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ひろやん道場

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ひろやん先生

首都圏を中心に全国の公立中高一貫校の研究を始めて長い月日が経ちました。これからも,みなさんに役立つ情報をたくさんお伝えできればと思っています。公立中高一貫校のことはたくさん知っているのでたよりにしてくださいね。

[2017/02/16] およその数やあまりがない数学の世界へようこそ


 本年度の公立中高一貫校入試がすべて終わりました。
 合格したみなさんには,心からお祝いの言葉を申し上げます。
 残念な結果に終わった方も,気持ちを新たにして4月から始まる中学校生活をむかえていただきたいと思います。

 さて,みなさんはこれまで「算数」という科目に親しんできたわけですが,中学入学後は「数学」に変わります。算数と数学のちがいについては,2年前にカッシー先生がくわしく説明してくださっていますので,ぜひそちらを読んでみましょう。
 カッシー先生のゆったり教室-算数と数学のちがいとは何だろう

 簡単に申し上げれば,算数と数学も本質的には同じですが,算数では具体的な数を中心にあつかい,数学ではおよその数やあまりがない抽象的な文字を中心にあつかうというちがいがあります。カッシー先生は「算数は現実の世界をあつかい,数学では理想の世界をあつかう」と表現なさっていますね。その通りだと思います。

 しかし,算数も数学も「ものごとを筋道を立てて考える」という点は同じです。正しい答えを出すことはもちろん大切ですが,なぜその答えになるのかという過程を重んじるのが算数や数学です。

 今後,みなさんは条件を確認しながら自ら考えて答えを探さなければならない事案が多く出てくるでしょう。しかし,筋道を立てて考える力があれば,そのような事案に直面しても難なく打開できるはずです。算数や数学を勉強する理由の一つがそこにあるのですから。

 算数や数学は,自由にのびのびと考えることができる教科です。定理や公式といった元になる考えを理解したうえで,頭の中で思う存分に考えをめぐらせることができる,とてもおもしろい学問です。

 公立中高一貫校を目指して勉強を続けてこられたみなさんは,算数を通して筋道を立てて考える学習をしてきました。これからも楽しみながら数学の勉強に取り組んでいってください。


掲載日:2017年2月16日
次回の掲載は,2017年3月6日の予定です。

[2017/01/02] 公立中高一貫校入試の先にあるものを考えよう


 あけましておめでとうございます。
 昨年12月上旬から,公立中高一貫校入試が断続的に始まりましたが,いよいよ今週末から全国で本格化します。そこで,あえて今回は,みなさんに考えてほしいことをお伝えします。それは,公立中高一貫校は,何を目的に入試をおこなっているのかということです。

 たとえば,東京都立小石川中等教育学校の「教育目標」を読むと,「自ら志を立て,自ら進む道を切り開き,新しい文化を創りだす」と書かれてあります。そして,この教育目標を達成するために,「自主自立の気概(きがい)を身に付け,卒業後も自ら人生に果敢(かかん)に取り組んでいく生徒を育成する」と述べられています。
 京都府立洛北高等学校附属中学校では,「未来を切り拓(ひら)く強い意志,高い知性,豊かな感性をもつ人間の育成」を教育目標にかかげ,育てたい力として「深い洞察(どうさつ)力」「論理的思考力」「豊かな創造力」をあげています。
 他の公立中高一貫校の教育目標も,高い志を持ち,自らの力で考え,世界のリーダーとして活躍(かつやく)できる生徒を育てることを念頭に置いている学校が多いことがわかります。

 これからの人生の中で出くわすであろうさまざまな問題,つまり,人間関係や仕事上の問題,世の中をよくしていくためにどうすればよいかといった問題は,解き方もなければ答えもありません。よりよい日本,そして世界を作り上げていくためには,これまでの経験をもとにしたり,いろいろな人の意見を取り入れたりして問題を分析(ぶんせき)したうえで,自分の頭で考え,ベストな解決策を見いだそうとする姿勢が必要です。

 世界はますます多様化し,解決するべき問題も難しくなっていきます。その中でより意義のある人生を送るためには,他人に任せきりにせず主体的に取り組み,自分なりの答えを出す力が必要になってきます。

 公立中高一貫校入試が,「思考力,判断力,表現力を生かした問題解決能力をみる」ということを目的にしているのは,まさにこれから起こる複雑な問題を解決し,人々のために貢献(こうけん)できる人材を育てたいという理念があるからです。つまり,周囲で起こることに問題意識を持ち,積極的に答えを見い出そうとする姿勢があるかどうかを多面的に評価することを目的としています。

 これから入試本番に臨(のぞ)む人にとっては,さしあたって「合格できるかどうか」が一大関心事であり目標でもあるわけですが,その先には,高い志を持ってどんな難問にも積極的にチャレンジできるみなさんを待ち望んでいる世界があるという視点も持っていただきたいと願っています。


掲載日:2017年1月2日
次回の掲載は,2017年2月13日の予定です。

[2016/12/06] 入試当日までの過ごし方


 入試本番まであとわずかとなりました。この時期になると,むぎっ子通信添削(てんさく)提出時に,「入試当日までをどのように過ごせばよいですか」といった質問を寄せてくれる人がいます。
 そこで今回は,入試本番までの日々をどのように過ごせばよいのかについてお話しします。ポイントは3つです。

