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カッシー先生

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中学受験36年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2018/05/14] 何はともあれ,百聞は一見にしかず!!


 東京駅からJR中央線に9分ほど乗車すると,四谷駅に着きます。そして,2分ほど歩くと,「こんな場所が日本にあるのか!!」と目を疑う街並みと,その奥(おく)に真っ白い洋風宮殿(きゅうでん)が見えてきます。この宮殿が迎賓館(げいひんかん)赤坂離宮(りきゅう)です。

 この宮殿はもともと,大正天皇が皇太子(こうたいし)時代に,その住居とするために建築された西洋式宮殿です。この宮殿建設に政府は相当力を入れたようで,当時の日本の建築家,学者,芸術家,技術者などが総動員され,国家プロジェクトとして取り組まれました。

 外観や内装(ないそう)もすばらしいものですが,地震や火災に対しても十分な対策(たいさく)がされています。そのため,関東大震災(だいしんさい)にもたえられる絢爛豪華(けんらんごうか)な宮殿が完成したのです。

 もちろん,これだけのものを作るには多額の費用がかかりました。その額は,現在の貨幣価値(かへいかち)にして1000億円ともいわれます。しかし,明治天皇には「豪華(ごうか)すぎる」という理由で気に入ってもらえず,皇太子ご夫婦(ふさい)がここに住むことはほとんどなかったそうです。

 1945年の終戦後,皇太子(現在の天皇)の住居として利用された時期がありましたが,その後,1948年に皇室(こうしつ)財産から国の財産へと変わりました。

 国会図書館や弾劾裁判所,東京オリンピック組織委員会などに利用された時期もありましたが,国際関係の緊密化(きんみつか)の流れの中,外国からのお客様をお迎(むか)えするのにふさわしい施設(しせつ)が必要になりました。こうしてこれまであまり注目されてこなかったこの宮殿を,迎賓館として利用することになりました。6年間にわたっておこなわれた大規模(だいきぼ)改修工事が終わり,1974年,迎賓館赤坂離宮が完成しました。

 明治時代,当時の日本の威信(いしん)をかけて作り上げたこの宮殿は,やっと活躍(かつやく)の場があたえられたように思います。

完成してから100年後の2009年,迎賓館赤坂離宮は国宝(こくほう)に指定されました。国宝とは,文字通り国の宝です。国宝というと,歴史的に古いものをイメージしますね。現在,明治以降に作られた国宝はほかには1つだけです。何かわかりますか。そうです,富岡(とみおか)製糸場です。富岡製糸場は,世界文化遺産(いさん)に登録された2014年に国宝にも指定されています。

 以前は期間を区切って公開していた迎賓館赤坂離宮ですが,2016年からは通年で公開しています。内部のようすなどはインターネットでも見ることができますが,やはり直接見るほうがそのすばらしさをより実感できます。機会があればぜひ見に行ってください。


掲載日:2018年5月14日
次回の掲載は,2018年6月11日の予定です。

[2018/04/09] 国語の勉強方法で悩んでおられる方へ


 1月のコラムでは国語の文章問題を読み取るヒントを述べましたが,今回は国語の勉強方法についてまとめていきます。

 国語といえば読解力ばかりが注目されますが,実は国語の基礎となるのは,語い力です。たくさんの言葉を知っている人は,それだけ文章内容を理解しやすいといえます。

 この対策には,たくさんの漢字を覚えることと,慣用句や和語といった語いを増やすことしかありません。漢字の学習は一人でできるので,どんどん覚えていきましょう。公立中高一貫校入試を考えると,漢検5級までは必須です。できれば漢検4級まで目指してほしいと思います。なお,漢字を覚える際,その字の持つ意味をしっかり理解しましょう。一方,語いを増やすには読書が最も効果的です。本を読んで知らない言葉の意味を辞書で確認しながら覚えていけば,自然に語いが増えていきます。

 今回私が特におすすめしたいのが,小学生新聞を使った学習法です。朝日小学生新聞と毎日小学生新聞がありますね。実際に購読している方は多いと思いますが,うまく活用できているご家庭は少ないようです。マンガだけ読んでいる子どもさんも多いでしょう。しかし,それではもったいないですね。

 まず取り組んでほしいのは音読です。音読は,語学学習の基本です。国語も日本語という言語ですから,英語の学習と同様,音読が大切です。幸い,小学生新聞には漢字にルビがふってあるので,ストレスなく読むことができるでしょう。最もよいのは親子でいっしょに音読することです。親子で自分が気になる記事を一つずつ選んで音読します。その中で知らない語いが出てきたら教えてあげてください。辞書を使っていっしょに調べるのもよいでしょう。あくまで,親子のコミュニケーションの一環として新聞を活用すると考えてください。一日10分程度あればできますのでぜひおすすめします。

