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中学受験36年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2017/02/20] インターネット上に公開された情報は半永久的に残る


 インターネットは本当に便利なツールです。検索(けんさく)機能を使えば,世界中のあらゆる情報を自宅(じたく)にいながら収集(しゅうしゅう)できます。このコラムを読んでいるみなさんも,インターネットの恩恵(おんけい)を受けている一人といえるでしょう。

 また,インターネットの楽しみ方の一つにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)があります。SNSには「フェイスブック」や,短いつぶやきを投稿(とうこう)・共有する「ツイッター」,写真の投稿・共有を中心とする「インスタグラム」などがあり,「ライン」もSNSの機能を持っています。

 SNSを利用すれば,自分が情報の発信者になることができ,世界中の人々とつながりが持てます。自分でインターネット上に公開した情報が多くの人に見られることに楽しさを感じる人が多いのも事実です。

 ただし,これは大変すばらしいことである反面,とても危険(きけん)なことでもあるのです。世界中の顔も名前も知らない人が,自分がインターネット上に公開した情報を見るのですから。

 特に,一番の問題点は,いったんインターネット上に公開してしまった情報は,あとで消すことができないということです。データのコピーが簡単(かんたん)な分,自分が消してもだれかが保存して別のサイトに勝手に公開してしまうことが多いからです。つまり,短期間であってもいったんインターネット上に公開された情報は半永久的に残ると覚悟(かくご)することが大切です。

 みなさんは「人のうわさも七十五日」ということわざを知っていますね。どんなに悪い評判でも,いつまでも人の心に残ることはないので気にしない方がよいという意味がこめられています。しかし,インターネットの世界でこれは通用しません。他人の誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を一時の感情で発信してしまうと,その事実は半永久的に残るわけです。

 昨今,「忘(わす)れられる権利(けんり)」という言葉がよく使われるようになりました。これは,過去の犯罪歴(はんざいれき)など,他人に知られたくない情報が検索結果に表示されないように削除(さくじょ)を求める権利のことです。ただし,この権利は日本国内ではほとんど認められていません。

 現在小学生のみなさんは,生まれたときからインターネットが身近にある環境(かんきょう)で育ってきた世代です。それだけに,自分に関することをインターネット上に公開することにあまり抵抗(ていこう)がないのかもしれません。しかし,その危険性を十分理解したうえで,インターネットを利用することが重要だと思います。

 くり返します。インターネット上に公開された情報は半永久的に残ります。決してこの事実を忘れないでください。


掲載日:2017年2月20日
次回の掲載は,2017年3月13日の予定です。

[2017/01/09] 食品ロスを出さない生活を心がけましょう


 まだ食べられるのに,さまざまな理由で捨てざるを得ないものを「食品ロス」といいます。日本国内で発生する食品ロスの量は,1年間で632万トン(2013年度,農林水産省調べ)におよび,世界全体の食料援助(えんじょ)量(年間およそ320万トン)の2倍に相当します。国民1人あたりに換算(かんさん)すると,毎日,ごはん1杯分(ぱいぶん)(およそ140g)を捨てている計算になります。日本は海外から大量の食品を輸入しているのにもかかわらず,こんなに大量の食品をむだにしているのです。

 これに関連して,コンビニエンスストアなどで食品を買ったとき,「賞味期限」や「消費期限」が書いてあるのは知っていますね。では,この2つにはどのようなちがいがあるのでしょうか。

 消費期限は,生鮮(せいせん)食品や日持ちしないお弁当,おかずなどが対象で,その日までに消費する必要のある「食べても安全な期間」のことです。

 一方,賞味期限は,日持ちする加工食品などが対象で,「おいしく食べられる期間」をいい,期限を過ぎても食べられます。つまり,消費期限のついた食品は期限内に食べる必要があるが,賞味期限のついた食品は期限を過ぎても食べられるというわけです。

 賞味期限は,実際に食べても安全な日数を1として,「安全係数」という係数をかけて決められています。加工食品では,安全係数が0.8のものが多いようです。つまり,30日間は安全に食べられる食品なら,24日間が賞味期限になります。まだまだ食べられる期間であっても,かなり余裕(よゆう)を持った期限が設けられているわけです。実はそればかりではなく,食品業界には「3分の1ルール」という業界のきまりがあります。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど小売店の多くは,賞味期限を3で割(わ)り,はじめの3分の1を納品(のうひん)期限,次の3分の1を販売(はんばい)期限としています。納品期限までにメーカーから小売店に納品しなければ,小売店は受け取らず,販売期限までに売り切らなければ,売り場から撤去(てっきょ)してしまいます。具体的には,24日間が賞味期限のお菓子(かし)なら,最初の8日間以内に小売店に納品しなければならず,次の8日間以内に売れなければ売り場から撤去してしまいます。賞味期限のはるか手前なのに売り場にも並べられないのです。