 1つ目は健康管理です。
 入試本番が近づくと,だれもが集中して机に向かうものです。体調をくずしたり,かぜやインフルエンザにかかったりしてしまうと,集中して総仕上げをすべきこの大切な時期に,貴重な時間がうばわれてしまいます。すぐに完治すれば問題ありませんが,長引いてしまうと不利になることは言うまでもありません。
 規則正しい生活を心がけ,睡眠(すいみん)はきちんと取りましょう。帰宅したら必ず手洗い・うがいをしましょう。体質的に問題がなければインフルエンザの予防接種を受け,健康管理には十分気を配っておきましょう。

 2つ目は,これまでに取り組んだ問題の解き直しに時間を費やすということです。
 志望校対策(たいさく)として過去問を解くことはもちろん大切ですし,ときには新しい問題に取り組んで脳(のう)に刺激(しげき)をあたえることは意義のある勉強法です。しかし,これまでがんばって取り組んできたテキストやテスト,通信添削などの復習は必ずおこなってください。

 みなさんがこれまで解いた問題の中には,それを解いたときに初めて知った解法や気づきがたくさんあったはずです。いわば「宝(たから)の山」なわけです。しかし,人間はだれでも,そのときは理解して覚えたつもりでも,新しいことにふれていくうちに以前のことを忘れてしまいます。もう一度解き直して,忘れていたことを確実に自分に引きもどすという姿勢(しせい)が大切です。

 3つ目は,真剣に勉強すれば入試本番まで実力が必ずのびていくという事実を忘れないことです。
 正直に言って,自分の学力を客観的に知ることは難しいものです。しかし,目には見えなくても,あるいは実感がなくても,がんばればがんばった分だけ,入試当日まで学力は確実に身についていきます。
 たとえば「どうせあと少ししかないから」といった気持ちで勉強するのと,「あと少しでも有意義に過ごすんだ!!」といった気持ちで勉強するのとでは,実力ののびが大きくちがうのは当然のことです。

 今の自分の学力に自信が持てない人もいると思いますが,それはあくまでも今の実力であって,残りの日々の努力次第で奇跡(きせき)も起こり得るのだという信念を持って入試本番に向かってつき進んでください。


掲載日:2016年12月6日
次回の掲載は,2017年1月2日の予定です。

[2016/11/07] 千葉県立千葉中学校・東葛飾中学校の傾向と対策


 今回は,千葉県立千葉中学校・千葉県立東葛飾中学校の2016年度実入試問題をもとに,これらの学校の傾向と対策を見ていきます。この2校は,千葉県教育委員会が作成した共通問題によって入試がおこなわれています。

 2016年度入試は,一次検査と二次検査がおこなわれました。一次検査を通過した受検生(募集定員の4倍程度)が二次検査を受け,最終的な合格者が決まります。

 一次検査は,「適性検査1-1」「適性検査1-2」の2つです。試験時間は各45分間です。

 適性検査1-1は,大問が2題(社会,国語,算数)でした。
 大問1は,郵便局を見学した記録や手紙を題材にした問題で,空らんの言葉を考える設問,手紙を書くことについての設問,「拝啓」という言葉の意味を考える設問などです。グラフ,表などの資料を読み取って答える問題が多く出題されています。
 大問2は,福井県の産業を題材にした問題で,北陸新幹線のきょりや割合を求める設問,越前地方で和紙作りがおこなわれてきた理由を問う設問,めがねを作るときに大切にしていることを読み取る設問などです。計算は基本的なものばかりですが,素早くかつ正確に求める力が要求されます。
 記述問題は,あたえられた資料を理解しているかはもちろんのこと,それを自分なりに考え適切な言葉で答えられるかがポイントになります。資料内で使われている言葉をつなぎ合わせるだけでは,なかなか正解にいたらない問題が多いのも特ちょうといえます。
 一昨年に比べると記述問題は減ったものの,20~40字程度で答えなければならない問題が8問もあるため,考えたことを短時間で表現できるように,文章を書くことに重点を置いた学習を心がけましょう。

 適性検査1-2は,大問が2題(理科・算数)でした。
 大問1は,国際宇宙ステーションや人工衛星を題材にした問題で,方位を答える設問,宇宙ステーションが通過する場所を図にかきこむ設問,軌道の位置や時間を求める計算などが出題されました。平易な問題とやや難しい問題が混在していますので,解けそうな問題と後回しにしたほうがよさそうな問題を見極め,解けそうな問題を確実に解くという姿勢が大切です。
 大問2は,紙でできた図形を切り分ける問題で,条件にあてはまる図形を答える設問,重なる部分を図示する設問,切り取り線をかく設問などが出題されました。平面図形は他校でもよく出される問題で,図形の移動や面積,合同や相似に関しては基礎を固めておきましょう。(6)あたりまでは標準的な問題ですが,(7)以降は手ごわい問題が出てくるので,後述する適性検査2-1同様,すべての問題を解こうとせず,解けそうな問題を正確に解くという気構えで臨んでください。

