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カッシー先生

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カッシー先生

中学受験37年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2019/07/08] IoTは私たちの大きく社会を変える?!


 IoT(アイオーティー)という言葉を聞いたことはありますか。あらゆるモノがインターネットにつながることで,それぞれのモノから個別の情報を取得し,その情報をもとにして最適な方法でそのモノを制御(せいぎょ)するしくみのことです。

 このIoTを組みこんだ家電を「スマート家電」と呼んでいます。

 スーパーマーケットなどでの買い物中に,「あれ? そういえばこの野菜,まだ冷蔵庫に残っていたっけ?」という経験をしたお母さんも多いと思います。しかし,スマート家電の冷蔵庫なら,外出先から庫内に取りつけてあるカメラを使ってスマートフォン経由で食材をチェックできるので,買い忘れや重複買いを防止できます。それだけでなく,冷蔵庫の食材から,おすすめのレシピも調べられるので,料理するときに,献立(こんだて)になやむことも少なくなります。

 帰宅する前に「部屋をすずしくしておきたい,またはあたたかくしておきたい」と思ったとき,スマート家電のエアコンなら,外出先からスマートフォンでエアコンの操作(そうさ)ができるので,帰宅時に部屋が快適な温度にすることができます。スマートフォンで温度を設定できるだけではなく,エアコンの電源を切り忘れたかな,と思ったときにでも自宅にもどらずにスマートフォンで電源を切ることもできます。

 IoTを取り入れることで,第一次産業も大きく様変わりします。たとえば,稲作農家にとって水田管理はとても大切です。特に水位を適切に管理することで,気温の変化に左右されない一定の水温を保つことができます。しかし,広い水田の水温管理を人力でおこなうには手間と時間がかかります。

 そこで活やくしているのが水田センサーです。このセンサーには通信機能がついていて,10分おきに水温と水位のデータを送ってくれます。このデータをスマートフォンでチェックすることで,必要に応じて水位の調節ができるようになります。いちいち水田に行く手間がはぶけることで,時間に余裕ができます。

 IoTによってあらゆるモノから個別の情報を取得できるため,クラウド(コンピューターサーバー)上にはぼう大なデータが集まってきます。このぼう大なデータのことをビッグデータと呼びます。このビッグデータをAI(人工知能)が学習し分析(ぶんせき)することで,これまで以上に必要とされている製品やサービスの開発に利用され,社会も変化していくことになります。

 しかし,社会がよくなるように変化していけばよいのですか,個人情報の保護や,ビッグデータの活用の仕方など,これからの社会に必要な新しいルールをどうするのかといった点では課題が残っていると思います。


掲載日:2019年7月8日
次回の掲載は,2019年8月12日の予定です。

[2019/06/10] 植物工場で野菜を生産する利点とは??


 今回は,公立中高一貫校入試の最新トピックである植物工場を取り上げます。

 種まきから収かくまでを建物の中でおこなうのが植物工場です。この工場が登場したのはいまから30年以上前の1980年代でした。

 理科の授業で,植物が発芽するためには水と空気と適温が必要であり,成長するためにはそれに加えて肥料と日光が必要だと学習しましたね。植物は光合成をおこない,自らでんぷんなどを作り出します。光合成とは,水と二酸化炭素を原料として,葉緑体という工場ででんぷんなどをつくるはたらきのことで,そのときにエネルギー源として日光を利用しているとイメージすればわかりやすいでしょう。そのとき出る余り物が酸素です。

 植物工場では日光の代わりに人工光を使い,土を使わずに水耕さいばいをおこないます。また,工場は室内なので空調設備を整え,植物の成長を管理することができます。自然環境(かんきょう)に左右されずに野菜を育てることができます。

 しかし,そのためには工場や設備の建築費や空調,人工光の維持(いじ)管理費など多額のお金がかかります。また,品質の整った野菜を生産する技術を確立することが難しく,企業(きぎょう)として利益を出すことができない時代が長く続きました。

 2000年代に入ると,植物工場を取り巻く環境に変化がおとずれます。天候不順により野菜の価格が上がり,一方で,LEDを用いることで電気代をおさえることができるようになり,植物工場の採算が取れるようになったのです。

