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拝啓保護者様

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いっとく先生

むぎっ子広場は,2006年の開設当初から関与しており,2012年に一度降板しましたが,今回再登板することになりました。「拝啓保護者様」では,保護者の方から頂戴するご質問・ご相談にお答えする形で進めていきます。僭越ながら(と,一応謙遜したうえで),自信たっぷりに持論を展開いたします。
どんぐりスクール主宰 いっとく先生
ホームページ http://www.dongurikorokoro.com

[2015/10/26] 数値を用いて説明しなければ不正解なのか-前半-


ご質問:
 あと数か月で公立中高一貫校入試をむかえる息子がいる保護者です。9月下旬から志望校の過去問に取り組んでいますが、模範解答と息子が書いた解答を見比べたとき、模範解答には数字を使って資料の変化が説明されていますが、息子の解答にはそれがありません。問題文を読むと、数字を使えという指示はありません。こういった場合、どのように解すればよろしいのでしょうか。

(Kさん・千葉県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 設問文中に「数値を用いて」という指示がないなかで,たとえば「○○は10%減少している」と答える場合と,「○○は少し減少している」と答える場合では,どちらがよいのかというご質問です。

 まずはじめに,基本的な考え方をご説明して,そののち,資料読み取りの対象期間と移り変わりの程度について具体的に述べたいと思います。

 設問文中に「数値を用いて」という指示がないのに,数値を用いてその変化を述べる必要があるかどうかは,「志望する公立中高一貫校が発表している解答例から判断する」のがベストです。
 過去問が存在しない新設校を受ける場合はこれができません。一か八かの判断が迫られます(サイコロをふるレベルです)。
 一方で,志望する公立中高一貫校が解答例を発表していない場合もあります。個人的にはそんな学校は受けない方がよいと言いたいところですが,実は,そういった学校の多くは,学校説明会などで記述解答についての説明をおこなっています。
 数年前になりますが,解答例を発表していないすべての公立中高一貫校に,「記述式の解答を設ける以上,学校側が解答例を発表して求める解答のレベルを提示すべきだ」と文書や面談を通じてクレームを入れたことがありました。その甲斐があってか,多くの公立中高一貫校で「解答例を発表する」または「解答例は発表しないが,学校説明会でそういったことを説明する時間を設ける」といった対応を取って頂けるようになりました。
 小学5年生以下で,すでに志望する公立中高一貫校が決まっている場合,早くから学校説明会に行かれることをおすすめします。

 さて,話をもとに戻すと,志望する公立中高一貫校が発表している解答例が数値を用いて説明されていれば,同様の対応を採るのが賢明です。一方で,数値を用いて説明されていなければ,それは不要だと考えましょう。

 ただし,このように述べると,必ず反論される方がいます。「数値を用いて説明すれば,よりくわしい説明になる。数値を用いて書けば,その分,高い評価につながるのではないか」というご意見です。

 ごもっともです。数値を用いれば,解答の質は格段にアップします。ただし,数値を用いない場合に比べて,その問題を解き終えるのに数倍の時間を必要とします。なぜなら,○○倍や△△%といった数値を用いるには,必ず計算が必要になりますから。

 ではここで,入試という制度の前提を考えてみましょう。ポイントとなるのは,「制限時間があること」「それぞれの問題には配点があること」の2つです。
 数値を用いて説明する必要がないのにそれをすることによって,その問題を解くのに余分な時間がかかります。ただし,制限時間は変わりませんから,言いかえれば他の問題を解く時間が減るということです。くわしく書こうとする児童ほど「試験時間が足りない」といいます。しかし,それはあたりまえのことですね。
 また,それぞれの問題には配点があります。ある1つの問題の配点が8点だったとして,学校側が求めている解答が書けていれば8点が加点されます。どんなにくわしく書いても,逆に,必要最低限度の解答であったとしても,学校側が決めた採点基準に沿っていれば8点です。くわしく書いたからといって,それが20点になることは断じてないのです。

 公立中高一貫校入試で求められている解答は,必要十分な解答です。くわしく書くことばかりを子どもに求めると,その子は実力があるにもかかわらず不合格になる可能性を高めてしまうのでご注意ください。

 なお,ここで注意点があります。
 書店で販売されている過去問を購入される場合,ここに掲載されている解答例は,学校発表のものをそのまま転載した場合と,出版社が独自に解答例を書き起こした場合の2通りがあります。要注意なのが後者です。出版社が独自に書き起こした解答例のなかには,プロから見て「うーん」と首をかしげてしまうものが多くあるからです。解説は十分ご活用頂いてよいと思うのですが,解答例だけを見てお子様が書いた解答と照らしてマルバツをつけるのはおやめください。
 過去問(またはその解答例)は,各公立中高一貫校や各教育委員会のホームページで発表されているものをダウンロードして頂くのが最もよいかと思います。

 書きたいことは山のようにあるのですが,むぎっ子広場運営事務局が求めている制限字数を大幅にオーバーしてしまいました。

 これから,資料読み取りの対象期間と移り変わりの程度の取り扱い方について述べたいと思いますが,それは来月といたします。


掲載日:2015年10月26日
次回の掲載は,2015年11月30日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
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