 音読が習慣になれば,次にしてほしいのは記事の書き写しです。1週間に2つ以上の記事を選び,ノートに書き写します。長い記事の場合は前文がありますので,それを写すのもよいでしょう。前文のない記事はそのまま全部写してください。小学生新聞とはいえ,記事はプロが書いたものです。書き写すことで文章の書き方を自然に身につけることができます。

 そして,最後にしてほしいのは,書き写した記事の感想を書くことです。写した記事について自分はどう考えるか,どのように思ったのかを言葉にして書きましょう。

 このように小学生新聞を上手に使うことで,語い力や時事問題に関する知識が身につくだけでなく,表現力まできたえることができます。小学生新聞を購読しておられるみなさん,ぜひ取り組んでみてください。


掲載日:2018年4月9日
次回の掲載は,2018年5月14日の予定です。

[2018/03/12] 臓器移植法が施行されて20年が経ちました


 長い間,脳死(のうし)からの臓器(ぞうき)提供(ていきょう)がおこなわれなかった日本で,臓器移植法が施行されたのは1997年10月のことです。この法律によって,脳死と判定された人から臓器移植をおこなうことができるようになりました。

 日本では,以前から脳死を「人の死」とするかどうかが大きな議論になっていました。このため,脳死になった人から臓器移植をおこなうと殺人罪(さつじんざい)になるおそれがあるなど,社会的な壁は高く,臓器移植は長い間おこなわれませんでした。そこで,法律でルールを定めることで,移植医療(いりょう)を進めることになったのです。

 ただし,臓器提供ができる場合を,提供者本人が生前,書面で意思表示をしている場合に限るなど,厳しい条件にしたことから,1年に数件しか臓器移植ができない状況が続きました。
 しかし,2010年に法律が改正され,本人の書面がなくても家族の承諾(しょうだく)で臓器提供ができるようになったため,脳死段階の提供が増えていきました。臓器提供の件数は年々増えていますが,人口100万人あたりの1年間の臓器提供件数で比べてみると,アメリカ合衆国は年間28件に対して,日本は0.7件にすぎません。

 法律ができたのに,なぜ,臓器提供が少ないのでしょうか。日本人は,臓器提供に抵抗感(ていこうかん)があるのでしょうか。

 内閣府が「家族が脳死と判定された場合,どうするか」という調査をおこなったところ,本人が臓器提供の意思表示をしていなかった場合でも,家族の判断で臓器提供を承諾すると答えた人が38%におよびました。本人が提供の意思を表示していた場合は,87%の人がその意思を尊重すると答えています。特に若い世代で臓器提供に積極的な傾向があります。
 こうした調査からは,他国に比べて日本で臓器提供への抵抗感が極端に少ないとはいえません。

 では,なぜ少ないのでしょうか。実は,本人や家族に臓器を提供したいという意思があっても,それが生かされないケースが数多くあるからです。

 脳死からの臓器提供の際は,脳死判定を確実におこなう必要があることから,大学病院や高度な救急医療がおこなえる病院など,全国で896の施設に限定されています。ただ,この数字だけを見れば十分な気もしますね。しかし,課題は続きます。

 厚生労働省が,これらの施設に脳死からの臓器提供をおこなう体制が整っているかどうかを調査したところ,「体制が整っていない」という施設が半数もありました。つまり,これらの病院に搬送された場合,本人や家族に提供の意思があっても,脳死からの臓器提供はおこなわれません。

 一方,「体制が整っている」残り半分の施設のうち,全国でたった62の施設で,20年間,半分以上の脳死からの臓器提供がおこなわれていました。つまり,臓器提供はごく限られた病院でおこなわれているのが現状で,この点が欧米などと大きく異なるところです。

 臓器提供は,提供する本人やその家族の死生観に関わる問題なので,むやみに増やす対策を取ればよいということにはなりません。ただ,本人や家族の意思が生かされていない現状は大きな課題です。

 いまも,移植を必要とする患者が多くいらっしゃいます。その現実と向き合いつつ,こうした課題解決に努力していく必要があるのだと思います。


掲載日:2018年3月12日
次回の掲載は,2018年4月9日の予定です。

[2018/02/12] 公立中高一貫校入試で英語導入決定へ!!


