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拝啓保護者様

PROFILEいっとく先生プロフィール

いっとく先生

むぎっ子広場は,2006年の開設当初から関与しており,2012年に一度降板しましたが,今回再登板することになりました。「拝啓保護者様」では,保護者の方から頂戴するご質問・ご相談にお答えする形で進めていきます。僭越ながら(と,一応謙遜したうえで),自信たっぷりに持論を展開いたします。
どんぐりスクール主宰 いっとく先生
ホームページ http://www.dongurikorokoro.com

[2018/01/31] 君の身長は何cm??/18cmぐらいかな??


ご質問:
 子どもの勉強を見ていて、「この子は1秒でも速く宿題を終わらせることしか考えていない」と感じています。これでは入試で求められている思考力が身につかないと思うのですが、どうすればよいでしょうか。

(Oさん・千葉県在住)
※ 頂戴した原文のままを掲載していますが,ご質問の箇所のみを抜粋しました。なお,掲載に際しては事前に許可を頂いております。

お答え:
 ご質問をお寄せ頂いたOさんには,後日,お電話をさせて頂き,現状を伺いました。そのときに見えてきたことが,「子どもにえさを与えている」というものでした。子どもを勉強させるときの手っ取り早いえさは,「宿題が終わったらゲームをしていいよ/遊んでいいよ」です。

 もうおわかりの通り,このようなえさを与えれば,どんな子であっても「宿題を一刻も速く終わらせよう」と思います。とにかく速く鉛筆を動かして,速くノートを埋める,または,よく考えずにひとまず答えを書く。「宿題を終わらせるだけ」が目的ですから,字のていねいさや答えが合っているかどうかなどは,その子にとって問題ではありません。

 私は「勉強は楽しい」と,意外と本気で思っています。おそらく,ほとんどの子も,そのように感じてくれると私は思っています。ただ,実際にそうならないのは,「勉強の楽しさ」を教えてくれる人がまわりにいないからでしょう。正直,とても残念な気持ちです。

 先日,私は講師として地域の無料塾(いわゆる学習支援をおこなう教室)へ行きました。そこに,長さの単位の宿題に取り組んでいる小学3年生の女の子がいました。横で見ていると,次の問題で鉛筆が止まりました。

問題 (  )に単位を書き入れましょう。
 わたしの家とたろうさんの家の間は,480(  )はなれています。

 長さの単位がわかっていないのかなと思い,私は「君の身長は何cm??」とたずねました。すると,その子は「18cmぐらいかな??」と答えました。

 さて,この子の答えが意味することは何でしょうか。それは,勉強内容が実体験として生活にまったく活かされていないという現実です。

 そこで,私は5mまで測れるメジャーをスタッフさんに準備してもらい,その子といっしょにいろいろなものを測る旅に出かけました。そのときに使っていた鉛筆の長さは14cmで,18cmの身長といえば物語の世界だということもわかったようです。メジャーが1つあれば,1mが100cmだということもすぐにわかります。勉強していた部屋の高さが2m50cmということもわかりました。

 先ほどの問題も,わたしの家とたろうさんの家がとなり同士なら480cmということも考えられるけれど,かなりはなれていれば,480mも答えになることがわかりました。つまり,答えが1つではないということもわかってくれました。

 ちなみに,その子の身長は126cmでした。

 結局,その子は,小一時間,メジャーを片手にいろいろなものを測っていました。まちがいなくこの子は,これが勉強だとは微塵も感じていなかったはずです。おそらくこの子にとって,いろいろなものをメジャーで測ることは遊びであり,9才にして生まれて初めての経験だったのです。

 勉強は,実生活と深く結びついています。それは,高校数学で習う微分とて同様です。

 次回は,宮沢賢治が岩手で教員をしていた時代の話を例に,子どもたちに「勉強の楽しさ」を伝える方法について,さらに考えていきます。


掲載日:2018年1月31日
次回の掲載は,2018年2月28日の予定です。

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