公立中高一貫校をめざす方へのお役立ちサイトです。
ぜひご活用ください!

拝啓保護者様

PROFILEいっとく先生プロフィール

いっとく先生

むぎっ子広場は,2006年の開設当初から関与しており,2012年に一度降板しましたが,今回再登板することになりました。「拝啓保護者様」では,保護者の方から頂戴するご質問・ご相談にお答えする形で進めていきます。僭越ながら(と,一応謙遜したうえで),自信たっぷりに持論を展開いたします。
どんぐりスクール主宰 いっとく先生
ホームページ http://www.dongurikorokoro.com

[2017/02/27] 東大合格生のノートは必ず要点が整理されている


ご質問:
 うちの子はほとんどノートを使いません。小学校ではノートを取るような授業や指導がまったくないようで、中学校に行ってから心配です。いっとく先生のお考えをお聞かせください。

(Hさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 小学生・中学生のお子様を持つ保護者様にとって,「子どもが勉強しない,成績が伸びない,勉強法がわからない」など,お子様の学習に関する悩みはつきものです。ただし,その悩みの原因を一つずつ見つけていけば,ほとんどの場合,解決に向かいます。

 今回は,ノートに関するご質問が来ましたので,「ノートを取る」という面からこの問題を考えてみましょう。

 確実に成績を上げる方法は,小・中学校,または塾・予備校等の日々の授業にしっかり取り組むことです。これは言いかえれば,「しっかりとノートを取る」ということでもあります。ご質問を頂戴したHさんのお子様は,「小学校ではノートを取るような授業や指導がまったくない」とおっしゃっています。これは大きな問題です。残念ながら,しっかりとノート指導までできる教師にめぐり会えなかったということでしょう。ただし,ここでその事実を悔いていても仕方がありません。

 ノートは,「授業ノート(まとめノート)」と「問題演習ノート」に大別できます。
 問題演習ノートは横に置くとして,授業ノートは,授業内容がしっかり再現できているのがよいノートであり,必ず要点が整理されているノートともいえるでしょう。

 以前,『東大合格生のノートはかならず美しい』という本が話題になりましたが,あの書名の本質は,出版企画を説明して,東大合格生にノートを見せてほしいと言った場合,ノートがきたない人はノートを見せてくれないはずです。つまり,美しいノートばかりが集まるから「東大合格生のノートがかならず美しい」わけです。

 ただし,仮に「東大合格生のノートは必ず要点が整理されている」という書名であれば,事態は一変したはずです。受験業界に携わる者として,「東大合格生のノートは必ず美しいわけではないが,東大合格生のノートは必ず要点が整理されている」と思うのです。ノートに書くべき要点が整理されていれば,頭の中も整理されているはずだからです。

 ノートの重要性を理解している中学教師は多いので,ここではノートの取り方等の具体的なアドバイスはおこないません。おそらく中学入学後にノート指導がされるでしょう。

 ぜひ,授業中に教師が書いた板書を書き写すだけでなく,「自分なりにそのノートを整理しよう(別のノートに書き換えるわけではありません)」「あとでこのように活用しよう」というように,ノートを能動的に使えるようになってください。そして,ノートを書くのが楽しいと思えるようになったら,成績も目に見えて伸びていくでしょう。


掲載日:2017年2月27日
次回の掲載は,2017年3月27日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2017/01/30] 神は細部に宿るの精神で入試本番に臨みましょう


ご質問:
 1月に受けたむぎっ子模試の結果がよくありませんでした。いまさらどのような勉強をすればよいかわかりません。

(Uさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 このご質問を頂戴した方には,その日のうちにお電話して具体的なアドバイスをしました。ここでは,入試本番が目の前にせまった方を対象に心構えをお話しします。

 1月に実施したむぎっ子模試では,大きく成績を伸ばした児童と,成績がガクンと下がった児童に大別されました。その理由はいろいろあると推察できますが,一つだけ申し上げると,成績がガクンと下がった児童の答案は,テキトーに書かれたものが多かったという共通点がありました。

 ここでいうテキトーな答案とは,字が雑であったり,小学低学年で習う漢字さえ間違えていたり(またはひらがなで書いていたり),問題文に問われたことに答えていなかったり・・・というものです。いずれも公立中高一貫校入試から見れば,注意すべき初歩中の初歩といえるものでした。「本気で志望校に受かる気があるのか??」と思いたくなる答案もありました。

 そういったテキトーな答案は,必然的に得点が下がります。一方,「一生懸命に取り組んだことがわかる答案」は,当然のごとく質がよいので高得点になります。その結果,得点差が開き,大きく成績を伸ばした児童と,成績がガクンと下がった児童に大別されたと考えられます(あくまで一因です)。

 採点者の一員として私もむぎっ子模試の答案を採点しましたが,ほとんどの児童は学力そのものに大差がないと感じました。しかし,「やる気」「本気度」の差が答案に現れていました。それは,結局のところ「小さなこと」に気をつけているかどうかで決まると考えています。

 採点者の側からすれば,読みにくい雑な字で書かれた答案は,読む前からバツをつけたくなるものです。漢字間違いが1つでもあると,その時点で「この子は基礎学力が身についていない」と思ってしまい,得点下落圧力が強くなります。問題文に書かれてある条件を見落としていれば,「この子は指示に従えない児童」だと思ってしまいます。

