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めがね先生

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「国語は読むことだけでなく,書くことも同時に大切!」という考えから,国語の勉強でちょっと行きづまったら作文を書くことをすすめています。自分が伝えたいことを正確に伝られるようになると,国語の力はもっと成長します。いっしょにがんばりましょう。
小春学院塾長 めがね先生
ホームページ http://www.koharugakuin.info

[2016/02/22] 人の輪を広げるために知ってほしいこと


 みなさん,こんにちは。そして,受験生(受検生)のみなさん,おつかれさまでした。
 受験(受検)に向けた勉強の期間は人それぞれちがうでしょうが,一人ひとりが全力をつくしてこれまで勉強してきたことは大変貴重な経験です。それをやりとげたことにおおいに価値があります。これまでの勉強をいかして,すべての小学6年生が自信を持ってこれからおのおのの中学校に進んでくれることを確信しています。

 さて,このコラムでは作文の学習を進めてきました。公立中高一貫校入試の課題作文を書くにあたって,「大切なことは何か」「どのように書くべきか」を中心に学習しました。気づいている人がいるかと思いますが,これまでの学習の内容は作文を書くことだけでとどまる話ではありません。

 メッセージを送る,またはメッセージを受け取るという場合,送る側は受け取る側のことを考え,受け取る側は送ってくれる人のことを考えなければいけません。それが人と人とが考えを伝え合うために必要なことです。

 中学校,高校,大学,社会へと進むごとに,出会う人の数が増えてきます。人と人とがおたがいに理解し合うには,おたがいに相手のことをわかろうとしなければいけません。コミュニケーションは単なる方法論ではありません。自分の考えをわかってもらいたいのであれば,相手のことをよく知る必要が同時にあるのです。

 「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」「グローバル」・・・・・。
 みなさんの学びの周辺には,わかるようなわからないような言葉がたくさん出てきました。これからはこのような言葉が示す意味を土台として各種入試がおこなわれていきます。

 入試に関していえば,きちんと勉強して知識をたくわえ,それを的確に使えるようになればよいでしょう。それは今も昔も変わらず求められていることです。

 それに加えてこれからは,一人の人間がより幅広く,あらゆる人々と出会い,付き合っていく時代になっていきます。人と人とがおたがいに理解し,それぞれの場で最適な関係を築いていくことがこれまで以上に求められてくるでしょう。そのときに大切にしてほしいことが,これまで学んできたことなのです。

 みなさんには,自分のことだけを伝える送信機となるのではなく,多くの人々の意見や考えもたくさん受け取れる送受信機になって人の輪を広げてほしいと思います。

 これまで作文の学習を続けてくれたみなさん,本当におつかれさまでした。これからのご活躍(かつやく)を期待しております。


掲載日:2016年2月22日
次回の掲載は,2016年3月21日の予定です。

[2016/01/18] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その3-


 みなさん,こんにちは。
 入試本番が近づいてきました。一人ひとりいろいろな気持ちをいだいていると思いますが,何はともあれいまできることを一生懸命(けんめい)取り組んでください。入試がすべて終わるまで勝負は続いています。最後までがんばっていきましょう。
 さて,今回も実入試問題を使って学習を進めていきます。最後の確認(かくにん)だと思って取り組んでください。

■例題
「読書のたのしみとは,ほかでもない,この「どのように」を味わうことにあるのだから。」の「どのように」を分かりやすく説明した上で,自分の読書体験をふまえ,「読書のたのしみ」とはどのようなものか,あなたの考えを三六〇字以上四〇〇字以内で書きなさい。
(平成27年度 東京都立立川国際中等教育学校「適性検査Ⅰ」問題より)
 ※実入試問題はこちらより確認してください。(2016年1月現在リンクされていることを確認済みです)

 須賀敦子(すがあつこ)さんの『塩一トンの読書』の文章を読んでから,自分の考えをまとめていきます。まとめるにあたっては3つの内容を示す必要があります。

 1.「どのように」を分かりやすく説明する
 2.自分の読書体験
 3.「読書のたのしみ」とはどのようなものか

 これらの内容を必ず示さなければいけませんので,段落は3~4つ必要だとわかります。箇条書(かじょうが)きのメモも同じ数だけ必ず書きましょう。

 みなさんのなかには,2の自分の読書体験だけを書こうとしている人がいるかもしれません。しかし,その部分だけをくわしく書きすぎると,自分だけの「読書のたのしみ」だけで文章が終わるおそれがあります。課題作文で求められていることは,その作文を読む人(つまり公立中高一貫校の先生)が納得(なっとく)できるように自分の考えを書くということです。そのことを考えると,2は自分の考えを分かりやすく説明するだけのものだと理解してください。

 3の「読書のたのしみ」がこういうものだと考えた根拠(こんきょ)は,1の「どのように」についての説明となります。ですから,文章の全体的な流れは次のようになります(以下はかなりおおざっぱですが,このように文章全体の流れをイメージしていくことが大切です)。

<第1段落>
 読書のたのしみとなる本の読み方について,文章から▲▲▲▲▲▲だとわかります。これは○○○○○○だと考えられます。
<第2段落>
 私はこれまでたくさんの本を読んできました。・・・・・・でした。このようなことから,私は□□□□□□だとわかりました。
<第3段落>
 文章から読み取れるように,読書は○○○○○○です。読書を通して,私たちは□□□□□□です。このようなことから,読書のたのしみは★★★★★★だと私は考えます。

 記号の部分に内容をあてはめ,表現を整えていけば,問題の解答となる文章を仕上げていくことができるでしょう。となると,みなさんは自分の読書体験のみを考えてはいけませんね。あたえられた文章をしっかり読み,読書のたのしみとなる本の読み方を自分の言葉でまとめなければいけません。

 あたえられた文章から読み取れる読書のたのしみとなる本の読み方とは,自分の経験をなぞりながら,読むための技術をそなえて読み進めていく読み方です。これについては,「カルビーノのいうように,・・・・・・」で始まる段落にこの答えが書かれてあります。そうすると,みなさんが思いうかべなければならない経験とは,同じ本でも1回ではなく何度も読み直すと,内容が変わっているように読めたという経験です。