 納品期限のためにメーカーに返品される食品の額は年間821億円にもなり,販売期限のために,小売店から卸売(おろしうり)業者に返品されるのは年間432億円にもなっています。つまり,3分の1ルールにより,賞味期限前に大量の商品が捨てられているわけです。むだになった分のコストや捨てるために必要な新たなコストは販売価格に上乗せされているわけですから,消費者にとっても大きな問題といえます。

 一方,食べ物が買えずに困(こま)っている人たちを支援(しえん)する「フードバンク」という団体があります。賞味期限が近い食品や売れ残ったものは,フードバンクに寄付するか,飼料として再利用しようという動きもあります。

 さらに,年間の食品ロスの半分近くが家庭で発生しています。調理の際に食べられる部分を捨てていたり食べ残したり,冷蔵庫(れいぞうこ)の中に入れたまま賞味期限をこえてしまっていたりすることがその主な原因です。ですから,これらの原因を取りのぞけば,食品ロスを少なくできます。さらに可能な範囲(はんい)で賞味期限の近いものから買うことも,個人レベルでできることですね。

 みなさんも日々,食品ロスを出さない生活を心がけていってほしいと思います。


掲載日:2017年1月9日
次回の掲載は,2017年2月13日の予定です。

[2016/12/12] 震災を教訓にして日々変わり続けています


 みなさんは,「避難(ひなん)場所」と「避難所」のちがいがしっかりわかっていますか。

 近年,日本で自然災害が多発しています。いつ,自分たちが避難することになるかわかりません。もちろん,公立中高一貫校入試でも出題が年々増えています。今回はこれらをまとめてみましょう。

 2011年3月に発生した東日本大震災(だいしんさい)では,差しせまった災害からのがれるための「避難場所」と,その後の避難生活を送るための「避難所」が明確に区別されていませんでした。また,災害の種類別に避難場所が指定されていなかったため,地震直後に避難場所にのがれたものの,そこに津波(つなみ)がおしよせて,多数の犠牲者(ぎせいしゃ)が出ました。

 このような教訓をふまえ,災害時における緊急(きんきゅう)の避難場所と,一定期間滞在(たいざい)して避難生活をする学校,公民館などの避難所とを区別することになり,新しく「指定緊急(きんきゅう)避難場所」と「指定避難所」の規定ができました。

 指定緊急避難場所(例:公園,グラウンド,学校など)
 指定緊急避難場所とは,津波,洪水(こうずい)などにより危険が差しせまった場合に住民が緊急に避難するときの避難先であり,住民の生命の安全確保を目的としています。

 指定避難所(例:学校の体育館,公民館など)
 指定避難所とは,避難した住民が災害の危険がなくなるまで必要な期間滞在できる,または災害により家にもどれなくなった住民が一時的に滞在できることを目的とした施設(しせつ)です。

 今年4月に発生した熊本地震では,実に20万人もの住民が一斉(いっせい)に避難しました。そのようすはテレビなどで報道されたので,みなさんも知っているでしょう。しかし,避難した住民の多くは,自分が避難した場所が,「指定緊急避難場所」か「指定避難所」かを知らなかったといいます。実は,この2か所には大きなちがいがあります。

 先ほどまとめたように,「指定避難所」は避難した住民の安全が確認(かくにん)できるまで滞在できるようになっており,食料や飲料水などの生活必需品(ひつじゅひん)が用意されています。また,不足したときには優先的に補給される体制が整っています。

 一方,「指定緊急避難場所」は差しせまった災害から住民の命を守るための一時的な退避(たいひ)場所であり,滞在が前提となっておりません。つまり,食料や飲料水などはほとんど用意されておらず,物資の補給もありません。

 熊本地震では,このことを知らない住民が多くいたため,指定緊急避難場所に着いて安心していたら,ここでは行政からの食料支援がないと知らされ大きなショックを受けた人が多数いたそうです。「知らない」というのはとてもこわいことですね。