 ここで余談。
 光合成がさかんにおこなわれるには,室内の人工的なLEDの光よりも自然の中での太陽光のほうがよいと思いませんか。しかし,その考えはまちがいです。太陽光の中には植物の成長をはばむ光がふくまれているため,LEDを使って成長に必要な光だけを当て続ければ,自然の中で育てるよりも短い時間で収かくできるようになります。さらに,当てる光の組み合わせを変えることにより,特定の栄養素,たとえばビタミンAをたくさんふくんだ野菜をつくるといったこともできるようになっています。

 また,農場で育てられる野菜は自然環境の変化により生育に大きな差が出ます。一方,植物工場では,当てる光だけでなく,工場内の温度,湿度(しつど),二酸化炭素濃度(のうど)などもコントロールすることにより,1年を通して同じ品質の野菜を出荷(しゅっか)できます。

 それらの変化により,植物工場は企業にとっても利益をもたらす存在になりつつあります。消費者にとっても,安全安心な野菜をいつも同じ値段で買うことができるという魅力(みりょく)は大きいですね。


掲載日:2019年6月10日
次回の掲載は,2019年7月8日の予定です。

[2019/05/13] 文章を正しく読む力を身につけるには??


 公立中高一貫校受験のための塾に通っているにもかかわらず,「国語の成績がほとんど伸びない」という話を,ここ数か月間で立て続けに聞きました。

 今回は,少し毛色を変えて,なぜそんなことになるのかをお話しします。

 通常,塾でおこなう指導は受験国語とよばれます。いわゆる,筆者が書いた本の一部分を切りぬいて,入試問題のようにその文章にぼう線を引いたり,空らんを設けたりして設問をつけた問題を解いていくという方法です。私たち塾業界では,こういった問題を「文章切りぬき問題」とよんでいます。

 確かに,試験と同じような問題を解けば問題慣れにはつながりますが,この方法では国語力は身につきません。なぜなら,この方法では文章を読む基礎力が養成できないからです。

 また,国語力の本質は「文章を正しく読む力」を身につけることですが,この「読む訓練」につながりません。サッカーでいえば,パスやドリブルの練習をせず,ひたすら試合をしているのと同じで,試合の形式に慣れても上達がないのと同じです。

 では,国語力の本質である「文章を正しく読む力」を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。

 答えは1つ。音読です。

 声に出して一語一語正確に読み進めるだけです。この音読訓練を半年続けるだけで,国語の成績はだれでも必ず伸びていくと断言できます。

 国語力の低い子は,正しく字面を追うことができず,それゆえ,文章を正しく読むことができません。音読は,なにより正しく字面を追う訓練につながります。また,意味のかたまり(文節)ごとに読んでいるか,わからない言葉がないかの確認もできます。

 まさにいいことずくめです。

 一見地道な訓練のように思えますが,こういったことを続ければ最短ルートで国語力が身につきます。ぜひ,「文章切りぬき問題」に手を染めてしまい,時間をむだにしないでいただきたいと思います。

 参考コラム [2018/04/09] 国語の勉強方法で悩んでおられる方へ


掲載日:2019年5月13日
次回の掲載は,2019年6月10日の予定です。

[2019/04/08] 地球温暖化対策の緩和策と適応策


 気象庁によると,日本の年平均気温はここ100年ほどで1.2度上がっています。このままでいくと,60年後には東京が鹿児島県の屋久島のような気温になるともいわれています。年を追うごとに,最高気温が30度以上の真夏日や,35度以上の猛暑日(もうしょび)も増えています。これにより,デング熱などの感染症(かんせんしょう)の原因ウイルスを広める蚊(か)の生息域が北上するなどのえいきょうが出始めています。

 では,みなさんは地球温暖化対策といえば何を思いうかべますか。電気や水をむだ使いしない,車のアイドリングをやめる,買い物のときはエコバックを持参するなどにより,二酸化炭素のはい出を減らすことでしょうか。

 ただし,これらは地球温暖化の進行をおさえるための対策で,「緩和(かんわ)」といわれています。もちろんこれらも大切なことですが,現実には地球温暖化が進行しており,えいきょうが出続けています。一方,これらの悪いえいきょうを減らしたり,さけたりすることを「適応(てきよう)」といいます。