 ご存知のように,大学入試センター試験は2020年1月を最後に廃止され,現中学3年生が大学入試をむかえるとき(2021年1月)から,大学入試共通テストが始まります。その際の大きな変化は,国語と数学で記述問題が導入されることと,英語の出題内容が変わることです。

 大学入試センター試験に限らず,これまでの英語は「読む」「聞く」の2技能,特に「読む」の配点が高い入試制度でした。しかし,これでは国際社会で通用する英語力を身につけているかどうか,判定できません。そこで,今後は「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を等しい割合で評価する入試に変えることになりました。

 ただし,全国一律でこれらの4技能を評価することは時間的にも技術的にも難しいことから,大学入試共通テストでは英語のテストは実施せず,代わりに民間のテストを政府が認定し実施する予定です。民間の認定テストには「英検」や「GTEC」などが想定されています。

 一方,東京都教育委員会は都立高校入試に「話す力」を試すスピーキングテストの導入を決め,2020年2月の入試から実施予定です。

 このように,大学入試制度が変わると,高校入試にも影響をあたえることになります。もちろん,公立中高一貫校入試も例外ではありません。

 来年4月,さいたま市立大宮国際中等教育学校が開校します。この中学校が公表したサンプル問題には,なんと英語のリスニング問題が出題されています。また,2次選抜で実施される「集団活動」では,「グローバル・スタディ」と同様の活動をおこなうとされています。「グローバル・スタディ」とは,さいたま市のすべての市立小中学校で2016年4月から実施されている英語教育のことで,小学1年~中学3年までの9年間,一貫したカリキュラムの下で,「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの技能をバランスよく学ぶことを目標にしています。

 2020年度より,小学校で英語が教科化されることから,今後,全国の公立中高一貫校入試で英語が出題されるのは時間の問題といえます。いや,厳密に言えば,新小学4年生以下の児童は,公立中高一貫校入試で必ず英語が出題されると決め打ちして,いまからそのための準備を進めていくべきでしょう。

 NHK教育テレビでは,「プレキソ英語」という語学番組が放送中です。小学5~6年生を対象とした講座ですが,それ以下の学年にもおすすめです。楽しみながら英語表現を覚えていける構成になっています。親子で一緒に視聴されてはいかがでしょうか。


掲載日:2018年2月12日
次回の掲載は,2018年3月12日の予定です。

[2018/01/08] 接続詞と文末表現に着目すればいいんだ


 公立中高一貫校入試では,「○○○について,あなたはどう考えますか。この文章全体をふまえ,○○○字以内で書きなさい。」といった作文問題が出題されます。「この文章全体をふまえ」とは,「この文章の要旨(ようし)を読み取って,作文に盛りこみなさい」ということです。つまり,自分の考えを書くだけではなく,この文章の内容を私は正しく読み取っていますよ!!と採点者(つまり,公立中高一貫校の先生)にアピールしなければならないということです。

 要旨とは,その文章の中で筆者が最も言いたいことや主張したいことですから,まずは文章を読んで筆者の考えを読み取らなければなりません。

 筆者の考えや重要な事実が書かれている文を主文といいます。主文以外の文は,主文をくわしく説明しているにすぎません。主文をつないで読んでいけば要旨が理解できます。つまり,この主文をすばやく見つけ出せれば,要旨がすぐにわかるというわけです。

 公立中高一貫校入試で出題される問題は,ほとんどが説明的文章です。その中で書かれている内容は,筆者の考えとそれに反する考え,筆者の考えをくわしく説明するための例に分かれます。この中で大切なのは筆者の考えですが,それを見分けるのが意外に難しいと感じている児童が多いようです。

 主文を見分ける方法の一つが接続詞です。「つまり」「要するに」といった接続詞があれば,このあとには前の部分をまとめた文が続きます。まとめた文が2つ以上続くときには最も抽象的(ちゅうしょうてき)な文が主文です。
 一方,「たとえば」とあれば,そのあとには具体例が書かれてあります。その例は何を説明するために書かれているのかを確認(かくにん)しましょう。例は何かを説明している文章なので,例の前か後に主文があります。
 また,「しかし」「けれども」といった逆説の接続詞があれば,その後ろの文が主文になります。「だから」「それゆえ」などの順接の接続詞があれば,結果をあらわす後ろの文が,主文になります。「なぜなら」「どうしてかというと~」などの理由を表す接続詞があれば,逆に前の部分が主文です。このように,接続詞をヒントにして主文を見つけ出せます。

