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めがね先生

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めがね先生

「国語は読むことだけでなく,書くことも同時に大切!」という考えから,国語の勉強でちょっと行きづまったら作文を書くことをすすめています。自分が伝えたいことを正確に伝られるようになると,国語の力はもっと成長します。いっしょにがんばりましょう。
小春学院塾長 めがね先生
ホームページ http://www.koharugakuin.info

[2015/02/16] みなさんの二歩目がはじまります


 みなさん,こんにちは。
 この一年間,みなさんは公立中高一貫校入試に向けた課題作文の書き方を学習しました。『むぎっ子作文添削』では,ここでの学習をふまえた添削をおこないました。厳しい添削になってしまったときもありました。それでも,最後まで提出してくれた児童のみなさん,本当におつかれ様でした。そして,ありがとうございました。

 さて,みなさんはこれまで作文を学んできましたが,その中で「よく読みましょう」というお話をくり返ししました。「書くことを学んでいるのに,『よく読みましょう』とはどういうこと」と思われたでしょう。

 ここで改めて,みなさんにわかってもらいたいことがあります。それは「書くことも読むことも,人と人とが伝え合うということにおいては同一直線上にある」ということです。書くことと読むことは,確かにちがう行動ではありますが,人と人とが伝え合う,またはわかり合うというコミュニケーションにおいては同一です。自分の書きたいことを書きたいように書く。自分が読みたいことを読みたいように読む。すべて「自分」を中心にした「書く」「読む」,あるいは「言う」といった行動が,人と人とがわかり合えるコミュニケーションのさまたげになることは,みなさんはもう十分にわかっていることでしょう。作文の学びを通して,人と人とのコミュニケーションにおいて,どのような心配りが必要であるかということがわかってもらえれば幸いです。

 作文を学ぶことで得たコミュニケーションに必要な心配りは,これから多くの場面で必要です。たとえば,大学入試においては,客観的な根拠をはっきりと示しながら,読み手にわかりやすく伝えることができるかどうかが問われる小論文試験や,問題の指示に沿って自分の持っている知識を利用して説明していく記述問題がこれからますます重要になります。また,みなさんが社会人になったとき,多くの人々との関わり合いの中で仕事を進めていかなければなりません。そのようなとき,相手のことを考えて物事を伝える,または相手の伝えていることをしっかりと聞いたり読んだりする場面が多々あるでしょう。今回,作文を学習してきたことは将来に向けてのよい訓練になったと確信しています。

 みなさんはこれから中学校へ進学しますが,この「作文・はじめの一歩!」で学んできたことを活かして,これから二歩目を歩んでいってください。
 これからのご活躍(かつやく)をお祈(いの)りいたします。


掲載日:2015年2月16日
次回の掲載は,2015年3月16日の予定です。

[2015/01/19] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その3-


 みなさん,こんにちは。
 公立中高一貫校入試に向けた学習もいよいよ最終段階に入ってきました。

 前回は,「問題をしっかり読む」ことの大切さを学習しました。今回はその応用です。
 ここでは,第3回のコラムでも取り上げた東京都立桜修館中等教育学校が出題した平成26年度作文問題を用います。
 ■問題用紙のダウンロード(東京都立桜修館中等教育学校ホームページ)
 ■解答用紙のダウンロード(東京都立桜修館中等教育学校ホームページ)

 ◆例題
 次の「木材」の写真を見て,あなたが考えたことを分かりやすく書きましょう。字数は,五百字以上,六百字以内とします。

 この例題を見て,「何を書いてもいいんだ」と思う人はこのコラムを読み続けてくれたみなさんの中にはもういませんね。
 前回も学習した通り,とにかく「あたえられた内容を読み取る」ことが最も大切です。もちろん,あたえられているものは写真だけではありません。「『木材』の写真」と写真に示されているものが何かがしっかりと書かれています。その点を読み取らずに,単に「木」をテーマとした文章を書いてしまってはいけません。

 では,「木材」の写真を見てみましょう。この写真を見て,「分かったこと」や「感じたこと」はいくつか思いうかびそうです。簡単(かんたん)にまとめると,年輪(木の横の切り口に見られる輪で,木の生長の様子がわかる)がはっきり見え,かつ,厚さの異(こと)なる3枚(まい)の長方形の木材がここに映(うつ)し出されているということです。
 作文では,こういった一言で済(す)ませられる内容を,長々と書いてはいけません。この問題は,「分かったこと」や「感じたこと」を書くのではありません。「考えたこと」を書かなければなりません。「考えたこと」とは「観察することで得られた情報(つまり「わかったこと・気づいたこと」)から,自分のことばで展開された内容」のことだとすでに学習しています。

 みなさんは,厚さの異なる3枚の長方形の木材を見て,どのようなテーマにつなげていきますか。
 たとえば,ここで映し出されている年輪を取り上げてみましょう。年輪を見ていると,木材ができるまでに長い年月がかかっていることが想像できます。私たちの身の回りには多くの製品で木材が使われています。代表的なものは建物や家具,食器などですが,それらができるまでには,木の生長という長い年月がかかっているわけです。長い年月をかけて生長した木々と私たちの生活は深く関わり合っています。せっかく長い年月をかけて生長した木を使っているのだから,大切にものを使っていくべきだというテーマに発展させることが可能です。
 文章の内容を自然保護という面から書こうとする人もいるでしょう。それはそれでよいのですが,「木を切ってはいけません」というテーマだけでは,これまで木材を利用して生活をしてきた私たちの生活をすべて否定(ひてい)してしまい,内容が後ろ向きになってしまいます。こういった主張は読み手をあきさせます。このコラムでも学習したことですが,「前向きの意見を書いていく方が読み手にとっては同意が得やすい」というポイントを忘れないでください。

 一例として,次のような内容はいかがでしょうか。
 長い年月をかけて生長した木を木材として私たちが使っているのだから,その生長に要した年月の分だけでもその木材で作られた製品を使ってみよう。そうすれば,木材となった木はきっと喜んでくれるはずだ。せっかく長い年月をかけて生長したものを粗末(そまつ)に使うのはもったいない。

