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拝啓保護者様

PROFILEいっとく先生プロフィール

いっとく先生

むぎっ子広場は,2006年の開設当初から関与しており,2012年に一度降板しましたが,今回再登板することになりました。「拝啓保護者様」では,保護者の方から頂戴するご質問・ご相談にお答えする形で進めていきます。僭越ながら(と,一応謙遜したうえで),自信たっぷりに持論を展開いたします。
どんぐりスクール主宰 いっとく先生
ホームページ http://www.dongurikorokoro.com

[2015/02/23] 経済的・精神的・社会的に自立した大人に・・・


ご質問:
 残念ながら公立中高一貫校は不合格でしたが、私立中学校から合格をいただきました。地元公立中学校に行くべきか、合格をいただいた私立中学校に行くべきか、悩んでいます。いっとく先生のお考えをお聞かせください。

(Sさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 子ども本人よりも保護者様の気苦労が多いのが中学入試というものです。まずは公立中高一貫校入試,お疲れ様でした。

 Sさんには,ご質問を頂戴した同日にお電話にて現状を把握したうえで,私見をお伝えさせて頂きました。今回は,Sさんにお答えした内容と多少相違がございますが,まずもってお考え頂きたいことをまとめたいと思います。


 我が子の「受験(受検)」というのはなんとも厄介なものですが,入試とか進路とか,そういったことを判断する前に,「子どもの教育」というものに立ち返って頂きたいと,私は常々思っています。端的に言えば,「どのような大人になってほしいか」ということです。

 人に迷惑をかけない大人になってほしい。
 幸せになってほしい。
 自立した大人になってほしい。

 いろいろなお考えがあるでしょう。

 わたくしごとですが,昨年,長男が産まれました。男児が産まれたときは私が,女児が産まれたときは妻が名前を考え,お互いが合意したらその名前にするというのがわが家の決まりです。長男でしたから私の番です。そのとき,私が真っ先に考えたのは,「どのような大人になってほしいか」ということでした。

 みなさんも同じような経験をなさっておられるのではないでしょうか。
 ぜひ,そのときを思い出して頂きたいと思うのです。


 そのなかで,代表的なお考えに「経済的・精神的・社会的に自立した大人に育ってほしい」というものがあります。ごもっともだと思います。決して,「いい中学に行き,いい高校に行き,いい大学に行き,いい会社に入って・・・・・・」というお考えは出てきません。

 しかし,受験(受検),入試,進路の話になった途端に,多くの保護者様は,「いい中学に行き・・・・・・,いい大学に行き,」の世界に迷い込んでしまいます。親が願っているのは「経済的・精神的・社会的に自立した大人に育ってほしい」ということなのに,そのための方法が「いい中学に行き・・・・・・,いい大学に行き,」しかないと思ってしまうのです。

 確かに,一昔前にはそういう時代がありました。いや,いまでもそれが主流であることは否定しません。ただし,まちがえないで頂きたいのは,それが唯一の道(進路)では決してないということです。

 もしかしたら,一見遠回りと思える道(進路)を歩いてしまうことがあるかもしれません。不登校といった問題に遭遇し,足踏みしてしまうことがあるかもしれません。しかし,「経済的・精神的・社会的に自立した大人に育ってほしい」という思いがあれば,必ずや子どもはそれに近づいていけると私は確信しています。

 私は就職ではなく,起業という道を選びました。友人のなかには,大企業に就職して数十億円のプロジェクトに関わっている人がいます。一方,私にとって数十億なんて考えられない世界です。
 しかし,私はすべてをイチから立ち上げ,すべてに関与できる楽しさとやりがいがあります。それに,定年退職がありません。働きたいときに働きたいだけ働けます。仕事が空いた日は,妻子といっしょに,平日昼間にショッピングセンターや図書館にも行けます(笑)。

 公立中高一貫校を目指して一生懸命に勉強し,その結果,公立中高一貫校に合格できるのがベストです。ただし,世間というものはそれほどやさしくありません。たった12年しか生きていない子どもに対して,残酷にも合否がつきつけられます。残された選択肢のどちらを歩むかは,お子様が産まれたときに保護者様が願った思いをお子様にお伝えになったうえで,親子で相談してお決め頂くのがよろしいかと思います。その答えに正解はありませんし,そもそも「いい中学校」の「いい」の価値はみなちがいます。


掲載日:2015年2月23日
次回の掲載は,2015年3月30日の予定です。

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[2015/01/26] 公立中高一貫校入試当日に持っていく物リスト


ご質問:
 公立中高一貫校入試当日に持っていくべきものを教えてください。

(Mさん・神奈川県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 今回は,公立中高一貫校入試当日に持っていくべき物をまとめます。また,入試当日に起こり得るトラブルも列挙しますので参考になさってください。