 二次検査は,「適性検査2-1」「適性検査2-2」「面接」です。適性検査の試験時間は各45分間です。

 適性検査2-1は,大問が2題(理科・算数・社会の融合問題)でした。
 大問1は,野菜の成長と栽培を題材にした問題で,ビニルハウスの利点を問う設問,ホウレンソウの栽培に適した時期を求める設問,平均気温の合計を求める計算などが出題されました。理科系の問題も,単なる知識が問われているのではなく,資料を正確に読み取り,わかりやすい表現で答える力が問われています。
 大問2は,観光客増加への取り組みについての問題で,市の特色をとらえる設問,観光客を増やす工夫を考える設問などが出題されました。一見,社会系の問題に見えますが,資料をもとに自分なりに考える力,問題を解決する発想力,的確に表現する力が要求されており,国語との融合問題ととらえてもよい設問が並んでいます。
 大問3は,気球の浮き方と動きを題材にした問題で,空気の重さや温度の計算,気球の高さや移動する時間の計算,グラフを完成させる設問などが出題されました。(1)(2)のような基本的な問題は,ケアレスミスに気をつけて確実に得点しなければなりません。

 適性検査2-2は,大問が3題(国語)でした。
 大問1は,放送を聞いて答える問題で,宇宙開発を町工場でおこなうようになった話を聞き取るものです。聞き取りやすい文章でしたが,要点をつかみながら聞く力が試されます。日ごろからラジオなどを利用して,耳からの情報をもとに要点をまとめる練習を積んでおきましょう。
 大問2は,文章中の傍線部を説明する設問でした。
 大問3は,大問1・2の内容をもとに答える問題です。(1)は,それぞれの考えをまとめて表をうめる設問,(2)は自分の経験をふまえて200~250字で書く設問です。
 適性検査2-2は,100~150字程度が3題,200~250字が1題出題されていることになり,これを45分間で取り組むことを考えると,読むこと・書くこと・聞くことの練習にかなりの時間を費やす必要があります。千葉県立千葉中学校・東葛飾中学校は,適性検査2-2が合否を決する場合が多いと考えられているため,対策を後回しにしないでください。

 過去問を解くときは,まずは45分という時間をはかり,その時間内で得点率を高めていく努力をおこなってください。ひと通り解き終わったら,解答例をよく読んで,答え方のコツをつかみましょう。解答例のどこがすぐれているのかを考えながら,書き写したり音読したりしましょう。
 過去問は,過去4~5年分を少なくても2回はくり返して解き,出題傾向に慣れることが合格へのカギとなるでしょう。千葉県立東葛飾中学校の受検生は,千葉中学校の過去問を解きましょう。さらに余裕があれば,東京都内の公立中高一貫校などの過去問にも時間のゆるす限りチャレンジしてください。

 二次検査の集団面接は5~6名のグループで約15~20分おこなわれ,千葉県立東葛飾中学校ではこれに加えてプレゼンテーション的内容も実施されました。人の話を聞いて正確に理解し,それに対する自分の考えを組み立てて相手にわかりやすく伝える力は,クラスでの話し合いや家族・友達との会話の中でつちかわれていくものです。人との会話を大切にしながら,コミュニケーションを取っていくことを忘れないでください。
 机に向かう勉強はもちろん大切ですが,毎日の何気ない生活の中に,自分の能力をのばすチャンスが転がっているということも覚えておいてほしいと思います。


掲載日:2016年11月7日
次回の掲載は,2016年12月4日の予定です。

[2016/10/03] 神奈川県立中等教育学校(2校)の傾向と対策


 今回は,神奈川県立相模原中等教育学校,神奈川県立平塚中等教育学校の2016年度実入試問題をもとに,これらの学校の傾向と対策を見ていきます。この2校は,神奈川県が作成した共通問題が出題されています。

 2016年度入試は,「適性検査Ⅰ・Ⅱ」および「グループ活動による検査」によって入試がおこなわれました。適性検査Ⅰ・Ⅱの時間はそれぞれ45分間,グループ活動による検査は40分間です。

 適性検査Ⅰは,大問が4題(社会,算数)でした。
 大問1は,神奈川県の地形,農産物,水産物などを題材に,地図をもとに地域(ちいき)の特色を考える問題です。基本的な設問ですが,36字以上45字以内の文章で答えるためには適確な表現力が必要です。
 大問2は,折り紙を題材に形状の変化や面積を求める問題です。折り紙が好きな児童にとっては有利な設問でしたが,紙を折るといった作業に興味がない場合は苦労したかもしれません。
 大問3は山ユリを題材に,2つの資料から情報を関連づけて読み取り,円グラフを作成する問題です。難(むずか)しい設問ではありませんが,正確な計算力が求められます。
 大問4は,かぶに関する民話を題材にした問題でした。(1)はかぶの体積を求める基本的な設問,(2)はあたえられた条件をもとに計算する設問です。(2)は,条件を整理して考えれば,それほど時間を要する問題ではありません。