 たとえば,小学低学年のときに読んだ本でもよいですし,国語の教科書の物語でもかまいません。それらを1~2年後に改めて読んでみると,新しい発見があったという経験が示されれば,内容として十分です。

 最後になりますが,課題作文は何でも自由に書いてよいのではなく,書くべきことが指定されている作文だとこれまでのコラムでくり返しお話ししてきました。そして,書くべきことが指定されているからこそ,それをヒントに書くことを考え,まとめていければ十分だということも伝えてきました。

 問題文で指示されていることに忠実に従うことが,評価を得るための大原則です。みなさんがこの大原則を守れば,きっと合格をつかみとれると断言します。

 みなさんのご健闘(けんとう)をお祈(いの)りしています。


掲載日:2016年1月18日
次回の掲載は,2016年2月15日の予定です。

[2015/12/28] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その2-


 みなさん,こんにちは。今回も前回同様,実入試問題を使いながら学習を進めていきましょう。

■例題
 次に示すのは,さまざまな分野で活やくしている人たちのことばです。これらを参考にして,「過程」と「結果」についてあなたはどのように考えますか。自分の体験をもとにして二百字以内で書きましょう。(「,」や「。」も一字に数えます。段落分けはしなくてよろしい。一マス目から書き始めましょう。)
 勝ち負けにはまちがいなくこだわっているけれど,結果だけを出せばいいのなら,ジャンケンでもいいわけです。その過程でいいものが残せるのが最高だと思っているんです。
【棋士(将棋) 羽生善治】
 「頑張(がんば)った」と胸を張って思える人は,きっと後悔(こうかい)しません。後悔する人は,「もっと練習しておけばよかった」と思う人なのです。だから,結果がどうであれ,今は「自分は人より頑張っている」と思うくらいに動くことです。
【会社経営者 和田裕美】
 自分たちの力不足。それ以上でもそれ以下ではない。結果が全(すべ)てと言われる世界。結果が出ず,主将として責任を感じている。
【サッカー選手 長谷部誠】
(平成27年度 岡山県立津山中学校「適性検査Ⅱ」より)

 この問題は,問われていることを読みまちがえると,大きく減点されるか,場合によっては0点になってしまうような典型的な危険がひそんでいます。でははじめに,書きまちがえそうな内容を列挙してみましょう。おそらく多くの受検生(受験生)が書いたであろうと予想できる内容です。

1.「私は過程が大切だと考えます。」あるいは「私は結果が大切だと考えます。」というように,過程か結果かのいずれかの大切さだけを述べた文章。

2.「私はAのことばに賛成です。」というように,A~Cのことばのいずれかを選び,そのことばの内容と同じような自分の経験を述べた文章。

3.「ことばAは・・・,Bは・・・,Cは・・・」というように,それぞれのことばの説明だけで終わってしまう文章。

 これらはどれも,決定的に問題文の読み取りが正しくできていません。
 1~2の内容については,「どれかを選びなさい」といった条件指示はありません。問われているのは,「これら(ことばA~C)を参考にして,『過程』と『結果』についてあなたはどのように考えますか」なので,「過程」と「結果」について,ことばA~Cから読み取れることをもとにして説明しなければなりません。
 3の内容については,A~Cをそれぞれ説明しただけでは,「内容をまとめた」ことにはなりません。「A~Cをそれぞれ説明しなさい」とは書かれていないわけですから,その区別が必要です。

 では,ことばA~Cはどのようなことを伝えているのでしょうか。
 実は3つのことばを一読すると,「過程」と「結果」のいずれか一方が大切であると述べているように思えますが,実際にはその両方とも大切だと述べていることがわかります。
 まとめてみると,よい結果を出すためには,きちんと手続きをふまえた過程をふまなければならない,あるいはきちんと考えたりがんばったり力をつけたりするという過程をふんでいくことがよい結果につながるから,過程と結果はともに大切であるということです。

 このような内容と自分の経験を結びつけてまとめていけば,200字ぐらいで十分に説明できるはずです。あとは,書き方の条件を守りながら書いていくことが大切です。

 なお,公立中高一貫校入試の作文問題の中には,記述問題を下地にしたようなものもあり,150~200字程度の分量を段落分けをおこなうことなく,もちろん,原稿用紙の使い方にもとづかないで書くように指示される場合があります。

 しかし,どのような書き方であったとしても,論理的に文章を書いていくことに変わりありません。今後も問題文をしっかりと読み,問われていることに対して論理的に文章にまとめられるように訓練を積んでいきましょう。

■作文例
私は,「過程」と「結果」は同じように大切であると考えます。3つのことばからは,前もってしてきたことが結果を左右することがわかります。私が入っているサッカークラブの試合でも,前もって練習したときは,相手チームに勝つことができますが,試合前の練習が不十分なときは,そうなりません。このような場面はたくさんあるでしょう。だからこそ,結果が大事であるように,過程も大切にしていきたいと思います。


掲載日:2015年12月28日
次回の掲載は,2016年1月18日の予定です。

[2015/11/16] 実入試問題を使って問題演習に取り組もう-その1-


 みなさん,こんにちは。
 前回は,読み手(公立中高一貫校の先生たち)によい印象をあたえるための文章の書き方を学習しました。今回からは,実入試問題を使ってどのように高評価を得る文章を書いていくかについて学びましょう。また,これまでに取り上げた内容も必要に応じて復習していきます。

■例題
「私は『わたしは目で話します』という本を読み,コミュニケーションは人と人とをつないでいく橋のようなものだと感じました。これからいろいろな人と関わっていくと思いますが,将来,夢をかなえようとするときにもこのことを思い出して,周りの人に優しく,思いやりを持って接することができる立派な人になりたいと思います。」
 この文章はある中学生が書いた読書感想文の一部をぬき出したものです。このように,あなたが本を読んでえいきょうを受けたり,感動したりしたことについて,その本を読んだあとのあなたの行動や考え方の変化をふくめて400字以上460字以内で書きなさい。また,その作文にふさわしい題名を自由につけなさい。
(平成27年度 高知県立中村中学校「作文」問題より)