 当然のことながら,入試当日の持ち物と服装は必ず入試前日までに準備しましょう。

■受検生の持ち物チェック
□ 受検票(受験票)
□ 鉛筆(8~10本)
□ 携帯用鉛筆けずり
□ 消しゴム(2~3個)
□ 定規・三角定規・コンパス(持ち込み禁止の場合もあるので事前に確認)
□ 腕時計(計算機能等がないものに限定,教室に掛け時計がない場合は意外に多い)
□ 上履き,外履きを入れる袋(必要な場合のみ)
□ 厚紙・段ボールの切れ端(机がガタガタするとき,脚の下にはさんで調整する)
□ 公共交通機関のICカード(残額を事前に確認,公共交通機関で移動する場合)
□ ハンカチ,ティッシュ,タオル
□ カイロ,マフラー,手袋
□ お弁当(必要な場合のみ)
□ 水筒
□ 愛着のあるテキストやノート
□ お守りや常備薬,マスクなどその他必要なもの

■保護者の持ち物チェック
□ 学校の連絡先,受検番号(受験番号)の控え
□ 入試要項(当日の諸注意),願書や志願理由書のコピー(面接がある場合は志願理由書を読み直して復習すること)
□ お財布(タクシー移動になった場合に備えて多めに準備)・公共交通機関のICカード(残額を事前に確認,公共交通機関で移動する場合)
□ カイロ,マフラー,手袋,ひざかけなどの防寒具(極寒の体育館が保護者控え室に使われることが多い)
□ 上履き,外履きを入れる袋(必要な場合のみ)
□ 携帯電話・スマートフォン
□ 折りたたみの傘(万が一のために持っておくと安心です)

■保護者の方は入試当日の天気予報や学校までの複数のルートなどを確認しましょう
 入試当日の天気が雨の予報の場合は,混雑が予想されるため,30分程度早く家を出る計画を立ててください。基本的には公共交通機関を利用すべきであって,マイカーの利用は避けてください。その理由は,公共交通機関で大幅な遅延が発生した場合は試験開始時間を遅らす等の措置が講じられるのが通例ですが,マイカーの場合は交通渋滞が起きてもそういった配慮は一切ないからです。
 その一方で,地方の公立中高一貫校ではグラウンドが駐車場として開放されることがあります。ただし,その場合は学校周辺が大渋滞となるのが通例です。学校周辺までマイカーで来て渋滞が発生していたら,「歩いた方が早い」という判断を下すのも賢明です。

■保護者の方は前日の夜のうちに朝食やお弁当の下準備を
 入試当日の朝は慌ただしく過ぎていくので,保護者の方は前日の夜のうちに朝食やお弁当の下準備をしておくことをおすすめします。

■着脱しやすい服装を
 階段状の教室(視聴覚室)などが試験会場になった場合,前の列と後ろの列では室温に差が生じます(あたたかい空気は上方に向かって移動するからです)。そのため,着脱しやすい服装を心がけてください。

■公共交通機関で遅延が発生したら
 複数の路線が併走する首都圏の場合は,事前に調べておいた別の路線に乗りかえましょう。大幅に遅れそうなときは学校に電話連絡をしましょう。冷静に,かつ落ち着いて行動することが何よりも大切です。

■体調不良のときは
 急に腹痛や下痢をもよおしたら,無理をせずに途中下車し駅のトイレを利用しましょう。女子は突然生理になることもあります。念のため生理用品を持たせておきましょう。

■忘れ物をしたときは
 受検票(受験票)を忘れてしまっても,家には戻らずに学校へ向かいましょう。受付で申し出れば受検可能な場合がほとんどです。文房具などを忘れてしまったときは,学校へ向かう途中のコンビニエンスストアなどで買える物は買いましょう。学校で貸してもらえる場合もあるので,慌てずに受付で申し出てみましょう。

 みなさんの公立中高一貫校合格をお祈りいたします。


掲載日:2015年1月26日
次回の掲載は,2015年2月23日の予定です。

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[2015/01/05] 公立中高一貫校入試 入学願書・志願理由書の書き方


ご質問:
 東京都内在住の者です。入学願書と志願理由書の書き方で注意すべき点をご教授ください。

(Hさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 ここでは,全国の公立中高一貫校に対応できるように,総論をお話しします。また,志願理由書(学校によって表現が異なる)は出願時に提出を求められる学校とそうでない学校があるので,志望校の募集要項で予めご確認ください。

■(余談)調査書の依頼
 公立中高一貫校入試の場合,小学校の先生が記入する調査書が出願に必要です。ここでよくご質問を受けるのが受検終了後の先生へのお礼です。公立小学校の先生は公務員のため,金品でのお礼はかえってご迷惑になります。口頭でのお礼にとどめましょう。