 みなさんは自分の住む町のどこが「指定緊急避難場所」で,どこが「指定避難所」か知っていますか。もし知らなければ,市町村のホームページなどでこれらの場所を確認しておきましょう。日本は,いつどこで大規模(だいきぼ)な災害が起こっても不思議ではありません。常に非常事態に備えておくことが大切です。

 このように,日本は東日本大震災や熊本地震などを教訓にして変わり続けていますから,私たちはそれを学び,知ることが何よりも大切です。


掲載日:2016年12月12日
次回の掲載は,2017年1月9日の予定です。

[2016/11/14] アメリカ合衆国でトランプ大統領が誕生できたわけ


 11月上旬(じょうじゅん),アメリカ合衆国(がっしゅうこく)では次の大統領を決めるための選挙がおこなれました。その結果,共和党(きょうわとう)のトランプ氏が勝利しました。私は,民主党のクリントン氏が勝つと思っていました。その理由は,トランプ氏の言動うんぬんというよりは,現在のオバマ大統領は黒人初の大統領でしたので,次は初の女性大統領が誕生(たんじょう)すると感じていたからです。人口の半分は女性ですから。

 しかし,トランプ氏もまた別の意味で初の大統領といえます。なぜなら,トランプ氏はこれまで,議員や軍人などの公職の経歴がありません。つまり,まったく政治経験のない初めての大統領なのです。

 では,日本の総理大臣はどうでしょうか。まったく政治経験のない人が総理大臣になることはできるのでしょうか。日本国憲法(けんぽう)には「内閣(ないかく)総理大臣は,国会議員の中から国会の議決で,これを指名する」と決められています。つまり,国会議員でない人が総理大臣になることはできない,言いかえれば,政治経験のない人が総理大臣になることはありません。

 一方,アメリカ合衆国の大統領は,アメリカ人であればだれでも立候補(りっこうほ)できます。

 日本では,国務大臣の過半数は国会議員である必要があります。実際に国会議員ではない大臣が任命されることはあまりありません。このようなしくみを議院内閣制といいます。議院内閣制とは,内閣が国会の信任によって成り立つしくみのことで,内閣は国民ではなく国会に対して責任を持ちます。

 しかし,内閣総理大臣は国会において指名されるので,国会と内閣が対立することはほとんどありません。つまり,国会と内閣は協力関係にあり,政策(せいさく)を実行するには障害が少ないしくみになっています。

 アメリカ合衆国は三権(さんけん)分立が進んでいて,立法権のある連邦(れんぽう)議会と,行政権を持つ大統領が対等の立場で,たがいにチェックしバランスを保つように徹底(てってい)されています。これは,連邦議会議員と大統領が国民によってそれぞれ直接選ばれているからできるしくみです。そのため,大統領や閣僚(かくりょう)は連邦議会の議員を兼ねることはできません。

 次期大統領となるトランプ氏は共和党ですが,連邦議会で共和党の議員がトランプ氏の望む法案に賛成するとは限りません。ですから,大統領は議会を無視して政策を進めることはできません。

 トランプ氏が危険(きけん)な大統領になるのか,偉大(いだい)な改革者(かいかくしゃ)になるのかまだわかりません。しかし,これまでとはまったくちがった大統領になることはまちがいないと思います。

 こんな選択(せんたく)ができるアメリカ合衆国をうらやましいと思うのか,おそろしいと思うのかは人それぞれでしょうが,日本で同じことをやりたいと思えば,憲法を変えなくてはならないということは覚えておいてください。


掲載日:2016年11月14日
次回の掲載は,2016年12月12日の予定です。

[2016/10/10] 公平なテストをおこなうための取り組み


 みなさんは,学校や塾などでさまざまなテストを受けていることでしょう。そして,これからもたくさんのテストを受けることになるはずです。

 これらのテストは,同一問題を同時におこなうことで公平に評価できると考えられてきました。しかし,大勢の人の中でテストを受けることになるので,緊張(きんちょう)したり,当日体調が悪かったりして実力が出し切れない人もいます。

 また,大学入学センター試験のように全国規模(きぼ)でおこなわれるテストでは,受験地の気候や試験会場までの交通機関などに差があります。これらのことを考えると,これまでにおこなわれてきたテストは,本当に公平だったのかと疑(うたが)いたくなります。

 そもそもテストをおこなう目的は何でしょうか。それは,受験生の学力を正確に測定し,数値化(すうちか)することにあります。

 たとえば,先月受けた算数のテストが70点で,今月は80点だったとします。10点上がったので10点分学力が上がったといえるのでしょうか。もちろんがんばって勉強した結果かもしれません。