 設問文を読んだとき,「単に読書感想文を自由に書けばいいんだな」と思った人がいるかもしれませんが,それでは設問文の読みが足りません。かぎかっこ内の文の一部が読書感想文になっているだけで,本問で求められていることは読書感想文を書くことではありません。

 そもそも公立中高一貫校入試で問われる課題作文は,書くべき内容がすべて指定されており,自由に何でも書いてよいというものではありません。これについては,コラム「[2014/03/24] 公立中高一貫校入試で問われている作文とは」で確かめましょう。

 では,この課題で書くべき内容は何でしょうか。設問文を整理すると,2つあることがわかります。
 ① 読んだ本から受けたえいきょうと感動
 ② 本を読んだあとの行動と考え方の変化

 かぎかっこ内もこれら2つのことが書かれています。つまり,かぎかっこ内に書かれていることは,課題作文を書くにあたってのヒントになっているのです。

 ① 読んだ本から受けたえいきょうと感動
「コミュニケーションは人と人とをつないでいく橋のようなものだと感じました。」
 ② 本を読んだあとの行動と考え方の変化
「周りの人に優しく,思いやりを持って接することができる立派な人になりたいと思います。」

 余談ですが,このような問題が出題されると,「これまで本を読んだことがない」「そのような本を読んだことがない」という人から,「どうしたらよいですか」と質問を受けることがあります。要するに,読書経験がないか,読書の質が低いかということです。

 はっきりいえば,読書経験がない人は,公立中高一貫校が提供する質の高い教育についていけないでしょう。さらに根本的なことをいえば,公立中高一貫校への進学を目指すにあたって,多くの児童は質の高い教育を受けたいと望んでいるわけですが,そのような人が読書嫌いで,本を読まないというのでは筋が通りません。

 また,読書から何も得られないという人は,そもそもどのような読書をしているのでしょうか。理解しながら本が読めているのか,またはどのようなジャンルの本を読んでいるのか。そういった点から見直さなければならないと思います。

 読書には質があります。本問で述べられているように,自分の行動や考え方を変える本との出会いが期待できるのが読書のおもしろさです。いまからでもおそくありませんし,いまだからこそ読んだほうがよい本との出会いがあるかもしれません。本屋さんや図書館(図書室)にぜひ足を運んでみましょう。

 話をもどしましょう。
 今回は制限字数から考えて,全3段落で書くのがよいでしょう。段落分けについては,コラム「[2015/04/20] 段落分けについて考える」で復習してください。はじめにメモ書きをしてみましょう。

(第1段落)書こうとしている本の紹介
(例)「シャーロットのおくりもの」・・・ 種類の異なる動物たちがたがいに協力しあって奇跡(きせき)を起こす友情物語。
(第2段落)読んだ本から受けたえいきょうと感動
(例)奇跡は日常の中にある。一つひとつの約束の積み重ねが奇跡を生み出す。
(第3段落)本を読んだあとの行動と考え方の変化
(例)友だちどうしで交わす約束に対して,責任を感じるようになった。一つひとつの約束を守ることで現実を変えることができるのだと考えるようになった。

 以上のメモと実際の解答用紙をもとにして,書く分量をあらかじめ決めておきましょう。解答用紙に簡単な印をつけておくとよいでしょう(ただし,作文を書き終えたら必ずその印は消しておきましょう)。今回は,第1段落を80~100字(4~5行),第2段落を120~200字(6~10行),第3段落を残りの文字数で書いてみましょう。
 注意点は,第1段落を細かく書きすぎないことです。主要テーマは第2~3段落になるので,第1段落はそこへつながる情報を示す程度で十分です。また,「[2015/10/19] 伝え方次第で文章の印象は大きく変わる」で学習したように,「~しないようにしたい」という書き方をせず,「~していきたい」という書き方で文章を組み立てていきましょう。

 今回は,紙幅の関係上解答例を示しませんが,設問文をしっかりと読み,書くべき内容を整理すれば,問われている内容に沿った文章を制限時間内で書き終えることは十分に可能です。また,問われていることが書けていれば,高得点が期待できるので公立中高一貫校合格を手中に収めることもできるでしょう。今回取り上げた例題を通して,そのことをもう一度確かめておきましょう。


掲載日:2015年11月16日
次回の掲載は,2015年12月21日の予定です。

[2015/10/19] 伝え方次第で文章の印象は大きく変わる


 みなさん,こんにちは。
 前回は,具体的な内容と抽象的(ちゅうしょうてき)な内容を文章の中でどのように組み立てるかについて学習しました。今回は,読み手(今回の場合は公立中高一貫校の先生たち)によい印象をあたえるための文章の書き方について考えていきましょう。同じことを伝えていても,伝え方で印象が大きく変わる場合があります。そのことについて学習を進めましょう。

■例題
 目の前であなたの友だちが赤信号なのに横断歩道をわたっていました。そこで,あなたはその友だちを注意することにしました。どのように伝えますか。

 さて,こういった問題の場合,あなたならばどのような文章を書きますか。

 思わず書いてしまいそうなのは,「あぶないから,赤信号でわたってはだめ。」「赤信号でわたってはいけないよ。」といったことばでしょう。「してはいけないこと」をしたのですから,「してはいけないよ」と伝えるのは大変わかりやすいですね。

 もう一つ考えられるのは,「あぶないから,青信号になったらわたろうね。」「青信号になるまで待とうね。」といったことばです。「こうしてはいけない」から「こうしよう」という表現に変わっているのがわかります。

 この2つの表現は,ともに取るべき行動は結果的には同じです。「赤信号ではわたらず,青信号でわたる」という単純なものです。しかし,ここに大きなちがいがあります。

 公立中高一貫校入試では,自分がこれから取るべき行動を書かせる作文問題がしばしば出題されています。書店で販売されている過去問を取りあつかった問題集を開くと,「私は○○しないように気をつけます」といったように,「こうしない」「こうしてはいけない」という書き方で話題を展開している解答例が多く見受けられます。