■(余談)入学願書用の写真
 写真はできるだけ写真館に出向いて撮ってもらいましょう。そうすることで,枚数やサイズを自由に指定でき便利です。撮影時の服装は,制服がある小学校は制服で,制服がない場合は何でも構いませんが,メガネをかけて受検する人はメガネをかけて撮影しましょう。顔がはっきり写るように髪型はさっぱりと,服装をふくめて清潔感のあるものを心がけるとよいでしょう。面接がある公立中高一貫校を受検する人は,面接時に着る服で写真を撮ることをおすすめしています
 なお,はがれたときのことを考えて,裏に名前と小学校名を書いてから貼りつけましょう。

■下書きをしてから本番
 入学願書・志願理由書ともに,必ずコンビニエンスストアなどで複数枚コピーをし,文字の大きさや配置,バランスを見ながら下書きをしましょう。筆記用具は,指定がなければ黒のボールペン(ゲルインキボールペンがおすすめ)が一般的です。最近流行っている「摩擦熱で消えるボールペン」の使用は絶対に控えてください。志願理由書については,「受検生自身がえんぴつで書きなさい」と指定している公立中高一貫校もあるので,記入前に注意事項をよく読んでおきましょう。書き終えたら,記入者以外の第三者に必ず確認してもらいましょう
 下書きが完成したら,本番(清書)にうつります。読む人のことを考えて読みやすくはっきりした字で書けているかどうかが大きなポイントです。清書が終わったら,保護者の控えとしてコピーを取っておきましょう。特に,面接がある公立中高一貫校を受検する人は,絶対に志願理由書のコピーを取っておきましょう。なぜならば,面接は志願理由書にもとづいておこなわれるからです。ある公立中高一貫校の先生から「志願理由書には算数が得意と書いてあったのに,面接で同じ質問をしたら体育という答えが返ってきた」というお話を伺ったことがあります。「志願理由書はだれが書いたの?」と疑問に思われたそうです。志願理由書のコピーで,入試前日に書いた内容を復習してください!!

■志願理由書で特に注意すべき点
 先ほどのくり返しになりますが,面接がある公立中高一貫校を受検する人は,面接が志願理由書にもとづいておこなわれるという事実を忘れてはいけません。したがって,志願理由書にウソを書くと,鈴木福くんや芦田愛菜さんのような演技が上手にできる人をのぞいてほぼまちがいなくばれます。
 また,面接がないのに志願理由書の提出が求められる公立中高一貫校を受検する場合,それが活用される場面はただ一つ。それは合否ライン上に複数名の受検生がいる場合です。つまり,合否ライン上に受検生が5人いて,そのうち2人だけを合格者としなければならないといった場面が生じた場合,調査書と志願理由書がその判断基準になります。
 以上のことから,志願理由書には「ありのままを正直に書く」ということを前提条件としたうえで,特に次の点に注意してください。

●志願理由
 この学校にどうしても通いたい理由を探し出しましょう。したがって,「家から近い」「授業料がいらない」といったものは志願理由になり得ないことがわかると思います。公立中高一貫校から「家から近く,授業料がいらない地元の中学校に行ってください」と言われるだけです。

●小学校でがんばってきたこと
 どんな小さいなことでも構いません。胸を張って「がんばった」といえる内容を探し出しましょう。たとえば,「飼育係として,夏休み期間中もうさぎのエサやりに登校した」「学校に行きたくないなぁと思ったときもあったが,6年間休まずに無遅刻無欠席でがんばった」といったものも,胸を張って「がんばった」といえる内容です。公立中高一貫校は,華麗な実績だけを評価対象にしているわけではありません。

●将来の夢や希望
 必ず何か一つ書きましょう。「まだ,決まっていません」といったことを書いてはいけません。将来の夢や希望をしっかりと持っている受検生とそうでない受検生のどちらを公立中高一貫校が欲しているかは,火を見るよりも明らかです。


掲載日:2015年1月5日
次回の掲載は,2015年1月26日の予定です。

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[2014/11/24] 問題用紙はよごせ! 解答用紙はよごすな!


ご質問:
 むぎっ子通信添削やむぎっ子模試を通して、適性検査問題に対応する力がかなり備わってきたと感じていますが、いまだケアレスミスが多く、ここにこう書いてあるのに見落としていたり、注釈の条件を忘れていたりします。ケアレスミスを防ぐ方法をご指導ください。

(Rさん・福井県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 むぎっ子通信添削やむぎっ子模試を受講・受検くださっているということで,早速,Rさんのお子様の答案を拝見しました。確かに,ケアレスミスと思われる問題がいくつも見受けられました。
 おそらく,ケアレスミスに悩んでおられる方が多くいらっしゃると思いますので,今回はこのことについてお話します。