 適性検査Ⅱは,大問が4題(社会,算数,理科,国語)でした。
 大問1は仮想水を題材にした問題で,(1)は仮想水の量を計算する設問,(2)は120字以上150字以内の文章にまとめる設問です。(2)は,「筆者が伝えたかったことやグラフをふまえた内容で書く」という条件があるので,その条件を満たしているかに注意しつつ自分の意見を伝える必要があります。この記述問題は毎年出題されており,日ごろから書く訓練を積んでおきましょう。
 大問2は立方体を題材にした問題で,(1)(2)とも立体的なものの見方に慣れていれば容易に解ける設問です。
 大問3は調理を題材にした問題です。(2)は記述の設問ですが,資料を注意深く読み取ることができれば得点できたでしょう。
 大問4は,食塩水を題材にもののとけ方を問う問題でした。グラフの作成は難しく感じた児童が多かったと思いますが,問題文と実験の内容を整理することが正解へとつながります。

 適性検査Ⅰの大問2と大問4(2),適性検査Ⅱの大問4(2)は多少難しかったものの,総じて取り組みやすい設問です。教科書を中心に基本的な勉強をしっかりおこない,解けそうな問題はケアレスミスに注意して確実に得点したいものです。
 また,表やグラフの読み取り,空間図形,グラフの作成,文章にまとめる問題は今後も出題されると思われますので,じゅうぶんに慣れておきましょう。

 教科融合(ゆうごう)問題も何問か見られ,科目別の配点を明確に示すのは難しいのですが,昨年度と合わせて見ると,算数が50%以上をしめ,国語・理科・社会はそれぞれ10~20%程度となっています。特に算数は過去問を利用して傾向(けいこう)を把握(はあく)し,よく出題される単元はきちんと習得しておきましょう。

 グループ活動による検査は,「図書室を多くの人に利用してもらうための取り組み」がテーマでした。5分間で自分の考えをまとめ,その後,35分間は8人程度のグループで話し合うというものです。
 ふだんから,学校や家庭で何が問題になっているか,それを解決するにはどのようにしたらよいかを理由とともに具体的にまとめ,わかりやすく人に伝える練習を積んでおくことがカギとなります。

 配点は,適性検査:グループ活動による検査:調査書=6:2:1となっています。グループ活動と調査書を合わせるとおよそ3分の1の配点となりますので,学校生活でも積極的な姿勢(しせき)で臨み,友達といっしょに取り組む活動には問題意識を持って参加していきましょう。


掲載日:2016年10月3日
次回の掲載は,2016年11月7日の予定です。

[2016/09/05] 東京都立桜修館中等教育学校の傾向と対策


 今回は,東京都立桜修館中等教育学校の2016年度実入試問題をもとに,同校の傾向と対策を見ていきます。

 2016年度入試は,前年同様,適性検査Ⅰ・Ⅱによって選抜が行われ,検査時間はそれぞれ45分間でした。

 適性検査Ⅰは国語(作文)です。
 例年,1つの絵や資料,写真などがあたえられ,それを見て自分が考えたことを500字以上600字以内で書くというユニークな問題が出題されています。茶わんに盛られたごはんの写真,辞書にのっている「道」の意味,詩,対話している人のイラスト,世界地図,木材の写真などが過去に出題されています。
 今年度は「やじろべえ」の絵が題材でした。もちろん,やじろべえとは何かを説明するのではありません。やじろべえに関連したことについての「自分の考え」を書く問題です。
やじろべえから何を連想しますか。「バランス(つり合い)」という言葉が頭にうかんだとしたら,たとえば「勉強と遊びのバランスをどのようにとるか」などと発展させ,考えたことを書くことになります。やじろべえという題材からはなれすぎないようにすることも大切です。
つまり,あたえられた題材から連想するテーマをいくつか考え,その中で,自分の経験をもとにして具体的な内容を書けるものを選ぶことが大切です。問題文には「分かりやすく書きましょう」という条件があるので,ばくぜんとした文章にならないように気をつけてください。

 題材がたった1つなので,慣れていなければすぐに書けるものではありませんが,自分が述べたいことにつなげられれば自由に書けるので,想像力が求められます。ふだんから身のまわりのできごとに関心を持ち,考えをまとめる練習をたくさん積んでおくことをおすすめします。

 また,ノートではなく400字づめの原稿用紙を使って,提示されている6つのルールにそって書く練習も行いましょう。いきなり書き始めるのではなく,まずはじめに,どのように主張を展開していくかを組み立てましょう。か条書きのメモを問題用紙の余白に書き出してから取りかかれば,とちゅうで行きづまることも少なくなり,遠回りに見えても結果的に早く書き上げることができます。
 また,作文については,同校が公表している出題方針の中に「意欲的な態度をみる」という記述があります。明るく積極的な文章を書くことも忘れないでください
 
 適性検査Ⅱは,大問が3問(算数・社会・理科)で,算数は独自作成問題,社会・理科は共同作成問題でした。
 大問1は「お楽しみ会の準備」を題材にしたもので,円周の長さや縮尺を計算する力,花だんに植える球根の場所や受付時刻を導き出す力をみる問題です。問題3は少し難しかったかもしれませんが,問題1・2は平易な設問でした。
 大問2は「世界遺産」を題材にしたもので,歴史に関して理由や根ょを見出す力,位置を特定する力,カラフトマスの数の変化を考える力をみる問題です。いずれも資料をきちんと読み解くことができれば,それほど難しい問題ではありません。
 大問3は「アゲハ」を題材にしたもので,幼虫のからだのしくみを考察する力,実験結果を分析する力,さなぎについて考えられることを導き出す力をみる問題です。一見難しそうに見えますが,あたえられたグラフや実験結果を的確につかみ取る力があれば解ける問題でした。

