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めがね先生

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めがね先生

「国語は読むことだけでなく,書くことも同時に大切!」という考えから,国語の勉強でちょっと行きづまったら作文を書くことをすすめています。自分が伝えたいことを正確に伝られるようになると,国語の力はもっと成長します。いっしょにがんばりましょう。
小春学院塾長 めがね先生
ホームページ http://www.koharugakuin.info

[2017/02/28] 進級ごとに「作文」のステージが上がります


 みなさん,こんにちは。
 本コラムではこれまで,公立中高一貫校入試で出題される課題作文のいろいろな学習してきました。しかし,これで終わりではありません。これからも作文の機会が多くあります。

 みなさんはこれから,中学,高校,大学,社会人とステージを上げていき,同時に,作文のステージも上がっていきます。

 ここでいう「作文のステージが上がる」とは,文字数が増えるとか,難しいことを書くとかという単純なことではありません。これまで課題作文で大切なこととして,「自分の考えを明確にするために,だれもがわかる客観的な根拠を示しましょう」ということをたびたびお伝えしてきました。つまり,みなさんが書く文章の客観性を高めるということです。言いかえれば,みなさんが書く文章は自分のことだけを書くのではなく,多くの人々にとってあてはまることを書くということが今後さらに求められていくわけです。

 ただし,だからといって「自分の考えを持たない」ということではありません。自分の考えはしっかりと持たなければいけません。しかし,その考えがどこからくるのかを冷静に探さなければならないのです。

 たとえば,「私はこんなことをしたことがある」,または「私はこうだった」ということだけで,人にうったえる考えを組み立ててはいけません。その根拠を他の人が知っている知識などから組み立てていきましょうということなのです。

 そのためには,これからさまざまな知識を習得しなければなりませんし,それらのことからさまざまなことを考えていかなければなりません。一つ上のステージに上がった作文というのは,これからみなさんが学習する内容に根差して組み立てられた作文ということなのです。

 自分が学習を通して得た知識は,持っているだけでは何も機能しません。その知識に冷静に向き合い,多角的に組み立てていくことで知識が機能し始めます。これまで学習してきた課題作文の書き方というのは,みなさんが持つ知識に冷静に向き合って,自分の考えを組み立てていく訓練の一つだったといえます。

 学年が進むにつれて学習内容がより深くなってきます。その分,みなさんに求められる文章もより深いものとなります。これまでの学習がそのヒントになると確信しています。ぜひ,これからもがんばって学習にはげみ,より深い文章が書けるようになってください。


掲載日:2017年2月28日
次回の掲載は,2017年3月20日の予定です。

[2017/01/23] 試験本番での作業手順を確かめておきましょう


 みなさん,こんにちは。
 いよいよ公立中高一貫校入試が近づいてきました。体調管理はできていますか。体調が悪いと思うように実力が発揮(はっき)できませんから,十分注意してください。

 今回は,これから入試本番をむかえる人に向けて,作文の作業手順を確かめておきましょう。なお,時間配分に関する質問が多いので,そのことをふまえつつ話を進めていきます。

1 問題文をよく読む
 公立中高一貫校によって出題形式はさまざまですが,まずはあたえられた文章や資料,問題文をていねいに読み,何を答えればよいのか,どのように書けばよいのかを考えましょう。

2 書く内容をメモ書きする
 1が終わって「さあ書くぞ」と考えてはいけません。書き始める前に,準備をしましょう。
 テスト後に見直しをする習慣が身についている人が多いと思いますが,少なくとも作文に関しては,書き終えたあとに見直しをする時間はほとんどありません。一発勝負の作業だと考えましょう。試験終了間近になって「こう書けばよかった」と思うことがあっても,程度にもよりますが,書き直しはほぼできないと思ってください。だからこそ,あらかじめ準備が必要になるのです。
 しかし,だからといって下書きをするための原稿用紙もありませんし,そもそもそんな時間もありません。おそらく,できる準備というのは,メモを取ることぐらいです。このメモが内容の骨組みになっていれば,十分に機能します。か条書きでも構いません。場合によっては単語でもよいのです。大切なことをメモにまとめながら,これから書こうとしていることを整理しましょう。「これについて書く」「この順番で書く」といったことがわかればよいのです。そのためのメモを書きましょう。

3 書いたメモの筋道(すじみち)を確かめる
 書いたメモを読み直し,筋道が通っているかどうかを確かめましょう。確かめるべきポイントは,原因・理由・根拠(こんきょ)と結果の関係,具体例を挙げる場所,最初から最後まで同じ内容がつらぬかれているかどうか,などです。

4 各段落の分量を決める
 人は,いったん文章を書き始めると,書いている分量が分からなくなってしまうものです。よくあるのは,自分が書きやすい体験話ばかりでマス目がうめつくされてしまう作文です。これでは,そのあとのまとめにうまくつながりません。ですから,段落ごとにあらかじめどのくらい書くかを解答用紙に小さく印をつけておきましょう。メモにまとめた内容をその分量で書くと決めれば,「書きすぎ」を防ぐことができます。

5 ていねいな字で書きましょう
 くり返しになりますが,書き終えた後での見直しや書き直しはほぼできません。まちがえは,そのままにするしかない場合がほとんどだと思ってください。だからこそ,あわてずに,落ち着いて,ていねいに書いていきましょう。雑に書いて,採点する先生方が読めないようでは困(こま)ります。きれいかどうかではなく,ていねいに書くようにしましょう。