 むぎっ子模試では,厳密な採点基準に沿って得点をつけており,なぜこのような得点になったのかは「採点基準&得点集計一覧表」にて個別にお伝えしています。しかし,入試本番では採点者(公立中高一貫校の先生方)の印象が合否を左右することが多いのが現状です。

 日本語には「一事が万事」という言葉があります。一つの間違いが不合格という結果につながってしまう場合が多いと思うのです。ただし,ここでは「神は細部に宿る」という言葉をみなさんに送りたいと思います。

 ぜひ,小さなことにこだわってください。一つの間違いは小さなことですが,それが大きく答案の印象を決めると思ってください。消しゴムでの雑な消し跡が,採点者に誤解を与えてしまい,バツになってしまうことがあるということを知ってください。

 入試本番が目の前にせまったいまとなっては,大きく学力を伸ばすことほぼ不可能です。しかし,いま申し上げたような小さなことに気をつければ,合格最低点をクリアできる児童がたくさんいると考えています。

 吉報をお待ちしております。


掲載日:2017年1月30日
次回の掲載は,2017年2月27日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/12/31] 子どもに自信を持たせる方法を教えてください


ご質問:
 公立中高一貫校受験まであと少しとなりましたが、うちの子どもは自信が持てないようでおどおどしています。このままでは合格は覚束ないと思ってしまいます。何かよい方法がないものでしょうか。

(Aさん・福岡県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 多くの子どもたちにとっての「よい体験」とは,「勉強すれば,成績が上がる」,または,「(スポーツなどで)練習すれば,できるようになる」といった成功体験であり,さらに大切なことは,それを先生や指導者,保護者にほめられるということです。特に,先生や指導者にほめられると,クラスやチームのみんなもほめてくれるようになるので効果は絶大です(言い方を変えれば,「ほめ上手」の先生や指導者はよい先生や指導者であり,これに例外はありません)。

 ほめられるとほとんどの人(おそらく全員)は図に乗ります。つまり,がんばるきっかけができるので,とんとん拍子でさらにできるようになります。すると,ぐんぐんやる気が起きて,ますますできるようになります。

 要するに,努力すれば,自分の目標に一歩近づき,さらにそれをほめられるという好循環が生まれていくわけです。逆に,成功体験を知らなければ,目標を持つこともできませんし,失敗から立ち直ることもできません。

 だから,私がいつも保護者の方にお話しするのは,子どもの学力(すべての能力にあてはまることですが)をのばしたいのであれば,テストの成績が少しでも上がったら,または,これまで解けなかった問題が解けたら,その成績や結果が親の望む点数や結果でなくても,とにかくほめてあげてほしいということです。そして,次のテストでさらに上がったらまたほめてあげてほしいということです。このくり返しで,子どもの学力や能力はまちがいなく確実に伸びていきます。なぜなら,子どもが自分に自信を持つようになるからです。


掲載日:2016年12月31日
次回の掲載は,2017年1月30日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/12/08] 自分は合格できると思っている息子に腹が立ちます


ご質問:
 あと少しで息子が公立中高一貫校を受験します。息子は「自分は合格できると思う」と言っています。例年倍率が6倍を超えているのに、そんな呑気なことを言う息子に腹が立ちます。息子の直観はアテになるものなのでしょうか。

(Yさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 大変興味深いご質問を頂戴しました。要は,お子様の「自分は合格できる」という発言の信憑性ですね。結論から申し上げると,お子様が心底そのように思っているのであれば,その信憑性はかなり高いとお考えになってよいでしょう。

 というのも,公立中高一貫校に限ったことではありませんが,志望校に合格した児童の多くは「自分は合格できそう」と心底思っているからです。心底思うに足る根拠があるわけです。その根拠は,模試の結果であったり,過去問を解いたときに抱く感覚であったりするでしょう。その根拠がアテになるかどうかはモノにより異なるとは思いますが,そうはいっても「自分は合格できる」と心底思っていることが,実は合格を手繰り寄せる原動力にもなるわけです。「自分はダメだろう」と思う人は,やはり「ダメ」という結果に終わるものです。「自分はできる」と思わなければ,結果はついてきません。

 このように申し上げると,「では,合格するかどうかはすでに決まっているの」と思われるかもしれません。はっきり申し上げれば,おそらくそうでしょう。「自分は合格できる」と思っている人が合格し,「自分はおそらく無理」だと思っている人はやはり無理なのです。

 ただし,例外があります。それが「奇跡の合格」です。合格するかどうかの境目をボーダーラインといいます。厳しい言い方になりますが,ボーダーラインの周辺にいない受験生(受検生)に奇跡の合格は訪れません。奇跡の合格はボーダーラインの下のほうにいる10~20%の受験生が起こすものです。

 一方で,合格確実と思われながら不合格になる受験生も10~20%程度います。

 では,その差は何でしょうか。

 私はそれが「受験生の意識」だと考えています。つまり,「やるだけのことはやったから,自分は合格できる」と心底思い,リラックスして入試本番に臨むことができた受験生は自分が持てるすべての力を発揮でき,そうでなかった受験生がプレッシャーに押し潰されて涙を呑むのです。