 しかし,この書き方はよくありません。なぜなら,これでは結局どのような行動を取るのかを正確に示していないからです。おそらく,実際の入試でも評価が下がってしまうでしょう。具体的に何をするのかを書かなければ,問われている内容に答えたことにはなりません。

 さらに,伝え方によって評価が変わってしまう別の理由は,伝えようとしている人の態度や考え方が文章に表れてしまうからです。すでに,2014年5月1日のコラム「書く内容に気をつけよう-前向きの姿に人はひかれます-」で説明したことですが,文章の読み手は書き手(つまりあなた自身)の積極的で前向きな姿勢(しせい)・態度を文章から読み取ります。たとえ,同じ行動を取るにしても,前向きな姿勢でかつ具体的にどのようにするのかが書かれているほうが文章の読み手は納得(なっとく)できるのです。
 文章の書き方や書く姿勢として,これらのことが反映(はんえい)される文章が書けるようにさらに練習を積み重ねてほしいと思います。

 今回は,文章の読み手の印象を変える書き方と書く姿勢について学習しました。一つのヒントとしてぜひ参考にしてください。


掲載日:2015年10月19日
次回の掲載は,2015年11月16日の予定です。

[2015/09/21] 具体と抽象のちがいを考える-その2-


 みなさんこんにちは。
 前回は「具体」と「抽象(ちゅうしょう)」という言葉の意味を確かめながら,最後に課題作文を書くうえで「具体」と「抽象」の両方を適切に組み立てていかなければならないということを学習しました。
 今回は,どのようにそれらを組み立てていくかを考えていきましょう。

■例題
 友達や学校の先生に対してどのような言葉や態度で接すると,たがいに気持ちよく過ごせるか。あなたの考えを書きなさい。
(注意点)
 1 題名や名前は書かずに,本文から書き始めること。
 2 180字以上300字以内でまとめること。
 3 あなたが経験したこと,または見聞きしたことにもふれること。
(沖縄県立与勝緑が丘中学校 平成27年 実入試問題)

 問題文を読むと,「どのような言葉や態度」と述べられていますから,ここで問われているのは抽象的にまとめられた言葉や態度です。つまり,「ありがとう」「自分から進んでいやなことを引き受ける」といったことではありません。「これを言う」「あれをする」というようなことを自分の考えとして書くのではなく,自分が思いうかべた言葉や態度の特ちょうを説明する内容を自分の考えとして提示することが大切です。

「私は,友達と学校の先生に対していつもありがとうと言えれば,おたがいに気持ちよく過ごせると思います。」

 こんな書き出しで始めてしまう人もいるでしょう。読んでいてもおかしな点を感じないと思いますが,これは「どのような」という質問に答えていません。「何という言葉をかけますか」という問いに対してであれば,「ありがとう」といえばよいのですが,「どのような」という問いに対しては,たとえば「ありがとう」という言葉がどのような性質や特ちょうの言葉であるかを説明するように答えなければなりません。

「私は,友達と学校の先生に対していつも感謝の言葉や姿勢を忘れずに接していくことが,おたがいが気持ちよく過ごすためには大切だと思います。」

 ここで述べられている「感謝」という表現が「ありがとう」という言葉を抽象化したものです。「ありがとう」という言葉がどのようなときに発せられるかを考えればよいですね。

 先だって作文の書き始めを示しましたが,では,この作文をどのように組み立てればよいのでしょうか。
 基本的な組み立て方は,「自分の考えとその理由」→「自分が経験したこと,または見聞きしたこと(注意点の3)」→「まとめ」といったところでしょう。
 この流れに沿って「抽象」と「具体」に分けてみますと,「抽象」→「具体」→「抽象」となります。多くの児童の作文を見ていると,「抽象」→「具体」→「具体」という流れ,あるいは「具体」→「具体」→「具体」という流れになっています。
 具体的なことを書くほうが,自分の身近なことになってわかりやすくなるためでしょう。

 では,①「自分の考えとその理由(抽象)」→②「自分が経験したこと,または見聞きしたこと(具体)」→③「まとめ(抽象)」という組み立てに沿って,簡単(かんたん)にメモを書いてみましょう。

① 感謝の言葉や態度 ... 学校生活の中において,自分のために何かしてもらうのはあたりまえのことではない。自分のために何かをしてくれた相手のことを考える必要がある。
② 委員会活動での経験 ... 委員長の仕事を手伝う。「ありがとう」と声をかけられた。
③ おたがいに協力していかなければならない。おたがいに感謝の気持ちを言葉で表したり,態度で示したりすれば,みんなで協力していこうという気持ちになれる。

 公立中高一貫校入試の本番で,思いつきで作文を書き始めてしまう人がいます。しかし,そういった書き方だと,あとでその作文を修正することが困難になりますから,簡単なメモ書きを書いたうえで書き始めることをおすすめします。
 特に,②を細かくたくさん書きすぎることがないように注意することが大切です。

 では,実際に作文を書いてみましょう。

■作文例
 私は,友達と学校の先生に対していつも感謝の言葉や姿勢を忘れずに接していくことが,おたがいが気持ちよく過ごすためには大切だと思います。学校では多く人の支えが必要ですが,それはあたりまえのことではありません。支えてくれた人に感謝することが大切です。
 私が図書委員を務めていたとき,委員長が本の整理を一人で一生けん命やっていたので手伝ったことがありました。委員長は,私の手伝いに対して「ありがとう」と言葉をかけてくれました。私はまた手伝おうと思いました。
 人の協力に対して,感謝の気持ちを言葉や態度で示せば,それが相手のはげみになります。こういった積み重ねが,学校生活により活気を生み出すきっかけになると私は思います。

