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カッシー先生

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中学受験37年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
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[2019/09/09] 人間の自然治癒力はなんともすばらしい


 昨年,日本人として26人目のノーベル賞受賞者となったのが,本庶佑(ほんじょたすく)教授です。がん治療(ちりょう)に免疫(めんえき)細胞(さいぼう)を利用することに道を開いた研究が高く評価されました。

 免疫とは,人間の体に自然に備わっている,みずからの体を守る働きのことです。体に侵入(しんにゅう)してきた細菌(さいきん)やウイルス,がん細胞などを攻撃(こうげき)するのが免疫細胞です。人間の体は37兆個の細胞でできており,その一つひとつにマークがついています。マークがついていない細胞は外から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物だとわかり,免疫細胞がそれを攻撃します。

 免疫細胞は血液の中の白血球にあり,大きく2つのタイプに分けられます。一つは生まれながらに持っているタイプで自然免疫といわれます。もう一つは病気にかかることで備わるタイプで,獲得免疫といわれます。この獲得免疫を利用して病気にかかりにくくする方法が予防接種(せっしゅ)です。有名なのはインフルエンザの予防接種ですね。予防接種をすることで病気にかかりにくくなったり,かかっても症状(しょうじょう)をやわらげたりできます。

 免疫細胞は,24時間休みなく働いています。人間の体が健康なときは免疫細胞の働きも活発になり,病気にかかりにくくなります。しかし,体が弱っていると免疫細胞の働きも弱くなり,病気にかかりやすくなってしまいます。軽めの運動を毎日続けたり,毎日決まった時間に食事を取ったりして,規則正しい生活習慣を続ければ,自然免疫の働きを活発にできます。

 本庶教授は,1992年に免疫細胞の表面に「PD-1」というこれまで知られていない物質があることを発見しました。その後の研究で「PD-1」の働きを止めると免疫反応が過剰(かじょう)に働くことがわかり,「PD-1」は免疫が働くのをおさえる,いわばブレーキの役割を果たしていることをつき止めました。

 さらに,がん細胞がこのメカニズムを利用してヒトの免疫をのがれていることもわかりました。そこで,がん患者の体内で「PD-1」が働かないようにすることで,再び免疫ががん細胞を攻撃するようにして治療するという,それまでの抗(こう)がん剤(ざい)とはメカニズムがまったくちがう新しいがん治療薬の開発につながりました。

 つまり,本庶教授は病気に打ち勝つ手段として,人間が本来持っている免疫細胞を活用することで,がんの治療をおこなうことを可能にしたのです。私は,人間の自然治癒力(ちゆりょく)とはなんともすばらしいものだと感心しました。

 今年のノーベル賞受賞者の発表ももうすぐです。楽しみですね。


掲載日:2019年9月9日
次回の掲載は,2019年10月14日の予定です。