 しかし,問題が簡単(かんたん)だったのかもしれませんね。では,平均点と比較(ひかく)したらどうでしょう。平均点が前回と同じなら自分ががんばった成果だといえるでしょうか。そうとは言い切れません。この場合,みんなががんばっていなかっただけかもしれません。このように,テストの点数を周りの人と比較しても本人の学力を正確に数値化することはできないのです。

 では,どうすれば学力を正確に測定できるのでしょうか。そのためには点数ではない新しい「ものさし」が必要になります。実は現在,東京大学をはじめとする専門機関がその研究・開発をおこなっています。

 簡単(かんたん)に説明しましょう。まずはじめに,たくさんの試験問題を用意します。そして,その問題を事前に別の人たちに解いてもらい,問題ごとの難(むずか)しさを判定します。このようにして用意した難易度(なんいど)のわかっている問題でテストをおこなえば,どの問題に正解したかで受験生の学力を知ることができます。そして,試験問題を事前に大量に用意することができれば,いつでもどこでも何人でもテストを受けて学力を測ることができます。さらに,こうすれば同じ問題でなくても学力を測ることができるので,同じ時間にテストをおこなう必要さえなくなります。

 より正確に学力を測定するためには,コンピューターの活用が有効です。標準的な問題を出題し,その正解率により問題を難しくしたり,簡単にしたりしながら次々と問題の難しさを変えて出題することにより,より正確に学力を測ることができます。また,コンピューターを使えば,1年に数回テストを受けることも簡単にできるようになります。

 実は,2021年度から本格的に始まる予定の大学入試改革(かいかく)では,いま述べたような考え方が大学入試に導入されます。2021年度といえば5年後ですね。つまり,みなさんが大学入試をむかえるころには,このような考え方にもとづいてテストがおこなわれるということです。

 より正確に学力が評価されるテストでは,「たまたま志望校に合格できた」なんてことは絶対に起きません。がんばって勉強した人が,より正確に評価される時代が近づいています。


掲載日:2016年10月10日
次回の掲載は,2016年11月14日の予定です。

[2016/09/12] 人工知能が発達した社会では何が起こるのか


 現在,世界中の自動車メーカーやIT産業が自動運転車の開発に力を入れています。テレビCMで,壁(かべ)の手前で自動的にブレーキがかかり,車が停車するシーンがあります。あれは運転支援(しえん)システムの一つであり,人間が運転するのを助ける装置(そうち)です。

 自動運転車は人間がハンドルやアクセルを操作(そうさ)しなくても,目的地まで安全に連れて行ってくれる車のことです。こんな未来の車の開発が現実のものとなりつつあります。そのためにはカメラやレーダーなどのセンサーの向上が必要ですが,欠かせないのが人工知能です。

 人工知能の開発が順調に進めば,2020年代には自動運転車は実用化されるそうです。もしかすると,東京オリンピック・パラリンピックでは,聖火(せいか)ランナーを人が乗っていない自動運転車が先導するなんてシーンを見ることができるかもしれません。

 自動運転車が普及(ふきゅう)すれば人為的(じんいてき)ミスによる交通事故が減り,渋滞(じゅうたい)がかなり解消されるといわれています。渋滞が減り,車両の流れがスムーズになれば二酸化炭素はい出量も減らせます。まさに夢の車です。

 しかし,こんな車ができると車の運転を仕事としている人たちは,仕事がなくなります。つまり,人工知能が発達した社会では,今の職業をうばわれてしまう人たちが多くなるということです。

 2013年にイギリスのオックスフォード大学の研究グループは,これから10~20年で今の職業のうちの47%は機械にとって代わられるだろうという研究結果を公表しています。

 その一方で,今はない仕事がこれから生まれることも確かです。今の小学生が大人になるころには65%の人が現在まだ存在(そんざい)していない職業についているだろうとも言われています。

 いずれにしろ,現在小学生であるみなさんは,人工知能が発達した社会で生きていくことになります。そのためには自分で考え判断していく力が必要になります。みなさんが公立中高一貫校を受検(受験)するために身につけようとしている力はまさにこれです。

 これからの社会でみなさんが活躍(かつやく)していくことを願っています。


掲載日:2016年9月12日
次回の掲載は,2016年10月10日の予定です。

[2016/08/08] ポケモンGOで遊ぶよりも開発できる人材に!!