 今回は「具体」と「抽象」を文章の中でどのように組み入れていくかについて学習しました。前回と今回の内容をよく見直して,これからの作文に活かしてください。


掲載日:2015年9月21日
次回の掲載は,2015年10月19日の予定です。

[2015/08/17] 具体と抽象のちがいを考える-その1-


 みなさん,こんにちは。前回は自分の経験のあつかい方を学習しました。今回と次回は,課題作文での具体例の取り上げ方を学習していきましょう。

 はじめに,「具体」あるいは「具体的」という意味を確かめておきましょう。この言葉は,説明文や論説文(ろんせつぶん)の中でしばしば用いられる言葉です。
 具体とは,形や内容を備え,人が見たり聞いたり感じたりできるものを言います。少しわかりにくいですね。次の会話文を見てください。

例1・・・レストランにて
店員:ご注文は何になさいますか。
すみれ:野菜

 実におどろく会話で,店員さんが困(こま)る姿(すがた)が目にうかびます。
 では,店員さんはなぜ困るのでしょうか。「すみれさんが野菜と答えたから。」という答えでは50点です。すみれさんは野菜ではなく,肉と答えたならよかったのかという話になってしまいます。そうではありませんね。

 レストランという場で,野菜や肉という言葉だけでは形や内容を備えていないからです。レストランは野菜や肉などを使って,形ある料理を提供(ていきょう)してくれる場です。つまり,すみれさんは店員さんの質問に野菜が加工された料理で答えなかったために,店員さんは困ってしまうのです。レストランでは,一つひとつ完成された料理が形と内容をともなって提供されることから,それを答えなければなりません。

 このように,それぞれの場面において読み手と聞き手がはっきりと形あるものとして頭に思いうかべさせるものを具体といいます。ですからすみれさんは「グリーンサラダ」「野菜スープ」「トマトジュース」「野菜いため」といった料理名を答えることが求められているわけです。

 一方,野菜という返事はどうでしょうか。グリーンサラダも野菜スープも野菜を食べることには変わりありません。しかし,野菜はそれらの料理に使われている原材料であるという共通点にすぎません。ですから,それらの共通点を取り出されても店員さんは困ってしまうのです。

 このように,いくつかの形や内容のある物事の共通点や性質,本質を取り出してひとまとめになっているものを「抽象(ちゅうしょう)」といいます。では,次の会話文を見てください。

例2・・・昼食の準備前に
母:今日はむし暑いわね。すみれは今日どんなものが食べたい?
すみれ:そうね。むし暑いからサラダとか冷やし中華とかさしみみたいなものが食べたいな。
母:つまり,どんなもの?

 みなさんもこんな会話をお母さんとしたことがあるかもしれません。
 すみれさんは,はっきり食べたいものをお母さんに伝えています。言いかえれば,すみれさんは形ある料理を伝えることで,具体的にお母さんに食べたいものを伝えています。
 ところが,お母さんは聞き直しています。なぜでしょうか。

 お母さんが知りたいことはすみれさんが食べたいものがもつ特ちょうです。それは,お母さんが「何が食べたい」ではなく「どんなものが食べたい」と聞いていることから明らかです。「むし暑い」という天候条件からどのような特ちょうを備えたものを食べたいかということをすみれさんに聞いているのです。ということは,すみれさんはサラダ,冷やし中華,さしみの持つ「冷たくて,のどごしがいい」という特ちょうを伝えてあげれば,お母さんはその特ちょうの範囲(はんい)の中で何を用意するかを考えることができるようになります。

 こうしてみていると,具体的な物事を思いつくままに挙げられても読み手や聞き手にはわかりにくく,それらのものを抽象的に表さないとわからないことがあるということがわかります。

 以上のことを公立中高一貫校入試にあてはめて考えてみると,結局のところ,「具体」と「抽象」の両方を適切に組み立てていかなければならないということがわかるでしょう。形や内容がない抽象的なことばかりが述べられても,形や内容がある具体的なことばかりが述べられても,読み手には書き手の伝えたいことがはっきりとわかりません。

 今回は「具体」と「抽象」という言葉を中心に学習しました。次回は実際に文章でそれらをどのように取り入れていけばよいのかという点について,前回の「自分の経験」についての書き方を参考にしながら学習していきます。


掲載日:2015年8月17日
次回の掲載は,2015年9月21日の予定です。

[2015/07/20] 自分の経験だけを書いたのでは何もならない


 みなさんこんにちは。前回は,修飾語(しゅうしょくご)を使うときの二大ポイントを学習しました。今回は,公立中高一貫校入試の課題作文問題でしばしば問われる「自分の経験をあげながら」という条件について学習していきましょう。

■例題
 日本には四季があり,日本人は食事や行事など生活の様々な場面で季節を感じながら暮(く)らしてきました。もしあなたが海外から来た留学生に日本の季節のよさを伝えるとしたら,どのように説明しますか。四季のうち一つを取り上げてそのよさを説明する文章を考え,次の条件にしたがって二百字以内で書きなさい。
 条件 作文には次の内容をふくめること。
 ・取り上げた季節のよさを感じたことがらや体験。
 ・そのことがらや体験を通して思ったり考えたりしたこと。
(岡山県立岡山操山中学校 平成27年度適性検査Ⅱより)

■作文例1
 私は,海外からの留学生に日本の春のすばらしさを伝えたいと思います。なぜなら,私は春になると家族で花見に行くからです。今年の春も私は家族で花見をしました。満開の桜の木の下での食事や家族との団らんはとても楽しかったです。
 今年の晴れた日の花見でした。風にのってひらひらと落ちてくる花びらは風情があります。このような経験から春は四季の中で最も美しい季節であると思います。海外からの留学生にも春を楽しんでもらいたいです。

 多くの児童が書いてしまいそうなのが作文例1です。「自分の経験を書きなさい」といった条件があると,その経験を自分の考えの根拠(こんきょ)にしてしまいがちです。作文例1では,「なぜなら,私は春になると家族で花見に行くからです。」という一文がこれにあたります。家族で花見に行くから春のすばらしさを伝えたいというのはおかしな話ですね。自分が行く花見が楽しいから春がよいと考えるのでしょうか。

