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カッシー先生

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カッシー先生

中学受験40年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2021/07/12] 魚の「とりすぎ」が大きな問題となっている


 日本人が魚を食べる量が少しずつ減っています。以前は肉より魚が多く食べられていましたが、十数年前に逆転しました。それでも魚介類の1人あたりの年間消費量は世界第6位で、世界の中では「魚をよく食べる国」といってよいでしょう。

 魚介類の消費量ベスト5は、1位がサケ、2位がマグロ、3位がイカ、4位がブリ、5位がサンマです。1位のサケは、チリやノルウェーから輸入されたサーモンのさしみが人気を押し上げているようです。

 一方、世界に目を向けると、世界全体の魚介類の消費量は、ここ50年で約5倍に増えました。特に中国は10倍以上に増えていて、世界全体の約3分の1をしめています。

 そのため、いま魚の「とりすぎ」が大きな問題となっています。
 国連食糧農業機関(FAO)のまとめによると、世界ではとりすぎや枯渇(こかつ)が心配される水産資源の割合が増えています。とる量をこれ以上増やさないほうがよい資源は全体の6割におよび、とる量を増やしても心配ない資源は1割にすぎません。

 特に「本マグロ」とよばれ、最高級のすしネタやさしみとして人気の高い北太平洋海域のクロマグロは、資源量の減少が大変深刻です。1960年には太平洋クロマグロの親魚の資源量は16万トンをこえていましたが、いまは1万トンにすぎません。そこで、2015年から重さ30キロ未満の小型魚の漁獲量を大幅に減らす規制を始めました。ところが、当然ながらうまくいっていません。

 というのも、小学5年の社会科で学習したように、マグロは主に、はえなわ漁法とまきあみ漁法でとられるため、幼魚もあみにかかってしまうからです。幼魚のとりすぎは親魚になる量が減ることにつながるため、さらなる規制が必要だと考えられています。

 そこで注目されるのが、魚を育てる養殖業です。いま、世界の「とる漁業」と「育てる漁業」の生産量はほぼ半々で急速な広がりを見せています。近畿大学が、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功したときは大きな話題になりましたが、成魚までに死ぬ割合がまだ高いという課題が残っているようです。

 水産資源を守るために、私たちは何ができるのでしょうか。回転寿司で回るお寿司を見ながら、考えてみてください。


掲載日:2021年7月12日
次回の掲載は、2021年8月9日の予定です。

[2021/06/14] 選択的夫婦別姓制度を認めないのは日本だけです


 選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)制度とは、夫婦が望む場合には、結婚後(けっこんご)も夫婦がそれぞれ結婚前の姓(名字)を名乗ることを認(みと)める制度です。

 いまの法律では、結婚すると男性か女性のいずれか一方に、必ず姓をそろえなければなりません。現実には、男性の姓を選び、女性が姓を変える例が圧倒的多数です。ところが、女性の社会進出などにともない、姓を変えることによる社会的な不便・不利益が指摘されるようになりました。

 数年前に実施した世論調査では、「いまの決まりを変える必要はない」と答えた人の割合がおよそ3割で、「夫婦が結婚前の姓を名乗ることを希望しているのなら、それができるようにするべき」、または「結婚によって姓を変えた人が結婚前の姓を通称(つうしょう)としてどこでも使えるようにするべき」と答えた人の割合がおよそ7割という結果になりました。国民は、選択的夫婦別姓制度を支持していると判断できます。

 選択的夫婦別姓制度を認めていないのは日本だけで、すでに世界中で広く採用されている制度であり、さしたる問題も生じていません。

 さらにいえば、いま議論されている選択的夫婦別姓制度は、「選択的」という言葉の通り、別姓を強制する制度ではありません。同姓にしたい夫婦はそれを選択すればよいだけのことです。

