞を作ることができるのです。

 確かに,「~する」をつけることで成立している単語もあります。「勉強する」あるいはくっつきの「を」をおぎなって「勉強をする」という表現は,これ以外での表現を使うとなると逆にぎこちなくなってしまうでしょう。

 しかし,そういった表現以外のものについては,的確な動詞を使って表現していくことで意味をより明白にすることができます。

・夏休みの最終日,私は家族といっしょにカラオケをしました。→ 夏休みの最終日,私は家族といっしょにカラオケ屋へ行き,歌を歌いました。

・父が歌っている間,母と私はお茶をしていました。→ 父が歌っている間,母と私はお茶を飲んでいました。

・父の歌が終わると,母はお茶をやめ,カラオケをし始めました。→ 父が歌い終わると,母はお茶を飲むのをやめ,次の歌を歌い始めました。

・母がやっているとき,父はトイレをしにいき,ぼくはゲームをしはじめました。→ 母が歌を歌っているとき,父はトイレに行き,ぼくはゲーム機で遊びはじめました。

 「~する」という表現を少しひかえ,別の表現を使うことで,より明白な内容の文を作ることができます。「~する」という表現は「読み手には自分が伝えようとしていることが理解できる」という前提をそなえたものです。

 読み手にたよるのではなく,自分できちんと伝えてあげることを心がけてみてください。そうすることではっきりしない表現は少なくなり,読み手がわかりやすいと感じる文章が書けるようになります。

 文章は1語1語の小さな単語で成り立っています。使う言葉1語1語をよく考えながら,はっきり伝わる文章を作っていきましょう。

 次回からは,公立中高一貫校を1校取り上げて,その問題のポイントや書くべき内容を考えていきます。


掲載日:2013年9月23日
次回の掲載は,2013年10月21日です。

第5回 気持ち・感情を表す言葉はたくさんある!

 みなさん,こんにちは。
 今回は,たくさんの言葉の中でも気持ちや感情を表す言葉を紹介していきます。でははじめに,次の文を読んでみましょう。

 夏休みに家族で『むぎっ子大冒険』という映画を見ました。・・・・・・この映画はとてもすごかったです。

 日ごろ「すごい」という言葉をそのまま使ってしまう人はいませんか。
 同じような言葉には「微妙(びみょう)」「たいへん」などがありますが,それらも同じようにそのまま使っていませんか。確かに,友達どうし,家族どうしでの会話であれば,それらの言葉をそのまま使っても意味が通じるでしょう。会話をしている者どうしは,会話の流れから内容を理解し,「すごい」「微妙」「たいへん」という言葉が具体的にどのようなことを意味しているのかを知ることができるからです。
 しかし,これらの言葉はそもそも物事をはっきり伝えない言葉ですから,それだけをそのまま使っても意味は伝わりません。ですから,どうであったのかを伝える言葉が必要となるのです。

 ところで,みなさんは「喜怒哀楽(きどあいあいらく)」という言葉を知っていますか。この言葉は「喜び」「怒(いか)り」「哀(かな)しみ」「楽しみ」など,私たちのさまざまな感情を表したものです。先ほどの文で「すごい」というところは,何かしらの感情表現を使う必要があるのです。そうすると,次のような文になるでしょうか。

 夏休みに家族で『むぎっ子大冒険』という映画を見ました。・・・・・・この映画はすごく楽しかったです。

 このような作文を書く人は多いですね。特に,読書感想文で「楽しかった」,「よかった」,「おもしろかった」という言葉だけで本の感想をまとめてしまう人を多く目にします。
 しかし,これはちょっと物足りないですね。このような作文を読むといつも「言葉が使えるともっとはっきりとした作文が書けるのになぁ」と思います。気持ちや感情を表す言葉が使えないと単調な文章で終わってしまうので,もったいないのです。
 たとえば,「楽しい」「おもしろい」といった言葉のほかにどのような「喜び」「楽しみ」を表す言葉,表現があるのかを見てみましょう。


わくわくする,うれしい,すかっとする,満足する,そうかいだ,すっきりする,胸(むね)がおどるようだ,おかしい,晴れ晴れする,すうっとする,痛快(つうかい)だ,気持ちがよい,さっぱりする,明るくなる,充実感をもつ,気楽になる,こっけいだ,・・・・・・


 「楽しさ」「おもしろさ」がどのようなものであるかによって言葉を使い分けてみるとよいでしょう。このような表現が使えるだけでも文章にふくらみが出てきます。先ほどの例文で考えると,次のように直せますね。

 夏休みに家族で『むぎっ子大冒険』という映画を見ました。・・・・・・この映画は,見ているだけで気持ちが晴れ晴れして,とてもおもしろかったです。

 気持ちや感情を表す言葉や表現はほかにもたくさんあります。本や文章を読んだときに「これは使えるな」というものをぜひ身につけていきましょう。


掲載日:2013年8月19日
次回の掲載は,2013年9月23日です。

第4回 言葉をたくさん身につけよう!!