 今回は入試本番での手順を確認(かくにん)しました。何事も事前準備が大切です。最後の確認をおこなってください。
 では,みなさんからの吉報を楽しみにしています。


掲載日:2017年1月23日
次回の掲載は,2017年2月13日の予定です。

[2016/12/19] 文章の印象を変えるテクニック~その2~


 みなさん,こんにちは。
 今回も前回に引き続いて文章の印象を変えるテクニックをご紹介します。前回のまとめで,「読み手に『そうなんだ』という評価から『なるほどね』という評価に変える」という点を述べましたが,今回もそれに関するテクニックです。

例題
 日本に住む小学6年生のすみれさんには,外国に住む同い年の友人,エミリーさんがいます。そのエミリーさんがすみれさんにあてた手紙の中に,「日本の季節の中で,あなたが一番美しいと思う季節はいつですか。」という質問がありました。そこで,あなたが一番美しいと思う日本の季節について,外国の人に説明する文章を書きなさい。

解答例
 私は,日本の季節の中で春が一番美しいと思います。
 春になると日本中で桜がさき,花見ができます。今年の春,私は近所の公園で家族といっしょに花見を楽しみました。お弁当を用意して,桜の下で食べました。きれいな桜の花を見ながらの食事はとてもおいしかったです。
 美しい桜が満開にさいて,花見を楽しめる春の風景が私は一番美しいと思います。

 解答例のような作文は,多くの児童が書いてしまいそうな内容です。もちろん,このままでも伝えたい内容は読み手に伝わりますが,「そうなんだ」としか感じてもらえません。それはなぜでしょうか。そして,なぜこのような文章を書いてしまうのでしょうか。

 ここでぜひ,この解答例の主語に着目してください。この文章のほとんどの主語は「私」になっています。ということは,この文章は「私」のことを書いているわけです。

 では,みなさんのクラス内での話し合いを思い出してください。仮に,話し合いの中で,意見を述べる人が全員「私は~」と,自分だけの話になっていたらどうなるでしょうか。そして,その話の聞き手はどんな気持ちになるでしょうか。

 もちろん「この人は~なんだね」とわかってもらえるとは思いますが,それぞれの話を「そうなんだ」としか受け取れません。つまり,聞き手にまで話の内容が広がっていかないのです。
 では,なぜこのような「私」を主語とした文章を多くの人が書いてしまうのでしょうか。これは,問題文中に原因があります。

 問題文では「あなたが一番美しいと思う日本の季節について」と「あなた」だけのことを書くかのように指示されています。「あなたは~か」という問いかけに,ふつうは「私は~です」と答えます。これがこのような文章を書いてしまう理由です。

 ここで,問われていることに答えているのだから問題ないと思う人は,公立中高一貫校入試の本質を忘れています。公立中高一貫校入試では,読み手(=公立中高一貫校の先生)が受験生(受検生)が書いた文章をどのように筋道を立てて書いているのかを評価するものです。つまり,「私は~」という主語だけの文章では,評価のしようがなくなってしまいます。「そうなんだ」ということしか言えない評価になってしまうのです。

 そこで,今回のテクニックの登場です。主語を「私たち」として書いてみましょう。

手直しの例
 私は,日本の季節の中で春が一番美しいと思います。
 春になると日本中で桜がさき,花見ができます。毎年春,私たち日本人は近所の公園で花見を楽しみます。お弁当を用意して,桜の下で景色も楽しみます。きれいな桜の花を見ながらの食事はとてもおいしいものです
 美しい桜が満開にさいて,みんなが花見を楽しめる春の風景が私は一番美しいと思います。

 下線の部分が手直ししたところです。「私たち日本人は」,「みんなが」という主語によって,自分だけではなく,話題を読み手にまで広げています。そして,「毎年」「楽しみます」「景色も楽しみます」「おいしいものです」というように過去の話とせず,「現在の」あるいは「いつもの話」として書くことで,みんなが知っている事実として伝えることができるので,自分の考えを支える根拠にもなります。

 今回のポイントは自分だけのことで話題を終わらせず,読み手をふくめて自分たち全員について言えることにして文章を方向づけようということです。これにより「なるほど」とわかってもらえて,高得点につながります。ぜひ,試してみてください。


掲載日:2016年12月19日
次回の掲載は,2017年1月16日の予定です。

[2016/11/28] 文章の印象を変えるテクニック~その1~


 みなさん,こんにちは。公立中高一貫校入試が近づいてきましたね。そこで今回は,みなさんの文章の印象をより強くするちょっとした工夫やテクニックをご紹介します。ほんの少し言葉を変えるだけで,文章の印象は大きく変わります。では,例文で確かめてみましょう。

例文
 先週の土曜日,学校で運動会がありました。私たちのクラスは赤組で,みんながそれぞれ①がんばりました。対する白組も,みんな②いっしょにがんばっていました。得点は③最後の方まで同じぐらいでしたが,最終競技のリレーで赤組が勝ったことによって,最終的に赤組の勝利で終わりました。今年の運動会は④とても楽しかったです