 このように考えると,写真から木々のぬくもりも伝わってきますね。写真の木材もこれから何かに加工され,人に使われていくはずです。このぬくもりを人が長く使うことの大切さを文章で表現してみるのもよいでしょう。

■解答例
 写真には年輪がはっきりと見え,厚さのちがう三枚の長方形の木材が映し出されています。これらの木材から,長い年月をかけて木が生長してきた様子をうかがい知ることができます。
 私たちの身のまわりには,木材を使って作られた製品がたくさんあります。私の家にも木でつくられたたんすがあります。このたんすは母が父と結婚する前からずっと使ってきたものです。大きくて,強いたんすです。このたんすが私の家に来る前は長い年月を木として生きてきたはずです。そのように考えると,このたんすの歴史はとても長いものといえます。
 木材も,もともとは命ある木でした。写真の中に映し出された三枚の木材から命のぬくもりが伝わってきます。これらの木材もどこかでいずれ加工されて別のものに生まれ変わっていくのでしょう。しかし,木のぬくもりはずっと残るはずです。このぬくもりを大切にすることが,木材になって私たちの生活を支えてくれる木への恩返しになると思います。
 現代は,ものが大量に作られ,かつ捨てられている時代です。その中で,木材からも大量にものが生産されています。その中にはむだに使われ,そして,すぐに捨てているものがあるはずです。長い年月をかけて生長した木なので,その長い年月の分,私たちも大切にものを使っていきたいと思います。

 みなさんは公立中高一貫校入試当日までにたくさんのことを学んできました。その事実が,入試当日の自信の裏付(うらづ)けになります。不安もきっとあるはずです。しかし,そういった不安をはらいのけることができるぐらい,みなさんは根拠(こんきょ)を持った自信を備えています。
 あせらず,ていねいに,そして自信を持って入試を乗りこえてください。
 応援(おうえん)しています。


掲載日:2015年1月19日
次回の掲載は,2015年2月16日の予定です。

[2014/12/15] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その2-

 みなさん,こんにちは。
 前回に引き続いて,今回も実入試問題を使って答案作成の手順を確かめていきましょう。

 用いる問題は,福山市立福山中学校の適性検査2問題1(平成26年度)です。
 ■問題用紙のダウンロード(福山市立福山中学校ホームページ)
 ■解答用紙のダウンロード(福山市立福山中学校ホームページ)

◆例題
 児童会役員のだいちさんとみどりさんは,みんなで気持ちよく学校生活を送るために,新しい取り組みを提案することになりました。そこで,二人は資料を探(さが)しに図書館へ行き,次の文章を見つけました。

 [文章は坂東眞理子「大人になる前に身につけてほしいこと」による]

だいち:ぼくたちの周りにも,江戸(えど)しぐさのようなマナーやしぐさがあるんじゃないかな。
みどり:そうね。エレベーターの中で,最後の人が降(お)りるまでボタンをおしていたり,エスカレーターで急いでいる人のために片側(かたがわ)をあけたりしているのを見たことがあるわ。
だいち:気持ちよく学校生活を送るための取り組みとして,何か新しいしぐさを考えてみよう。

問題1
 学校生活で,あなたが取り組みたいしぐさとそう考えた理由を書きなさい。
・「傘(かさ)かしげ」や「こぶし腰浮(こしう)かせ」を参考にして,「しぐさ」に名前をつけること。
・自分の体験をふまえて,四百字以内で書くこと。題や名前は書かなくてよろしい。
・資料や二人の会話に使われている例は用いないこと。

 はじめに設問を確かめましょう。おもなポイントは「みんなが気持ちよく学校生活を送るために取り組みたいしぐさを考える」という点です。そのことをふまえたうえで,文章を一読しましょう。文章には,次の内容が書かれていました。

1 江戸時代の町人は,まわりの人を気づかいながら気持ちよく暮(く)らすためのマナーを身につけていた。
2 それらのマナーはトラブルを起こさずに生活するための知恵(ちえ)であった。
3 自分のことだけを考えるのではなく,自分の身のまわりを見回す余裕(よゆう)を持ち,それを態度で表す。またそれが自然な形で態度にでるようになっていた。


 この時点で,どのような方向性で作文を書いていくかが見えてきますね。そして,だいちさんとみどりさんの会話文を読むと,そこで取り上げられているのはエレベーターやエスカレーターでの人への気配りです。では,みなさんは学校生活を気持ちよく送るためにどのような気配りをおたがいにしていきたいと思いますか。
 学校生活において,気づかいや気配りが必要な場面を想像してみましょう。すぐに思いうかばないという人は,文章中の「トラブルを起こさず生活するための知恵」といった点をヒントにしましょう。気づかいや気配りが欠けたがためにトラブルになってしまったことを考えてみればよいでしょう。
 たとえば,何らかの行事で,係の人の話を聞かずにおしゃべりばかりしている人はいませんか。そういう人は,結局のところ,みんなとは別の行動を取ることになり,まわりに迷惑(めいわく)をかけてしまいます。話をしている人の方を見て,その話をよく聞く。そうすれば,話をする人も安心しますね。小さな心づかいですが,話す人と聞く人がたがいに気持ちよく何かに取り組むときに重要なことです。
 今回は,そういった視点(してん)から解答例を書いてみましたので,参考にしてください。もちろん,他の内容でも構いません。おさえるべきポイントと方向性をまちがえなければ,正しく評価されます。

■解答例
しぐさの名前 耳かたむけ
理由の説明
 学校生活を送るにあたって、先生や友達の話をしっかりと聞く場面が多くあります。逆に、それを軽視するとトラブルになります。
 それは、合唱コンクールのときでした。指揮者の女の子が一生けん命に指示を出しているにもかかわらず、その話を聞かずおしゃべりばかりしている人がいました。そのため、指揮者だけでなく、まわりの人たちもイライラしていました。合唱が終わり、ステージから降りるとき、話を聞いていなかった二人だけは別の方向に進んでまちがえてしまいました。一部の人の身勝手な行動がみんなに迷わくをかけてしまったのです。
 人の話をしっかり聞くことは、トラブルを起こさないためにとても大切です。また、話す人と聞く人がたがいに気持ちよいコミュニケーションをとるためにも重要です。話をしている人に耳をかたむけることで、みんなが気持ちよく学校生活が送れるようにしたいと思います。