 みなさん,こんにちは。
 いよいよ待ちに待った夏休みが始まりましたね。遊びに勉強に思いっきりがんばりましょう。

 さて,前回は作文であつかう単位について学習しました。その中で,単語が最も小さい単位であるということをお話ししました。覚えていますか? 今回は,単語(つまり,言葉)をたくさん身につけようという話をしていきます。

 でははじめに,次の文を読んでみましょう。

 ぼくは今日,公園で投げられた小さなボールを長いぼうのようなもので打つ遊びをしました。

 なぞなぞのような文ですね。読んでくれているみんなはわかりましたか。

 ぼくは今日,公園で野球をしました。

「投げられた小さなボールを長いぼうのようなもので打つ遊び」が「野球」と置きかえられるかどうかは別として,一言で言い表されるにもかかわらず,それが言い表されていない作文というのは意外と多いものです。

 書き手は,伝えたいことはわかっているのですが,伝えたいことを的確に示す言葉がなかなか出てこないと読み手には伝わりにくくなります。言葉を知っているのならばまだよいのですが,言葉自体を知らないこともあるでしょう。ですから,読み手に伝わる文章を書くためには,言葉をたくさん身につけ,言葉を使えるようにしていきましょう。

 言葉をたくさん知っているともう一つよいことがあります。
 公立中高一貫校で出題される作文のほとんどが文字数の指定があるのです。つまり,制限された文字数で自分の伝えたいことを的確に書かなければならないのです。言葉を知らない,使えないと,なんとか文字をうめたけれど,結局何がいいたいのかわからない作文になってしまいます。しかし,自分の伝えたいことを言い表せる一言を持っていると,自分の伝えたいことを簡単に,しかも短く書くことができ,制限字数内でこい内容の文章を書くことができます。

 友だちが赤信号で交差点をわたってしまいました。友だちは私にもわたるようにいってきましたが,私はわたってはいけないと思ったのでわたらずに,信号が変わるまで待ちました。

 伝えたいことは分かります。でも,言葉を使ってまとめてみましょう。

 友だちが赤信号で交差点をわたってしまいました。友だちが私をさそってきましたが,私は交通ルールを守るために,青信号になるまで待ちました。

「さそう」「交通ルール」といった言葉を使うだけで文がまとまってきますね。文字数を増やすためにむだに長く書こうなんて思わず,読み手にはっきりと伝えるためには,的確な言葉を使っていくほうがよいのだということを知ってください。

 では,これからみなさんにはいろいろな言葉を知ってもらいましょう。次回から,場面ごとで使えるとよい言葉を紹介していきます。


掲載日:2013年7月22日
次回の掲載は,2013年8月19日です。

第3回 文章を細かくしてみよう~文章・段落・文・文節・単語~

 みなさん,こんにちは。
 今回は作文の単位について考えてみます。森が1本1本の木が集まっているように,作文も1つ1つの言葉の単位でできています。どのような単位でできているのかいっしょに勉強していきましょう。

 はじめに,作文全体は文章という単位で表されます。作文の始まりから終わりまでが文章という単位になります。この文章にみなさんが伝えたいことがつめこまれていくのです。

 文章の中で伝えていく内容は1つだけとは限りません。いくつかの内容があるはずです。たとえば,夏休みに海に行ったことを文章にするとしましょう。どこの海にいつ行ったのかという話,海が広くてきれいだったという話,海での経験の話,その経験を通して自分がどう思ったかという話,...。いろいろな話が書けるでしょう。これらの話を文章の始まりから最後まで区切りもなく並べられても読み手は読んでいて疲れてしまいます。そこで「それぞれの話に区切りを入れてあげましょう。」ということを前回の原稿用紙の使い方で勉強しました。この文章の内容ごとの区切りが段落です。文章を書くときには,どんな内容の段落を作り,どう並べていくのかを考えていきます。

 段落の中には,「。(句点)」で区切られる単位があります。それが文です。先ほどの海の話の中で,そこでの経験について書くとき,次のような書き方ではどうなるでしょう。

 わたしは海の砂浜で貝殻(かいがら)を拾って,それから,弟と泳いで,その後昼食をとり,また泳いで,つかれたから砂浜で昼寝をして,夕方になったから片付けをして帰りました。

 作文が苦手という人の中に,こんな文を書いてしまう人はいませんか。文章が読みにくくなるのは,1つの文が長いからです。確かに,言いたいことは分かりますが,読み手が置きざりにされてしまいます。ですから,文で適度に区切っていく必要があるのです。次のように文で区切るとどうでしょうか。読みやすさが変わってきますね。

 わたしは海の砂浜で貝殻(かいがら)を拾って,それから,弟と泳ぎました。その後,昼食をとりました。昼食をとった後,また泳ぎましたが,つかれたので砂浜で昼寝をすることにしました。すると,夕方になったから片付けをして帰りました。

 続いて1つの文の中にも,意味がわかるところで区切られる文節という単位があります。

 私たちの / 家族は / 夏休みに / 海に / 行きました。

 文節の順番はとても大切です。並べ方次第で意味が大きく変わります。そこについてはもう少し回を経てから勉強してきましょう。

 そして,最後に一番小さな単位である単語,つまり一つ一つの言葉があります。文章は言葉の集まりですから,言葉を知らないと文も段落も文章も最後まで組み立てられません。

 今回は,作文でできる単位について勉強してきました。次回からは文章の最も小さな単位であるさまざまな単語について勉強してきましょう。


掲載日:2013年6月17日
次回の掲載は,2013年7月22日です。

第2回 作文のルールを守ろう~原稿用紙の使い方~

 みなさん,こんにちは。
 今回は,作文を書くときのルールである「原稿用紙の使い方」を学習しましょう。みなさんが受検する公立中高一貫校入試では,必ずと言ってよいほど作文問題が出題されますから,原稿用紙を正しく使って書くことが入試突破(とっぱ)の第一関門といえます。原稿用紙の使い方をまちがえて減点されないためにも,がんばっていきましょう!!