 このご質問をお寄せ頂いた方を否定するのは気が引けますが,お子様が合格できると思っているのに,それに腹を立てるのはナンセンスです。もしかしたら,お子様が勉強をせずにテレビゲームをしている瞬間を目にしたときにそういった気持ちを抱いたのかもしれませんが,合否の境目にあるものを十分にご理解頂き,入試本番前の緊張感の中で,リラックスとプレッシャーをうまくコントロールできる人が合格をつかみ取るということも同時にご承知おきください。


掲載日:2016年12月8日
次回の掲載は,2016年12月26日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/11/07] 試験時間を有効に使えるようになるためには


ご質問:
 志望校の過去問に取り組んでいますが、試験時間を有効に使えた場合と使えなかった場合で得点に大きな差が出ることがわかりました。今後、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

(Kさん・千葉県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 公立中高一貫校入試の場合,長い会話文が続いていたり,問題文が無駄に長かったりして,予想以上に時間を使うことから,過去問を利用しながら試験時間の戦略を事前に立てておくことが大切です。そのときのポイントは3つあります。それは,「時間配分」「解答順序」「見切り方」の3つです。

 1つ目の「時間配分」とは,無理なく全問を解き切れるように時間を適正配分するということです。ここでいう全問とは,自分の実力や時間配分を考えて,後回しにする問題を見極めた場合もふくみます。

 たとえば,過去問より,例年3つの大問が出題されていて,その分量がほぼ同じ場合,単純計算でいけば15分ずつ取り組めばよいことがわかります(試験時間が45分の場合,見直しの時間については後述します)。1つの大問に20分以上かけていたら,当然ながら他の大問に取り組む時間が減ってしまいます。おそらく試験本番中に焦り始め,パニック状態に陥ってしまう人もいるでしょう。そういった事態にならないためにも,あらかじめ時間配分を決めておくことは非常に重要です。

 なお,見直しの時間について述べておきます。先ほどの例にもとづけば,後回しにした問題に取り組む時間がないので,そういった時間を設けたい場合はそれを考慮した時間配分にする必要があります。ただし,合格した児童と話していると,いったん後回しにした問題はよほどのこと(時間が大幅に余った場合など)がない限り,その問題は捨て問(解くのをあきらめる問題のこと)と見なし,見直しの時間は設けなかったという声が多く聞かれました。試験時間内でいったん解いた問題を見直す時間も余裕もないでしょうから,見直しはしないと決めて取り組むのも一案です。

 2つ目の「解答順序」とは,字の通り,最もスムーズに解き進められる順序を模索するということです。算数が得意な人は,算数系中心の問題で構成された大問から解き始めましょう。理科が得意な人は,理科系問題から手をつけるべきです。苦手な単元・教科よりも得意な単元・教科のほうが解くのに時間がかからないので,その分,時間に余裕を持たせることができます。

 そのためには,試験開始直後の問題確認が必須ですが,あらかじめ「この順番で解こう」と決めておくことで,無駄な時間を減らすことができます。「大問1から解きなさい」という決まりはありません。どの問題から解き始めるのが最も結果が出せるのか(高得点が取れるのか)を模索してほしいと思います。

 3つ目の「見切り方」とは,解けない問題を中断する判断をルール化するということです。長時間考えたあげく,正解を導くことができず,結局は時間を無駄にしただけという事態は,入試本番で致命傷になりかねません。「実力的に正解困難」「考えても解けない」「過度に解くのに時間がかかる」といった問題は,すばやく見切り,その分,浮いた時間を解ける問題に当てることで,効率的に得点を上積みできるようになります。

 そのためには,あらかじめ一定時間で解答の道筋がわからない場合,すぐに見切るタイミングを決めておく必要があります。また,思考力を問うような問題の場合,「着眼点が見えない→すぐに見切る」「着眼点はわかったが,解く過程はわからない→あと1分程度考えてみる」「解く過程までわかったが,時間がかかる→最後まで解き切るかどうかを判断」(あくまで例です)といったように,見切り方を決めておくことも重要です。つまり,くり返しになりますが,中断する判断をルール化するということです。

 過去問を解き終えて「暇だな」と思っている時間はありません。こういった試験時間の戦略を立ててください。


掲載日:2016年11月7日
次回の掲載は,2016年11月28日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/10/03] 親が考えているように子どもが勉強してくれません


ご質問:
 沖縄県内にハイレベルの公立中高一貫校ができました。ぜひ行かせたいと思い、あれやこれや子供を促しているのですが、一向に勉強してくれません。どうすればよいでしょうか。

(Kさん・沖縄県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 ここでは,「ハイレベルの公立中高一貫校だから行かせたい」という大人ならば当然持つであろう価値観を,子どもが持つとは限らないという点に言及したいと思います。

 大人に価値観があるように,子どもにも子どもなりの価値観があります。さらにいえば,小学4~6年生になれば自分で考えて自分なりの価値観を作っていくことが必要で,それは大人の価値観とはちがう場合が多いでしょう。