 問題で示されている条件を一つずつ整理していくだけでも,書くべき内容が明確になってきます。このコラムや『むぎっ子作文添削』で一貫して言い続けてきた「問題をしっかり読む」ということの大切さがおわかりでしょうか。問題を読むなんて当たり前のことだと思っていても,「しっかり」という部分が多くの児童は「ただ」という言葉に代わってしまっていることが多くあります。公立中高一貫校入試まであとわずかです。作文問題に限らず,入試全般において,「しっかり読む」ということの意味をもう一度確かめてみてください。


掲載日:2014年12月15日
次回の掲載は,2015年1月19日の予定です。

[2014/11/17] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その1-


 みなさん,こんにちは。
 前回,公立中高一貫校入試で出題される作文問題は,単に書く力だけが求められているのではなく,読み取る力も同様に必要だという説明をしました。今回からは,公立中高一貫校入試で過去に出題された実入試問題を用いて,答案作成の手順を確かめていきます。これまで学習してきたことをいかしていきましょう。

 用いる問題は,京都府立洛北(らくほく)高等学校附属(ふぞく)中学校 適性検査Ⅰ(平成26年度)大問二(4)です。問題は下記のホームページで確かめてください。
 京都新聞ホームページへリンク

◆例題
 この文章(ピーター・フランクル『ピーター流生き方のすすめ』)を読んで,「学ぶということ」という題名で,あなたの思ったことや考えたことをこれまでに体験したこと,あるいは見たり聞いたりしたことを例にあげながら,三百六十一字以上,四百五十字以内で書きましょう。
 ※ 句読点(「。」や「,」)も一ます使います。
 ※ 題や指名は書かないで,一行目から書き始めましょう。


 これまでこのコラムを読んでくれたみなさんであれば,まずはじめに何をするべきかがわかりますね。そう,「文章を読む」です。あたりまえだとつっこまないでくださいね。
 公立中高一貫校入試で出題される課題作文問題は,何を書いてもよいわけではありません。このことは,これまでの学習ですでにわかってもらえているでしょう。設問に「この文章を読んで」という条件があたえられている以上,この文章に書かれてある筆者の考えを正確に読み取る必要があります。

 では,この文章で「学ぶということ」について筆者はどのように述べているでしょうか。要約すると,次の3つに集約できるかと思います。

(1) 自分が持つ知識は減ることがなく,むしろその知識が世の中に広く伝えられるほど増えていく。

(2) 学ぶことによって,多くの人が作り上げてきた知識の体系(いろいろな知識がまとめられたもの)に接することができる。また,それにより知識でまとめられた世界が美しく見えてくる。

(3) 未知のことに接する楽しさがある。

 これらのことをふまえると,筆者にとって「学ぶこと」とは,次のようにまとめられるでしょう。
 「いつまでも自分のものであり,無限の広がりを持つ知識の体系に美しさを感じ取るということ。また,これまで知らなかったことを知っていくなかでの楽しさもあるということ。」

 では,筆者のこの考えにふれて,みなさんはどのようなことを考えましたか。復習になりますが,考えたこととは,ここでは文章を読んだことで得られる情報(つまり,「わかったこと・気づいたこと」)から,自分のことばで表現された内容のことです。筆者の考えにふれて,自分のことばで内容をふくらませてみましょう。

 一つ例を挙げてみましょう。
 自分の住む町について調べてみようという調べ学習が行われるとします。何かについて調べる学習は,みなさんも経験したことがありますね。自分の町について調べていくなかで,本を読んだり,統計資料を使って計算したり,聞いたことがない言葉に出会ったり,最新の技術にふれたりします。そういった様々な知的な出会いによって,自分の住む町の全体像がうかび上がってきます。このように,一つのテーマについていろいろな広がりが見えてくるわけです。そこで,知的な興味がわいてくるものを「学ぶということ」とくくってみるのはどうでしょうか。机の前で難しい問題集に取り組み,正解か不正解かを確かめる勉強とは少しちがいますね。筆者も,黙々(もくもく)と取り組むそういった勉強を指して学ぶことと述べているのではありません。正解を求めない学びの魅力(みりょく)について特に述べているわけです。

■作文例
 私は,学校でいろいろな教科の勉強をしています。そのなかで私が特に夢中になるものは,調べ学習です。私が通う小学校では,毎年一つのテーマで調べ学習が行われます。今年は私たちの住む町の産業について調べました。
 調べていくと,自分の住む町でも知らないことや聞いたことのないことがたくさんあることに気づきます。普段は知識を得て,問題に取り組み,正解か不正解かを確かめる勉強が中心です。しかし,調べ学習では自分から計画を立てて,自分で情報を整理し,自分の言葉でまとめていきます。調べていくなかでだんだん内容がふくらみ,そして,一つ一つの事がらどうしの関係がわかってきます。知らないことがわかる楽しさや,その関係性を発見できたときの楽しさは,さらに知りたいという気持ちを大きくさせてくれます。
 「学ぶということ」とは,解答が用意されている勉強とはちがい,知れば知るほどもっと興味がわいてくる,自分の知らない世界を見せてくれるものであると私は思います。

 では,次回も実入試問題を使って問題演習を進めていきましょう。


掲載日:2014年11月17日
次回の掲載は,2014年12月15日の予定です。

[2014/10/23] 公立中高一貫校入試の作文で求められていること


 みなさん,こんにちは。
 前回は,自分の言葉(ことば)を使って表現するとは,「自分以外の人の視点(してん)に立つ」ことであるという話をしました。今回は,実際の適性検査問題を用いて,この話を具体的にみていきましょう。