 例文をこのまま提出しても文章で伝えたい内容は読み手に伝わります。しかし,このままだと,「へー,そうなんだ」という印象で終わってしまいます。ポイントになるのは,下線を引いた言葉です。ここをちょっと変えるだけで,印象は大きく変わります。

①「がんばりました」,②「いっしょにがんばっていました」
 日ごろから「がんばる」という言葉はよく使われますが,この言葉には大きな落とし穴があります。それは,具体性に欠けるという点です。要するに,「がんばる」とは言っても何をしたのかが具体的に表されていないのです。ここで,場面に応じて別の動詞に変えてみるとどうなるでしょう。たとえば,①は「力をつくして参加しました」,②は「協力し合いながら競技に取り組みました」と書いてみてはいかがでしょうか。

③「最後の方まで同じぐらいでした」
 ここでは,その内容をずばり言い当てる言葉を使ってみましょう。「たがいに一歩もゆずらず」「せり合う」「ならぶ」「五分五分である」などが適しています。

④「とても楽しかった」
 楽しいという感情を表す言葉は,その楽しさの程度が伝わる言い回しを使ってみましょう。「胸が熱くなる」「興奮する」「わくわくする」「熱気にあふれる」などをふさわしいでしょう。

 読み手に強い印象を残す文章を書くために必要なことは,はっきりとした形や内容を持たせるということです。要するに,具体的にその内容を伝えることにより,読み手に「そうなんだ」という評価から「なるほどね」という評価に変えることができます。つまり,高得点につながるというわけです。お試しあれ。


掲載日:2016年11月28日
次回の掲載は,2016年12月19日の予定です。

[2016/10/20] 過去問は「ただ解いた」では意味がない


 みなさん,こんにちは。10月下旬(げじゅん)になり,入試本番が近づいてきました。少しずつ気持ちが入試モードに切りかわっているのではないでしょうか。

 さて,今回は,入試本番に向けてみなさんが必ず取り組む過去問(特に作文問題)を取り上げます。

 まずはじめに,過去問に取り組む理由を考えてみましょう。おもに2つの答えが出るはずです。

 1つ目は,どのような問題が,どのくらいの分量で出題されるかを事前に知っておくためです。出題内容やテーマはそのときどきで変わりますが,出題形式や問題の分量が大きく変わることはあまりありません。したがって,それらを事前に知っておくことで,入試本番での時間の使い方や進め方などの方針(ほうしん)を立てることができます。

 2つ目は,入試本番での瞬発力(しゅんぱつりょく)をきたえるためです。瞬発力とは,「瞬間的に出る強い力」のことですね。みなさんは,入試本番で初めて見る問題に対して,制限時間内でそれを解き終えなければなりません。ここで求められるのが集中力と瞬発力です。過去問に取り組むことで,この瞬発力が養われていきます。ちなみに,集中力は日々の学習の中でつちかっていくものです。要するに,初めて見る問題への対応力が入試本番では必要だということです。
 したがって,過去問に取り組むときは,決められている制限時間を守るのはもちろんのこと,入試本番と同じ緊張感(きんちょうかん)が持てるように環境(かんきょう)を整えておくことが大切です。

 次に,過去問(特に作文問題)の取り組み方について考えていきましょう。

 まず1つ目は,時間配分を決めましょう。公立中高一貫校入試では,各校で出題形式がちがいます。そこで,どのような問題にどのくらいの時間を使えばよいのかを考えることが大切です。そういった方針を立てずに解き始めると,高い確率で「時間切れ」になります。

 2つ目は,過去問を通して文章の質を高めておきましょう。自分が書いた文章を読んでくれる第三者がいれば,その人に添削(てんさく)をしてもらいましょう。もし,そういう人がいない場合は,解答例と比べてみましょう。自分の文章で足りないものが見つかり,それを自分の文章に反映させるだけでも十分な効果があります。

 満点をねらおうと考える必要はありません。そもそも作文問題に満点はほぼ考えられません。ただ,減点されにくい作文を目指してください。そうした意識が,文章の質を高める一歩になるでしょう。

 みなさんに知っておいてもらいたいことは,文章を書く力は生まれもっての能力ではなく,質と量の基礎(きそ)に支えられた練習によって高められるということです。これまでの学習をきちんと身につけていれば,あとは当日の瞬発力によって評価が高まる作文が書けるでしょう。ですから,ここで述べた方針に沿って過去問に取り組み,自分に足りないものを見つけ出し,それを経験値としてたくわえていってください。そうすれば,「ただ過去問を解いた」という表面な勉強から一歩ぬけ出し,質の高い受験(受検)勉強になっていくでしょう。


掲載日:2016年10月20日
次回の掲載は,2016年11月21日の予定です。

[2016/09/19] 考えるゆとりを読み手にあたえる作文を書こう


 みなさん,こんにちは。

 さて,今回は読み手に最後までしっかりと,興味を持って読んでもらえる作文の書き方を考えていきましょう。公立中高一貫校入試では,読み手(採点者)に自分が書いた作文をしっかりと読んでもらわなければ,高い評価につながりません。では,そのためには,書き手としてどのような心配りが必要なのでしょうか。

 はじめに,会話という場面で考えてみましょう。会話では,話し手と聞き手という2者のやり取りになります。では,みなさんが聞き手にまわったとしましょう。話し手がどのように話せば,聞く耳を持つでしょうか。