 ヨーロッパでは,10年以上も前から国全体で「適応」のための対策が進められています。日本でも,2018年6月に気象変動適応法が成立しました。この法律では,温室効果ガスのはい出削減対策(緩和策)と,気候変動のえいきょうによる被害を減らしたり軽くしたりする対策(適応策)が両輪だと位置づけられています。そして,国,地方公共団体,事業者,国民が気候変動適応を進めるためにになうべき役割を明確化し,適応策を強力におし進めようとしています。

 国は,農業や防災等の各分野の適応をおし進める気候変動適応計画をつくり,その進展じょうきょうについて,はあく・評価手法を開発します。そのうえで,気候変動えいきょう評価をおよそ5年ごとにおこない,その結果にもとづいて計画をつくり変えていく予定になっています。

 具体的な適応策としては,高温でも育つ農作物の品種改良,魚類の分布が変化したことに対応した新しい漁場の整備,てい防やこう水調整しせつなどの整備などが考えられます。また,ハザードマップの作成をうながしたり,熱中症予防の対策を進めることなども考えられます。これらは,地方公共団体や事業者が中心となっておこなうものから,国民の生活に密接に関係するものまでいろいろあり,いずれもすばやい対応が必要なものばかりです。

 みなさんも,緩和策だけでなく身近にできる適応策についても考えてみましょう。


掲載日:2019年4月8日
次回の掲載は,2019年5月13日の予定です。

[2019/03/11] どうなるブレグジット!!-世界が大注目-


 みなさんは,「ブレグジット」という言葉をご存じでしょうか。これは,イギリスのEU離脱(りだつ)問題を指します。2016年6月におこなわれた国民投票により,イギリス国民はEUから離脱することを決めました。その離脱期限が2019年3月29日にせまっています。

 これまでイギリスはEUと交渉し,できるだけおだやかにEUから脱退しようとしてきました。しかし,イギリスのメイ首相がEUと交渉してまとめた離脱合意案を3月12日,イギリス下院は大差で否決しました。EUと合意しないまま離脱することもできますが,そうなると経済が混乱し,国民生活に大きなえいきょうが出ます。すると,13日にはこの「合意なき離脱」も否決したのです。そして,14日には離脱期限を3月29日から6月末日まで延期することを可決しました。

 どう見ても,イギリスは迷走しているとしか思えません。いったいどうしてこんなことになったのでしょうか。2016年7月13日のコラムでも取り上げましたが,そもそもイギリス国民は本当にEUから脱退したかったのでしょうか。

 ある調査によると,24才以下のイギリスの若者は70%がEU離脱に反対しているものの,実際に投票したのは40%にすぎなかったとのこと。もし,もう一度国民投票が実施されたのなら,EU残留派が多数をしめるのは確実といわれています。EU離脱派の人たちもEUとの貿易で関税がかかることには賛成していません。しかし,移民は受け入れたくないのです。

 つまり,EU離脱を主張する人たちも,一方的に離脱するのではなく,EUに加盟していることの恩恵(おんけい)はそのままで,自分たちが我慢(がまん)しなければならないことだけイヤだと言っているのです。これでは,EU諸国と離脱案をまとめることは困難を極めます。

 EUには現在28か国が加盟しています。イギリス以外の国にとってもイギリスがこのまま脱退することは大きな問題です。というのも,イギリスは加盟国の中でドイツに次いで2番目の経済規模をほこっており,他のEU諸国との貿易では大きな赤字となっているのです。つまり,EU諸国はたくさん商品を買ってくれたお得意様を失ってしまうことになるわけです。また,イギリスが負担してきた加盟分担金を,今後は他の加盟国が負担しなくてなりません。つまり,EUにとってはイギリスの離脱は簡単には認められないことなのです。

 2016年6月に戻りたがっているイギリス人もいるようですが,一度おこなわれた国民投票の結果は重いものがあります。イギリスがこれからどうなるかはまだわかりませんが,私たちも対岸の火事とするのではなく,教訓となるように見守っていく必要があると思います。


掲載日:2019年3月11日
次回の掲載は,2019年4月8日の予定です。