◆例題
 この文章(長友佑都「上昇(じょうしょう)志向 幸せを感じるために大切なこと」)で中心となっている筆者の考え方をふまえて,あなたはどのような場面や過程で自分自身が成長した(成長している)と考えますか。学校での体験を交えて百八十以上二百字以内で,改行せずに書きなさい。
 注意 ・最初のます目から書き始めなさい。
    ・、や。や「なども一字として数えます。
(2014年・東京都立三鷹(みたか)中等教育学校 適性検査Ⅱ 大問2 問題2より)
※問題は,こちらから確認(かくにん)してください。

 設問を読むと,「この文章で中心となっている筆者の考え方をふまえて」と書かれています。文章全体を通読すると,サッカーの話が書かれていますが,それは筆者の職業であるサッカー選手としての経験にもとづく具体例であり,中心となっている考え方(これを主旨といいます)は,冒頭(ぼうとう)の「人間のすべては心で動いている。」という一文と,文章の終わり部分にある「人として大きくなっていくことには価値(かち)がある。」という部分だと判断できます。

 ただし,みなさんはいま挙げた筆者の言葉をそのまま自分の理解にして,受け取ってはいけません。筆者の言葉を自分の言葉に置きかえて理解する作業が必要です。「人間のすべては心で動いている。」「人として大きくなっていくことには価値がある」とはそもそもどのような意味なのでしょうか。

 公立中高一貫校入試の作文で求められていることとは,作文を書く表現力だけではありません。みなさんが作文を書く根拠(こんきょ)となる文章をどのように読み取ったのかという読解力も強く求められているのです。端的(たんてき)に言うと,「あたえられた文章の内容を正しく読み取ることができ,かつ考えぬいたうえで作文に取り組めていますか」ということが,公立中高一貫校入試で問われています。「適性検査の作文で何を書けばよいのかわかりません」というなやなやみを『むぎっ子作文添削』を通じて相談されることがありますが,自分で文章を書く前に,あたえられた文章(資料や条件なども同様です)をしっかりと読み取ることがすべての始まりであると考えましょう。

 では,話題をもどしましょう。今回取り上げた文章から読み取れることを自分の言葉でまとめてみましょう。前回の学習で,自分以外の人の視点に立って,文章に書かれていないことを自分の言葉でまとめることが大切だと学びました。このことから,「この文章で中心となっている筆者の考え方」をまとめてみます。

◆筆者の考え方のまとめ
 サッカーでも何でも,人が何かをするときには心,つまり,自分がどのような気持ちであるかが物事の結果を左右する。気持ちにゆとりがなければ,広範囲(こうはんい)に物事を見ることができなくなり,自分の行動もせまくなってしまう。一方で,心に余裕(よゆう)があれば,見える範囲も広がり,自分の行動も広くなる。その心の余裕は,何があっても心を常に落ち着けて,安定させなければ得られないものである。どのような場面でも落ち着いて判断ができるようになる。これこそが人としての成長であり,人として成長していくことはいろいろな場面で大切である。

 この筆者の考え方をふまえて,みなさんの身近な場面に自分自身の成長を引き合わせてみてください。学校での人間関係や家庭での生活の中で,広い視野をもって物事を判断できるようになったことを実感できた経験はありませんか。そういった内容を制限字数内でまとめてみましょう。

◆作文解答例
 以前の私は,友だちとけんかをすると気持ちが落ち着かずに不安になっていました。友だちとのけんかのことで頭がいっぱいなってしまうのです。しかし,あるときから,友だちとけんかをしても,けんかの理由などを自分なりに考え,友だちとも話し合うことができるようになりました。何かが起こっても,物事から一歩引いて見つめ直せるようになりました。このことから自分は成長したと考えました。

 作文解答例に筆者の考え方のまとめを付け加えなくても,それにもとづいて書かれているということが読み取れると思います。つまり,きちんと文章の読解ができ,自分の言葉で書かれた文章であれば,その作文を読んだ人にはきちんとそのことを伝えることができます。本文の言葉だけで書かれたツギハギの文章では,高い評価をもらうことはできません。ですから,自分の言葉でまとめられるぐらいの深い読解が必要です。

 今回は,公立中高一貫校入試で出題される作文は単に書く力だけが求められているのではなく,読み取る力も同様に必要だということを学習しました。
 次回は,過去の適性検査問題を用いてこれまでの復習をしていきます。


掲載日:2014年10月23日
次回の掲載は,2014年11月17日の予定です。

[2014/09/15] 自分の言葉(ことば)を使って書くということ


 みなさん,こんにちは。
 前回までは,「わかったこと・気づいたこと」と「考えたこと」について説明しました。前回までの話の中でたびたび「自分の言葉(ことば)」という表現が出てきました。今回はこれについていっしょに学習しましょう。

※ 漢字で「言葉」と表現する場合と,ひらがなで「ことば」と表現する場合は,口語文法的には意味が異なりますが,ここでは,一般的に用いる意味で,以下,漢字で「言葉」と表現することとします。


 はじめに,みなさんは復習として,昨年度の第4~6回のコラムを読み直してください。

 第4回 言葉をたくさん身につけよう!!
 第5回 気持ち・感情を表す言葉はたくさんある!
 第6回 動作を表す言葉-なんでも「する」で表さない-

 これらの内容は,言葉の使い方を身につけることの大切さを伝えています。ある文章を読んで,それについてわかったことや考えたことを述べる課題作文では,言葉を身につけておくことは非常に大切です。
 では,次の文章を読んでみましょう。

■例題
 次の詩には「机」(めがね先生作)という題名がつけられています。この詩で伝えようとしているメッセージを自分の言葉でまとめてみましょう。


 きみ
 ゲームは楽しいかい

 きみ
 ケータイは楽しいかい

 きみ
 マンガは楽しいかい

 きみ
 もう気づいているだろう?