 公立中高一貫校入試とはいわば宝探しのようなものだと,以前,私はこのコラムで述べました(くわしくはこちらをお読みください)。その宝の多くは問題用紙の中にかくれています。公立中高一貫校入試におけるケアレスミスとは,おもにその宝を見落とすところから起きます。では,どうやって見落としを防いでいくかが課題となります。

 みなさんは,「問題用紙はよごせ! 解答用紙はよごすな!」という言葉をお聞きになったことはありますか。受験業界ではあたりまえのように指導されている基本姿勢のうちの1つです。もちろん,「問題用紙をよごせ!」といっても,問題用紙いっぱいに落書きをしてよごしてしまえという意味ではありません。わかりやすくいえば,問題用紙にどんどん書きこみをしろということです。

 すでに述べているように,公立中高一貫校入試が宝探しである以上,問題文中からその宝を探さなければなりません。もちろん,1つの宝が見つかれば終わりという平易な問題はほとんどありません。そこで,問題文中にかくされたヒントには線を引いておくことが大切です。また,これはキーワードになりそうだなと思うものには,丸や四角で囲んでおくようにしましょう。ただし,「そんなことはもうやってる!」と言う人がほとんどなはずです(万が一,「問題用紙に線が一切引かれていない」という場合は,その時点で不合格まっしぐらです。すぐに実践するようにお子様に促してあげてください)。私が申し上げている「問題用紙をよごせ!」というのは,おもに次のことをいいます。

 入試で制限時間が設けられている以上,解答を書くときにきちんと下書きをして,それをよく読んで手直しをして,ていねいに清書するなんて時間はまったくありません。そのため,どうしてもはじめから解答用紙に直接答えを書いていくようになりがちです。もちろんそれで構いません。

 しかし,問題文中のヒントとなる箇所に線を引いたり,丸や四角で囲んだりしたからといって,頭の中だけで考えを整理して解答を書き上げるというのは,並大抵のことではありません。まして,緊張している入試本番では時間に追われ,考えを整理する前に答えを書き始めようとするプレッシャーが強まります。そのため,書いている途中で文が続かなくなって手が止まってしまったり,書きながら何度も何度も書き直して,解答用紙が真っ黒によごれてしまったり。はたまた,消しゴムを使いすぎて解答用紙が破れてしまうことがあるかもしれません。現に,とある公立中高一貫校の先生にお尋ねすると,やぶれた解答用紙が毎年何枚もあるそうです。

 このように,特に公立中高一貫校入試では,急いで答えを書こうとするあまり,かえって時間をロスしてしまうことが多々あります。やはり,しっかりとした解答を書くためには,解答の材料をそろえたうえで,それらをつなぎ合わせていく順番を考える時間が必要です。かといって,くり返しますが,ゆっくりと下書きをしている暇はありません。

 だからこそ覚えておいてほしいのが,「問題用紙はよごせ! 解答用紙はよごすな!」です。つまり,「解答用紙はよごすな!」とは,いきなり解答用紙に書きこむなという意味です。解答用紙がよごれるほど何度も何度も書き直す羽目になるのだから,そうではなく,問題用紙に書きこみながら,頭の中をきちんと整理したうえで一気に解答を書き上げていく。これがベストな方法です。そうすれば,「書くべき内容を書き忘れる」といったケアレスミスも激減します。実践あれ。


掲載日:2014年11月24日
次回の掲載は,2015年1月5日の予定です。

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[2014/10/28] 東京都立中高一貫校の適性検査問題のレベルは・・・


ご質問:
 来年の入試から、東京都立中高一貫校の適性検査問題が共通化されると思うのですが、娘が通っている塾では、共通になると、平均的な問題しか作れなくなるので、問題は簡単になるだろうといわれました。いっとく先生もこのように思われていますか。見解をお聞かせ下さい。

(Kさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 東京都外の方々にはまったく関係ない話題なのですが,本件については多くの東京都内在住の保護者様から同様のご質問,または「過去問はどのくらい丁寧に取り組めばよいのか」「そもそも過去問に取り組む意味はあるのか」といったご質問を頂戴しておりますので,今回はこのご質問にお答えします。東京都外の方々につきましては,あまり有益な情報にならないことをお許しください。

 東京都立の公立中高一貫校は,現在計10校あります(千代田区立九段中等教育学校は東京都立ではないため,除きます)。2015年度入試より,これまで10校がおのおの作成してきた適性検査問題の共同作成方式を採り入れ,同一の入試問題を出題することになりました。ただし,大問の差し替えによって独自問題を出題することも認められていますし,適性検査Ⅲは各校が独自に作成することになっています。ここではこういった詳細は記しませんので,ご存じない方は,こちらをご覧ください。
 いわゆるこれが「入試問題の共通化」です。平たく言えば,これまでは各校が勝手に問題を作っていたが,東京都立小石川中等教育学校を筆頭に複数の学校が出題ミスを起こすし,作問も面倒だから,これからは一緒に作りましょうということです。