 問題を解くうえでは,問いの中の条件を意識することがポイントとなります。たとえば,「~総数に着目し,数値を挙げて説明しなさい。」「~資料の結果をもとに割合や数を用いて説明しなさい。」などの設問に対しては,「総数」「数値」「割合や数」などの言葉にアンダーラインを引き,それらの条件を絶対に落とさないように注意しましょう。

 適性検査Ⅱの傾向としては,知識そのものを求める問題はほとんど見られず,図や表,グラフや写真などの資料を正確に読み取る力,だれが読んでも理解できる表現力が求められています。勉強といえば知識を増やす学習を連想しますが,私立中学受験とは対策がかなり異なるものだということを再認識する必要があります。
 
 適性検査Ⅰは200点,Ⅱは500点満点で,これに報告書の300点(換算後)が加わって1000点満点で判定されます。つまり,適性検査が70%,報告書が30%となります。都立中高一貫校の中で,白鴎高等学校附属中学校と並んで,報告書のしめる割合が最も高いことが特ちょうです。このことも意識して,学校の授業には8教科すべてに積極的に取り組んでください。
 適性検査の配点を科目別に見ると,作文と算数が200点ずつ,社会と理科が150点ずつとなっています。作文・算数に重点を置きつつも,社会・理科もおろそかにせず,バランスのとれた学習をするように心がけましょう。


掲載日:2016年9月5日
次回の掲載は,2016年10月3日の予定です。

[2016/08/01] 東京都立白鴎高等学校附属中学校の傾向と対策


 今回は,東京都立白鴎高等学校附属中学校の2016年度実入試問題をもとに,同校の傾向と対策を見ていきます。

 2016年度入試は,前年同様,適性検査Ⅰ・Ⅱによって選抜が行われ,検査時間はそれぞれ45分間でした。

 適性検査Ⅰは国語で,例年通り2つの文章(資料A・資料B)があたえられ,小問3問で構成されていました。資料Aの文章は短めで平易なものでしたが,資料Bの文章はやや長めで抽象的(ちゅうしょうてき)な語句が多く,要旨(ようし)を明確に読み取ることが難しかったかもしれません。
 問題1(資料Aの読み取り)は,筆者が説明する内容を100字以内でまとめる問題,問題2(資料Bの読み取り)は50字以上100字以内でまとめる問題です。問題1は難しいものではありませんが,問題2は文章中に散在している表現を的確にまとめて解答とする力が問われていることから,日ごろからやや難しめの文章を読み解く訓練が必要でした。
 問題3は,あたえられた文章をふまえて,自分自身の考えとその理由を書く問題です。問題の条件の1つ目に,「身近にある道具について,ある共通の機能を持ち,『多様性』を残しているものと,機能を特化したものを取り上げる」とありますが,この条件の意味自体がとらえづらく,思考力が問われる問題でした。
 難易度のやや高い文章を読んで筆者が述べたいことを正確につかむ練習と,自分の考えを読む人にわかりやすく書く訓練をひごろからおこなう必要があります。また,作文の条件が3つありますので,それらを満たしながら書くことに慣れておきましょう。

 適性検査Ⅱは,大問が3問(算数・社会・理科)で,いずれも東京都立共同作成問題でした。
 大問1は「渋滞(じゅうたい)」を題材にしたもので,決まりを把握(はあく)する力,速さについての理解力をみる問題です。会話文に書かれているルールをきちんと理解すればそれほど難しい問題ではありませんが,問題3はわかりやすく説明する力が問われます。
 大問2は「世界遺産」を題材とした問題でした。問題1は歴史に関して理由や根拠(こんきょ)を述べるもので,知識のみならず思考力をも問われています。問題2は位置の特定に関する会話文を,問題3はカラフトマスの数の変化に関する資料を読み取る問題で,オーソドックスで簡単だといえるでしょう。
 大問3は「アゲハ」に関する問題です。問題1は,たまごからモンシロチョウまで変化する観察記録をもとにアゲハの幼虫のからだのしくみを考察する問題で,資料を注意深く読めば解答できるでしょう。問題2・3は,実験結果を分析して考察する問題で,難易度は高くないものの,判断した理由を的確に表現する力が求められています。考察する力を養うためには,ふだんの理科の実験や観察に積極的に取り組むことが必要でしょう。

 全体的に難易度は標準的なものばかりですが,45分間ですべてを解答するのは容易ではありません。得点できそうな問題とあと回しにすべき問題を見極めて,得点できそうな問題を確実に解くという心構えが必要です。過去問などを使って,時間の配分を考えながら解く練習が必要でしょう。