 最近,社会人になるまでパソコンを本格的に使ったことのない人が増えているそうです。内閣府の調査を見ると,中学生までの「パソコンを所有している率」が他の先進国に比べてかなり低い結果になっています。他の先進国の中学生の80~90%が自分のパソコンを所有しているのに対して,日本はおよそ30%しか持っていないのが現状です。

 私が大学生だったころ(30年以上前です)はまだパソコンがほとんど普及(ふきゅう)していませんでしたが,アルバイト先の塾でパソコンを買うことになり,少しずつパソコンにふれる機会が増えていきました。それまで手書きだった各種案内や管理をパソコンで行うようになっていく現場を実際に体験しました。文字を書くことが苦手だった私にとって,なんと便利なものができたのだろうと感動したことを今でも覚えています。

 その後,インターネットが使えるようになり,高速化が進むことでパソコンの利用も,書類作成や情報管理から情報収集・発信へと変化していきました。パソコンが家にあれば,世界中の情報が集められるようになり,自分のホームページやブログを使って情報発信を行うこともできるようになりました。

 その一方で,携帯電話がすさまじい勢いで普及していきました。特に,スマートフォンは使う人のライフスタイルを大きく変化させました。通話やメールが主な使い方だった携帯電話が,情報収集・発信といった,それまでパソコンが主に行っていた領域にまで進出していったのです。そして,若い人たちはスマートフォンを使う方が簡単で,パソコンを使うことが面倒くさいと感じるようになったのです。

 確かに,プライベートに限ってはスマートフォンで十分かもしれませんが,社会に出ればパソコンを使って書類作成といった作業が必要になってきます。キーボード入力やワード・エクセルでの書類作成という日常業務に直面するのです。

 おそらくこの現実は10年後も20年後も変わらないでしょうから,社会人としてパソコンの基本的操作に慣れておくことは最低限求められるレベルだと考えられます。つまり,中学生や高校生のうちから少しずつパソコンに慣れ親しんでおくことが必要だと思われます。

 また,ポケモンGO(位置情報を活用することにより,現実世界そのものを舞台として,ポケモンをつかまえたり交換したりバトルしたりするといった体験ができるゲーム)が流行していますが,スマートフォンを使ってこのゲームで遊ぶことはできても,こういったものを作り出すことはパソコンにしかできません。小学校からのプログラミングの授業が検討されていますが,その是非(よいか悪いか)はともかくとしても,公立中高一貫校を目指すみなさんであれば,「ポケモンGOで遊ぶよりも,こういったゲームを開発してみたい」という志(こころざし)を持ってほしいと願うばかりです。


掲載日:2016年8月8日
次回の掲載は,2016年9月12日の予定です。

[2016/07/13] イギリスのEU離脱と日本の選挙


 2016年6月23日,イギリスで国民投票がおこなわれ,これまで加盟していたEUからの離脱(りだつ)が決まりました。その直後,日本でも株価が暴落したり,円高が進んだりして混乱が見られました。

 イギリスでもこの国民投票の結果はかなりの衝撃(しょうげき)があったようで,EU残留派(ざんりゅうは)が勝つだろうと思って投票しなかった人や,事前のEU離脱派のキャンペーン(多くのうそがふくまれていたようです)に乗せられて,なんとなく離脱に投票したけれども,冷静に考えると残留に投票するべきだったと後悔(こうかい)している人も多数いると聞きました。

 また,イギリスで投票に参加できるのは18歳以上なのですが,若(わか)い人ほどEU残留に投票した人が多かったようです。彼(かれ)らにとってはイギリスがEUの一員であることは生まれたときからの常識であり,EUを離脱したイギリスの姿を想像することはできなかったのでしょう。

 今回の国民投票は,「EU離脱」対「EU残留」の投票でしたが,別の見方をすれば,

  高齢者(離脱支持)対 若年者(残留支持)
  地方部(離脱支持)対 都市部(残留支持)
  労働者階級層(離脱支持)対 中上流階級層(残留支持)

とも言われていました。つまり,貧困(ひんこん)などで不満をかかえている人たちが,エリート階級に対してその不満をぶつけた結果,離脱派がわずかに残留派を上回り,今回のEU離脱という結果につながったというのです。

 日本では,7月10日に参議院議員選挙がおこなわれました。開票の結果,自民党と公明党の与党が過半数の議席を獲得しましたが,もう一つ注目されていたことがあります。

 それは憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を獲得できるかということです。開票の結果,野党でも改憲を主張する議員をふくめると3分の2をこえる議席を確保しました。今後,憲法改正をめぐる議論が活発になるのはまちがいありません。