 たとえば,学級会である児童が意見を述べている場面で考えてみましょう。「私は演奏会(えんそうかい)で,『□□□』よりも,『〇〇〇』を演奏するほうがよいと思います。なぜなら,『〇〇〇』という曲は,私が最近聞いた曲の中で最も明るく,聞いていて楽しくなる曲だからです。地域のコンサートに行ったとき,この曲が演奏されていましたが,これを聞いたとき,私の妹もとても楽しそうに聞き入っていました。また,先日,友達とけんかして落ちこんでいたときに,この曲を聞いて元気になりました。そういった元気が出る曲をクラスで演奏すれば,それを聞いてくれている人たちにも元気を分けあたえることができると思います。だから,私は『〇〇〇』を演奏したいと思います。」

 さて,みなさんはこの児童が意見を述べたとき,はじめから最後まで集中して聞くことができますか。一字一句もらさずに頭に入ってきますか。

 正直に言って,それは難しいのが現実です。ではなぜでしょうか。

 それは,人間はある程度話が進むと,自分にとって必要がない情報は自然と頭からぬけてしまうからです。この児童についていえば,自分のことばかりを一方的に話していますね。聞いている人たちにとっては,関係のないことばかりです。

 公立中高一貫校入試では,「あなたの考えを書きなさい」という問題が出題されることがあります。ここで気をつけることは,「あなたのことを書きなさい」ではないということです。「あなたはどのように考えるかを書きなさい」という指示なのです。

 したがって,「あなたのこと」を一方的に書いても,読み手(採点者)は「こちらが聞いていることとはちがう」と判断し,低い評価をつけることになります。

 では,どのようなことを書けば読み手に読んでもらえる文章になるのでしょうか。それは,「読み手がわかることを書いてあげる」です。「どのように考えるかを書く」ためのポイントは読み手がわかることを書き,それをもとに読み手が考えるゆとり・余裕(よゆう)をあたえることです。「なるほど,確かにそうだ。そうすると,こうなるか。それで・・・・・・」というように,読みながら読み手に考えるすき間をあたえる文章にすることが大切です。

 ただし,ゆとり・余裕・すき間といっても,書き手が手ぬきするということではありません。人間が考えるためには,知識が必要です。つまり,知っていなければ,人は考えることができません。ですから,読み手が知っていることを示して,それをもとに考えてもらえる文章を書きましょう。

 そのためには,自分の一方通行な経験だけでなく,みんなが知っている客観的事実を書きましょう。そういったものが書かれていれば,読み手に考えるゆとりができて,最後まで読んでもらえる文章になり,高い評価につながります。

 今回のポイントは,高い評価につながる文章を書くためには客観的事実をしっかりと挙げ,読み手に考えるゆとりをあたえるということでした。みなさんが書く作文は,そういったゆとりを読み手にあたえていますか。これまで自分が書いてきた作文を読み直してみましょう。


掲載日:2016年9月19日
次回の掲載は,2016年10月17日の予定です。

[2016/08/15] 音読のすすめ-作文の達人になるために-


 みなさん,こんにちは。

 今回は夏休み期間中ということで,時間が取れるときにしかできない音読にふれましょう。

 先日,私は地域で開かれた「論語の素読の会」に参加しました。「論語」とは,昔,中国の孔子というえらい人が残した言葉を弟子たちがまとめたもので,昔の日本人はそれを日本語でも読めるようにしました(これを「書き下す」といいます)。もちろん,言葉づかいも昔のままです。私が参加したその会では,昔の言葉づかいのまま,論語をただ声に出してそのまま読むのです。会には小学6年生の児童もいました。大人といっしょに大きな声で論語を読んでいました。

 さて,この会は何のために開かれていると思いますか。主な目的は2つあると思います。「論語」の中には,今の時代に通じる内容がたくさん書かれています。それを学ぶということが目的の一つです。そして,もう一つは,昔のきれいな日本語を学ぶということです。声に出して論語を読み,それが耳に入ってくるのです。昔の日本の言葉には明らかなリズムがあり,読んでいて,または聞いていて心地よくなります。耳にも残ります。

 では,みなさんは音読というとどのような印象を持ちますか。自分から声に出して読みたいという気持ちになりますか。それとも,目で追えば十分だと思い,あまり気にもとめませんか。いろいろな考えがあるでしょう。

 確かに,音読をすれば目に見えて,文章読解ができるようになって点数が上がったり,作文が上手に書けるようになったりすることはありません。しかし,言葉や文が耳に残るのが音読であり,そうして残った言葉や文が文章の読み書きを助けることにつながります。

 夏休みに入り,各教科の学習でたくさん問題を解いたり,たくさんのことを覚えたりして,きっといそがしいでしょう。点数に直接結びつかないことはなるべく後回しにしたいという気持ちもあるでしょう。

 しかし,時間が取れるいまだからこそ,息ぬきのつもりで音読をしましょう。音読が苦手な人はとぎれながらでも構いません。何度も読み進めるうちにすらすら読めるようになります。音読を通じて,日本語のリズムを耳に残してください。日常の言葉づかいと書き言葉がちがうということが頭ではわかっていても,声に出してみると改めてそのことがよくわかります。そして,自分が書いた作文も音読してみましょう。もしかすると,何かおかしいなと気づけるようになるかもしれません。それが文章を上手に書けるようになるはじめの一歩なのかもしれません。そして,そういったことが直せるになったら,あなたは作文の達人に近づけるでしょう。