 きみ
 そろそろぼくといっしょにはじめないかい


 詩や短歌・俳句というのは,そぎ落された情報をつけ加えながら読み,楽しむ文学です。詩や短歌・俳句は読解が難しいという声を耳にしますが,その理由は,書かれている情報が少ないからです(ということは,情報が少ない作文を書くと,読み手は大変困ってしまうということです)。では,この詩はどのようなメッセージを読み手に伝えようとしているのでしょうか。

 少し話がそれますが,ここでは,なぜ詩を使って学習をしていると思いますか。長い文章を使って学習した場合,多くの人はその中から情報をたくさん引っ張り出して,それらをつないで作者の伝えたいメッセージとして書き上げてしまいます。そこまではよいのですが,メッセージを書き上げても何が言いたいのか結局わからないということがしばしばあります。今回の学習は自分の言葉を使うということです。ですから,みなさんには,この詩を読んで,そぎ落とされてしまった情報を自分の言葉で取りもどしてもらいたいと思い,詩を使って学習しています。

 詩に話題をもどりましょう。「机」が詩の中では読み手に「ゲーム,ケータイ,マンガは楽しいか」と問いかけています。「ゲーム,ケータイ,マンガ」とは何のことでしょう。楽しみをあたえてくれる道具,遊び道具です。もちろん,これ以外にも遊び道具はあるでしょう。これら以外で遊ぶという人もいるでしょう。ここで学んでほしいことは「自分以外の人の視点に立つ(つまり客観的に物事を見る)」ということです。日常生活や報道などいろいろな場面で,これらが遊ぶための道具であることは伝えられている,そう見なされていることはわかることです。このようなところで,内容を吟味して自分の言葉として表現することが文章をまとめるためにはとても大切です。

 続いて,「きみ/もう気づいているだろう?/きみ/そろそろぼくといっしょにはじめないかい」というのは何に気づいて,何をはじめようというのでしょうか。この詩は「机」からのメッセージです。机では何をしますか。「ゲーム,ケータイ,マンガ」が遊び道具であるのに対して机は「勉強するためのもの」ですね。そんな机が,遊んでいる自分自身に語りかけています。「勉強しないといけないと気づいているだろう/遊びをやめて勉強をやめてそろそろぼくといっしょにはじめないかい」と言葉を補うことができますね。

 以上のことから考えてみると,この詩が読み手に伝えたいメッセージは,たとえば「わかっているなら,遊んでばかりいないで,勉強をしよう」とまとめることができます。詩の言葉だけではなく,自分の言葉できちんと説明できましたか。自分の言葉を使うと,内容を手短にまとめることができますね。文章読解とその要約が求められる課題作文,あるいは読書感想文でこのような作業ができるようになりましょう。

 では,今回のまとめです。自分の言葉を使うというのは,どのような言葉でもよいというわけではありません。自分の言葉を使って表現するには,「自分以外の人の視点に立つ(つまり客観的に物事を見る)」ことが必要です。読んでもらう人にわかってもらうためには,書いた文章に客観性(みんなにわかってもらえるという性質)が求められるわけです。みなさんがこれまで書いてきた文章はいかがですか。
 次回は,今回の学習の復習を実際の適性検査を用いて取り組みます。


掲載日:2014年9月15日
次回の掲載は,2014年10月20日の予定です。

[2014/08/18] 「考える」ために必要なこととは


 みなさん,こんにちは。前回は,例題を用いながら「わかったこと・気づいたこと」について学習しました。今回はその続きです。「考えたこと」とはどのようなことでしょうか。いっしょに学習していきましょう。

■例題
 次の<資料>は,日本の総人口におけるA「0~14歳」,B「15~64歳」,C「65歳以上」の年齢(ねんれい)構成の変化を表したものです。<資料>を見て気づいたこと,そのことについてのあなたの考えや意見を後の条件にしたがって書きなさい。

<資料>日本の総人口における年齢構成の変化
20140721.png

※ B「15~64歳」は,「生産年齢」と呼(よ)ばれ,一般的(いっぱんてき)に仕事ができるとされる年齢。
(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」および「将来推計人口」により作成)

条件
 ① 二段落構成とし,前段では<資料>を見て気づいたことを,後段ではそのことについてのあなたの考えや意見を書くこと。
 ② 二百字以上,二百四十字以内で書くこと。ただし,句読点も一文字として数える。
 ③ 原稿用紙の使い方にしたがって,文字やかなづかいを正しく書き,漢字を適切に使うこと。
 ④ 題名や氏名は書かないで,本文から書き始めること。
(福島県立会津学鳳中学校 2014年)


 前回は「わかったこと・気づいたこと」について,「生産年齢人口の人口に対する割合が減り続けている」ことを挙げました。そして,気づいてほしいことがもう一つあるということを最後に指摘(してき)しました。
 さて,みなさんは気づいてくれましたか。

 ポイントは横軸(よこじく)の西暦(せいれき)です。2002年,2017年,2067年というと,2002年から15年後,65年後です。つまり,2002年生まれの人については,2002年にはA,2017年ではB,2067年ではCというように西暦といっしょに自分が属する年齢の範囲(はんい)も移っていくわけです。

 みなさんは,この資料の年齢の範囲のどこに属していますか。今年(2014年)の小学6年生の生年月は2002年4月から2003年3月です。先に述べた通り,自分の属する年齢の範囲が移っていくので,2067年には,小学6年生は65歳以上の年齢範囲に入ってしまい,仕事ができる人たちが減る中で,支えられる立場に立ちます。一方,小学5年生は2002年よりもあとに生まれているので,2067年にはBに属していることになります。みなさんが,65歳以上の人たちを支えていくようになるわけです。このことは高齢化ということばでみなさんがテレビのニュースや新聞などで聞いたことがある話でしょう。

 資料に示されていることを観察することで得られる情報(つまり,「わかったこと・気づいたこと」)から,自分のことばで展開された内容が「考えたこと」になります。ですから,「考えたこと」を書くために必要なことは考えるための材料,たとえば,知識であったり,情報であったりするのです。みなさんの中には「何も考えられない」「何も思いつかない」ために文章にまとめられない人がいるでしょう。そういう人はまず,書かなければならない内容について何がわかるのか,どのようなことに気づくのか,どのような知識や情報を持ち合わせているのかを整理してみましょう。それをもとに自分のことばでそれらの内容を整理していけば,それが「考えたこと」になっていきます。