 そして,遠くない将来,憲法改正が発議され,国民投票がおこなわれる日が来るでしょう。おそらく,そのときにはみなさんは投票権を得ているはずです。

 そのとき,周りの雰囲気(ふんいき)やブームに流されず,一人ひとりが冷静に自分自身で考え,判断していくことが必要になってきます。みなさんもそんな大人になってほしいと思います。


掲載日:2016年7月13日
次回の掲載は,2016年8月15日の予定です。

[2016/06/13] シルバー民主主義下の消費税増税延期


 2016年6月1日,安倍晋三(しんぞう)首相は記者会見して,2017年4月に予定していた消費税増税を2年半延期すると正式に表明しました。今回は,これについてみなさんと考えてみたいと思います。

 本来,消費税は2015年10月に10%に増税されることが決まっていました。しかし,2014年11月,消費税増税は延期されました。その際の会見で安倍首相は次のように述べています。「さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここでみなさんにはっきりとそう断言いたします。2017年4月の引き上げについては確実に実施(じっし)いたします。」

 つまり,2回の増税延期になったわけです。

 私が問題にしたいのは,増税延期の有無ではありません。世界第3位の経済大国である日本の首相が「増税延期はないと断言したこと」をたやすく破ってよいのかということです。一国のリーダーの言葉はそんなに軽いのでしょうか。国民は「言ってもやらない」リーダーを信用するのでしょうか。

 さて,今回,安倍首相が消費税増税を延期した背景には,シルバー民主主義があると考えています。シルバー民主主義とは,高齢者(こうれいしゃ)を象徴(しょうちょう)する色である「シルバー」と民主主義を意味する「デモクラシー」を組み合わせた造語です。この言葉の意味は,「少子高齢化が進行する社会において,有権者(ゆうけんしゃ)全体をしめる高齢者の割合が増加し,多数派である高齢者向けの政策(せいさく)が優先的に考えられる状態」と述べればよいでしょう。

 次のグラフを見れば,この意味はより明確になります。

 20160613.png

 グラフからは,そもそも高齢者の人口が多く,しかも投票率が高いことがわかります。
 選挙のとき,立候補者は得票数を多く確保するため,多数派をねらった政策を前面にかかげるのがふつうです。シルバー民主主義下では,多数派である高齢者にかたよった政策を取るようになります。

 実は,まさに消費税増税延期が「高齢者にかたよった政策」なわけです。
 どういうことか,ご説明しましょう。

 消費税は,金持ち優遇(ゆうぐう)の税金です。たとえば,小学生がおこづかいをためて1000円の商品を買ったとしても,年収1000万円の大人が1000円の商品を買ったとしても,消費税は同じ80円です。これってどう考えてもおかしいでしょう。

 税には3原則と呼ばれるきまりがあります。「公平(経済力が同等の人に等しい負担を求める)」「中立」「簡素」です。先ほどの例でいえば,「消費税は同じ80円だから公平だ」と考える人は,小学5年生で習った割合の考え方が正しく理解できていません。小学生の1000円と年収1000万円の大人の1000円では価値がちがいます。まったくもって公平ではないわけです。

 では,日本国内で金持ちはだれでしょうか。実は65歳以上の高齢者です。
 2016年5月17日に総務省統計局が発表した「家計調査」によると,60歳代以上の平均貯蓄額(ちょちくがく)が2400万円ほどあるのに対して,40歳代未満は400万円を下回っています(いずれも世帯主)。

 さらにいえば,この調査は負債(ふさい)を考慮(こうりょ)していません。負債の多くは住宅ローンであり,実際には50歳代前後にはほぼ完済(かんさい)していることから,実質的な「純貯蓄額」(貯蓄から負債を引いた額)の総量はさらに高齢者にかたよることになります。もちろん,高齢者は年金によって日々の生活は保障されています。

 消費税増税延期に賛成する若い世代が多かったという世論調査があります。確かにそうでしょう。しかし,消費税増税延期によって実質的な恩恵(おんけい)を受けるのは高齢者だという現実を知っておく必要があります。そして,消費税増税延期によって1000兆円をこえている日本の借金(国債発行残高)は減るどころか増え続けます。借金返済(へんさい)を先延(さきの)ばしすればするほど,若い世代がそれを背負うことになるのです。