 さて,お子様の通塾先で指摘された「適性検査問題の共通化によって,偏りのない平準化された問題が多くなるから,結果的に問題レベルは易化する」という見解は,一般的なものであり,概してそのように言われています。

 以下,私の見解を述べます。

 結論から申し上げると,問題が易化するという予想は根拠に乏しく,逆に,難しくなる可能性も十分に考慮すべきだと考えています。なぜならば,東京都教育委員会は入試問題の共通化によって大幅に問題難易度を上げた前例(前科?)があるからです。

 東京都立学校の入試問題共通化は,公立中高一貫校に限った話ではありません。実は,一足早く,2014年度入試より,東京都教育委員会は高校入試問題の共通化に踏み切っています。
 「えっ,もともと高校入試は全校同一問題でしょう?」と思われるかもしれません。おっしゃる通りです。しかし,東京都立日比谷高等学校や東京都立戸山高等学校など,進学重点指定校,またはそれに準ずる指定を受けた最難関の東京都立高校(計15校)に限って,学校独自が作成した問題によって入試がおこなわれていました。それらの学校群には,併設型公立中高一貫校である,東京都立両国高等学校や東京都立武蔵高等学校なども含まれています。

 つまり,2014年度入試より,東京都教育委員会は独自問題で入試をおこなってきた計15校の東京都立高校を3つのグループに分類したうえで,独自問題の共通化に踏み切ったわけです。事前の予想は,「複数の高校教諭が集まったグループで問題を作るので,平均化して易しくなる」というものでしたが,ふたを開けてみれば,共通化された入試問題は,大幅に問題レベルが上がっていました。なかでも,東京都立日比谷高等学校と東京都立西高等学校は,数学の1つの大問を極めて難解な自校作成問題に差し替えて,学校の特色を前面に出してきました。また,他校に属する知見の異なる高校教諭が集まって問題を作成したため,これまでの各校の入試では出題されなかったようなタイプの問題も散見されました。

 先ほど,東京都教育委員会は入試問題の共通化によって大幅に問題難易度を上げた前例(前科?)があると申し上げたのは,そういう理由に依ります。

 したがって,これまで各校が出題してきた適性検査よりもさらにレベルの高い問題が出題される可能性も十分に考慮したうえで,「少なくとも過去問は完全に解けるようになっておく」「問題傾向やレベルがまったく異なる問題が出題される可能性もあるが,他の受験生と条件は同じなので,怯むことなく果敢に適性検査問題に取り組む」という姿勢で,最後の追い込みをかけられることをおすすめいたします。


掲載日:2014年10月28日
次回の掲載は,2014年11月24日の予定です。

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[2014/09/29] ご質問:作文にはウソを書いてもよいのでしょうか


ご質問:
 作文に自分自身の経験等の具体例を書く場合がほとんどだと思うのですが、先日、息子から「ウソを書いてもいいのか」と質問されました。答えに困ってしまい、ご質問をさせて頂きます。いかがでしょうか。
(Hさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 作文に関しては,コラム「作文・はじめの一歩!」やむぎっ子作文添削を担当しておられるめがね先生のほうがご専門でいらっしゃいますので,ここではあくまで,保護者の方々へのアドバイスという本コラムの基本方針に沿ってお答えすることにします。お子様への指導は,めがね先生のコラム「作文・はじめの一歩!」やむぎっ子作文添削の基本冊子などを参考になさってください。

 作文とは裁判と同じであるといわれます。刑事裁判を例に挙げましょう。原告でなる検察官は,「被告人は,いついつ,どこどこで,○○さんのかばんをぬすんだ」と罪状を述べます。これが作文で言う主張です。

 しかし,この罪状を述べるだけで被告人が有罪になることはありませんから,検察官はこの罪状を証明します。自分の主張を裏づけるという点では,これも作文と同じですね。この裁判の場合,監視カメラにその一部始終が収録されていれば有力な証拠能力があると思われます。一方,弁護人は「そのカメラに写っている人物は他人だ」と主張し,そのとき,被告人が別の場所にいた証拠を提出するかもしれません。まちがっても,被告人が別の場所にいた証拠を検察官が提出するはずがありません。それでは,裁判をおこなう意味がありません。税金の無駄なので,一刻も早く釈放してあげてほしいものです。

 つまり,検察官も弁護人も,裁判所に提出する証拠は,自分たちが公判を進めるうえで有利になるものに限られるということです。
 これと同様に,作文にまとめる理由や具体例などは,すべて自分の主張を裏づけ,自分によって有利なものに自ずと限定されるはずです。逆をいえば,自分に有利な内容であれば,何を書いても認められるというのが作文を書くときの暗黙の決まりです。裁判と作文の相違点を挙げるとすれば,それが事実に基づかなければならないのかどうかということでしょう。