 適性検査Ⅰ・Ⅱは,それぞれ100点満点ですが,適性検査Ⅰは300点に,適性検査Ⅱは400点に換算(かんさん)され,これに報告書の300点(換算後)が加わって1000点満点で合否が決まります。
 つまり,適性検査が70%,報告書が30%となり,報告書がしめる割合は,東京都立両国高等学校附属中学校,東京都立大泉高等学校附属中学校,東京都立富士高等学校附属中学校,千代田区立九段中等教育学校などの20%よりも高くなっています。
 また,適性検査Ⅱでは,合計400点(換算後)のうち,算数が約4割,理科・社会がそれぞれ約3割をしめていますので,算数に重点を置きつつもバランスのとれた学習が必要です。

 全体的な傾向(けいこう)としては,単に答えを出すだけでなく,その答えを出した過程をわかりやすく説明する力,そう判断した理由をきちんと読み手に伝える力が問われています。したがって,各教科の基本的な知識を身に付けることはもちろんですが,話したり書いたりする訓練をたくさん積み,「考えた過程を表現すること」に重点をおいて学習を進めていきましょう。


掲載日:2016年8月1日
次回の掲載は,2016年9月5日の予定です。

[2016/07/04] 東京都立小石川中等教育学校の傾向と対策


 今回は,東京都立小石川中等教育学校の2016年度実入試問題をもとに,同校の傾向と対策を見ていきます。

 2016年度入試は,前年同様,適性検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲによって選抜が行われ,検査時間はそれぞれ45分間でした。

 適性検査Ⅰは国語で,例年通り2つの文章をもとにした設問が用意されていました。
 問題1・2は,設問の趣旨(しゅし)にしたがって文章を読み取り,それぞれ30字程度でまとめて答える問題でした。文章はそれほど難解なものではありませんが,問われている内容を正しくとらえ,適確に表現する力が試されています。
 問題3は,2つの文章の要点にふれたうえで,「自分にとって読書が与(あた)えてくれるものは何か」を400字以上440字以内で書く作文問題です。昨年度までのきまりに加えて,今年度は3つの条件が加わったため,これらのルールにしたがって文章を組み立てていく必要がありました。
 日ごろから,筆者が述べたいことを的確につかむ練習と,原稿用紙1枚程度にまとまる作文を書く訓練を行っておく必要があります。

 適性検査Ⅱは,大問が3問(算数・社会・理科)です。
 大問1は「渋滞(じゅうたい)」を題材にしたもので,会話文とルールをきちんと理解すれば,それほど難しい問題ではありませんでした。
 大問2は「日本の小売業」を題材にした問題でした。グラフを読み取る設問,表をもとにしてグラフを完成させる設問,資料をもとに数値の変化を計算して説明する設問が用意されており,特に問題2(1)や問題3の計算はスピードと正確さが要求されます。また,問題4は,会話文をヒントにして「お客さんの数を増やすための取り組み」を考える出題でした。
 大問3はアゲハに関する問題です。問題1は,モンシロチョウの観察記録からアゲハの幼虫(ようちゅう)のからだのしくみを考察する設問で,注意深く資料を読めば解答できる問題です。問題2・3は,実験結果から推論(すいろん)する設問で,ふだんの理科実験や観察にどれだけ積極的に取り組んできたか,その姿勢が問われています。

 適性検査Ⅲは,大問が2問(理科・算数)です。
 大問1は「もののすべりやすさ」に関する問題でした。「すべりやすい所の例をあげ,その理由を答える」「ブラシで氷をこすると,カーリングのストーンがすべりやすくなる理由を考える」など,教科書に書かれている知識を問うのではなく,自然現象に対する思考力を試す設問が中心です。問題2は,それほど難しいものではありませんが,いかにくふうして計算できるかが試されています。
 大問2は「展開図,規則性」についての問題でした。展開図をかく設問,規則性をもとに立体の個数を求める設問,表面積を計算する設問,工作用紙に切る線・折り曲げる線をかきこむ設問などです。立体図形をきちんと学習した人にとっては平易な問題でしたが,理由や式をわかりやすく記述する能力が問われています。問題3(2)は難易度が高く,苦戦した人も多かったでしょう。

 適性検査Ⅰ~Ⅲは各100点満点ですが,それらの得点はすべて2倍に換算され,各200点満点・合計600点満点になります。これに報告書の200点分(換算後)が加わり,計800点満点で合否が決まります。つまり,適性検査と報告書の合否割合が75:25となり,適性検査のしめる割合は,東京都立桜修館中等教育学校や東京都立白鴎高等学校附属中学校などの70%よりも高く,東京都立両国高等学校附属中学校,東京都立大泉高等学校附属中学校,東京都立富士高等学校附属中学校,千代田区立九段中等教育学校などの80%よりも低くなっています。
 また,適性検査Ⅱ・Ⅲでは,合計400点(換算後)のうち,算数が約6割,理科が約3割をしめていることから,算数と理科が合否のかぎをにぎっているといえます。

 さらに,毎年,手際よく割合に関して正確に計算できる力,グラフを完成させる力,実験方法を考え出す力,身近にある具体的な例を考える力が問われており,それに関する問題が用意されています。

 したがって,各教科の基本的な知識を身に付けることはもちろんのこと,日常のあらゆることに関心を持ち,「そのことがらの原因や理由は何なのか?」「自分ならどう考えるか?」といった積極性を持って生活していく態度が求められています。そして,自分が考えたことや感じたこととその理由を,わかりやすい文章にして人に伝える力を養っていくことが同校合格に必要な要素といえるでしょう。