 主文を見分けるもう一つの方法は文末に注意することです。文末表現を見て筆者の意見だとわかる文は主文です。「~だと思います」「~にちがいない」「~である」「~と断言してよい」といった文末表現があれば,それが主文だと思ってください。

 その他にもいろいろな方法がありますが,まずは接続詞と文末表現に着目して,四角で囲んだり,線を引いたりしながら問題文を読んでみましょう。

 みなさんの健闘(けんとう)をお祈(いの)りしています。


掲載日:2018年1月8日
次回の掲載は,2018年2月12日の予定です。

[2017/12/11] 正しい日本語の使い方をいつも意識しよう


 小学生を対象としたあるテストで,次のような問題がありました。

 次の中でていねいな言い方として正しい文を選びなさい。
 1 次郎いるかな。
 2 次郎さんはおられますか。
 3 次郎さんはいらっしゃいますか。
 4 次郎さんはいらっしゃられまするか。

 1と4は明らかにまちがっており,3が正しい文であることはすぐにわかるでしょう。では,2の「おられますか」という表現はていねいな言い方としてまちがっているのでしょうか。私の手元にある国語辞典の「おる」の用法には,次のように書いてあります。

 「おります」は「います」より改まった言い方。自分や自分方の者について使う。相手や相手方については尊敬の助動詞をつけて「おられる」という。

 この辞典の解説によれば,2の「次郎さんはおられますか。」という文もていねいな言い方として正しいと判断できます。

 私も実際に年配の方から,「先生,しばらくここにおられますか。」とか,別の方に電話で「午後3時ごろ,教室におられますか。」と言われたことがあります。そのとき,このような使い方が正しいのかどうか調べてみました。

 ある先生は「おる」は「いる」の謙譲語だから,相手の動作に使うのはまちがっていると指摘されました。しかし,さらに調べていくうちに「おられる」という言い方を尊敬語として日常使っている方がたくさんいることがわかりました。

 言葉の使い方は時間の経過とともに変化していきます。いまはまちがいとされている表現も,10年も経てば正しい表現になっているかもしれません。その例として「ら」ぬき言葉があげられます。1991年に「テレビじゃ見れない川崎劇場」というCMがありました。文法的には「テレビじゃ見られない川崎劇場」が正しいのですが,CMとしてのインパクトは「見れない」の方が強いでしょう。現在では日常会話で普通に使われています。もうすぐ正しい日本語になるのでしょうか。

 ただし,「おられる」は「ら」ぬき言葉とは事情が異なるようです。国文法学者の中でも見解が異なっており,「文法的にまちがった言い方である」と主張する方もいれば,「実際に使われているので,正しい日本語としてよいのではないか」とお考えの方もいます。

 私たちは日本語で考え表現しています。正しい日本語の使い方を,日常生活の中で意識することが大切です。


掲載日:2017年12月11日
次回の掲載は,2018年1月8日の予定です。

[2017/11/13] 入試必出!ネットショッピングを支える宅配便


 宅配便各社が料金の値上げをおこないました。ヤマト運輸は10月から,佐川急便は11月から,日本郵便は来年3月からです。今回はこのことについて考えてみましょう。

 5年ほど前,私の住んでいる町の周辺には本屋が4つありました。それがいまでは駅の構内にある1店だけになりました。全国的に見ても書店数は減り続けています。その原因はいろいろあるでしょうが,インターネットで本を買う人が増えたこともその一つでしょう。私も買いたい本が決まっているときは,本屋で探すよりもインターネットを利用します。

 本に限らず,ネットショッピングが増えています。かつては注文してから手元に届くまでに3~5日かかるのがふつうでしたが,最近では翌日,早ければ当日に届きます。しかも送料が無料のものが多くなっています。こうなると,わざわざお店まで行って買い物をするよりも,家にいながらネットショッピングで買い物をしたほうが楽だし便利ということになります。

 この結果,ネットショッピングの売上高が年々増加し,そのしわ寄せが荷物を運ぶ人たちにかかっています。宅配の会社で働く人たち,特に荷物を家まで届けてくれる宅配ドライバーの人たちです。運ぶ荷物が増えすぎたために,休まずに働いても届けきれず,約束の時間におくれることも出てきました。その一方,宅配ドライバーを増やそうとしても,求人がうまくいきません。そのため,宅配便最大手のヤマト運輸では,労働組合から「これ以上の荷物は運べない」といわれました。