 少し余談になりますが,2016年9月12日の「カッシー先生のゆったり教室」では,人工知能について取り上げられています。まだお読みになっておられない方はぜひ読んで頂きたいと思うのですが,あのコラムで最も重要なことは,「これから10~20年で今の職業のうちの47%は機械にとって代わられる」という部分でしょう。

 たとえば,いまこのコラムを読んでおられる方が40歳の保護者の方だとしましょう。65歳まで現役で働くとして,今の自分の仕事が25年後まで絶対にあると言い切れますか。人工知能を持った機械やロボットに取って代わられることは絶対にないと言い切れますか。

 もしかしたら,10年後に自分のいまの職業は,人工知能を持った機械やロボットに置き換わるかもしれません。そのとき,あなたは50歳です。その後の人生を,あなたはどのように生きていきますか。

 いま,私たちが生きている現代は,こういう世の中なんだろうと思います。

 そういう時代に,私たち大人が持っている価値観にどれだけの意味があるのでしょうか。カッシー先生は「現在小学生であるみなさんは,人工知能が発達した社会で生きていくことになります」とおっしゃっています。まさにその通りです。

 とある企業がおこなった,2017年卒の就活生が選ぶ就職希望企業の総合ランキングを見ると,1位が三菱東京UFJ銀行,2位が東京海上日動火災保険,3位が三井住友銀行,4位が損害保険ジャパン日本興亜,5位がみずほフィナンシャルグループでした。3大メガバンクと有力損保が並んでいます。

 一方,オックスフォード大学の研究グループが公表した「10~20年で消える職業」の中には,「銀行の融資担当者」「保険の審査担当者」「銀行等の窓口業務」などが入っており,銀行・保険業務の多くは「消える職業」に位置づけられています。

 さて,22歳で晴れて念願の大手企業に入社できた人のうち,およそ何人が40年間のサラリーマン生活を同一の会社で全うできるのでしょうか。

 これまで日本国内でくり広げられてきた数々のリストラの比ではない事態が,今後起こる可能性さえあります。そういう社会で,私たち大人だけでなく,私たちの子どもも生きていかなければなりません。もしかすると,私たち大人が持っている価値観は役に立たないかもしれません。

 大人の価値観を押しつけるのではなく,子どもなりの価値観にも耳を傾けてみましょう。子どもは子どもなりの論理で価値観を構築しています。その価値観をぜひ共有してみましょう。そのうえで,大人の価値観もお子様に伝えてみてください。決して大人の価値観を教え込んだり,強制したりしないでください。

 もしかすると(・・・としか言えないのですが),そうした過程の中で親子が共通の価値観を新たに作り出すことができるかもしれません。そのとき,「ハイレベルの公立中高一貫校に通う本当の価値」に親子が気づき,真の意味でお子様が勉強をスタートさせると私は考えています。


掲載日:2016年10月3日
次回の掲載は,2016年10月31日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/09/05] 志望校の過去問を解くときの注意点


ご質問:
 志望校の過去問を解き始めていますが,そのときの注意点を教えてください。

(Aさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 一般的に,志望校の過去問は異なる2つの目的のために,異なる時期に解くものです。

 1つ目は,受験勉強を始めるにあたって,目標到達レベルを見定めるために解く場合です。確かな指導者がいる場合は,その指導者が過去問を解くことでそのレベルを把握するので,児童・保護者がこの目的のために過去問を解く必要はありません。しかし,そうでない場合は,どのレベルまで学力をのばす必要があるのかを正しく知るために,過去1~2年分の過去問を解く必要が出てきます。

 登山で言えば,この山の標高が何mなのか,または何時間程度かかるのかを知らなければ,登山の装備を確定できず,さらに登頂に必要な日々のトレーニングがおこなえません。何事も相手を知らなければ勝利を手にできないというわけです。

 志望校の過去問を解く2つ目は,入試数か月前から始める実戦練習のためです。この場合は,できるだけ環境を入試本番に合わせる必要があります。問題用紙や解答用紙は実物コピーを用意しましょう。組み直された過去問は,行間や文字列などが実物と異なるため,実戦練習に向きません。問題用紙がA3の場合はコンビニエンスストアのコピー機などを利用して,等倍のサイズになるように準備してください(解答用紙については,むぎっ子通信添削9月号のマル秘プリントにも参考になる内容をまとめているので,受講生は確認してください)。

 さらに,1~2回ぐらいは入試本番の時間帯で取り組んでみましょう。たとえば,東京都立の中高一貫校の場合,適性検査Ⅰは午前9時00分~午前9時45分の間で,適性検査Ⅱは午前10時15分から午前11時00分の間でそれぞれおこなわれます。したがって,土曜日や日曜日を利用して,これを同じ時間帯で取り組んでみましょう。

 余談ですが,8月末に「鳥人間コンテスト」というテレビ番組が放送されていました。自作による人力飛行機を琵琶湖東岸から飛ばすというものです。この難しさは,大会本番と同じ環境を再現できないということでしょう。そもそも,準備段階でどこかの湖の上に水面から10メートル,助走路10メートルのプラットホームを建設することは容易ではありません。しかし,みなさんは入試本番とほぼ同じ環境をつくり出すことが可能です。ぜひ,緊張感を持って過去問に取り組んでほしいと思います。