 まずは,初歩の初歩です。

■■1■■
 書き出しは,上一マス空けること。また,段落をかえた場合,次の段落の上一マス空けること。

■■2■■
 句点「。」や読点「、」,「 」( )『 』,小さな「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は一マス分使うこと。原稿用紙の行の最後で使うときには,最後のマスに書き入れること。

■■3■■
 会話文は行をかえて書くのが原則(ただし,公立中高一貫校入試では,設問条件により会話文を続けて書くことが多い)。「 は最初の一マス目に書くこと。会話の終わりの。」は一マスに書き入れること。


 1~3にしたがって書いていくと,次のようになります。
(図版)
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 段落というのは,文章の中のまとまった内容のかたまりです。一つの段落には一つの内容を書いていきます。ですから,段落のかえどころはとても大切です。小学生の作文を見ていると,一つの段落の長さがとても長い,あるいは最初から最後まで一つの段落で書き進めてしまう人がいます。段落が長い文章は,読む人にとって苦痛(くつう)です。読む人が読みやすい文章を書くことが作文ではとても大切です。適度に段落分けがされた作文を目指しましょう。また,段落分けをしたあとは,最初の一マスを空けることを忘れないように注意しましょう。
 なお,問題文で段落の数が指定されているものもあります。そのときは段落の数だけ内容を考え,ルールを守って書いていきましょう。

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 作文の題名は,一行目に三マス空けて書くこと。
 これが作文の原則ではありますが,公立中高一貫校入試では,作文の題名を書くことが求められることはほとんどありませんから,一行目から作文を書き始めて構いません。いずれにしても,問題文で必ず指示されていますので,それにしたがってください。

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 たて書きの原稿用紙では,数を書くときには漢数字を使うこと。
 例 × 4月13日  ○ 四月十三日


 原稿用紙を正しく使うだけで,作文にメリハリがつきます。原稿用紙の使い方を忘れないようにするためには「学校の教科書の本文を原稿用紙に書写する」ことがベストです。今回学習したことを復習するために,ぜひ一度取り組んでみてください。


掲載日:2013年5月20日
次回の掲載は,2013年6月17日です。

第1回 『作文・はじめの一歩!』のはじめの一歩

 みなさん,こんにちは。
 今回から作文の書き方をみなさんに伝えていくめがね先生です。どうぞよろしくお願いします。

 さて,作文が苦手という人は多いのではないでしょうか。その多くの人は,どう書いたらよいのかわからないし,何を書いたらよいのかわからないのではないでしょうか。
 今回から始まる『作文・はじめの一歩!』では,作文を書くときに守らなければならないルールや,知っておくとよい心がまえについてをお伝えし,3行しか書けなかった作文をもっとたくさん書けるようにするためのヒケツを学んでもらいます。

 では,今回はみなさんとはじめての学習ですので,かんたんな準備運動をしてみましょう。つまり,作文を書くために大切な心がまえをいっしょに考えてみようというわけです。


 問題です。
 みなさんの家に,今,遠くからはじめて来た,年下の親せきの人がいます。まだ周辺の道などがわかりません。そんな親せきの人に,自分の家からみなさんが通っている学校へ一人で来てもらうことになりました。紙に文章でまとめて自分の家から学校までの道順を書いて見ましょう。


 どうでしょうか。出発地点の自分の家ととう着地点のみなさんの学校はわかっています。地図に書けばわかりそうなことでも,文章にしてみると考えてしまうのではないでしょうか。なぜ,書けないのでしょうか。

 みなさんと同じ学校に通っている友だちや近所の友だちに向けてであれば,すぐに言葉も出てきて,文章にできるでしょう。しかし,周辺の道がわからない親せきの人に道を教えてあげるのはちょっと難しいかもしれません。それはみなさんが知っていることを相手の人が知っているとは限らないからです。そして,自分と相手では,物事の受け取り方が同じであることは限らないからです。
 それらのことを考えてみると,図や絵,写真で表せばわかりそうなことも,いざ文章にするとなると言葉を選んだり,文章の組み立て方を考えたりしないといけません。

 作文を書くために大切な心がまえの一つは,まず読む相手にわかってもらえるように心配りをすることです。みなさんが思いついたよい考えも相手に伝わらなければ作文としては不十分です。
 では,そのあたりのことを考えながらこれからいっしょにがんばっていきましょう。


掲載日:2013年4月22日
次回の掲載は,2013年5月20日です。