公立中高一貫校をめざす方へのお役立ちサイトです。
ぜひご活用ください!

カッシー先生

PROFILEカッシー先生プロフィール

カッシー先生

中学受験40年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2020/05/11] 新型コロナウイルスから身を守る方法


 前回は、新型コロナウイルスとマスクの関係を取り上げました。今回は、新型コロナウイルスから身を守る方法を考えます。

 新型コロナウイルスの感染(かんせん)経路は、現時点では、飛沫(ひまつ)感染と接触(せっしょく)感染の2つが考えられています。

■飛沫感染
 感染者のくしゃみやせき、つばなどの飛沫といっしょにウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸いこみ感染する。
※主な感染場所:ライブハウスや劇場、満員電車などの人が多く集まる場所

■接触感染
 感染者がくしゃみやせきを手でおさえたあと、その手で周りの物にふれてそこにウイルスがつき、別の人がそこにふれてウイルスが手につき、その手で口や鼻をさわって粘膜(ねんまく)から感染する。
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

 飛沫感染は、前回取り上げたようにマスクをつけ、三密をさけることで防止できるようです。

 やっかいなのは接触感染です。接触感染を防ぐには、感染者がさわった場所を特定してウイルスを取りのぞくという方法が考えられますが、エレベーターのボタンやエスカレーターの手すりなど、人はいろいろな場所をさわるため、感染者がさわった場所をすべて特定して対策を取るのは現実的には不可能です。

 ですから、接触感染を予防するために一番有効なのは、石けんによる手洗いやアルコール消毒ということになります。ウイルスがどこにいるかわからないのなら、どこにウイルスがいてもよい前提で考えればよいのです。

 では、ここで少し専門的な話をしましょう。
 前回、新型コロナウイルスは、大きさが1mmの1万分の1くらいの大きさだという話をしましたね。このウイルスにはタンパク質の突起(とっき)があり、これで感染できる細胞(さいぼう)を識別しています。このタンパク質の突起が日食の太陽のコロナのように見えるので、「コロナウイルス」とよばれています。

 70%のエチルアルコール(エタノール)は、このタンパク質の突起を変形させ、他の細胞に感染できなくする力を持っています。ただし、この時点では、ウイルスは死にません。

 一方、石けんはウイルス本体をおおっている膜(まく)をこわす力を持っています。膜は油の成分を中心にできているため、石けんで分解されて、こわれてぐちゃぐちゃになり、復活できなくなるのです。つまり、石けんを使えば、ウイルスはその時点ですぐに死にます。

 このように、もし外出中にウイルスにふれても、自分の手についているウイルスさえ死んでしまえば、目をこすったり、鼻をさわったり、ものを食べたりしても体内にウイルスが入ることはありません。そうすれば、どこにウイルスがいても感染することはありません。

 結局、新型コロナウイルスから身を守る方法は、マスクの着用と石けんによる手洗い(またはアルコール消毒)ということになります。

 他国からは、「日本は大した対策を取っていないのに、新型コロナウイルスの感染が広がっていないのはなぜだ」と、不思議がられています。しかし、日本人は日ごろマスクをしている人が多いですし、子どものころから「手洗い・うがい」の習慣が身についています。そう考えると、他国のような感染爆発が起こっていないことも納得できるのかもしれませんね。


掲載日:2020年5月11日
次回の掲載は、2020年6月8日の予定です。

[2020/04/13] 新型コロナウイルスの大きさとマスクとの関係


 今回も、新型コロナウイルスを取り上げます。

 新型コロナウイルス、正式には SARS-CoV-2(ザーズ シーオーヴィツー)
 これが引き起こす病気が急性呼吸器疾患(きゅうせいこきゅうきしっかん)で、専門的には、COVID-19(コビット ナインティーン)です。要は、新型コロナウイルス感染症(かんせんしょう)ですね。

 では、なぜこのウイルスはコロナとよばれているのでしょうか。
 それは、新型コロナウイルスの表面のタンパク質の突起(とっき)が、日食のときに見える太陽のコロナに似ているからです。

 著作権の関係で写真を掲載(けいさい)できませんので、ぜひインターネットで、新型コロナウイルスの写真(またはイメージ図)と、日食のときに見える太陽のコロナを調べて、見比べてみましょう。「似てるといえば似てるかな」とは思ってもらえるでしょう。

 しかし、大きさはかなりちがいます。
 新型コロナウイルスの大きさは1mmの1万分の1くらいだとわかっています。定規で1mmを見てください。これを1万個に切ったうちの1つ分です。市中に出回るマスクで、このウイルスを防御(ぼうぎょ)できないといわれるのはそのためです。