 そこで,会社側は料金を上げることにしました。この値上げ分で宅配ドライバーの待遇(たいぐう)が改善(かいぜん)され,働きやすい環境(かんきょう)が整えば,宅配ドライバーになる人が増えるかもしれません。

 宅配ドライバーの仕事が長時間におよぶのは,単に荷物の量が増えただけではなく,再配達が増えていることにも原因があります。単身世帯や共働き世帯など,日中家にだれもいないことが多い現在では,再配達になる割合が20%をこえています。こうなると,宅配ドライバーの負担がさらに増えます。また,再配達がないときと比べて,二酸化酸素はい出量も増え,地球環境にも悪いえいきょうが出ます。

 この再配達を減らすことも大きな課題となっています。そのため,政府は駅や商業施設などの外出先で荷物を受け取れる「宅配ロッカー」の設置を進めています。さらに,時間指定の方法を見直してドライバーの負担を減らし,1回で確実に受け取ることができるシステムをつくろうとしています。つまり,宅配便を利用する私たちがこれまでの便利すぎるサービスから,少し不便でも確実に荷物を受け取れるシステムづくりに協力していく必要があるのです。

 なお,本テーマは,来年の公立中高一貫校入試で出題が増えると予想されています。志望校に合格するためにも,しっかりと要点をおさえておきましょう。


掲載日:2017年11月13日
次回の掲載は,2017年12月11日の予定です。

[2017/10/09] 衆議院の解散は内閣総理大臣の専権事項なのか??


 日本は今,衆議院解散により総選挙がおこなわれようとしています。小学6年生のみなさんには,少し難しいテーマであることは承知のうえで,あえて今回はこのことについて考えてみたいと思います。

 以前,日本国憲法には3つの柱があり,その中でも最も大切なのが「基本的人権の尊重」であるとお話したことがありました。そして「基本的人権の尊重」を守るためのしくみの1つが「権力の分立」です。なぜなら,権力が1つの機関や個人に集まると,暴走を止めることができなくなるからです。

 日本は諸外国と同じように三権分立制を採用しています。これは権力を立法・行政・司法の3つに分け,それぞれを国会・内閣・裁判所にゆだねています。そして,それぞれの機関が暴走しないようにおたがいにチェックし,バランスを保つしくみを作っています。

 その1つが衆議院による内閣不信任案の議決です。日本では議院内閣制を採っています。これは内閣が国会の信任によって成り立つしくみであり,内閣総理大臣は国会の指名で決まり,内閣は行政権の行使に関して,国民ではなく,国会に対して責任を持つことになっています。

 これは「国民主権」に反しているように見えますが,主権者である国民が選挙で直接選んでいるのが,内閣総理大臣ではなく,国会議員だからです。憲法に「国会は国権の最高機関であり,国の唯一の立法機関である。」と書かれているのはこういうことなのです。

 ですから,衆議院による内閣不信任案の議決がなされたら,当然内閣は総辞職することになります。しかし,それでは内閣に対して国会の権限が強くなりすぎるため,三権分立に反します。そこで内閣は衆議院による内閣不信任案の議決がなされた場合,直ちに総辞職するか,衆議院を解散するかを選択できるようにしています。

 しかし,今回の解散もそうですが,現状では内閣総理大臣が自分の都合のよいときに,衆議院を解散できることになっています。これは三権分立の原則にも反しますし,本来,憲法が内閣総理大臣にそんな権限をあたえていると解釈すること自体に無理があります。

 日本が議院内閣制のモデルとしたイギリスでは,首相による「自由な解散」は2011年に法律により禁止されました。解散は,国民の代表である国会議員の身分をまたたく間にうばってしまう強権です。今のままでは,強すぎる行政府(内閣)と弱すぎる立法府(国会)が固定化し,国民の基本的人権がおびやかされているといえます。

 今回の総選挙は,これからの日本の政治のあり方を決める大切な選挙になるような気がします。みなさんも18才になったら選挙権を手にできます。自分たちの代表である議員をどんな基準で選ぶのか,考えておくことは大切なことですね。いや,それよりもこのコラムを読んでいる人の中から,立派な議員が誕生するかもしれませんね。そうなると,私はとてもうれしいのですが。


掲載日:2017年10月09日
次回の掲載は,2017年11月13日の予定です。

[2017/09/11] 高齢者による自動車運転の現状と対策 (2)