 過去問の採点は,可能であれば身近にいるベテランの指導者がおこなうべきですが,それが難しい場合は,各問題のポイントがどこにあるのかを把握したうえで,減点方式でおこないましょう。また,志望校の過去問が複数の出版社から出ている場合は,可能であれば異なる出版社のものをすべて買って頂きたいと思います(解説を買うために過去問を買う!!というぐらいの気持ちで,必要な出費とお考えください)。異なる出版社の解説を見比べれば,そのちがいが明らかになるので,効率的にかつ効果的に復習がおこなえます。一方,解説のない過去問は,家庭学習用には不向きなのでおすすめしません。解答例を見るだけでは,表面をなぞるだけの学習にしかならない場合が多いからです。


掲載日:2016年9月5日
次回の掲載は,2016年9月26日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/08/03] 教科学習の重要性を再認識してほしい


ご質問:
 夏休みが始まってすでに2週間が経ちました。塾に通わせてはいますが、公立中高一貫校対策コースは授業時間が短く、宿題もあまり出ないため、自宅でのプラスアルファの学習が必要だと急に考えるようになりました。具体的にどのような勉強をおこなえばよいのでしょうか。

(Aさん・岡山県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 夏休みに入った途端(といえばよいでしょうか),多くの保護者様からご質問を頂戴しました。そのほとんどは夏休みの勉強に関する内容です。そのため,当初,本コラムの掲載は7月末でしたが,保護者様からのご質問内容を取りまとめるため,1週間程度遅れての掲載となりました。

 さて,今回はご質問を代表して,岡山県のAさんのご質問にお答えすることで他の方にも参考にして頂けるものといたします。

 夏期講習だけ塾に通わせてみたという方は多いようですね。ただし,Aさんも述べておられますが,公立中高一貫校対策コース(またはそれに準じるコース)は総じて授業時間が短いようです。そのため,塾に通わせるだけでは物足りなさを感じる方が多いようにお見受けします。宿題がたくさん出されるわけでもなく,「気休め程度の内容」とおっしゃる方もおられました。

 しかし,ここでもう一度,公立中高一貫校の対策の本質を申し上げたいと思います。それは,本コラムでも幾度となくお伝えしているように,公立中高一貫校が出題する適性検査問題は,類題演習では対応できず,その本質または土台の学習が必須だということです。

 確かに,公立中高一貫校で出題される問題は適性検査問題ですから,それを多く解くことで「問題に慣れる」必要があります。私は問題慣れを否定しているわけではなく,逆に絶対に必要なものだと認識しています。ただし,教科学習の基礎・基本が不十分だと,適性検査問題を解くはずが,解答例をながめることで終わってしまう場合がほとんどであるという事実も忘れないで頂きたいのです。つまり,その勉強が無意味になるのです。

 すでにご存じのように,適性検査問題は設問内容が入り組んでいて,一読するだけで問われていることを「正確に」かつ「すべて」把握するのが困難な問題ばかりです。もちろんそこには国語力(読解力や論理力など)が必要になるわけですが,では,それらの力があればすべて解決するのかといえば,そうではありません。適性検査問題を解くときに必要になるのは,先ほど申し上げた教科学習の基礎・基本です。これは,本コラムでくり返しお伝えしていることなので,「またか」というお気持ちになる方が多いかもしれません。しかし,いざ勉強を始めると,多くの方が教科学習の基礎・基本を軽んじるのです。

 私が公立中高一貫校対策の指導を始めたのは2005年です。あれからもう10年以上の歳月が経ったわけですが,この経験を総括すれば,「公立中高一貫校が出題する適性検査問題は,教科学習の基礎・基本の延長線上にあり,まったく別個のものではない」ということであり,「教科学習の基礎・基本がしっかりできていることが,公立中高一貫校合格の前提条件」になるということです。もちろん,教科学習の基礎・基本はすべて教科書に書かれています。

 9月以降,効率的かつ効果的に適性検査問題の演習をおこなうためにも,夏休みのこの時期に,教科書を土台に据えた教科学習の基礎・基本をしっかりやってもらいたいと思います。月並みなのですが,やはり私の結論はここに行きつきます。改めて教科学習の重要性を再認識して頂き,そこに立ち返って頂きますよう重ねてお願いする次第です(具体的な勉強法などについては,先月以前の本コラムもご参照ください)。


掲載日:2016年8月3日
次回の掲載は,2016年8月29日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/06/27] 勉強量は多いはずなのに成績が上がりません


ご質問:
 家庭学習中心で県立中の受験を目指しています。平日でも3時間以上の勉強時間を確保していますが、テストを受けると成績が上がっていません。このままで大丈夫なのかと思い、とても心配です。

(Hさん・静岡県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 立て続けに「勉強しているのに成績が上がらない」というご質問を4つ頂きました。ここでは代表してHさんへお答えすることで,同様のご質問のまとめとさせて頂きます。