 したがって,息子さんからの「ウソ」という言葉の定義が微妙ではあるものの,「自分が経験したことがない内容を想像で書く」という意味であれば,答えは「イエス」です。

 そもそも,作文解答例を公表している公立中高一貫校が複数ありますが,これは事実に基づいた作文でしょうか。同校の教師や各都道府県教育委員会の担当者が書いた虚構の創作文にすぎないのではないでしょうか。

 ボランティア活動について問われたとき,仮に一度もボランティア活動に取り組んだ経験がなくても,あたかも何度もボランティアをおこなったかのように書くのが作文という教科です。ただし,想像で書いた作文は,実体験がともなった作文と比べて,「ウソっぽい」と感じられる内容に仕上がる可能性があります。そのときの勝負は表現力です。めがね先生が何度となくコラムで述べておられることですね。

 子どもに「ウソを書け」とは教育上言えないという声が聞こえてきそうですが,作文とはそもそも「文を作ること」という意味でしかなく,事実でなければならないと決められていません。小説家が新作のフィクションを書いて発刊しても,だれも「ウソ」だと批判しません。それと同じだと考えてはいかがでしょうか。


掲載日:2014年9月29日
次回の掲載は,2014年10月27日の予定です。

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[2014/08/26] ご質問:小学生が絶対に知らないと思われる問題の対策


ご質問:
 公立中高一貫校の入試問題を見ていると、小学生が絶対に知らないと思われる問題が多く出題されています。大人でさえ、「へー、そうなんだ」と初めて知るものもあります。こういった問題は、やはり知っていることが前提となるのでしょうか。(Sさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 前回,資料読み取り問題が苦手という場合,その原因は3つに絞られ,3つ目(その資料に関する基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)が不足している。)については,詳細を次回に持ち越しました。

 今回取り上げたご質問は,前回持ち越した内容に関係しているため,今日はこの話をしたいと思います。

 まずは一例を挙げましょう。
 公立中高一貫校入試向けの勉強を進めていけば,必ずと言ってよいほどエネルギーに関する問題を目にします。そのとき,次の図が定番です。

2014-08-26_01.png

 かの有名なエネルギー可採年数を示した図です。これを見て,「石油は2056年にはなくなってしまう。ぼくはいま小学6年生だから,60歳を前にして石油はなくなるんだ。ヤバイ。」と感じる人は,ある意味で正常な感覚の持ち主なのですが,その一方で,思考が短絡的ともいえます。

 むぎっ子通信添削2014年5月号でこの内容を取り上げているので,お子様が受講した人はぜひ一度見てほしいと思いますが,たとえば,1960年の石油の可採年数は39年でした。2000年の石油の可採年数は40年でした。

 もうおわかりですね。1960年の石油の可採年数だけを聞くと,1999年には石油は枯渇しているはずです。しかし実際には,2000年になればなったで,可採年数は40年になっています。一時点の統計資料を見てものごとを判断することがいかに愚かなことであるかを感じて頂きたいと思います。統計というのは,必ず時系列で見ていくべきものです。

 石油の可採年数を知っている小学生は少ないでしょう。というより,ほとんどの人は知らないと言ったほうがよいでしょう。そこで,公立中高一貫校入試では,さまざまな資料があたえられ,会話文という手法を用いて説明を加えられ,「知識がなくても解ける問題」を生み出しています。公立中高一貫校入試が「知識ではなく,思考力や読解力を問う」といわれる所以です。しかしその一方で,あらかじめ知識として知っておけば,資料や会話文をじっくり読まなくても即答できるともいえます。

 制限時間のない入試は存在しませんから,常に入試は時間との闘いです。あらかじめ知っている知識が多ければ多いほど,「知識で解ける問題は知識で解き,その分,はじめて見る問題により多くの時間をかけて資料や会話文を読み込み,正答率を上げる」ことが可能です。

 つまり,知識はたくさんあればあるほど絶対的に有利なのです。したがって,ご質問内容の結論を述べれば,知っていることは前提にはなりませんが,知識が多ければ多いほど,合格しやすくなると断言できます。


 たとえば,日本の食料自給率に関する議論をさらに深く掘り下げて,カロリーベースと生産額ベースでそのちがいを考えてみることもいまや大切になっています。すでに複数の公立中高一貫校で,「日本の食料自給率が低い」という単調な議論に終止符を打つような問題が出題されています。カロリーベースと生産額ベースのちがいを知っているかどうかで,答案の質は大きく変わってきます。