 高齢者講習は1998年から20年間にわたり実施されていますが,その効果は実社会でまったく検証されていません。つまり,効果があるかどうかもはっきりしていない対策がただ実施されているだけになっているのです。
 警察庁が発表している交通事故率の移り変わりを見ても,高齢者講習の効果があるとはいえません。高齢者講習で交通安全に対する意識が高まったという声もあるようですが,事故率の低下につながらないのであれば,講習の意義はほとんどないでしょう。

 また,免許返納についても,効果があるかどうか大変疑わしいといえます。そもそも免許を返納しようと考えるドライバーは,自分の運転が以前と比べて危険になっているという客観的な判断ができる人です。したがって,そのような人はたとえ運転を続けたとしても,事故を起こす確率は低いと考えられます。
 むしろ,自分の運転に自信があると考えているドライバーの方が危険性が高いと思われます。また,免許を返納したいと思っても,車を運転しなければ,日常の買い物にいくことも,病院に行くことさえもできないという環境で生活している高齢者も多くいます。

 では,高齢者ドライバー対策として有効な手段について考えてみたいと思います。

 一つは免許制度の改革です。
 高齢者一人ひとりの健康状態や,住んでいる地域に合わせて限定をつけた運転免許証を交付してはどうでしょうか。
 たとえば,高速道路上を運転してはいけない,日常運転することに慣れている限られた地域の中だけで運転することができる,明るい日中のみの運転に限る,といった条件付きで自動車の運転を認めるのです。いまでもオートマチック車のみを運転できる免許や,身体障害者がその障害に応じた条件で運転できる免許があります。

 もう一つは自動運転技術の活用です。
 自動運転技術により,高齢者ドライバーが安全に運転できる確率が高まります。また,無人タクシーや無人宅配システムが実現すれば,高齢者が運転する必要が少なくなり,高齢者ドライバー対策として非常に有効な手段になるでしょう。
 しかし,これにはもう少し時間がかかりそうです。すぐにできる対策としては,すでに実用化されている自動ブレーキとペダルふみまちがい防止装置を活用することです。免許制度の改革とも関係しますが,一定の年齢以上の高齢者には,これらの安全装置がついた自動車のみの運転を認める制度を設けてもよいと思います。

 最後は,自動車の運転が必要ない地域社会を実現することです。
 徒歩や公共交通で移動すれば生活できる地域では,車に乗る必要がなくなるので,交通量が減り,交通事故やはい気ガスも減少します。また,歩くことが増えれば健康維持にも効果的です。自動運転技術やドローン技術など最新の技術を活用することで,このようなコンパクトシティーをつくり出すこともできるでしょう。超高齢社会である日本では,コンパクトシティーを実現することが高齢者ドライバー対策の切り札なのかもしれません。


掲載日:2017年9月11日
次回の掲載は,2017年10月16日の予定です。

[2017/08/14] 高齢者による自動車運転の現状と対策 (1)


 私たちは,65才以上の人たちを高齢者(こうれいしゃ)と呼んでおり,昨今,高齢者が自動車を運転しているときに交通事故が起きたという報道が目立つようになりました。では,高齢者が自動車を運転することは本当に危険(きけん)なことなのでしょうか。

 警察庁(けいさつちょう)が発表している資料によると,交通死亡(しぼう)事故の総数はここ10年ほどの間でおよそ4割減少していますが,80才以上の高齢者ドライバーが引き起こした交通死亡事故はほとんど変化していません。つまり,全体では4割減っているのに,80才以上の高齢者ドライバーによる交通死亡事故件数は現状維持(いじ)な分,全体にしめる割合が高まっているといえ,このことから,高齢者が運転する自動車の交通死亡事故が目立つようになっています。
※なお,65~80才までの高齢者による交通死亡事故は他の世代同様に減少傾向(けいこう)にあります。

 日本では,高齢者ドライバーの対策として,運転免許証(めんきょしょう)の返納(へんのう)推進(すいしん),運転免許更新(こうしん)時の高齢者講習,認知(にんち)機能検査の3つをおこなっています。
 高齢者講習は,高齢者ドライバーに事故を起こさず運転し続けてもらうことを目的としているのに対して,運転免許証の返納と認知機能検査は,高齢者ドライバーに運転をやめてもらうことで事故を防ごうとするものです。
 認知機能検査は,認知症(にんちしょう)の疑いのある高齢者ドライバーを見つけ出し,認知症の診断が下されたら,そのドライバーの免許を取り消すという点で,自主的な運転免許証の返納とは大きく異なります。

 では,果たしてこれらの対策に効果はあるのでしょうか。(つづく)


掲載日:2017年8月14日
次回の掲載は,2017年9月11日の予定です。