 にもかかわらず、日本ではいまだ夫婦同姓しか認められていません。はっきり言って、異常としか言いようがありません。一刻も早い法改正が求められます。


掲載日:2021年6月14日
次回の掲載は、2021年7月12日の予定です。

[2021/05/10] 日本はレアメタルの生産大国です


 地球上には、鉄や銅など、身近なもの以外にもさまざまな金属が存在しています。なかでも、自然にある量が少ない金属、または、量は豊富だけれど純度の高いものが少ない金属のことをまとめてレアメタルといいます。つまり、入手するのが困難な、とても貴重な金属のことです。

 レアメタルにはそれぞれ特性があり、いまや工業には不可欠な物質となっています。レアメタルがなければ生活がなりたたないほど、さまざまな場所で使われています。

 たとえば、テレビやスマートフォンなどの電子機器には、少しずつ何種類ものレアメタルが使われています。また、レアメタルを鉄や銅などに混ぜることで、軽くて強い金属をつくったり、さびにくくしたりすることもできます。

 日本ではレアメタルの原料の鉱物がほとんどとれないため、海外から輸入しています。日本では、輸入した鉱物から高品質のレアメタルを取り出したうえで、世界各国にレアメタルを輸出しています。このことから、日本はレアメタルの生産大国であり、加工貿易をおこなっているといえます。

 また、日本では、家電リサイクル法や自動車リサイクル法などでレアメタルを回収し、再利用する取り組みも始まっていますが、まだまだリサイクルが進んでいないのが現状です。レアメタルは、石油などと同じで、無限にある資源ではありません。だからこそ、もっとリサイクルを進めていかなくてはなりません。


掲載日:2021年5月10日
次回の掲載は、2021年6月14日の予定です。

[2021/04/12] 9月入学よりも飛び級制度の拡充を


 近年、桜の開花が早まっているようで、東京では3月22日に満開をむかえました。こうなってくると、満開の桜の下で入学式をすることはもはや無理でしょう。

 そう言えば、昨年のいまごろは、全国的な休校により、学習のおくれをどう取りもどすかが問題になっていました。その議論の中で、このまま半年間休校を続け、9月から入学、新学期にしてはどうだろうかという9月入学が飛び出しました。

 アメリカ合衆国などでは9月入学となっていて、日本もこの基準に合わせようという議論は従来からありましたが、この機会に一気に9月入学にすればいいのではないかと考えた人たちがいたのです。

 議論は一気に盛り上がり、9月入学が実施(じっし)されるのではないかと思われましたが、さまざまな問題点が指摘され、結局、見送られることになりました。

 最大の問題点は、現在の日本の学校教育が始まる年齢が、アメリカ合衆国などに比べて半年おそいということです。アメリカ合衆国では、日本の年長さんの9月に小学校に入学します。言いかえれば、アメリカ合衆国への留学を目指す日本の学生は、現状では日本の高校を卒業して半年後の9月にアメリカ合衆国の大学へ入学し、1年下の年齢の学生といっしょに勉強します。

 もし、昨年の混乱の中で9月入学を実施していれば、日本の教育制度はアメリカ合衆国などに比べて1年おくれになってしまうところでした。

 本当に日本の教育制度をグローバル化するために9月入学を考えるのであれば、半年おくらせるのでなく、半年早める必要があります。

 一方、飛び級制度はもっと拡充すべきだと思います。

 たとえば、優秀(ゆうしゅう)な高校2年生であれば、高校卒業を待たずに海外の大学に進学できるようにすれば、同年齢の学生たちといっしょに机を並べることができます。日本でも京都大学や東京芸術大学などで飛び級制度が設けられていますが、このしくみを広げていくことのほうがグローバル化するためには現実的だと思います。


掲載日:2021年4月12日
次回の掲載は、2021年5月10日の予定です。

[2021/03/08] 学力の3要素を地で行く公立中高一貫校入試


 いま、社会が大きく変わっています。これに対応すべく、教育や入試も変わっています。

 文部科学省は、「混とんとした状況の中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質・能力が一層重要になる」として、その資質・能力を育成するための教育改革を進めています。その際、重視していくべきものを、「学力の3要素」として定義しています。