 なお,カッシー先生が『カッシー先生のゆったり教室』で,食料自給率について取り上げていますので,そちらも参考にしてください。

 2014年第2回 食料自給率が40%とは??-その1-
 2014年第3回 食料自給率が40%とは??-その2-


 少子高齢化(高齢化社会・高齢社会・超高齢社会のちがい),バリアフリー,ユニバーサルデザイン,フードマイレージ,仮想水(バーチャルウォーター,生物多様性など,公立中高一貫校入試の頻出テーマは数多くあります。

 繰り返します。知識はたくさんあればあるほど絶対的に有利という姿勢を基本に据えて,これからも公立中高一貫校対策に取り組んで頂きたいと思います。


掲載日:2014年8月26日
次回の掲載は,2014年9月29日の予定です。

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[2014/07/29] ご質問:資料読み取り問題を得意にする方法について


ご質問:
 理科や算数の問題が得意というわけでは決してありませんが、際だって苦手だとわかるものが資料読み取り問題です。いつもピントがずれた解答になっています。よい対処法を教えてください。(Fさん・千葉県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,超長文であったため,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 資料読み取り問題が苦手な子どもが多いというのはほぼ間違いのない事実でしょう。私自身,子どもたちの答案を添削したり採点したりするなかで実感することですし,現に,本コラムに寄せられるご質問の中にも,今回取り上げたFさん同様,資料読み取り問題の対処法をお尋ねになる保護者が多くいらっしゃいます。

 はじめに申し上げたいのは,「わが子は資料読み取り問題が苦手だ。なんとかしてあげたい。」と思っておられる保護者は,実に優秀だということ。えらそうな物言いになって申し訳ないのですが,お世辞ではなく素直にそう思います。

 なぜ,私がそのように思うのか。
 それは,子どもを塾に預けたら「それで終わり」になっていないからです。無論,塾を信頼するなと申し上げているわけではありませんし,塾に行くな!と申し上げているわけでもありません。一応,私自身,塾を主宰している身ですから,通塾の有無に関してとやかく申し上げる気はありません。しかし,「○○中学校,○○名合格」といった言葉は,「わが子も合格できる」と同義ではありません。結局,「わが子が公立中高一貫校に合格できる実力が身につけられるかどうか」が合否を決するわけです。ちなみに,公立中高一貫校に合格するために必要なのは「運」だと思っておられる方は,時代錯誤も甚だしい。

 横道に逸れましたが,私が言わんとすることは,保護者として,「わが子が公立中高一貫校に合格できる実力が身についてきているのかどうか」といった進捗状況を随時確認しておくべきだということです。逆を言えば,その確認ができているからこそ,「わが子は資料読み取り問題が苦手のようだ。」「いつもピントがずれた解答になっている」という判断が下せるわけですね。

 だから私は,Fさんをふくめて,「わが子は資料読み取り問題が苦手だ。なんとかしてあげたい。」と思っておられる保護者は,実に優秀だと申し上げたわけです。中学受験は親子受験です。それは公立中高一貫校入試とて変わりません。それを肝に銘じて頂ければと思います。
 ただし,保護者が優秀でも子どもが優秀とは限らないのが世の常。そこで私の登場です。では,前置きがとても長くなりましたが,本題に入ります。

 今回は,主たるテーマが前回の続きになるため,第1回をお読みでない方は,はじめにそちらをお読み頂いたうえで,こちらに続いてください。

 資料読み取り問題が苦手という場合,その原因は次の3つに絞られることがすでにわかっています。

1 資料(つまりグラフと表)に関する基本的な知識が不足している。
2 割合や概数,単位の概念が理解できていない。または,それにともなう計算が不得意である。
3 その資料に関する基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)が不足している。

1つ目について
 たとえば,二次元表とはどのような特徴があり,どのように読み取ればよいか,またはどのように表をかけばよいかと問われたとき,お子様は答えることができますか。棒グラフ,折れ線グラフ,円グラフ,帯グラフ,ヒストグラムについてはどうでしょうか。こういった基本的な知識が不足していると,正しい資料読み取りができません。実は,こういった内容は,すべて小学4~6年の算数の教科書に載っています。
 先の二次元表は,小学4年の「整理のしかた」という単元(教科書によって表記に多少の違いがあります)に該当します。二次元表って何?という子どもがいたら,すぐに算数の教科書で復習しましょう。

2つ目について
 円グラフや帯グラフはグラフそのものが割合ですから,割合の概念が理解できていなければ,グラフを「見たまんま」の解答しか書けません。また,統計数字を一の位まで載せることはありませんから,載っている数字はすべて概数です。しかも,「100000000円」と書くよりも「1億円」と書くほうがわかりやすいので,必要に応じて単位が変わります。つまり,割合や概数,単位の概念が理解できていない,または,それにともなう計算ができないとなると,資料の正しい読み取りが不可能になるのです。
 概数は小学4年で,割合は小学5年で,単位は各学年で習いますが,小学6年の最後に「量の単位のしくみ」という単元(教科書によって表記に多少の違いがあります)でまとめて復習することになっています。

