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ひろやん道場

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ひろやん先生

首都圏を中心に全国の公立中高一貫校の研究を始めて長い月日が経ちました。これからも,みなさんに役立つ情報をたくさんお伝えできればと思っています。公立中高一貫校のことはたくさん知っているのでたよりにしてくださいね。

[2017/06/05] 東京都立南多摩中等教育学校の傾向と対策


 今回は,東京都立南多摩中等教育学校の2017年度入試をもとに,同校の傾向(けいこう)と対策を考えていきます。

 2017年度入試は,前年同様,適性検査Ⅰ・Ⅱがおこなわれ,試験時間は各45分でした。

 適性検査Ⅰは国語です。一昨年,昨年は2つの文章が出題されましたが,今回は1つの文章があたえられ,問題は3つでした。

 問題1・2は,文章中の傍線部(ぼうせんぶ)について,理由や内容を問う問題です。文章はそれほど難解ではありませんが,部分的にそのままぬき出して組み立てれば解答できるというものではなく,書かれている内容を正確に理解したうえで題意に沿って答える必要があります。
 問題3は,あたえられた文章をもとに,400字以上500字以内で書く作文でした。「あなたが社会や地域の中で困っていることは何か。そしてそれを良くするために周りにどのように働きかけるか。」といった内容の設問でしたが,生活の中で起こるさまざまな出来事に対して,日ごろからいかに問題意識を持って過ごしているかが問われています。楽しいことや期待していること,困っていること,苦しいことなど,自分の思いを作文や日記に書く習慣をつけることがよい対策となるでしょう。

 適性検査Ⅱは,大問が3問(算数・社会・理科)です。

 大問1は「正三角形」を題材にした問題です。会話文に書かれていることを理解する力と図形の性質についての思考力が問われます。
 問題1は容易でしたが,問題2は,2つのグループに分けた場合の正三角形の並べ方が理解できるかどうかがポイントです。設問の主旨(しゅし)をとらえるのに手こずった受検生が多かったかもしれません。
 問題3は,正三角形の数をもとにして「見かけ上の辺の数」を求める問題で,規則性を検証したうえで説明する問題でした。

 大問2は,「野菜の生産」を題材にしたものです。
 問題1は,土の温度と気温の変化のグラフをもとに,畑にわらをしく理由を問うもので,グラフをきちんと読み取ることができれば容易に正解できる設問でした。
 問題2は,割合の計算と産地の分布の特色を説明する問題です。割合の計算そのものは基本的なものですので,正確に計算して得点したいところです。
 問題3は,複数の資料を分析して説明する問題です。資料の数が多いのですが,着目点を見極めて考えればそれほど難しい設問ではありません。

 大問3は,「時間の計り方」と「落ちるプラスチック球」を題材にしたものでした。
 問題1は,太陽,ふり子,ろうそくのいずれかを選び,時間を計るのに適している理由を述べる問題です。規則正しく変化していくことに気づければ難しい設問ではありませんが,理解しやすいように論理的に記述する必要があります。
 問題2は,実験の結果に当てはまるグラフを選ぶ問題です。結果を表した表をきちんと読み取れれば正解できる設問でした。
 問題3は,条件を組み合わせておこなった実験結果から,プラスチック球が落ちるのにえいきょうする条件とえいきょうしない条件を選び,その理由を述べる問題です。難解に見える設問ですが,ある条件が結果にえいきょうするということを述べるためには,その他の条件をそろえておかなければならないという実験(対照実験)を理解していれば得点できたのではないでしょうか。

 大問1の問題2・3,大問2の問題3と大問3の問題3は解きにくかったかもしれませんが,それ以外の問題は,会話文や問題文をきちんと読み,問いで聞かれていることを理解すれば難しい問題ではなかったと思います。

 いずれも教科書はん囲の知識で解ける問題ですが,解きにくい設問に時間をかけていると,解きやすい問題も時間不足になるおそれがあるため,解けそうな問題と後回しにしたほうがよさそうなものを見極める判断力も養っておく必要があります。

 また,表やグラフを正確に読み取る力,資料にのっていることをもとに推論する力が試されているので,筋道立てて考える力を養う練習が必要です。

 ふだんからの心構えとしては,学校の授業の内容をきちんと理解し,基本的なことがらを覚えることがまず第一です。実験などにも積極的に取り組み,自分の頭で考えて表現するという態度を養っていきましょう。

 適性検査Ⅰ・Ⅱは,それぞれ100点満点ですが,適性検査Ⅱは2倍された後,Ⅰ・Ⅱ合わせて800点に換算され,これに報告書の200点(換算後)が加わって1000点満点で判定されます。
 つまり,適性検査が80%,報告書が20%となり,適性検査がしめる割合は,東京都立武蔵高等学校附属中学校,東京都立桜修館中等教育学校などより高くなっています。

 換算後の比率は,国語:算数:社会:理科が,およそ10:7:7:7となりますが,算数,社会,理科の小問は説明や理由を求める記述が多いので,読む人にわかりやすく書く力を養う学習を基本としつつ,全科目においてバランスのとれた勉強が必要となります。


掲載日:2017年6月5日
次回の掲載は,2017年7月3日の予定です。