 土台となるのが「知識・技能」、その上に置かれるのが「思考力・判断力・表現力」、最上位が「主体性・多様性・協働性」です。

 この「学力の3要素」に即して考えると、従来の入試では「知識・技能」については十分測定できていたものの、残り2つの要素については評価しきれていなかったという現状認識のもと、その点を補完しようというのが、現在進行中の入試改革の基本的な考え方です。

 ただし、公立中高一貫校入試は、1994年度に実験校として宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校(開校当時は宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校)が開校した当時から(学校基本法改正による公立中高一貫校設置は1999年度から)、「知識・技能」ではなく、「思考力・判断力・表現力」と「主体性・多様性・協働性」を問う入試をおこなってきました。

 あれから20年以上が経ちました。
 ちなみに、むぎっ子広場も開設から16年目に突入し、多くの受験生(受検生)を公立中高一貫校へ送り出してきました。

 いま、公立中高一貫校入試は、文部科学省が提示する「学力の3要素」をすべて測定する入試へと変わりました。

 だから、「知識・技能」も必要です。教科書に書かれた内容が理解できない児童は、まずもって合格できません。小学6年の社会科の教科書には、「SDGs」や「難民」といった言葉が登場します(東京書籍刊)。こういった言葉の意味を知らない受験生は蚊帳(かや)の外に置かれます。

 くり返しになりますが、「学力の3要素」は、土台に「知識・技能」をすえています。その上に「思考力・判断力・表現力」があり、最上位が「主体性・多様性・協働性」です。

 そこで、まずは「知識・技能」の習得から始めましょう。新しい教科書は新学期以降に配布されます。それまでは、これまで使ってきた教科書をじっくり読み直しましょう。算数や理科は、練習問題もついています。すべて取り組みましょう。

 「知識・技能」の習得が早く終われば、早く次の段階に進めます。


掲載日:2021年3月8日
次回の掲載は、2021年4月12日の予定です。

[2021/02/22] 春にはあこがれの中学校生活が始まります


 すべての公立中高一貫校入試が終わりました。
 春にはあこがれの中学校生活が始まります。

 勉強だけでなく、部活動もあります。電車やバスで通学する人もいるでしょう。または、親元をはなれて生活する人もいるでしょう。

 これまでとは異なる新しい世界があなたを待っています。
 まずは、そんなあなたにエールを送ります。

 私は、「成り行きで拓(ひら)ける未来もある」という言葉が好きです。
 やりたいことや明確な目標があって、そこから逆算して人生の道筋を決める・・・のがふつうだと思っている人が多くいます。または、「そうすべきだ」「そうあるべきだ」と思っている人もいるでしょう。子どもよりも大人のほうが、そういう考えが顕著(けんちょ)です。
 みなさんが目指した公立中高一貫校入試も、逆算にもとづいています。

 私も、基本的にはそう思っています。

 しかし、逆算による人生という計算式が、いつもいつもうまく解けるとは限りません。
 それにはさまざまな理由があるでしょうが、ここではその理由はどうでもよいことです。大切なのは、その後どうするか・・・です。

 成り行きで進んだ道に未来はないのでしょうか。
 そんなわけはありません。

 もしかしたら、その道にこそ、自分が求めていたものがあるかもしれません。または、これまで知らなかったことに出会い、その分野にのめりこんでいくかもしれません。

 まさに、「成り行きで拓ける未来もある」のです。

 小学校卒業おめでとう!!


掲載日:2021年2月22日
次回の掲載は、2021年3月8日の予定です。

[2021/01/11] 面接官は何を知りたがっているのだろう


 公立中高一貫校のおよそ半分の学校で面接試験が実施されています。

 その形式は、個人面接(受験生1名と面接官2名程度)と集団面接(受験生3~6人と面接官2名程度)に大別されますが、十中八九、面接試験の位置づけは「参考程度」にすぎません。つまり、面接試験で何らかのミスをしても(そもそも、何がミスか??が不明確ですが・・・)、それが原因で不合格になることはありません。