 さて,そもそも勉強とは何でしょうか。この質問に,みなさんならどのように答えますか。まあ,いろいろな答えがあるでしょう。「実社会に出たときに必要となる知識を身につけること」も答えの一つでしょうし,「子どもの義務」でもよいでしょう。ただし,正しくは「子どもの義務」ではなく「人類の義務」と答えたいものです。勉強は,大人になっても一生続くものだからです。

 ひとまずここでは,「勉強とは,できない(わからない)ことをできる(わかる)ようにすること」と定義づけておきます。この定義が,受験勉強に一番しっくりくるからです。

 では,この定義に基づくと,次の段階を経なければならないと判断できるでしょう。

[1] できない(わからない)ことを特定する。
[2] できない(わからない)ことをできる(わかる)ようにする(学ぶ・覚える)。
[3] できる(わかる)ようになったことを確かめる。
[4] できている(わかっている)ことを確かめる。


 [1]~[4]の段階について,それぞれ説明します。

[1]
 勉強の定義に基づくと,まずはじめに,自分ができる(わかる)こととできない(わからない)ことを区別しなければいけません。そうしなければ,勉強の対象物が特定できません。ただ単に問題集を解き進めるだけの勉強をしていると,勉強の目的が明確にならずモチベーションが保てないので,効率が落ちます。というか,出だしから勉強方法をまちがえているので,成績は上がりません。

[2]
 できない(わからない)ことをできる(わかる)ようにする(学ぶ・覚える)ことはとても大切です。これがなければ,そもそも成績は上がりません。しかし,これだけを勉強だと思っている人が意外に多いのが現実です。だから,成績が上がらないわけです。

[3]
 [2]の段階で,できない(わからない)ことをできる(わかる)ようにした(学んだ・覚えた)からといって,本当にできる(わかる)ようになったかどうかは別問題です。できる(わかる)ようになったことを確かめる時間を確保しなければなりません。私はこの確かめを「セルフチェック」とよんでいます。セルフサービスのセルフですね。自分自身でちゃんとできる(わかる)ようになったかどうかを確かめるのです。問題集を解いている場合,同じ問題が解ければこの段階が達成されたと思ってください。

[4]
 人間は反復しなければ忘れてしまう動物です。[3]の段階でできる(わかる)ようになっていても,時間が経って同じ状態を維持できているかどうかは別問題です。できている(わかっている)ことを確かめるための時間を確保する必要があります。
 次々と新しい問題集に手を出す人は,この段階が欠けていると思ってください。ふつう,この段階はテストによって得られるものですが,公立中高一貫校入試の場合,初見問題が多いので,[4]の段階が確保されない場合が多々あります。したがって,意図的に同じ問題をくり返し解く時間を確保してください。

 以上,4つの段階を正しく踏んでいれば,成績は絶対に上がると断言するので,みなさんはどの段階が欠けているかをふり返って頂き,今後の勉強にお役立てください。


掲載日:2016年6月27日
次回の掲載は,2016年7月25日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/05/30] 小学校最難関単元である割合を攻略するには


ご質問:
 現在小6の子を持つ親です。小5の3学期に学校で割合を学びましたが、よく理解できていないようで「式がまったく頭にうかばない」といいます。どうすればよいのでしょうか。

(Aさん・広島県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 小学校最難関単元は何ですかと問われれば,すべての小学教師が「割合」と答えるはずです。そのくらいこの単元は理解が難しいと考えられています。ある小学校の先生は「他の単元と同じように一生懸命に指導した。決して手抜きをしたわけではない。それなのに・・・。」とおっしゃっていました。

 実は4年ほど前,私は教育委員会からの依頼で,小学校の先生を前に「割合」の指導法の講演をディスカッション形式でおこなったことがあります。中学受験の現場は「割合」をどのように教えているのかが講演のテーマでした。

 そこで,私は現在の「割合」指導の問題点に気づくことができました。その問題点とは,「割合」の考え方の指導を小学5年生の「割合」の単元を教えるまでまったく意識させずに過ごしている先生が多いということです。

 たとえば,子どもたちは小学2年生でかけ算を学びますが,呪文のように「にさんがろく」と唱えさせるだけでなく,「2×3=6」とは「もともとここに何かが2つあって,それが3倍になると(または同じものが3組あると),合計で6つになる」という考え方を意識させることがとても大切です。

 小学2年生のころからこういった考え方が身についていれば,2が「もともとの数」,つまり「もとにする量」だと自然に理解できます。

 小学3年生になると分数を学びます。これだって考え方の基本は「割合」です。なぜなら,「4分の1」とは,ある1つのものを4つに分けた1つ分という意味であり,「もともと4つあったものの1つ分」だとわかれば,4が「もとにする量」だという理解もすぐにできるからです。

 また,「1÷4」=「4分の1」は,まさに割合の数値そのものを表しているという判断も容易でしょう(比べられる量÷もとにする量=割合)。

 小学3年生では,「2を3倍すると( )」といった問題も解けるようになります。これこそまさに「もともと2(もとにする量)があって,それを3倍(割合)する」という意味なので,「もとにする量×割合=比べられる量」と同じです。