 ザルがマスク、水がウイルスだと考えればよいでしょう。ザルで水をすくうことはできませんよね。それと同じです。「ガーゼを何枚も重ねて何重にもすればいい」という人がいますが、では、10個のザルをたてに並べ、上から水を流したとき、ザルに水はたまりますか。他人やマスコミが言うことに対して、疑ってかかることはとても大切なのですよ。

 では、なぜマスクをする必要があるのでしょうか。それは、あなたが感染者(かんせんしゃ)だった場合、マスクをすることで他人への感染を防げる可能性が高まるからです。いまや、「自分は絶対に感染していない」と言い切れないでしょう。

 人がせきやくしゃみをするとき、のどを通る空気の速度は時速100kmをこえることがわかっています。口から出たあと、だ液や鼻水のが混ざった息は、その人の周囲に拡散(かくさん)します。しかし、マスクをすることでその息を減速させられるので、拡散を最小限に防ぐことができます。

 また、新型コロナウイルスは市中に出回るマスクを通りぬけますが、せきやくしゃみをするときに出るだ液や鼻水の飛まつ(感染者の場合、当然ウイルスをふくんでいる)は大きいので、マスクで食い止めることが可能です。ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつ全体が風船だと考えればよいでしょう。ウイルスは通りぬけても、風船ならマスクでキャッチできます。

 つまり、マスクは他人を感染させないためにつけるものであって、感染していない人が感染しないようにウイルスを防御する効果はないというわけです。

 ただし、自分のそばに感染している人がいて、その人がせきやくしゃみをして、ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつが飛んでくる場合もありますね。そういうとき、ウイルスそのものではなく、ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつから自分を守る効果はあります。

 マスクの必要性をご理解頂けたでしょうか。

 みなさんは、根拠(こんきょ)のないうわさ話や、まちがった情報にまどわされず、しっかり自分で調べて、目的や理由を正しく理解したうえで行動できる人になってほしいと思います。

 そして、むぎっ子広場に集うみなさんの中から、ウイルスの研究者やワクチン開発者、またはこういった非常事態のときにしっかり対応できる国会議員や官僚(かんりょう)が誕生し、だれもが幸せになれる社会をつくってくれることを切に願っています。

 そのために、いまみなさんは勉強しているのですよ。


掲載日:2020年4月13日
次回の掲載は、2020年5月11日の予定です。

[2020/03/09] いまだからこそ、伝染病の歴史をふり返る


 新型コロナウイルスが世界中で流行しています。これは伝染病(でんせんびょう)の一種で、ときに、人類の歴史を変えるほどの力を持っています。

 小学校の教科書には、聖武天皇の時代(奈良時代)、伝染病の流行で多くの人がなくなり、世の中が混乱したという記述があります。『自由自在 高学年 社会』をお持ちの方は、353ページをご覧ください。聖武天皇が国分寺や東大寺の大仏をつくるように命じたのは、仏(ほとけ)の力で伝染病の流行をおさえ、国を治めようとしたからです。この時代の伝染病は「天然痘(てんねんとう)」だったと考えられています。

 あまり知られていませんが、平安時代にも伝染病が流行しました。藤原道長が実権をにぎった995年に、京都で「はしか(ましん)」が大流行しています。この感染力はきわめて強く、同じ空間に感染者といるだけで感染してしまい、マスクや手洗いでもウイルス侵入は防げないというのは周知の通りです。

 小学校の一部の教科書には、コレラに関する記述もあります。明治維新(1868年)直前の1858年~1860年に江戸を中心にコレラが大流行し、江戸では人口の2割以上が亡くなったという記録があります。1858年といえば、日米修好通商条約が結ばれた年です。

 第一次世界大戦中には「スペインかぜ」(インフルエンザの一種)が大流行しました。感染者は6億人以上、死者は4000~5000万人におよび、この大流行が第一次世界大戦の終結を早めたとも考えられています。

 太平洋戦争後、朝鮮半島や満州からの多数の引きあげ船で大流行したのは、やはりコレラでした。先日、近所のおじいさんが、「伝染病が流行しているときに船に乗ってはいかん。コレラ船を思い出してほしかったなぁ。」と言っていましたが、その通りです。コレラ船は沖合に40日間とどまり、入港できませんした。伝染病が流行したときの対応は、コレラ船もクルーズ船も変わりません。これ以外にやりようがないわけです。

 このようにふり返ってみると、伝染病とは古くも新しく、ワクチンの開発と新型ウイルスの登場がくり返されているといえます。新型コロナウイルスのワクチンが一刻も早くできるのをいのりたいと思います。


掲載日:2020年3月9日
次回の掲載は、2020年4月13日の予定です。