掲載日:2016年7月4日
次回の掲載は,2016年8月1日の予定です。

[2016/06/07] 東京都立両国高等学校附属中学校の傾向と対策


 今回は,東京都立両国高等学校附属中学校の2016年度実入試問題をもとに,同校の傾向と対策を見ていきます。

 2016年度入試は,前年同様,適性検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲによって選抜が行われ,検査時間は適性検査Ⅰ~Ⅱが各45分間,適性検査Ⅲが30分間でした。

 適性検査Ⅰは国語で,例年通り2つの文章があたえられました。
 問題1~問題4は,文章中から語句をぬき出す,あるいは文章中の言葉を使って答える問題で,前年度と比べて取り組みやすい設問でした。文章はそれほど難解ではありませんが,正確に読み取って答える必要があります。
 問題5は,350字以上400字以内で書く作文です。筆者の考えをまとめた上で自分の意見を述べる設問なので,あたえられた文章の要旨を的確につかむ練習を積んでおく必要があります。また,前年同様,「あなたがこれまでにやってきたこと,これからやりたいことをそれぞれ具体例として挙げること」が,満たすべき条件としてあたえられました。
 自分の体験や夢を具体的に書けるようになるためには,日ごろから日記をつけることや定期的に作文を書くなどの習慣を持つことが効果的です。

 適性検査Ⅱは,大問が3問(算数・社会・理科)です。
 大問1は「渋滞」を題材にしたもので,会話文とルールをしっかりと読んで理解すれば答えやすい問題です。
 大問2は歴史および条件の理解,資料の読み取りが出題されました。知識を問う歴史の設問,会話文を読んで条件に沿って考える設問,表から読み取れることをもとにして説明する設問でしたが,問題1・2は比較的取り組みやすかったと思います。
 大問3は,アゲハチョウに関する問題です。問題1は,資料をもとに幼虫のからだのしくみを資料から考察する設問で,資料を注意深く読めば,知識がなくても解ける問題です。問題2・3は,実験結果から結論を考える問題で,ふだんから理科実験のまとめや調べ学習に積極的に取り組んできた人にとっては難しい問題ではありません。

 適性検査Ⅲは,大問が2問(算数・理科)です。
 大問1は,割合の計算,新聞のページ数を求める設問,パズルに関する設問でした。ページ数を求める問題は考えにくかったと思いますが,他の2問は確実に解きたいところです。
 大問2は,空気の性質,集合の問題でした。空気の性質の問題は,身の回りのものにふだんから興味を持って観察する習慣があれば,それほど難しいものではありません。しかし,集合の問題は,ある程度習熟していないと正解は難しいかもしれません。

 適性検査Ⅱは大問1・2ともに問題3が,適性検査Ⅲは大問1・2ともに問題2が解きにくかったかもしれません。それ以外の問題は,会話文や条件をしっかり読んで理解すれば,努力を積み重ねてきた受検生にとってはそれほど難しい問題ではなかったと思います。

 したがって,入試本番では解けそうな問題と後回しにしたほうがよさそうな問題を見極め,解けそうな問題を確実に解くことが合格への近道になります。また,小学校で学ぶ内容は,すべての科目に対して前向きに取り組む態度が必要です。歴史は出題されないだろうと決めてかかっていた児童にとって,今年は少しあわてる結果になったかもしれません。

 いずれにしても,会話文や資料を正確に理解する力,グラフや表から読み取ったことをもとに推論する力が試されますので,同様の演習をくり返し行い,論理的に考える力を養う練習が必要です。


掲載日:2016年6月7日
次回の掲載は,2016年7月4日の予定です。

[2016/05/02] どのような問題が出題されるのかを早く知ること


 みなさん,こんにちは。
 5月の大型連休に入りましたが,順調に勉強が進んでいるでしょうか。
 さて,今回は,今のうちの「公立中高一貫校では,どのような適性検査問題が出題されているかを知ってほしい」というお話しをしたいと思います。

 入試といえば,学習したことをどれだけ覚えているか,または出題された問題を適切なパターンで解くことができるかなどが評価対象と思われがちですが,公立中高一貫校入試においては,そんなことよりも「考えること」「表現すること」が選抜(せんばつ)の中心となります。

 たとえば,公立中高一貫校入試に欠かせない作文問題について見ていくと,今春入試がおこなわれた東京都立武蔵高等学校附属中学校では,読書について書かれた2つの文章があたえられ,「あなたにとって『読書があたえてくれるもの』とは何ですか。文章1と文章2,それぞれの要点にふれ,あなたの考えを四百字以上四百四十字以内で適切にまとめなさい。」という問題が出題されました。

 また,東京都立桜修館中等教育学校では,資料としてやじろべえの絵が1つあたえられ,「次の資料を見て,あなたが考えたことを分かりやすく書きましょう。字数は五百字以上六百字以内とします。」といった問題が出題されました。

 教科融合問題に関しても,会話をふくむ問題文は長く,多くの資料をもとに考えさせる問題が多く出題されています。

 公立中高一貫校入試は,原則として教科書の範囲(はんい)をこえないレベルで作問されており,受検生(受験生)に求められているのは,どれだけ自分の頭で考えることができるか,どれだけ相手にわかりやすく表現できるかが中心です。