 多くの大人(小学教師も保護者も)は「割合」学習といえば,「割合=比べられる量÷もとにする量」「比べられる量=もとにする量×割合」「もとにする量=比べられる量÷割合」の3つの公式を覚えることだと勘違いしているのですが,こんな公式を覚えたところで何の意味もない,つまり,問題が解けるようにはならないとお考え頂きたいのです。だから,「公式にあてはめればすぐに解けるでしょう」なんて指導は決しておこなってはいけません。

 結論です。「割合」がよくわからないという子どもは,いま申し上げた概念の理解ができていないとお考えください。したがって,まずは「もともとは何なのか」というスタートとなる数を確定させ,「それをどのように変化させるのか(割合)」と考えるように促してあげてください。「比べられる量」というのは言葉こそ難しいものの,言わんとしていることは「結果として出てくる数」に過ぎません。あとは逆算の考え方で解けるようになります。

 たとえば,「( )の5倍は20」という問題では,「もともと( )にあてはまる数があって,それを5倍すれば,結果として20になる」ということがわかれば,( )×5=20,( )=20÷5=4 だと計算できるでしょう(逆算で解けます)。「割合」の問題はこの応用に過ぎません。

 最後に。意味もわからず計算問題を解き続けることに何の意味があるでしょうか。このご時世,そんなことはコンピューターが自動でやってくれますよ。それよりも,自動でおこなうコンピューターを作る立場になるほうがよっぽど価値があるでしょう。

 では,そういったコンピューターを作るために必要な学力とは何でしょうか。それは根本的なしくみを理解することでしょう。つまり概念の理解です。高度経済成長期の教育と,現在のような時代で生き残るための教育はちがうのです。


掲載日:2016年5月30日
次回の掲載は,2016年6月27日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/04/27] できるだけ早く教科単元学習を終わらせよう


ご質問:
 むぎっ子広場さんを活用し自宅学習中心で勉強を進めていますが、教科ごとの勉強と適性検査問題を解く比率をどのくらいにすればよいか悩んでいます。時期にもよるとは思いますが、アドバイスをお願いいたします。

(Kさん・福井県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 公立中高一貫校は主として適性検査問題で入試がおこなわれるため,最終的にはその問題が解けなければ合格は勝ち取れません。

 ただし,勘違いして頂きたくないのは,教科書レベルの理解(教科単元学習)ができているからといって適性検査問題が解けるとは限りませんが,教科書レベルの理解が不十分なままで適性検査問題は絶対に解けないという現実です。この点は十分に肝に銘じておいて頂きたいと思います。

 ちなみに,教科書レベルの理解といってばかにしてはいけません。教科書の内容が3割削減され,台形の面積公式がなくなった(そもそも台形の面積公式なんてまったくもって不要だといまでも感じていますが)いわゆる「ゆとり世代」の教科書をイメージしていると,痛い目に遭います。

 では,小学6年・東京書籍・算数の教科書を例に述べてみましょう。
 教科書を開くと,後ろの方につるかめ算や湯分け算,入れ子算などが取り上げられています。速さについては通過算もちゃんと教科書に載っています。おそらく保護者でも解くのに苦労する問題があるはずです。

 保護者のみなさんは,つるかめ算や通過算は,私立中学入試レベルの問題だと思っていませんか。だから,公立中高一貫校入試にはいらないと。

 しかし,ちゃんと教科書に載っています。

 どの公立中高一貫校も,教科書に書かれていることは,「当然のように知っている知識」として問題を出題します。教科書に載っているのだから,それを前提にした問題が出題されても文句はいえません。もちろん,これは東京書籍の教科書に限った話ではありません。ぜひ,お子様の教科書を隅から隅までじっくりご覧になってみてください。

 結論を申し上げれば,現在子どもたちに配布されている教科書は,実はかなり難しいとお考え頂きたいと思います。ちなみに,ゆとり世代のときの教科書に比べて,教科書のボリュームは平均2倍に増えています(授業時間はほとんど変わっていないのに)。教科書を中心に据えた学習をするだけでも相当大変だとおわかり頂けるはずです。

 保護者に限らず,塾の先生からも「公立中高一貫校入試は何をどこまですればよいか(教えればよいか)わからない」というお声を頻繁に耳にしますが,それを決めるのは保護者でも塾の先生でもありません。もちろん,入試問題を出題する側の公立中高一貫校でもありません。すべての土台となるのは教科書です。教科書が出題範囲とレベルを決めるのです。

 あれやこれや書店で問題集を物色するよりも,ただで(正しくは私たちの税金によって)配布されている教科書を隅から隅まで学習する方がよっぽど効率だとおわかり頂きたいと思います。

 というわけで,まずは教科書レベルの理解に最優先で取り組み,できるだけ早くそれらの基礎・基本を習得して頂きたいと思います。目標は夏休み前までですが,現実には厳しい場合がほとんどです。そこで,夏休み期間中は全教科の教科書レベルの理解に注力して頂き,2学期以降,適性検査問題に集中できる環境を整えて頂ければと思います。

 1学期期間中,または夏休み期間中までは,1か月に1回程度,未習単元を含まない良質な適性検査問題に取り組んで頂くだけで十分ですが,「良質な」というのはその判断が厄介ですね。むぎっ子通信添削はそのための有効な学習ツールですので,受講手続きをされた方は,ぜひご活用頂きたいと思います。