 自分の経験を書けという条件は,それを根拠として考えをまとめなさいという意味ではありません。自分の経験は具体例として使うものです。具体例とは,自分の考えをわかりやすく伝えるための説明の道具です。考えの根拠となるものは多くの人にわかってもらえる事実です。自分の経験は自分だけのものなので,多くの人にわかってもらえるとは限りません。そのような点に気をつけながら作文例1を手直ししてみると,作文例2のようになります。

■作文例2
 私は海外からの留学生に日本の春のすばらしさを伝えたいと思います。春になると,桜の花が満開になり,多くの人々が花見を楽しみます。毎年春になると,私の家族も花見をします。
 きれいな桜の花が風にのってひらひら落ちる風景はとてもすてきです。桃色にそまる桜の木と風にまう花びらは春にしか見ることができない美しい風景で,世界の人々にもその美しさを楽しんでもらえると考えられます。ですから,私は春のよさを伝えたいと思います。

 作文例1と作文例2のちがいは,自分の経験について書かれている部分の分量です。作文例1では自分の経験を根拠とするため,どうしてもそれをくわしく説明しようと多くのことを書いてしまいがちです。しかし,書かなければならないことは日本の季節のよさのところです。自分が取り上げた季節のよさをしっかり説明する必要があるわけです。それが多くの人にわかってもらえる事実であり,その部分が分量として多くなるはずです。作文例2では,「花見」の部分は春の美しさを楽しむ行事の具体的な例にすぎません。その行事を通して何が感じられ,わかり,考えられるのかが書かれています。多くの児童の作文は,この部分がほとんど書かれていません。こういった内容が書かれてあるかどうかが評価の差になると言えるでしょう。

 今回は,作文の中での自分の経験の扱(あつか)い方について学習しました。自分の経験を示した後にはそこからわかる,考えられることを書かなければならないということです。そのことを心にとどめて作文の学習を進めていきましょう。


掲載日:2015年7月20日
次回の掲載は,2015年8月17日の予定です。

[2015/06/15] 修飾語を使うときの二大ポイントをおさえる


 みなさん,こんにちは。前回は一文の書き方・作り方を学習しました。今回は修飾語(しゅうしょくご)の学習をしていきましょう。

 修飾語とは,ある言葉の意味をくわしくしたり限定したりする言葉です。

■例1
① きれいな 花
② はやく 走る
③ とても 大きな 木

① 「きれいな」という言葉が「花」という言葉の修飾語となり,どのような花であるかを説明しています。
② 「はやく」という言葉が「走る」という言葉の修飾語となり,どのように走るのかを説明しています。
③ 修飾語が2つあります。1つは「とても」という言葉が「大きな」という言葉となり,大きさの程度を説明しています。もう1つは「大きな」という言葉が「木」という言葉の修飾語となり,どのような木であるのかを説明しています。

 みなさんも日ごろから修飾語を使って会話をしていることでしょう。ところが,作文となると使い方が難(むずか)しい場合があるのです。

■例2
 私(わたし)はすぐに私の家族や友人に自分が先日受けた試験に合格したことを伝えました。

 この例文そのものにおかしなところはありません。意味は十分に伝わります。
 しかし,注目してほしいのは「すぐに」という言葉です。この言葉は「伝えました」という言葉の修飾語ですが,「伝えました」という言葉からはなれた場所に置かれています。

 みなさんは文章を書いているときは思いついた順に言葉を書いていきませんか。それが,このような形で表されるのです。修飾語は説明される言葉-これを被修飾語(ひしゅうしょくご)といいます-の近く手前に置くようにすることが大切です。例2の場合は,「私は私の家族や友人に自分が先日受けた試験に合格したことをすぐに伝えました。」と書けばよいでしょう。

■例3
 ももこさんはピンクのかわいい渋谷(しぶや)で買ったドレスを発表会で着ました。

 一読すれば,明らかに変だとわかりますね。では,この文をどのように直したらよいでしょうか。この文では「ドレス」という言葉についての修飾語は「かわいい」「ピンクの」「渋谷で買った」の3つです。これらの修飾語の順序を変えればよいでしょう。長い修飾語を先に,短い修飾語を後に持ってくるようにします。よって,例3は「ももこさんは渋谷で買ったピンクのかわいいドレスを発表会で着ました。」と直します。

■例4
 大きな「失敗」からスタートした私たちの合唱練習はこれまでの練習とちがうのは,「団結」を大きなスローガンにかかげているところです。

 「表現力がある」という言葉をしばしば耳にしますが,それは修飾語をたくさん使う力のことではありません。修飾語が多すぎる文は,修飾語のほうに読み手の注意が向いてしまうため,伝えたい内容がはっきりと伝わらなくなってしまうおそれがあります。
 例4は,結局のところ何を伝えたいのでしょうか。
 失敗をきっかけに私たちは合唱練習で団結するようになったということを伝えたいのです。はっきり言えば,課題作文では余分な言葉や修飾語はいりません。それは表現力の根拠(こんきょ)にはなりません。課題作文でいうところの表現力とは適切な言葉を用いてはっきりと内容を伝えられる力のことです。必要な言葉を正しく組み立てて文を作れるようにする力をきちんと身につけていきましょう。

 なお,例4に「失敗」という書き方があります。ここで使われている「 」は,書いている人にしてみると,強く伝えたいとする考えにもとづいて示されているのでしょう。多くの作文に「 」がつけられた言葉が多く見られますが,特別な意味(普通(ふつう)の意味とはちがう意味)がないのであれば,「 」をつける必要はありません。

 今日の学習のポイントです。
 ポイント1 修飾語の語順に注意しましょう。
 ポイント2 修飾語を使いすぎないようにしましょう。


 今回の学習は,答案としての作文の書き方の重要なポイントになるので,ぜひ心にとどめておいてください。


掲載日:2015年6月15日
次回の掲載は,2015年7月20日の予定です。

[2015/05/18] 一文の書き方・作り方を身につける


 みなさん,こんにちは。前回は段落(だんらく)分けを学習しました。今回は段落のなかの文(一文)について学習していきましょう。

 はじめに①から⑥の各文を順番どおりにみていきましょう。

① スミレさんは昨日,映画館(えいがかん)へ行った。
② スミレさんは,ボランティア部のアヤメさんとカフェへ行った。
③ スミレさんは,アヤメさんといっしょにコーヒーを飲んだ。
④ アヤメさんは今話題になっている「むぎっ子伝説」という本をかしてくれた。
⑤ 「むぎっ子伝説」は来年の春に映画で上映される
⑥ スミレさんは昨日,映画館へ行って,ボランティア部のアヤメさんとカフェへ行って,いっしょにコーヒーを飲んで,今話題になっている「むぎっ子伝説」という本をかしてくれて,来年の春に映画で上映される。