掲載日:2016年8月15日
次回の掲載は,2016年9月19日の予定です。

[2016/07/18] 文章を上手に書くために-第5回-


 みなさん,こんにちは。
 夏休みが始まります(一部の地域ではすでに始まっていますね)。これまでの勉強の復習はできていますか。

 さて,今回は文章を上手に書くために必要なことの5つ目を説明していきます。これが最後です。
 その内容とは,当たり前のことですが,実際に文章を書いてみようということです。当たり前と言いましたが,ここで大切なことは,4回にわたって述べた4つのことが身についてからということです。

 一例を述べましょう。逆上がりができるようになるために,逆上がりの練習をするのは当然ですが,それだけで十分でしょうか。答えはノーです。
 何かができるようになるためには,その何かの本当のところ,つまり原理・原則がわからなければ,ただ練習をくり返してもできるようにはなりません。

 これまで4回にわたってみなさんに伝えてきたことは,文章を書くために必要と考えられる本質であり,原理・原則です。これをぬきにして,練習しようといっても同じまちがいをくり返すだけでしょう。

 だからといって,練習をしなくてよいというわけではありません。野球もサッカーも,ピアノもバイオリンも,それがどういうものか,しくみやきまりがわかっただけでは上手にはなりません。実際に取り組んでこそできるようになっていくのです。作文も同様です。

 これを知ったから書けるようになるわけではありません。実際に原稿用紙に向かって,頭を使って手を動かして書いていく。「頭を使って」というのは本質や原理・原則にのっとってということですよ。

 では,文章を書く練習はどのように行えばよいのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。

■■■■
 主語と述語を対応させた短文作成の練習をしよう

 作文が苦手な人によって,原稿用紙1枚は長く感じられるはずです。それなのに,いきなり文章を書くとなると,正しい文を書くことに注意がはらえなくなります。

 そこで,主語と述語をきちんと対応させた短文を書くことからはじめてみましょう。人に伝わる文章の第一歩は,人に伝わる文の組み立てを考えることからはじまります。

 日常生活では省いてしまうような文やことばであっても,正しく書くとどうなるでしょう。ノートに「Aは何である。」「Aは何する。」「Aはどのようだ。」といった形で,身のまわりの物事を正しい文で表現してみましょう。「私は今,文を書いている。」「私のノートはまっさらだ。」「弟は今,ゲームをしている。」などですね。こういう短文作成の練習は,作文を書いていて,文が長くなりそうなときに,「文を切る」というコツの習得につながってきます。こういう簡単に見える作業の中に,上手に文章を書くコツがあるのです。

■■■■
 文章を書写しよう

 書き写すという作業については賛否(さんぴ)両論があります。意味がないと反対する人も多くいます。その理由は,何が身につくのかがはっきりしないということでしょう。書写という作業は何も考えずに行えるので,時間のむだづかいになると思うのかもしれません。理解できない話ではありません。それでもこの書写という作業をここではおすすめしたいと思います。

 もちろん,文章をただ書き写しましょうとは言いません。手だけを動かすのではなく,頭の中に文章を入れながら書くようにしてみてください。おすすめなのは,今の学年で使っている教科書の文章ではなく,前学年の文章です。しかも,物語文ではなく,説明文がよいでしょう。公立中高一貫校入試で「物語を書きなさい」という課題はないからです。書き方を学ぶという意味で,教科書の説明文を選んで書き写してみましょう。もちろん,全文を写す必要はありません。その一部で十分です。内容がわかり,負担(ふたん)があまりかからないものの方が頭の中に入ってきやすく,いやな気持ちにもなりません。内容がわかれば,その内容についての書き方を手と頭が慣れてきます。

 慣れるにはくり返しが必要です。「正しい文が書けるようになるぞ」という気持ちで書き写す作業をくり返せば,手が正しい文を書くことに慣れていきます。これは理屈(りくつ)ではありません。もちろん,結果がすぐに出るようなものではありませんが,こういった訓練をした人としなかった人との間で差が広がるのは確かです。

■■■■
 製品の取扱(あつかい)説明書を文章に書き直してみよう

 何だそれは!!と思われるかもしれませんね。先にお話ししておきますと,この練習で身につけてほしいことは,何か一つのことを順序立てて説明するという習慣です。製品の取扱説明書は,何かを使う手順が「か条書き」で書かれています。その製品が使えるようになるまでのことを簡潔(かんけつ)に書いているのが取扱説明書です。

 たとえば,CDデッキの場合,デッキを用意し,CDを使って音を出すまでの手順が書かれていますが,それが「か条書き」になっているので,それを文章に書き直してみてはどうでしょうか。

 そうすると,必要なことばを自分で探(さが)してつけ加える必要が出てくるはずです。接続語や省略されていることばを補(おぎな)っていかなければ,その製品が使えるようになるまでの説明にならないからです。

 課題作文を書くとは,必要なことばを補いながら,正しい文で,必要な内容だけを順序立てて書くことなのです。その練習をこんな作業で進めてみてはいかがでしょうか。

■■■■
 実際に公立中高一貫校入試の問題に取り組んでみよう

 公立中高一貫校入試で問われている作文は自由作文ではありませんから,何でもかんでも自由に書いてよいというものではありません。書いてもらいたい内容があって,それをどのように書いているのかを評価するのが課題作文,つまり公立中高一貫校入試です。したがって,何でもよいから作文を書こうというのでは,評価される文章から遠ざかってしまいます。

