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カッシー先生

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中学受験36年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
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[2017/10/09] 衆議院の解散は内閣総理大臣の専権事項なのか??


 日本は今,衆議院解散により総選挙がおこなわれようとしています。小学6年生のみなさんには,少し難しいテーマであることは承知のうえで,あえて今回はこのことについて考えてみたいと思います。

 以前,日本国憲法には3つの柱があり,その中でも最も大切なのが「基本的人権の尊重」であるとお話したことがありました。そして「基本的人権の尊重」を守るためのしくみの1つが「権力の分立」です。なぜなら,権力が1つの機関や個人に集まると,暴走を止めることができなくなるからです。

 日本は諸外国と同じように三権分立制を採用しています。これは権力を立法・行政・司法の3つに分け,それぞれを国会・内閣・裁判所にゆだねています。そして,それぞれの機関が暴走しないようにおたがいにチェックし,バランスを保つしくみを作っています。

 その1つが衆議院による内閣不信任案の議決です。日本では議院内閣制を採っています。これは内閣が国会の信任によって成り立つしくみであり,内閣総理大臣は国会の指名で決まり,内閣は行政権の行使に関して,国民ではなく,国会に対して責任を持つことになっています。

 これは「国民主権」に反しているように見えますが,主権者である国民が選挙で直接選んでいるのが,内閣総理大臣ではなく,国会議員だからです。憲法に「国会は国権の最高機関であり,国の唯一の立法機関である。」と書かれているのはこういうことなのです。

 ですから,衆議院による内閣不信任案の議決がなされたら,当然内閣は総辞職することになります。しかし,それでは内閣に対して国会の権限が強くなりすぎるため,三権分立に反します。そこで内閣は衆議院による内閣不信任案の議決がなされた場合,直ちに総辞職するか,衆議院を解散するかを選択できるようにしています。

 しかし,今回の解散もそうですが,現状では内閣総理大臣が自分の都合のよいときに,衆議院を解散できることになっています。これは三権分立の原則にも反しますし,本来,憲法が内閣総理大臣にそんな権限をあたえていると解釈すること自体に無理があります。

 日本が議院内閣制のモデルとしたイギリスでは,首相による「自由な解散」は2011年に法律により禁止されました。解散は,国民の代表である国会議員の身分をまたたく間にうばってしまう強権です。今のままでは,強すぎる行政府(内閣)と弱すぎる立法府(国会)が固定化し,国民の基本的人権がおびやかされているといえます。

 今回の総選挙は,これからの日本の政治のあり方を決める大切な選挙になるような気がします。みなさんも18才になったら選挙権を手にできます。自分たちの代表である議員をどんな基準で選ぶのか,考えておくことは大切なことですね。いや,それよりもこのコラムを読んでいる人の中から,立派な議員が誕生するかもしれませんね。そうなると,私はとてもうれしいのですが。


掲載日:2017年10月09日
次回の掲載は,2017年11月13日の予定です。