 それでも面接試験をおこなう目的は、「直接会い、少し話すことで、筆記試験ではわからないことがわかる」からです。

 くり返します。もし、あなたが不合格になっても、それは面接試験の出来が悪かったからではありません。ただ単に、筆記試験で合格点に達さなかったからです。

 面接試験の結果は、合否に影響を与えない。
 これが、少なくとも公立中高一貫校入試の常識です。

 とはいえ、面接試験があるのだから、何かその対策をしたいと考えるのは自然の発想です。そこで、ごくごく簡単に面接試験の心構えをお話しします。

 とはいえ、その心構えは一つしかありません。
 面接官の身になってあげて!!です。

 あいさつをしてくれないと、気分が悪いです。
 小さな声で話しても、面接官には聞こえません。
 友達でもないのに、友達感覚で話されても、面接官は困ります。
 ウソをつかれると、腹が立ちます。

 ・・・・・・ですよね。

 もう少し細部に切りこむと、ある公立中高一貫校で「保護者の方はどんな人ですか?」という質問があったそうです。

 ある人は「父はサラリーマンで、母は専業主婦です。」と答え、別の人は「父は、基本的生活習慣にとても厳しく、6年生になったいまでも『ハンカチは持ったか?』などと聞いてきます。母は優しく、料理が得意です。私はよく母に料理を教えてもらいます。」と答えたそうです。

 さて、この公立中高一貫校の先生はこの質問で何を知りたいと思っているのでしょうか。もちろん、保護者の職業ではなく親子関係ですよね。よって、「父はサラリーマンで・・・」と答えたところで、何の意味もないわけです。

 面接官の身になってあげて!!と申し上げたのは、面接官が何を知りたがっているかを考えて答えるということです。

 ぜひ、このことだけは忘れないで面接試験に臨んでください。


掲載日:2021年1月11日
次回の掲載は、2021年2月8日の予定です。

[2020/12/14] 海がきれいになりすぎて、どうなった??


 1960年代を中心とする高度経済成長期に、瀬戸内工業地域は発展しました。これと時を同じくして、工場や家庭排水の影響で周辺の川や瀬戸内海の水がにごり、植物プランクトンが大量発生して、赤潮が起きるようになりました。赤潮は魚の大量死に直結する問題です。特に養殖漁業にとって大きな打撃となったのです。

 そこで、沿岸の自治体は、瀬戸内海をきれいにするよう求め、 1970年代に入って相次いで海をきれいにするための法律がつくられました。これらにより、プランクトンの栄養が増えすぎた「富栄養化」解消に向けて動き始めることになりました。

 数十年の月日が経ち、現在では瀬戸内海で赤潮が発生することはほとんどなくなり、きれいな海に生まれ変わりました。

 しかし、きれいになった海は、別の問題を引き起こしました。

 というのも、一部の海域で養殖のりの色落ちが発生したり、イカナゴ漁が激減するといった漁業にとって悪い影響が出るようになったからです。「海はきれいなほうがいい」というのが常識ですが、「きれいすぎる海」はダメという、なんともわがままな事態が起きました。

 そこで、環境省は現行法を維持しながら、新たな対策に乗り出すことになりました。具体的には、のりの養殖が行われる秋ごろから翌春にかけて下水処理場の運用方法を調整し、排出する栄養塩を増やしたり、ダムやため池から放流して底にたまった泥から栄養塩を供給したりするなどです。

 こうした取り組みは、すでに一部の自治体が実施していますが、新制度により、自治体がより対策を進めやすくしようとしています。

 これまで「きれいな海」を目指して努力してきた結果、「きれいになりすぎた海」になりました。これからはその案配をどう保っていくかがカギとなりそうです。

 漁業資源が豊富な豊かな海と美しい海、この両方を同時に実現させることはできるのでしょうか。


掲載日:2020年12月14日
次回の掲載は、2021年1月11日の予定です。

[2020/11/09] お金の誕生と役割について考えよう


 お金がまだなかった時代、人々はおたがいにほしいものを交換し合っていました。これを「物々交換」といいます。しかし、その人がほしがるものを自分が持っていなかったらどうなるでしょう。「○○と交換してください」とお願いしても、「□□じゃないと交換したくない」と言われたら、交換は不成立に終わります。要は、物々交換はおたがいにほしいものを持っていなければ成立しません。