 そこで,全国の公立中高一貫校の過去問にもぜひチャレンジしてみましょう。何を書いてほしいのかを正しく読み取り,どのように書くかを考えてください。

 夏休みは,勉強が大きく前進する絶好の機会です。今回述べたことの中から,自分でできそうなことに取り組んでみてはいかがでしょうか。書いたものは自分で読み直し,さらに大人の人にも読んでもらうとよいでしょう。こういう地道な学習の積み重ねが実力となってくるのです。
 これからが勝負です!


掲載日:2016年7月18日
次回の掲載は,2016年8月15日の予定です。

[2016/06/27] 文章を上手に書くために-第4回-


 みなさん,こんにちは。
 春をむかえたと思っていたら,もう夏ですね。時間はあっという間に過ぎていくので,1日1日を大切に過ごしていきましょう。

 さて,今回は文章を上手に書くために必要なことの4つ目です。ふだんの会話で気をつけることについて話を進めていきましょう。

 ふだんの会話で気をつけることといえば,言葉づかいでしょう。相手に正しく伝わるように,ていねいな言葉で話をしようと心がけていれば,おのずとそういった習慣が身につきますが,そういった意識が欠けていると,ふとした場面で誤解が生じることになります。つまり,内容の伝え方に注意をはらう必要が出てくるわけです。

 では,次の家庭内での食事のときの会話を例に考えてみましょう。

児童:お母さん,あれ取って。
母親:しょうゆね。はい,どうぞ。
児童:どうも。そういえば,やっておいてくれた?
母親:水着の洗たくでしょ。やっておいたわよ。
児童:助かった。明日,Aくんといっしょに行くからね。今のうちからしておかないとと思っていたんだ。Bくんは行かないっていうから,結局3人で行くんだ。
母親:Cくんは行くのね。Cくんのお母さんとこの前会ってみんなでプールに行くって話をしていたからね。

 みなさんは,この会話を読んでどのように思いましたか。このような会話をしている人は,意外に多くいるはずです。注意してほしいことは,このような会話が習慣になってしまっていると,文章を書くときにも同じような伝え方をしてしまう可能性が高くなるということです。

 先ほどの例でいえば,児童と母親との間では確かに会話が成立しています。おそらく,みなさんがお父さんやお母さんとこのような会話をしても成り立つはずです。もちろん,友だちどうしでもだいじょうぶでしょう。これは日本語の特ちょうの一つで,身内どうしの会話であれば,文脈(話のすじみちや事がらの背景やようす)さえ共有できていれば会話が成立するのです。

 指示語や「する・やる」といった動詞をひんぱんに使っても,言葉を省いても,聞き手は文脈を共有しているので,内容を理解して会話を続けることができます。

 ところが,文脈を共有しない者どうしでの会話,あるいは文章のやりとりではどうなるでしょう。先ほどの会話はまったくといってよいほど伝わらないはずです。このような会話を習慣化してしまうと,どんなにていねいな言葉を使っても,聞き手や読み手は何のことを伝えているのかまったくわからなくなるのです。

 みなさんが受ける公立中高一貫校入試の読み手(つまり,公立中高一貫校の先生方)は,当然のことながらみなさんと同じ文脈を共有していません。ですから,指示語や「する・やる」といった動詞をひんぱんに使ったり,言葉を省いたりすると,何を書いているのかわからないと困ってしまいます(というより,点数をつけられないので0点になります)。

 したがって,ふだんの会話でも,相手が同じ文脈を持ち合わせていないと考えて,内容を的確に伝える努力を心がけましょう。そういった地道な積み重ねが,公立中高一貫校入試での高得点につながります。

 みなさんが課題作文を書く相手は,みなさんのことをまったく知らない人です。そのような相手にも内容が正しく伝わるようにする心配りこそが,高い評価につながるのです。それは書くという練習だけではなく,会話において練習しなければいけません。ぜひ,以上のことを心がけてください。


掲載日:2016年6月27日
次回の掲載は,2016年7月18日の予定です。

[2016/05/16] 文章を上手に書くために-第3回-


 みなさん,こんにちは。
 新しい学年での生活はもうなれましたか。また,公立中高一貫校入試に向けた勉強は順調に進んでいますか。一歩一歩着実に前へ進んでいきましょう。

 さて,3月から「文章を上手に書くために」というテーマでお話しを続けており,今回はその3回目です。第1回では「ことばを知ろう」,第2回では「文のきまり(文法)をしっかり学ぼう」という内容をお話ししました。今回は「文章をたくさん読もう」というお話しです。

 「文章を書く」と「文章を読む」は逆のことですね。「文章を上手に書くためには」というのであれば,「文章を書く」練習をたくさん積み重ねていけばよいとお考えの方が多いでしょう。もちろんそれも大切な練習です。それをぬきにして上手に書けるようにはなりません。しかし,それだけでよいのかというと実はそうではありません。