3つ目について
 次回詳細を述べますので,今回は割愛します。


 私は第1回で,適性検査問題は宝探しのようなものだと述べました。宝のありかが書かれている地図が読解力であり,方位磁針などの使い方を知っているかどうかは基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)と置きかえることができます。

 ここまでお読み頂ければ,資料読み取り問題においても基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)がいかに大切かがおわかり頂けるでしょう。

 いまは夏休みです。まずは,1~2つ目を徹底的に復習する時間を設けてみてはいかがでしょうか。中学受験は親子受験です。子どもに「やりなさい」と言うのではなく,「いっしょにやってみよう」という姿勢をお忘れなく。


掲載日:2014年7月29日
次回の掲載は,2014年8月25日の予定です。

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 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせよりお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2014/06/30] ご質問:適性検査問題がなかなか解けるようになりません


ご質問:
 公立中高一貫校の受験を考え、子供が塾に通っています。全国の適性検査を使って問題演習中心の授業のようですが、いつまで経っても問題が解けるようにならないように感じます。子供は解説を聞けばわかると言いますが、自力で解ける気配がありません。通っている塾の先生に聞くと、公立中高一貫校は慣れが大切だから気にする必要はないという説明しかなく、正直不安です。(Yさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載しています。

お答え:
 これまで頂戴したご質問で最も多かったのが,今回のような内容でしたので,代表してYさんのご質問にお答えします。なお,お子様の現在の学力などが一切わからないため,ここではあくまで,私の経験上の予測に基づいたものになることを予めご理解ください。

 適性検査問題が解けない理由は数あれど,最も考えられるのが読解力の不足です。つまり,適性検査問題に書かれていることが読み取れないということです。
 ご存じのように,公立中高一貫校が出題する適性検査問題は,長い長い文章や会話文によって設問が構成されています。これらの文章や会話文には,解答のヒントとなるものが点在しています。子どもたちはそのヒントをたよりに,そして基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)を使って,適性検査問題を解いていきます。いわば宝探しのようなものだと思ってください。宝のありかが書かれている地図があり,方位磁針の使い方などはすでに学校で習っている。地図をたよりに,そして持てる知識を使って宝を探す。適性検査問題はこんなたぐいのものです。

 宝のありかが書かれている地図が,適性検査問題に書かれている文章であり会話文です。これらが読み取れなければ,どこに宝があるかわかりません。だから,いつまで経っても宝が見つけられません。つまり,適性検査問題を解くことができません。

 うちの子は読解力があるのかどうかわからないわ・・・という保護者の方は,お子様の漢字力・語彙力をチェックしてみてください。たとえば,「『はかる』という漢字を書いてみて」と聞いてみてください。小学校では,「計る」「量る」「測る」「図る」という4つの漢字を学びます。さらにこの使い分けができているかどうかも聞いてください。
 次に,「とがめる」「うしろめたい」「りりしい」「ものおじしない」といった気持ちやようすを表すことばの意味がわかるかどうかも聞いてみてください。

 文章はことばの集合体ですから,それぞれのことばの意味がわからなければ,文章を読み取ることはできません。
 たとえば,「大使館はものものしい警備下にある。」という一文があるとしましょう。「大使館」がどのような場所がわからない。「ものものしい」ということばの意味もわからない。しかも「警備」は漢字そのものが読めない。そういった子がいるとしましょう。すると,その子ども頭の中は,「■■■は■■■■■■■■下にある」という字しか読み取れていないことになります。これでは,何が書かれているのかまったくわかりませんよね。「そんな冗談!!」と思った方もおられるでしょう。しかし,現にこういう子は意外に少なくないのですよ。「唐辛子」を「なに?さちこ」と言うユーキャンのCMは,小学校では日常的だと思ったほうがよいでしょう。

 読解力が不足している子の多くは,漢字力・語彙力の不足が原因です。まずはその力を強化しなければなりません。

 実は,読解力の不足と並んで,もう一つ不足していると思われるものがあります。それが何かわかりますか。そう,宝探しを例に挙げた箇所ですでに述べました。基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)です。

 くり返しになりますが,適性検査問題は宝探しのようなものです。宝のありかが書かれている地図が読解力であり,方位磁針などの使い方を知っているかどうかは基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)と置きかえることができます。これが自転車の(適性検査問題を解く)両輪だと思ってください。

 次回は,基本的な知識(教科書プラスアルファーレベル)に焦点を当てたご質問が来ていますので,それにお答えする形で,本論をさらに深めていきます。


掲載日:2014年6月30日
次回の掲載は,2014年7月28日の予定です。

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