 7月には参議院議員の選挙がおこなわれます。今回は18歳以上に選挙権が拡大されてから初めての国政選挙です。これからの日本のことを考え,だれが国会議員にふさわしいのか,どの政党に国政を任せるのか,みなさんも考えてほしいと思います。

 日本の借金は次のホームページから確認できます。
 http://www.takarabe-hrj.co.jp/clockabout.html


掲載日:2016年6月13日
次回の掲載は,2016年7月11日の予定です。

[2016/05/09] G7伊勢志摩サミットが開かれる三重県


 今春おこなわれた公立中高一貫校入試を概観(がいかん)すると,北陸をテーマにした問題が多く出題されていたことがわかります。もちろんその理由は,2015年3月に北陸新幹線(長野駅から金沢駅間)が開通したからですね。

 多くの公立中高一貫校では夏休み期間中に入試問題がつくられるので,その時期までの時事問題は要チェックというわけで,今回はG7伊勢志摩サミットが開かれる三重県を取り上げます。

 2016年5月26日・27日に,三重県の賢島(かしこじま)で主要国首脳(しゅのう)会議(ふつう「サミット」と呼ばれます)が開かれます。
 サミットは1975年以来毎年開催(かいさい)されており,G8とよばれる日本・アメリカ合衆国(がっしゅうこく)・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダ・ロシア連邦(れんぽう)の首脳とヨーロッパ連合(EU)の代表が集まり,さまざまな政治的・経済的課題を話し合ってきました。しかし,ロシア連邦はウクライナの問題で,現在サミットに参加できなくなっています(だから,現在は「G7」です)。

 サミットは参加各国が毎年持ち回りで開催することになっており,日本では,2008年の北海道洞爺湖(とうやこ)サミット以来,8年ぶりの開催です。

 安倍首相が,サミット開催地を三重県の伊勢(いせ)・志摩(しま)に決めたのは,警備(けいび)や交通アクセスといった実務面に加えて,各国首脳に対するメッセージ性を重視したためです。「日本の美しい自然,豊かな伝統・文化を各国のリーダーに肌(はだ)で感じ,味わっていただける場所にした」と安倍首相が自ら述べています。

 三重県には,緑深い山々,渓谷(けいこく)から海へとそそぐ清流,美しい入り江(え),大小の島々など,日本のふるさとの原風景ともいえる自然があふれています。また,日本人の代表的な「心のふるさと」とされる伊勢神宮は,日本の精神性,豊かな文化・伝統にふれることができる場所です。

 その伊勢神宮には,持統天皇のころより始まったとされる「式年遷宮(せんぐう)」という祭事があります。これは,20年に1度すべての社殿(しゃでん)や御装束(ごしょうぞく)などを新しくつくりかえる伝統行事です。この20年という期間は実に絶妙(ぜつみょう)な時間だと思います。これがもし40年に1度だとすると,社殿や御装束をつくる技術を伝承することが難(むずか)しくなっていくと思われます。20年間隔(かんかく)で遷宮をおこなうことでつねにみずみずしくあり続けるとともに,その長い「伝統」を受けつぐための人材を育てることができたのです。

 今回,サミットが開催される賢島は英虞湾(あごわん)にうかぶ島です。英虞湾はリアス海岸として有名であり,明治から大正時代にかけて真珠養殖(しんじゅようしょく)の技術が確立すると,養殖真珠発祥(はっしょう)の地としても有名になり,昭和初期には真珠湾とも呼ばれました。

 当時,クウェートなどペルシャ湾諸国(わんしょこく)では,天然真珠の生産・輸出がさかんにおこなわれており,その国の経済(けいざい)を支えていました。しかし,日本でつくられた安い養殖真珠のえいきょうで大きなダメージを受けてしまいました。そして,石油採掘(さいくつ)開発に本格的に取り組みはじめ,産油国として大きな富と力を持つようになっていくのです。

 日本の一つの技術革新(かくしん)が,世界の思わぬところで,思わぬえいきょうをあたえていたのです。ちなみに,現在,日本の養殖真珠の生産量の多い県は愛媛県・長崎県・三重県の順になっています。


掲載日:2016年5月9日
次回の掲載は,2016年6月13日の予定です。

[2016/04/11] 会社が会社を売ったり買ったりする理由


 2016年4月2日,台湾(たいわん)の鴻海(ホンハイ)精密工業という会社が,シャープを3888億円で買収したと報道されました。シャープは年間売上高が2兆8000億円の大手家電メーカーです。2008年ごろまでは液晶テレビ・ディスプレイで世界のトップを走っていましたが,たった8年で台湾の会社に買収されることになりました。