 今回の学習はここまでです。

 解答例
 資料は、二〇〇二年、二〇一七年、二〇六七年の年齢構成の割合を示しており、特に生産年齢人口の人口に対する割合が二〇〇二年からの十五年、六十五年の間に少しずつ減り続けていることがわかります。一方、六十五歳以上人口の割合は増え続けています。
 私は、二〇〇二年生まれなので、二〇六七年には六十五歳以上で、生産年齢の人々に支えられる立場になります。働いている人に負担がかからないように、働ける間に自分たちの福祉の基礎が築けるように準備をしていかなければならないと思いました。


 今回は,「考える」ためには「わかったこと・気づいたこと」などの情報や知識が必要であり,それを自分のことばで整理していくことが考えるという動作であるということを学習しました。次回は,今回の学習で何回かふれた「自分のことば」について学習を進めていきます。


掲載日:2014年8月18日
次回の掲載は,2014年9月15日の予定です。

[2014/07/21] 「わかったこと・気づいたこと」と「考えたこと」


 みなさん,こんにちは。前回は「共感」というキーワードから作文の書き方を学習しました。ところで,前回の学習を通して,次のような疑問を持った人がいるのではないでしょうか。

「わかったこと・気づいたこと」と「考えたこと」ってどうちがうの?

 この2つのことばは似てはいますが,まったく別物です。今回はその点について,例題を用いて学習していきましょう。

■例題
 次の<資料>は,日本の総人口におけるA「0~14歳」,B「15~64歳」,C「65歳以上」の年齢(ねんれい)構成の変化を表したものです。<資料>を見て気づいたこと,そのことについてのあなたの考えや意見を後の条件にしたがって書きなさい。

<資料>日本の総人口における年齢構成の変化
20140721.png

※ B「15~64歳」は,「生産年齢」と呼(よ)ばれ,一般的(いっぱんてき)に仕事ができるとされる年齢。
(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」および「将来推計人口」により作成)

条件
 ① 二段落構成とし,前段では<資料>を見て気づいたことを,後段ではそのことについてのあなたの考えや意見を書くこと。
 ② 二百字以上,二百四十字以内で書くこと。ただし,句読点も一文字として数える。
 ③ 原稿用紙の使い方にしたがって,文字やかなづかいを正しく書き,漢字を適切に使うこと。
 ④ 題名や氏名は書かないで,本文から書き始めること。
(福島県立会津学鳳中学校 2014年)


 条件①を読むと,「気づいたこと」と「考えたこと」が明確に分けられていることがわかります。一段落目には<資料>から気づいたこととわかったことを書き,二段落目には「考えたこと」を書きなさいという指示になっています。
 みなさんにとって,一段落目に書くべきことの見当はつきやすいのではないでしょうか。<資料>の内容をまとめればよいのです。しかし,<資料>の内容をまとめるにしてもA,B,Cのどの年齢について説明すればよいのでしょうか。どの年齢について書いても大丈夫ではないか,と思われるかもしれませんが,そんなことはありません。
 <資料>をよく見てください。グラフの下に※印があります。そこにはBの年齢についての説明があります。したがって,「仕事ができるとされている15~64歳の人の数が人口にしめる割合が将来だんだん減少していく」,あるいは「生産年齢人口の人口に対する割合が減り続けている」という説明が適しているでしょう。そして,Bの減少にともなって,どのような変化がわかりますか。そのあたりの説明をふくめて,<資料>から気づくことを100~120字でまとめてみましょう。ただし,グラフの変化だけがヒントではありません。もう一つ「気づいて,わかって」ほしいことがあります。たいして大きなことではないのですが,二段落目の「考えたこと」を書く上で大きなヒントになるところがあります。

 今回の学習はここまでです。では,学習のまとめです。「わかったこと・気づいたこと」というのは細かい観察の上に成り立っている。そのことがわかってもらえるとよいですね。次回までに一段落目をまとめておきましょう。次回は,今回の学習をふまえて「考えたこと」とは何かについて学習を進めていきます。


掲載日:2014年7月21日
次回の掲載は,2014年8月18日の予定です。

[2014/06/16] 共感しよう。共感を生み出そう。


 こんにちは。今月は,先月出題した課題について深く考えていきます。まずは,もう一度,その課題を確認(かくにん)してください。

 東京都立桜修館中等教育学校・2013年・作文問題

 
■問題■

 次の資料から、あなたが考えたことを分かりやすく書きましょう。字数は、五百字以上、六百字以内とします。

(書き方)
○題名、名前は書かずに一行目から書き始めましょう。
○書き出しや、段落をかえた時は、ますを一字あけて書きましょう。
○文章全体の組み立てを考え、適切に段落がえをしましょう。段落がえをしてあいたますも一字と数えます。
○読点や句点、かぎなどはそれぞれ一ますに書きましょう。ただし、句点とかぎは同じますに書きましょう。
○読点や句点が行の一番上にきてしまうときは、前の行の一番最後の字といっしょに同じますに書きましょう。
○文章を直すときは、消してから書きましょう。


 資料は,3種類の世界地図が並(なら)べられたものでした。前回は,文章を書くにあたり次に挙げる3つの考えを述べました。

1.これら3種類の地図から分かる特徴(とくちょう)を整理して書く。
2.その特徴から「考えたこと」を書く。
3.問題を作ってくれた先生の思いをくみとって書く。

 では,文章の作成に入りましょう。はじめに,3種類の地図から分かる特徴です。一つ一つの地図の特徴を長々と説明する人が多くいると思われますが,そこはこの作文の本質部分である「考えたこと」にはなりませんので,一つ一つを長く書くことなく,簡潔(かんけつ)にまとめるように努めましょう。

 続いて,これらの世界地図を見て「考えたこと」は何でしょうか。問題を作った先生はこれらの地図からどのようなことを考えてもらいたいのでしょうか。

 世界地図は世界を見渡(みわた)せる地図です。つまり,世界全体の姿(すがた)を私(わたし)たちは一目で見ることができるということです。しかし,世界地図というと,多くの小学生は日本を囲む太平洋を中央にしてみた世界地図(上段の世界地図)しか見たことないのではないでしょうか。それは世界を一つの側面からしか見ていないことになるのですね。地図の上が北,下が南というのは北半球に住む人の都合であり,南半球に住む人にとっては南が上の方が都合よく,また日本よりも西に住む人にとっては大西洋が中心の地図の方が都合がよいはずです。世界の中心をどう見るかによって世界全体は異(こと)なって映(うつ)るのです。