 そこで考えられたのが、みんなが同じ価値を認めるものをつくり、それを仲立ちにして、ほしいものを交換するしくみです。この仲立ちをするものがお金です。

 最初にお金として使われたのは、貝や石、布などでした。そのうち、人々がさまざまな場所に出かけていって商売を始めるようになると、お金の役割はますます重要になり、金属でできたじょうずな硬貨(こうか)が世界中に広がっていきました。いまでは、「ものを買う」とは、「お金」と「もの」を交換することをいうようになりました。

 お金には、「ものを交換する」「ものの価値をはかる」「ものの価値をためる」という3つのはたらきがあります。

 1つ目の「ものを交換する」とは、最も基本となるお金の役割です。たとえば、1個のアイスクリームを買うために、100円はらうということです。お金を仲立ちとしてものを買います。

 2つ目の「ものの価値をはかる」とは、値段というものさしで、ものの価値を決めるはたらきのことで、お金という単位を利用します。1個のアイスクリームが100円という値段が決まることで、ものの価値を決めるはたらきをもっています。

 3つ目の「ものの価値をためる」とは、ものを売ってお金に換えるということです。アイスクリームは時間がたてばとけます(食べ物はくさります)が、お金はそのままです。ものを売ってお金に換えれば、ものの価値を失うことなく持ち続けることができます。

 このように、お金の誕生(たんじょう)はいわば必然的ということができ、ものを交換するためにはものの価値をはかる必要があり、派生的にものの価値をためる役割も担(にな)うようになりました。


掲載日:2020年11月9日
次回の掲載は、2020年12月14日の予定です。

[2020/10/12] 明治時代のはじまりと産業の発展


 公立中高一貫校入試で歴史の出題は多くありませんが、出題された場合に取り上げられる確率が高いのは明治時代です。今回は、武家社会の江戸時代が終わり、西洋的な明治時代に代わる日本を見ていきましょう。

 265年続いた江戸時代が終わり、明治時代が始まったきっかけは黒船です。江戸時代、日本は長きにわたって、限られたごく少数の国以外とは貿易などの関わりをもたない鎖国政策をとっていました。

 ところが、その間に西洋諸国では、産業や工業の機械化が進み、アジアに進出するようになっていました。そういった流れの中で、日本は開国し、外国との貿易が始まりました。ただし、開国により、人々の不満が高まり、開国をうらむ声や、江戸幕府の政治に不満をもつ人が増え始めたため、新たに、天皇を中心とした新政府が生まれました。これが明治時代です。

 明治新政府は、西洋に負けない国をつくろうと考え、明治維新をスタートさせました。つまり、西洋の制度や文化を進んで取り入れた改革です。

 現在、日本は世界有数の先進工業国ですが、そのきっかけは、この明治時代までさかのぼります。明治新政府が近代産業を育てようとしたのです。

 日本が、西洋の先進国のような近代国家の仲間入りをするには、国が豊かになる必要があります。そのためには、国をあげていろいろな分野の産業を育てなければなりません。

 たとえば、官営模範工業の富岡製糸場では、フランス人技術者をまねいて技術指導を受け、生糸の質の向上と増産をはかりました。この工場で働いていたのは、士族や有力者の娘(むすめ)たちでした。彼女たちは、ここで身につけた技術をふるさとにもち返り、各地につくられた製糸工場で指導者になりました。富岡製糸場でつちかわれた技術が全国に広がり、製糸工業は成長していきました。

 製糸工業は、鉄鋼業が始まるまでの長い間、日本の産業の中心を担(にな)いました。

 こういった政策によって、日本の産業はめざましく発展していき、工業国としての日本の基礎(きそ)が出来上がっていきました。

 産業を育て、強い国にする。そして、国を豊かにする。明治時代は、そんな夢と希望に満ちあふれたすばらしい時代でした。


掲載日:2020年10月12日
次回の掲載は、2020年11月9日の予定です。