 鴻海精密工業は郭(かく)会長が一代で築き上げた会社です。年間売上高は15兆6000億円で台湾で最も大きな会社です。形の上では規模が5倍以上の鴻海がシャープを丸のみにしたかのようです。

 ではなぜ鴻海精密工業はシャープを買ったのでしょうか。

 鴻海はスマートフォンや薄型テレビなどの電子機器を製造するメーカーなのですが,自社ブランドを持っていません。他の会社の製品を代わりに作るのが鴻海という会社で,これを受注生産といいます。

 つまり,受注生産とは相手先のブランドで製品の製造をおこなうことで,たとえば,ニンテンドーのゲーム機を製造しても,そのゲーム機はニンテンドーのブランドで販売されるのであって,鴻海精密工業が作っていることは購入する消費者にはわかりません。鴻海は,アップルのiPhoneやiPad,ソニーやニンテンドーのゲーム機,主要メーカーのパソコンなどを受託生産しています。生産量という点から見れば,世界最大規模の製造メーカーといえるのです。

 そんな世界最大規模の製造メーカーである鴻海精密工業がシャープを買ったのは,液晶技術がほしかったからだといわれています。世界最先端の技術を自社で開発するのには,時間とお金がかかります。その時間を短縮するためには,すでにその技術を持っている会社を買収してしまえば済むことなのです。シャープは経営的には失敗してしまいましたが,高い技術力をいまでも持っています。

 さらに,シャープには100年以上の信用と高いブランド力があります。これまで自社ブランドをほとんど持たず,受託生産中心で発展してきた鴻海が,シャープというブランドを手に入れることで,さらにグローバルな企業として発展していく基盤を手に入れたことになるのです。

 日本には,日立製作所,東芝,三菱電機,パナソニック,ソニー,シャープ,NEC,富士通の大手家電8社があります。そのうちの一つであるシャープが,初めて海外の企業に買収されることになったわけです。少しさびしい気もしますが,これも,グローバル社会の中では仕方がないことなのかもしれません。

 このように,身近にあるさまざまなニュースに目を向けつつ,日本や世界の動きに注目していけば,私たちの知性はどんどん高まっていきますよ。


掲載日:2016年4月11日
次回の掲載は,2016年5月9日の予定です。

[2016/03/14] 公立中高一貫校入試でも歴史学習が必須に


 これから公立中高一貫校をめざす新小学6年生,5年生のみなさん,これからいっしょにがんばっていきましょう。

 さて,今年度の公立中高一貫校入試において,これまでとは大きくちがう傾向(けいこう)が見られたので,まずはこのことをお伝えします。それは歴史に関する問題です。

 これまでは,公立中高一貫校入試において歴史を本格的に取り上げた問題はほとんど出題されていませんでした。ところが,今年は東京都立の公立中高一貫校(共通問題)や宮崎県立の公立中高一貫校などで,歴史に関する本格的な適性検査問題が大問として出題されました。おどろいた教育関係者も大勢いたことでしょう。

 たとえば,宮崎県立の公立中高一貫校では,6枚のカードが示され,その中から豊臣秀吉が関係した4枚のカードを選んで古い順に並びかえ,さらに選んだカードと関係のある場所を地図中から選ぶという問題が出題されました。また,豊臣秀吉に関連して,太閤検地と刀狩の内容とそのえいきょうに関する出題もありました。

 東京都立の適性検査問題も同様ですが,これらの問題に答えるためには,事前にある程度の知識を持っていることが必要です。学校の教科書に書かれている内容については完全に理解し,知識を覚えていなければこれらの問題に対応することはできません。

 公立中高一貫校が出題する適性検査問題は単に知識を問う問題ではなく,思考力・判断力・表現力を問う問題が出題されるというのは今後も不変だと断言できます。しかし,その前提となるのが十分な知識・技能です。公立中高一貫校への進学をめざすみなさんは,まず,教科書に書かれている内容を十分に理解し,その知識を使って様々な課題を解決する力を身につけていく必要があります。

 特に歴史の学習では,新しい知識を学んだときに,その出来事が起こった時代背景までも理解し,その結果として何が起こり,世の中がどのように変化していったのかをいつも考えましょう。そのような日々の努力の積み重ねが,1年後に合格という結果になって表れると確信しています。


掲載日:2016年3月14日
次回の掲載は,2016年4月11日の予定です。