 ところで,各公立中高一貫校は,「こういった生徒になってほしい」という生徒像を明文化しています。みなさんは,自分の志望校の生徒像を知っていますか。
 ちなみに,東京都立桜修館中等教育学校は,「我(わ)が国の文化と他国の文化を理解し,世界の中の日本人としてのアイデンティティをもって国際社会で活躍(かつやく)する生徒を育てる学校。」と記(しる)されています。なんとなく,この問題を作ってくれた先生の思いが伝わってきませんか。我が国(日本)と他国(世界)のそれぞれの文化を理解するためには,一つの側面からだけではなく,あらゆる側面からとらえていかなければならない......と。

 もちろん,「そんなことまで考えていないよ」という意見も出てくるでしょう。確かにそうかもしれません。しかし,この問題は「考えたこと」を書くことが求められているのです。となると,こういう考えを文章にしてもよいはずです。この考え方は一例にすぎません。他に考えたことがある人ももちろんいるでしょう。

 ここで,大切なことを一つ示しておきましょう。みなさんは「共感」ということばを知っていますか。他人の考えにその通りだと感じること,他人の感情を自分のもののように感じることを示すことばです。適性検査問題のほとんどについて言えることですが,文章を読ませてから作文を書かせる課題では,その文章が伝えていることにみなさんが「共感」し(または「共感」できなかったことでもよい),そして作文を書くみなさんの思いや考えを読み手の先生に「共感」してもらえるかどうかがカギになります。
 今回の課題であれば,「自分は日本が中心の地図の方が見やすくて,理解しやすいので,この地図を使っていきたい。」という考えを示す人もいるでしょう。あくまで推測ですが,かなりの受検生がこの手の「比べる」式の文章を書いたと思います。しかし,読み手の先生は,その考えに「共感」できたでしょうか。

 課題作文は評価がともなう作文です。評価のために文章を書くというのはおかしな話なのですが,それでもこの「共感」という部分を無視(むし)できないと考えるべきです。読み手の先生にも気持ちや想いがあります。「読み手の気持ちになって文章を書こう」と以前のコラムでも述べたように,みなさんは読み手の先生の気持ちを考えなければなりません。そのヒントになるものが学校のホームページであったり,学校案内であったりします。

 話が長くなってしまいました。さて,以上のことをふまえてみると,みなさんはどのような文章が書けるでしょうか。参考となる作文例を以下のファイルで紹介(しょうかい)します。

 解答例(pdfファイル)

 では,次回もがんばりましょう。


掲載日:2014年6月16日
次回の掲載は,2014年7月21日の予定です。

[2014/05/26] 「あなたの考え」というのは何を書いてもよいのか?!


 こんにちは。今月は,東京都立桜修館中等教育学校の実入試問題に取り組むこととします。問題は,次のURLで確(かく)認(にん)してください。

 東京都立桜修館中等教育学校・2013年・作文問題

■問題■
 次の資料から,あなたが考えたことを分かりやすく書きましょう。字数は,五百字以上,六百字以内とします。
(東京都立桜修館中等教育学校・2013年・制限時間:45分)


 次の資料とは,3種類の世界地図のことです。はじめに,それぞれの特(とく)徴(ちょう)をまとめてみましょう。

 上段 日本を囲む太平洋を中央にしてみた世界地図
 中段 日本を中央に南を上に,北を下にひっくり返した世界地図
 下段 大西洋を中心にしてみた世界地図

 これら3種類の地図から,考えたことを分かりやすく書くというのが作文の課題です。

 一見すると,「簡(かん)単(たん)。もう答えが書いてある。」と思われるかもしれません。実は,ここに落とし穴(あな)があります。みなさんは,それぞれの地図の特徴を書こうとしませんでしたか。もちろん,それぞれの地図の特徴は簡単に分かりやすく書いたほうがよいでしょう。しかし,それは3種類の地図を見て,「考えたこと」ではなく,「分かったこと,気づいたこと」です。この課題では,「これらの特徴からどのようなことを考えますか」ということが問われています。しかも,世界地図という世界全体を見渡(わた)せるものを使って問われているのです。

 世界地図というは,世界の全体を見渡せるものです。しかし,見方によっていろいろな姿(すがた)があらわれます。これら3種類の世界地図から,みなさんに何を学んで,考えてもらいたいのでしょうか。そこには,この問題を作った先生の強い思いがこめられているはずです。問題を作る先生は,「これ,分かるかな?」という気持ちだけで問題を作っているわけではありません。「こういうことを分かって,考えてくれるとうれしいな」という前向きな気持ちを強く持っているのです。

 さあ,どうでしょうか。この問題からみなさんは,問題を作った先生の気持ちを理解して文章にまとめられるでしょうか。
 今回は,ここまでです。次回,どのような手順で何をどのように書いていくかをいっしょに考えていきましょう。それまでに,こちらの課題にぜひ取り組んでおいてください。


掲載日:2014年5月26日
次回の掲載は,2014年6月16日の予定です。

[2014/05/01] 書く内容に気をつけよう-前向きの姿に人はひかれます-


 みなさん,こんにちは。
 では,前回の続きを見ていきましょう。みなさんはもう,前回出題した例題に取り組んでくれましたか。

■例題■
 私たちは,さまざまな「発見」をとおして成長することがあります。あなたがこれまでの生活の中でどのような「発見」をし,それによりどのように行動するようになったのか,理由とともに四百字以上五百字以内で書きなさい。
[注意]
① 題名,氏名は書かずに,一行目から書き始めること。
② 原稿用紙の正しい使い方にしたがい,文字やかなづかいも正確に書くこと。
(2013年,宮城県古川黎明中学校,試験時間:40分間)

 前回は,どのようなことを書くのかをまとめました。「私たちの生活の中になる,自分が成長することができた,また行動を変えることができた発見」について考え,理由といっしょに書いてみようということでした。
 では,具体的に見ていきます。もちろん,これから提示することは一例です。みなさんは,これから提示する一例を参考にしながら,自分の文章を読み直してみてください。