 小学校でおこなわれるテストや私国立中学入試とは傾向(けいこう)が異なるため,公立中高一貫校入試では受検生(受験生)に何を要求しているのかをしっかりつかみ,入試本番に向けてぶれない心構えを持ちながら勉強していくことが必要です。

 したがって,今は自分が目指す公立中高一貫校の1年分の実入試問題(過去問)だけで構いません。ながめるだけではなく,一度じっくりと問題に取り組み,どのような力が試されているのかを感じてください。

 もちろん,今の段階ではほとんど正解できないと思いますが,それで構いません。公立中高一貫校入試に向けた勉強は,暗記や解き方の決まったパターンを身につけるだけではないことを理解し,今後の勉強の方法を知るのが目的なのですから。

 また,机に向かうことだけが勉強なのではなく,身の回りで起こるすべてが公立中高一貫校入試のために用意された材料であることに気づき,その材料に対して「考える」「表現する」姿勢を自分の中心にすえて毎日を過ごしていってほしいと思います。


掲載日:2016年5月2日
次回の掲載は,2016年6月6日の予定です。

[2016/04/04] あらゆることに興味・関心を持って考えよう


 新学期になると,必ずと言ってよいほど「公立中高一貫校入試に向けた心構え」に関する質問を受けます。しかし,ありきたりと思ってはいけません。何事も心構えというものはとても大切なのですから。

 一般的に言われるのは「公立中高一貫校入試の傾向を正しくつかみ,その傾向にそった方法で勉強していく」ということですが,今回はそれ以前の問題として,より大切にしてほしいことをお話しします。それは,公立中高一貫校がどのような生徒を求めているかを正しく理解したうえで,ぶれることのない方針を基本にすえてほしいということです。ここで申し上げる基本とは,大きく2つあると思います。

 一つ目は,身のまわりのあらゆることに興味・関心を持ってほしいということです。そして二つ目は,どんなことに対しても自分の頭で考え,正しく表現するという意識を持ってほしいということです。

 あたりまえだと思って軽く聞き流してはいけません。この基本方針を真に理解したうえで本気で勉強していけば,まちがいなく着実に合格に近づいていけるからです。

 すでにご存じのように,ほぼすべての公立中高一貫校で,「あなたの考えを書きなさい。」「あなたの経験をふまえたうえで述べなさい。」という形式の問題が出題されています。また,いくつかの資料があたえられて考察する問題や実験結果から結論を導き説明する問題なども多いですね。

 果たして,丸暗記によって得られた知識だけでそういった問題を解くことができるでしょうか。または,「こういった問題はこう解く」といった解法テクニックによって解決するでしょうか。答えはノーです。

 また,全国の公立中高一貫校が教育方針にかかげているのが「未来を切り開くリーダーの育成」です。では,リーダーとはどのような人を指すのでしょうか。この答えが「自分の頭で主体的に考え,それを人にわかりやすく表現する力をそなえた人」なわけです。

 くり返します。身のまわりのあらゆることに興味・関心を持つこと。そして,どんなことに対しても自分の頭で考え,正しく表現するという意識を持つこと。ぜひ,ぶれることのない基本方針にこの二つをすえていただきたいと思います。


掲載日:2016年4月4日
次回の掲載は,2016年5月2日の予定です。

[2016/03/07] 公立中高一貫校入試に向けた勉強で得られるもの


 みなさん,こんにちは。
 東京都内は寒さもゆるみ,春のきざしを感じるころとなりましたが,みなさんがお住まいの地域はいかがですか。

 さて,今回のコラムでは,あと1か月ほどで新学年をむかえるにあたり,いま考えてほしいことをお伝えします。それは,公立中高一貫校入試に向けた勉強をすることで,何が得られるのかということです。

 みなさんが将来,社会に出て活躍(かつやく)するようになったとき,実にさまざまな場面に出会うでしょう。難しい仕事に苦労することもあると思いますし,周りの人たちとの人間関係でなやむことがあるかもしれません。

 どのような苦労やなやみも,基本的には自らが考え,切り開いていかなくてはなりませんが,そのためには「自分の頭で考える」ことが必要になってきます。つまり,ものごとを冷静に分析(ぶんせき)したり,新しいことを創造したり,考えたことを的確に表現したり,人とのコミュニケーションをうまくとったりといった能力が必要です。

 受験というと,難しい問題を解く能力を身につけ,たくさんの細かい知識を覚えることを思いうかべがちですが,公立中高一貫校入試に向けた勉強は,まさにいま述べた「分析力」「創造力」「表現力」などをきたえていくことが目標となります。受動的に何かを学んだり覚えたりすることよりも,能動的に自分で考える力を養っていくことが日々の課題となります。

 努力して身につけた考える能力は,みなさんが大人になったとき,毎日を生きていくうえで多いに役立つでしょう。みなさんのように,まだ頭も心もやわらかく,ぐんぐんと成長できるこの時期に,人生で最も基本的で大切な能力を育てることは,みなさんが想像する以上に価値あることだと確信しています。


掲載日:2016年3月7日
次回の掲載は,2016年4月4日の予定です。