 公立中高一貫校入試は,ピラミッド学習が基本です。まずは土台をしっかりと作り,どんどん上に積み上げていき,最後に,頂上にある適性検査問題を制覇してください。

 なぜ,そのような勉強がよいのか。
 それは適性検査問題が教科横断型を基本にしているからです。一通りの教科学習を終えていなければ,複眼的に適性検査問題を俯瞰(ふかん)することはできません。無論,適性検査問題を単元別に分類した問題集も販売されていますが,そういったテキストを使う場合,子どもの頭にはあらかじめ「これは○○の単元の問題」という情報がインプットされているので,本当の意味で適性検査問題を解いていることにはなりません。

 適性検査問題は,どういった問題かを読み取るところから始めなければ(これを問題識別能力といいます)本質的には問題演習に取り組む意味がないのです。その点を十分にご理解頂きたいと思います。


掲載日:2016年4月27日
次回の掲載は,2016年5月30日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。

[2016/03/28] 親としてどのような心構えが大切でしょうか。


ご質問:
 息子が東京都内の公立中高一貫校を目指しています。所属しているスポーツクラブを続けたいという理由で,塾に通わずに1年間続けてきましたが,試行錯誤が続いています。漠然としたご質問で申し訳ございませんが,親としてどのような心構えが大切でしょうか。アドバイスを頂戴できればと思います。

(Dさん・東京都在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 これまで続けてきたものを中断したくないから,家庭学習中心で公立中高一貫校入試に臨みたいとお考えのご家庭は非常に多いですね。昨年,むぎっ子通信添削で担任をつとめたお子様の中にも,カーリングやハンドボール,バイオリン,英会話クラブなどに所属している子がいました。

 特に,英会話クラブの取り組みはとても興味深く,とある都市のターミナル駅で外国人観光客に道案内などをするというものです。といっても,その子は英語の勉強をちゃんとしたわけではありません。とにかく,外国人と話す機会を設けることがねらいだそうです。

 外国人と話す機会が多い人はおわかり頂けることですが,英語なんてまともに話せなくても,外国人と立派にコミュニケーションを図ることができます。英単語を並べれば十分道案内ができますし,身ぶり手ぶりでも意思疎通が可能です。その子は,「いまでは,韓国や中国の人ともおどおどすることなく片言で話せます」と言っていました。

 英語を学ぼうとすると,すぐに英会話スクールなどを考えがちですが,こういったクラブに所属すれば,お金をかけずに,英会話スクールに通う以上の効果が得られます。「楽しくて楽しくてしかたがない」とその子が言っていた理由がわかるような気がします。

 ちなみに,その子は見事公立中高一貫校に合格し,今春入学します。
 集団面接がある公立中高一貫校で,自分が取り組んできたことを臆することなく英語で話したそうです。そりゃあ,合格しますよね。同じグループで面接を受けた他の子たちがかわいそうに感じるほどです。

 さて,今回の本題に入ろうと思いますが,「親としてどのような心構え」ということですので,私は「子どもには暇を与えなさい」ということを提案したいと思います。

 あと10か月で公立中高一貫校入試があるのに,「暇な時間を与えるなんて」とお考えになるかもしれませんね。確かにその通りです。基本的な知識を身につけなければ,公立中高一貫校合格なんてあり得ません。

 しかし,基本的な知識を身につけることと同じくらい「ああでもない,こうでもない」といろいろ考えて,思慮深くなることも公立中高一貫校の合格には必要なことです。それは,公立中高一貫校が出題する適性検査問題の多くは,初めて出くわす未知の問題だからです。パターン化された問題など,公立中高一貫校が出題するわけがないからです。

 そういった問題を解かなければならない子どもたちに求められるものは,とにかく深い次元で考えぬくという姿勢です。このことは,むぎっ子広場の他の先生もコラムで幾度となく書いておられることですね。

 では,それを実現するためには何が必要でしょうか。その答えが「暇」なのです。

 次から次へと自分の目の前に学習課題が積まれていったら,子どもは深い次元で考える時間が与えられず,とにかく「終わらせること」が最優先課題になってしまいます。終わらせることしか考えない勉強がいかに無意味かは,いまさら述べるまでもないでしょう。まさにブラックです。

 私たち大人から見れば,生産的でないことはすべて無駄に思えてきますが,子どもにとってはそうではありません。

 スポーツクラブや習い事などを続けながら公立中高一貫校を目指そうとしている人にとって,勉強時間は貴重です。しかし,そういう事実を認めつつも,できるだけお子様に暇な時間を与えてあげることこそが,公立中高一貫校入試にとっては同時に必要なことなのです。

 暇でなければわざわざ辞書や事典なんて開きませんし,あれやこれや考えようともしません。非常に勇気のいることかもしれませんが,まずは意図を説明したうえで,お子様に「暇」を与えてみてはいかがでしょうか。


掲載日:2016年3月28日
次回の掲載は,2016年4月25日の予定です。

むぎっ子広場 運営事務局からのお知らせ
 いっとく先生へのご質問を随時受け付けています。お問い合わせより,「拝啓保護者様へのご質問」と必ず記載のうえお気軽にお送りください。お待ちしています。