 例題が指定する「発見」として考えられるものには,次のようなものがあります。
(1) 自分が見習うことができる他人の行動を発見した。
(2) 自分の行動を反省できるような行動を発見した。
(3) 自分の気持ちを大きく左右させるような他人の気持ちを発見した。
(4) 全体への心配りが行きわったっている社会のしくみを発見した。
 などなど

 以上のような発見は,自分を変えるきっかけにはなるでしょう。それを家庭生活,学校生活,社会生活の中で考えてみると,

(1) ふだんはたがいになれ合っている友だちがリーダーシップを発揮して,クラスをまとめ導いているのを発見し,自分も積極的に人と関わりあいを持ち,集団全体のことを考えられるようになった。<前向きの発見と行動>

(2) 道路を歩いているとゴミをそのまま捨てる人の姿を発見し,せっかくきれいな道路がよごされ,人に不快な思いをさせると考え,自分はそんなことをせず,町をきれいにしていこうと考え行動している。<後ろ向きの発見と行動>

(3) 学校で泣いている児童に声をかけていっしょに寄りそっている児童のやさしさを見た。やさしさとは何かをちょっとわかった気がした。人にやさしくなれた。<感情的な発見と行動>

(4) 百貨店の入口までに階段とスロープがあった。体の不自由な方への配慮であると知った。自分とは立場のちがう人には自分の日常の当たり前はそうではない。そういう配慮をもっと考えるようになった。<社会性をもった発見と行動>

 どのような内容でもいいでしょう。ただ,できたらさけた方がいいと思われる内容は(2)のような後ろ向きの内容です。何かを否定する,何かに反発することから確かに何かを得ることがあるでしょう(これを反面教師といいます)。しかし,読み手にとってはちょっと気持ちが暗くなります。他人への批判ばかりは読み手をあきさせるものです。だとしたら,もっと前向きの意見を書いていく方が読み手にとっては同意が得やすいでしょう。どの作文でもそうですが,後ろ向きの意見や表現はあまり使わないほうがよいでしょう。やはり,何かに積極的な人の姿の方に人は目がいきます。そういったことをふまえながら,作文例を示しておきましょう。

■作文例■
 五年生の運動会での出来事です。クラス競技の中で、わたしの友だちが失敗をして、クラスの順位が全体で下がってしまったことがありました。友だちはとてもくやしかったのでしょう。そして、他のクラスメートから責められるのではないかと不安にもなったのでしょう。泣き出してしまいました。
 わたしはそれを見ていましたが、特に何も考えずにいました。すると、学級委員が彼女のそばに行き、話を聞いてあげていました。もちろん、友だちは気持ちを打ち明けることができず、ただだまっていました。そんな友だちのそばに学級委員はずっと寄りそっていました。わたしも気になりはじめ、その友だちの横に座りました。
 その後、しばらくすると友だちも気持ちが落ち着いたようで、また元気になりました。このできごとはわたしに人へのやさしさとは何かを気づかせてくれました。何かをしてあげればよいというのは、やさしさとはちがうのではと思いはじめました。やさしさには、人を安心させ、人を元気にさせたいという気持ちが必要だと思います。
 このできごとの後、わたしは人の気持ちを考えながら、心配りをするようになりました。

 もちろん,これは一例に過ぎません。もっとよい作文をみなさん書いてくれていることを期待します。
 では,次回もいっしょに勉強をがんばりましょう。


掲載日:2014年5月1日
次回の掲載は,2014年5月26日の予定です。

[2014/03/24] 公立中高一貫校入試で問われている作文とは


 みなさん,こんにちは。
 さて,このコラムを読んでいる人の中には,作文が苦手という人もいるでしょうから,今回は公立中高一貫校入試で問われている作文とはそもそも何なのかについていっしょに考えていきましょう。

 公立中高一貫校入試で出題される作文は,ある意味で特別です。なぜなら,「よい作文」「悪い作文」と評価され,それが合格・不合格を左右するからです。そこで,みなさんにはじめに,次のポイントを理解しておいてほしいと思います。

■ポイント1■
公立中高一貫校入試で問われている作文の多くは書くべきことが決まっている。

 公立中高一貫校入試で問われている作文というのは「よい作文」「悪い作文」と評価される作文であり,つまり書かなければならない条件があたえられている課題作文なのです。「作文って何を書けばよいか迷ってしまう」と困ってしまう人がしばしばいますが,そのような人たちにとって,実はこの考え方が大きなヒントになります。
 では,次の例題をいっしょに考えてみましょう。

■例題■
 私たちは,さまざまな「発見」をとおして成長することがあります。あなたがこれまでの生活の中でどのような「発見」をし,それによりどのように行動するようになったのか,理由とともに四百字以上五百字以内で書きなさい。
[注意]
① 題名,氏名は書かずに,一行目から書き始めること。
② 原稿用紙の正しい使い方にしたがい,文字やかなづかいも正確に書くこと。
(2013年,宮城県古川黎明中学校,試験時間:40分間)

 この例題の中から「何を書いてもらいたいのか」を考えてみましょう。
 「発見」といった言葉だけを読み取ってしまう人がいますが,それでは不十分です。「発見」はただの「発見」ではありませんし,行動はただの行動ではありません。問題のはじめに「私たちは,さまざまな「発見」をとおして成長することがあります。」と示されているので,「私の生活の中にある,自分が成長することができた発見」ということを考えなければなりません。その発見によってどのように行動するようになったのか。もっとくわしくまとめると,「私たちの生活の中になる,自分が成長することができた,また行動を変えることができた発見」について考え,理由といっしょに書いてみようというのがこの問題で求められているのです。

■ポイント2■
① 課題作文は書かなければならないことが指定され,かつ制限されている。
② 課題作文は問題文から書くことのヒントを探すことができる。

 次回も引き続きこの例題を考えていきます。それまでにぜひ,自分の手で,この問題にそった作文を書いておいてください。これを宿題とします。次回,いっしょに答え合わせをしましょう。


掲載日:2014年3月24日