 ⑥は,①から⑤の文を一文にまとめたものだということはわかるのですが,おかしな文になってしまっていることに気がつきますか。⑥の文のおかしなところはどこでしょうか。そして,なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

 ①から⑤の文をそれぞれみてみますと,各文には主語(「~は・が」の部分)がはっきり示されています。そして,それぞれの主語について,「どうした」「何だ」「どうだ・どんなだ」といった述語が示されています。つまり,①から③の主語は「スミレさん」,④の主語は「アヤメさん」,⑤の主語は「『むぎっ子伝説』」ということがわかり,それぞれの文にそれぞれの主語に応じた述語があたえられています。

 ところが,⑥の文は,主語は「スミレさん」しか示されていません。「かしてくれた」,「上映される」にあたる主語がなくなっているのです。ですから,最後の「上映される」の主語が文のはじめの「スミレさん」のままで,「スミレさんは~上映される。」という不自然な文になってしまったわけです。

 なぜこのようなことが起こるのでしょうか。前回の学習とかかわることですが,文章を書くときに,思いつくまま書き進んでしまっているからです。思いつくまま書くのでも,短く切られていればまだ意味が通じる文になります。しかし,思いついたことを無理に一文で書き進めると,このように文の主語と述語がねじれてしまうのです。極端(きょくたん)なものになると,この一文のまま一つの段落になってしまっている作文もあるので,注意しなければなりません。

 では,①から⑤をどのようにつなげていけばよいのでしょうか。例を示してみましょう。

■例
 スミレさんは昨日,映画館へ行った。そして,その後ボランティア部のアヤメさんとカフェへ行って,いっしょにコーヒーを飲んだ。そこで,アヤメさんは今話題になっている「むぎっ子伝説」という本をかしてくれた。それは来年の春に映画で上映される。

※ポイント1 つなぎ言葉(接続語)を使う
 会話では動作をいくつか並(なら)べるときに「~して」をいくつもつなげる場合があります。これは会話だからなんとか成り立つのであって,文章でそれをすると,読み手に負担(ふたん)をあたえます。文を短くして,適切なつなぎ言葉を補(おぎな)いながら続きの内容を書いていきましょう。

※ポイント2 指示語を使う
 同じものや人をくり返し書いていくと文がくどくなります。適切な指示語を使い,同じことばの反復をできる限り減らすように努めましょう。文を簡潔(かんけつ)にするために,ことばがむやみに省略されている文章がありますが,これはさけるようにしましょう。文を簡潔にする方法はことばを省く以外にもあります。その一つの手段(しゅだん)が指示語を使うことなのです。

※ポイント3 一文はなるべく短く書くことを心がける
 修飾語(しゅうしょくご)を加えることによって文が長くなることは仕方がないことでしょう。しかし,述語が複数重なって,文章が長くなるのはさける必要があります。
 一文が主語と述語の組み合わせ一組で書かれるとよいでしょう。述語がいくつも続きそうになった場合には,一度見直して,切れるところを見つけましょう。

 今回の学習は,作文を書くということだけではなく,文章の要約やまとめを書くときにも役立ちます。多くの学校では文章があたえられ,その内容をまとめなければならない問題が出題されます。そのときに,ポイント1~3が活用できると,読みやすい文章に仕上げることができます。国語や社会の教科書に載(の)っている文章を使ってまとめる練習をしてみるのがよいでしょう。何よりも実際に文章を書きながら練習をしていくことが大切ですよ。


掲載日:2015年5月18日
次回の掲載は,2015年6月15日の予定です。

[2015/04/20] 段落分けについて考える


 みなさん,こんにちは。
 前回は会話文の内容を整理して,「 」を使わずに書く学習をしました。今回は段落分けについて学習していきましょう。

 さて,みなさんは日常会話の中で「段落」について考えたことがありますか。たとえば,学校で休み時間に友だちとおしゃべりをするとしましょう。およそ10分間の休み時間が一般的でしょうか。そのとき,みなさんは同じ内容のことをずっとくり返し話しているでしょうか。おそらくちがいますよね。最初の話題から急に別の話題になったり,話題が大きくふくらんでいったりと,会話というものはしらずしらずのうちに変化していきます。もし,会話を録音して文字に書き起こしてみると,形式段落(行を変えて,一マスあけて書く段落)がいくつもできているはずです。しかし,会話では形式段落を気にしなくても話を進めていくことができます。実はそこに落とし穴があるのです。

 みなさんが文章を書くとき,だれかに話をするように書いていませんか。頭に思いうかんだことをそのまま文字や言葉にしたり,文章にしたりしていませんか。文章を書くことが会話という動作と似たものになってしまうと,段落に注意を向けることができなくなり,文章全体でバランスを欠いてしまいます。

 では,「読書」について書かれた2つの文章を読んでみましょう。

■例文「読書」についての文章
文章A
20150420_1.png

文章B
20150420_2.png

 文章AもBも同じ内容,しかもほぼ同じ字数です。しかし,Aの文章は,第2段落が他の段落に比べて長いのが特徴(とくちょう)です。さらに第2段落を見ると,とてもくわしく事情が説明されているのもわかります。いや,というよりも,事情をくわしく説明しようとするあまりに長くなってしまったともいえるでしょう。

 文章を書いているとき,しばしば勝手に手が動くように文字や言葉が出てくることがあります。自分がよくわかることは,くわしく書こうとするためです。その結果,第2段落の分量が多くなり,書いてほしいまとめが短くなってしまいます。文章Bには,第2段落の内容が整理され,必要な内容だけが書かれています。ですから,まとめの段落で考えを説明するだけのゆとりがあるのです。