 ところで,みなさんは「書く」ことが仕事の職業として何を思いうかべますか。作家,評論家(ひょうろんか),研究者,新聞・雑誌(ざっし)記者・・・,いくつか思いうかぶでしょう。そして,こういった職業についている人こそ,いろいろな文章を読んでいると思いませんか。

 「読書をしない作家」「文章を読まない評論家」・・・,ちょっと信用できませんよね。では,もしそういう人がいたとすると,どういった文章を書いてしまうか想像してみましょう。
 他の人の作品や文章を読まないのですから,そういった人が書く文章には他者の目線がなく,自己中心的なものになっているのではないでしょうか。つまり,まわりが見えない,読み手のことを考えない文章になっているはずです。

 文章を上手に書くために必要なことはまわりを見る,読み手のことを考えることです。そのためには,さまざまな文章を読むことによって,それを知る必要があります。みなさんには,人が書いた文章を書いた人のことを考えながら読んでもらいたいと思います。文章を書く人には必ず伝えたいメッセージがあります。それを読み取ってあげることが,書いてくれた人への礼儀(れいぎ)です。文章読み取りの原則はまずそこにあります。

 細かい読み方はいろいろマニュアルとしてはありますが,それだけでは文章の読み取りにはなりません。大きく見れば,書いてくれた人が何を伝えたかったのかを読み取ろうという心がけが必要です。となれば,文章を書く側も,読み手がどう読み取ってしまうのか,またはどのように書けば自分の考えが正しく伝わるのかを学ばなければいけません。そのためのよい練習が「文章をたくさん読む」ことなのです。

 書くことも読むことも,人と人とが伝え合うということにおいては同一直線上にある,これはこのコラムだけでなく,課題作文に取り組む上でぜひ知っておいてください。そのためには,文章をたくさん読みながら,書き手のメッセージを読み取ることはもちろん,どのように書いているか,どのようなことばの組み立てをしているのか,どのような構成で文章を進めているのか,などを考えてみてください。

 夏休みもだんだん近づいてきます。ぜひこれからたくさんの文章を読み続けてください。


掲載日:2016年5月16日
次回の掲載は,2016年6月20日の予定です。

[2016/04/18] 文章を上手に書くために-第2回-


 みなさん,こんにちは。
 新学年が始まりました。新しい生活にはもう慣れましたか。
 さて,先月から「文章を上手に書くために」というテーマで学習を進めていますが,今回は「文のきまり(これを文法といいます)をしっかり学ぼう」という話を進めていきます。

 私たちはことばを使って生活する上で,文法を考えて会話するということはまったくと言ってよいほどありません。
 日ごろの生活の中では深く考えることなく,意味が通じるようにことばを並べ,文を組み立てています。会話もきちんと成立しています。会話をするように文章も書けばよいのではないかと感じてしまうかもしれません。
 しかし,その感覚が作文を書くときの落とし穴になってしまいます。

 目の前にいる相手と声にのせて内容を直接伝えるということと,目の前にいない相手に対して,文字によって内容を伝えるということは大きくちがいます。
 顔を向き合って伝え合う場合は,会話の中でおたがいに察する,あるいは双方向で内容を確かめ合う,補完し合うことができるので,文がくずれていても聞き手の方で聞こえてきた内容を補足,修正して理解できます。
 おたがいに知っている者同士であれば,なおさら共通の文脈を持っているので,文が不完全でも,会話を成り立たせることができます。

 今回のテーマである「文法を学ぼう」というのは,文のきまりをしっかり覚えてほしいというよりも,文を書くにはきまりがあるのだということを知っておこうということです。
 むぎっ子作文添削を通してみなさんの作文を多く読んでいますと,文として成立していないものが多数見られます。ただし,それらの文は会話の中で言われればおそらくわかるだろうと推察できる場合もあります。
 会話においては,多少の文の乱れは補足や修正が可能です。しかし,文章はちがいます。読み手は文からだけで内容を理解しなければならないのです。

 そこで,みなさんにご提案です。内容面は別にして,はじめに国語の教科書に書かれてある程度のことばのきまりを一通り復習し,日本語の文そのものとまじめに向き合ってみてはいかがでしょうか。まじめに向き合ってこれらのことに取り組んでいくと,日本語の文をつくる難しさがわかってくると思います。そこに気づいて作文に取り組む場合とそうでない場合とでは,完成した文の質は相当ちがってきます。

 主語と述語をきちんと合わせられるか,修飾語を適切な場所に置けるか,指示語や接続語を正しく使えるかなどなど。
 このようなことはきちんと学ばなければ考える機会さえないはずです。そういった機会を得た人だけが,ていねいに言葉を並べ,文を完成させることができると言っても,言い過ぎではないでしょう。

 先ほど述べたように,国語の教科書に書かれてあることばのきまりをよく読み直してください。文を作るにはきまりがあるのだということがわかれば,思いついたままに文を書くことが減っていくでしょう。一文一文をていねいに組み立てていく姿勢がしっかり身につけば,作文の途中でまちがいに気づき,どうするかとなやむこともなくなるでしょう。

 今回は,文章を上手に書くために,文にはきまりがあるのだということを知ること,そして,それを意識しながら作文に取り組むことについて学習しました。
 次回は「文章をたくさん読もう」という話をしていきたいと思います。