 では,文章Aのような文章から文章Bのような文章が書けるようになるためのちょっとしたポイントをまとめてみましょう。

■ポイント1 文章を書く前に段落の数を決めて,箇条(かじょう)書きのメモを書いておく
 これは練習段階での話です。実際の公立中高一貫校入試では,メモ書きを残す余裕(よゆう)があるかどうかわかりませんが,まずは練習の段階で,いくつの段落で文章を書き進めるかを考えておきましょう。つまり,先に段落分けをしておくのです。適性検査問題(作文問題)で書ける内容・分量から考えれば,段落分けはせいぜい3~4つです(ただし,入試問題に段落数の指示がある場合はその指示にしたがいましょう)。そして,文章の原則として,1つの段落には1つの内容しか書いてはいけません。となると,箇条書きで書くメモもせいぜい3~4つになるはずです。文章全体の組み立ては書き始める前にしっかりしておきましょうということです。入試本番で箇条書きにする時間がなくても,内容を成り立たせる段落のキーワードだけでもメモすることをおすすめします。

■ポイント2 あらかじめ段落ごとの分量を決めておく
 例文の文章Aでは第2段落が長くなりすぎてしまいました。原因は思いついたことを思いつくままに書いてしまったためと述べました。そのことを制限するために,あらかじめ段落ごとの「行き止まり」を決めておくことをおすすめしています。文字数ではなく,解答用紙の行数で決めてしまうのです。
 たとえば,全体で30行ある解答用紙に合計4段落構成の作文を書く場合,4等分すれば各段落6~8行ですから,それを目安に解答用紙にうすく小さな印(しるし)をしておくのもよいでしょう。そのしるしでおさまるように段落ごとの文章を書いていくようにすれば,思いつくままに書くことはないはずです。段落ごとに書く内容を選び,内容をまとめるようになります。ただし,小さな印は文章を書き終えたら消しておきましょう。


 いま述べた2つのポイントから,段落分けは文章を書く前にしておくべき作業であることがわかるでしょう。日常会話とはことなり,作文は書く準備をすることができます。その準備を心がけていればバランスのとれた文章が書けるようになります。

 今回は,作文を書く準備の段階で段落分けをしておくということについて学習しました。読む人にわかりやすい文章を書くコツでもあります。作文を書く前の準備を心がけてみてください。


掲載日:2015年4月20日
次回の掲載は,2015年5月18日の予定です。

[2015/03/16] 会話文の内容を整理し,「 」を使わずに書く


 こんにちは。
 4月からの新学年をむかえるにあたり,新しい学習に期待がふくらんでいることと思います。このコラムも今月から新学年向けにスタートです。いっしょにがんばっていきましょう。

 さて,今回は「むぎっ子作文添削」でみなさんの作文をたくさん読んでいる経験から,多くの児童に見られる共通したまちがいを述べていきたいと思います。

 まずは,次の例文1を読んでみましょう。

■例文1
 私は友だちのさくらさんとけんかをして落ちこんでいるとき,先生が私をなぐさめながら,
「まずはさくらさんとしっかり話し合いをしないといけないよ。」
と,教えてくれました。

 よく見かける文ですし,よく書いてしまいがちな文でもあります。どこにもまちがいはありません。しかし,ここで注意してもらいたいのは,「 」を使った文を書いてしまうと,文字数を大幅(おおはば)に消費してしまうということです。ところが,公立中高一貫校が出題する課題作文問題は例外なく文字数が指定されています。会話文を書くことで空いてしまうマスも一文字分として数えられてしまいます。そこで,みなさんには,地の文の一部として会話の内容を書くという表現方法を身につけてほしいと思います。

 公立中高一貫校入試において大切なことは,自分が問題に沿(そ)って考えたことを,筋道(すじみち)を立ててていねいに説明するということです。小説あるいは自由作文を書くわけではありません。つまり,話したことをそのまま書く必要はまったくありません。むしろ,話した内容をまとめて書くべきです。そこで,例文2を読んでみましょう。

■例文2
 私は友だちのさくらさんとけんかをして落ちこんでいるとき,先生が私をなぐさめながら,さくらさんと話し合いをするべきだと教えてくれました。

 会話の内容を「 」を使わずに書くだけでも,十分にそのときの様子が伝わってきます。次の例文3はどうでしょうか。

■例文3
 私は小学2年生のときから水泳教室に通っています。ところが,最近は練習してもなかなか成果が出ません。練習中に集中力ややる気をなくしてだらだら練習をしていたとき,コーチが,
「今は成果がなかなか出なくて気持ちも不安定だろうけれど,練習をしっかり続けていけば必ず成果はついてくるぞ。」
と,はげましてくれました。

 公立中高一貫校入試では,自分の経験をふまえた具体例を書くことが必須(ひっす)です。しかし,だからといって,例文3のような自分の経験の中に会話文を入れて書くと,会話文だけで多くの文字数を消費し,自分の考えをはっきりていねいに書くことができなくなってしまいます。では,どのように書き直せばよいでしょうか。

■例文4
 私は小学2年生のときから水泳教室に通っています。ところが,最近は練習してもなかなか成果が出ません。練習中に集中力ややる気をなくしてだらだら練習をしていたとき,コーチが,私の気持ちを理解してくれたうえで,練習を続けるようにはげましてくれました。

 例文3で述べられているのは,コーチがはげましてくれたということです。それがどのようにはげましてくれたのかがわかれば,会話の内容がすべて書かれてある必要はありません。

 このような書き方の練習は,みなさんが持っている国語の教科書の物語文で練習できます。「 」のある箇所(かしょ)を見つけて,その内容を自分の言葉で置きかえてみましょう。

 今回は,会話文の内容を整理し,「 」を使わずに書く方法を学習しました。公立中高一貫校入試ではとても大切な方法の一つです。ぜひ,身につけておいてください。


掲載日:2015年3月16日
次回の掲載は,2015年4月20日の予定です。