掲載日:2016年4月18日
次回の掲載は,2016年5月16日の予定です。

[2016/03/21] 文章を上手に書くために-第1回-


 みなさん,こんにちは。
 もうすぐ新学年です。これまでの学習のおさらいはできていますか。このコラムも今月から新しい学年に向けてはじまります。これからいっしょにがんばって勉強してきましょう。

 さて,今回から数回にわたって「文章を上手に書くために」と題して話を進めていきます。これから作文を学ぶにあたって,身につけてほしいことを確かめておきたいと思います。

 文章を上手に書くために必要なことの1つ目は,「言葉をたくさん知る」ということです。もちろん,知った言葉を使えるようになることも大切ですが,まずは知るという点について,次の2つの側面から考えてみたいと思います。

1 どのくらいのレベルの言葉を知っていればよいのか

課題作文のみならず,さまざまな文章を上手に書くにあたって,難(むずか)しい言葉を使うのがよいのではないかと思われる方がいますが,それはまちがいです。難しい言葉というのはそもそもどのような言葉かという話になりますが,ここでは抽象的(ちゅうしょうてき)な言葉(物事や印象を性質や共通点に着目してぬき出してとらえた言葉)としておきましょう。

 こういった言葉をふんだんに使っていれば人をうなずかせるかっこいい文章になるのではないかというと,そんなことはありません。むしろ,意味がよくわからない文章になるだけでしょう。

 みなさんが持っている教科書の説明文や評論文(ひょうろんぶん)を読むと,たまにそういった難しい言葉が使われている場合がありますね。しかし,それはそもそもそういった文章を書いた筆者がその分野の専門家(せんもんか)ゆえに,自分が対象としている物事の性質や共通点がしっかりわかっているからこそ,難しい言葉で言い表すことができるだけの話です。

 よくわからない物事について難しい言葉で言い表そうとしても,書いている人がそもそもわかっていないのですから,読み手には正しく伝わるはずがありません。ですから,難しい言葉をたくさん使えばよいというわけではないのです。

 では,どのくらいのレベルの言葉を知っていればよいのかという本題ですが,これは学年の相応の言葉で十分と申し上げておきましょう。学年にふさわしい言葉とは,学校の教科書で出会った言葉のレベル,あるいは日常生活で使う言葉のレベルです。

 例1 私は学級図書の使い方についてルールを決めようと言った。
 例2 私は学級図書の使い方についてルールを決めようと提案した。
 例3 私は学級図書の使い方についてルールを決めようと発案した。

 上の例1~3は,いずれも取った行動は同じです。言い方がちがうだけです。作文ではどれかを書いても通じます。ここで差がつくことはないでしょう。ただし,身につけておいてもらいたい言葉のレベルとしては例3はふくめないと申し上げておきましょう。そもそも,この言葉を使う必要がある場合が限られますが・・・。例2の「提案」という言葉は日常生活レベル,学校の教科書レベルの言葉であることは確かなことです。このレベルまで使えれば十分です。

 基準としては,①「小学校で習う漢字による熟語(じゅくご)であること」,②「小学校の教科書で出てきている言葉であること」といったあたりを念頭に置いてください。それ以上のことを公立中高一貫校は求めません。もちろん,難しい言葉を知っているというのは大いに有利ではあるのですが,それは書く作業でというより,むしろ読む作業で活用されることでしょう。

2 言葉をどのようにして知ればよいのか

 ちまたでは,「読書をすれば,○○できる」「本を読めば,○○が身につく」というように,読書があたかも万能薬であるように主張する人がいますが,そういった類(たぐい)のものは要注意です。

 無論,読書をしなくてよいと言っているのではありません。読書はとても大切です。しかし,読書は何かができるようになるために必要な作業ではありません。○○できるようになるというのは読書が生み出すおまけ程度のものです。おまけつきのおかしを,おまけを集めるためにたくさん買いこみ,おかしそのものを捨(す)ててしまうというもったいない話がありますが,○○できるようになるために読書をするという議論は,読書が持つ大切な役割を捨ててしまうことと同義です(読書については,改めて別の機会に書きたいと思います)。

 本題に入りましょう。言葉をどのようにして知ればよいのかということですが,読書をすれば言葉を覚えるという話は,せいぜいおまけ程度の言葉の量とレベルです。しかも興味がある内容であればという限定付きです。その点をふまえていれば読書をすればよいとは申しておきましょう。

 このことについても,学校の教科書をしっかり学習してほしいとお伝えしたいです。学校の教科書を読むことだって読書と変わらないと思われますが,これはまったくちがいます。

 読書の多くは一度読んで終わりという場合が多いですね。ところが,学校の教科書による国語の学習では時間をかけて同じ文章を進めていきます。先生からの発問もありますから,きちんとその文章を学習しているのです。時間をかけて言葉を無意識に読み,聞き,使っているのです。ですから,まずは学習した教科書の言葉をもう一度見直してください。辞書を使って復習するのもよいでしょう。これをおろそかにはできません。それに加えて,言葉に関する問題集を数冊取り組めば,とりあえず,小学生が使うレベルでの語い力は十分に獲得(かくとく)できます。

 以上,これからの作文の学習にあたって,まずこれまでの学校の教科書をもう一度読み直してみましょう。これから1年間,学校の教科書を大切にしながら勉強をがんばっていきましょう。


掲載日:2016年3月21日
次回の掲載は,2016年4月18日の予定です。