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カッシー先生

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カッシー先生

中学受験36年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2018/01/08] 接続詞と文末表現に着目すればいいんだ


 公立中高一貫校入試では,「○○○について,あなたはどう考えますか。この文章全体をふまえ,○○○字以内で書きなさい。」といった作文問題が出題されます。「この文章全体をふまえ」とは,「この文章の要旨(ようし)を読み取って,作文に盛りこみなさい」ということです。つまり,自分の考えを書くだけではなく,この文章の内容を私は正しく読み取っていますよ!!と採点者(つまり,公立中高一貫校の先生)にアピールしなければならないということです。

 要旨とは,その文章の中で筆者が最も言いたいことや主張したいことですから,まずは文章を読んで筆者の考えを読み取らなければなりません。

 筆者の考えや重要な事実が書かれている文を主文といいます。主文以外の文は,主文をくわしく説明しているにすぎません。主文をつないで読んでいけば要旨が理解できます。つまり,この主文をすばやく見つけ出せれば,要旨がすぐにわかるというわけです。

 公立中高一貫校入試で出題される問題は,ほとんどが説明的文章です。その中で書かれている内容は,筆者の考えとそれに反する考え,筆者の考えをくわしく説明するための例に分かれます。この中で大切なのは筆者の考えですが,それを見分けるのが意外に難しいと感じている児童が多いようです。

 主文を見分ける方法の一つが接続詞です。「つまり」「要するに」といった接続詞があれば,このあとには前の部分をまとめた文が続きます。まとめた文が2つ以上続くときには最も抽象的(ちゅうしょうてき)な文が主文です。
 一方,「たとえば」とあれば,そのあとには具体例が書かれてあります。その例は何を説明するために書かれているのかを確認(かくにん)しましょう。例は何かを説明している文章なので,例の前か後に主文があります。
 また,「しかし」「けれども」といった逆説の接続詞があれば,その後ろの文が主文になります。「だから」「それゆえ」などの順接の接続詞があれば,結果をあらわす後ろの文が,主文になります。「なぜなら」「どうしてかというと~」などの理由を表す接続詞があれば,逆に前の部分が主文です。このように,接続詞をヒントにして主文を見つけ出せます。

 主文を見分けるもう一つの方法は文末に注意することです。文末表現を見て筆者の意見だとわかる文は主文です。「~だと思います」「~にちがいない」「~である」「~と断言してよい」といった文末表現があれば,それが主文だと思ってください。

 その他にもいろいろな方法がありますが,まずは接続詞と文末表現に着目して,四角で囲んだり,線を引いたりしながら問題文を読んでみましょう。

 みなさんの健闘(けんとう)をお祈(いの)りしています。


掲載日:2018年1月8日
次回の掲載は,2018年2月12日の予定です。

[2017/12/11] 正しい日本語の使い方をいつも意識しよう


 小学生を対象としたあるテストで,次のような問題がありました。

 次の中でていねいな言い方として正しい文を選びなさい。
 1 次郎いるかな。
 2 次郎さんはおられますか。
 3 次郎さんはいらっしゃいますか。
 4 次郎さんはいらっしゃられまするか。

 1と4は明らかにまちがっており,3が正しい文であることはすぐにわかるでしょう。では,2の「おられますか」という表現はていねいな言い方としてまちがっているのでしょうか。私の手元にある国語辞典の「おる」の用法には,次のように書いてあります。

 「おります」は「います」より改まった言い方。自分や自分方の者について使う。相手や相手方については尊敬の助動詞をつけて「おられる」という。

 この辞典の解説によれば,2の「次郎さんはおられますか。」という文もていねいな言い方として正しいと判断できます。

 私も実際に年配の方から,「先生,しばらくここにおられますか。」とか,別の方に電話で「午後3時ごろ,教室におられますか。」と言われたことがあります。そのとき,このような使い方が正しいのかどうか調べてみました。

 ある先生は「おる」は「いる」の謙譲語だから,相手の動作に使うのはまちがっていると指摘されました。しかし,さらに調べていくうちに「おられる」という言い方を尊敬語として日常使っている方がたくさんいることがわかりました。

 言葉の使い方は時間の経過とともに変化していきます。いまはまちがいとされている表現も,10年も経てば正しい表現になっているかもしれません。その例として「ら」ぬき言葉があげられます。1991年に「テレビじゃ見れない川崎劇場」というCMがありました。文法的には「テレビじゃ見られない川崎劇場」が正しいのですが,CMとしてのインパクトは「見れない」の方が強いでしょう。現在では日常会話で普通に使われています。もうすぐ正しい日本語になるのでしょうか。

 ただし,「おられる」は「ら」ぬき言葉とは事情が異なるようです。国文法学者の中でも見解が異なっており,「文法的にまちがった言い方である」と主張する方もいれば,「実際に使われているので,正しい日本語としてよいのではないか」とお考えの方もいます。

 私たちは日本語で考え表現しています。正しい日本語の使い方を,日常生活の中で意識することが大切です。


掲載日:2017年12月11日
次回の掲載は,2018年1月8日の予定です。

[2017/11/13] 入試必出!ネットショッピングを支える宅配便


 宅配便各社が料金の値上げをおこないました。ヤマト運輸は10月から,佐川急便は11月から,日本郵便は来年3月からです。今回はこのことについて考えてみましょう。

 5年ほど前,私の住んでいる町の周辺には本屋が4つありました。それがいまでは駅の構内にある1店だけになりました。全国的に見ても書店数は減り続けています。その原因はいろいろあるでしょうが,インターネットで本を買う人が増えたこともその一つでしょう。私も買いたい本が決まっているときは,本屋で探すよりもインターネットを利用します。

 本に限らず,ネットショッピングが増えています。かつては注文してから手元に届くまでに3~5日かかるのがふつうでしたが,最近では翌日,早ければ当日に届きます。しかも送料が無料のものが多くなっています。こうなると,わざわざお店まで行って買い物をするよりも,家にいながらネットショッピングで買い物をしたほうが楽だし便利ということになります。

 この結果,ネットショッピングの売上高が年々増加し,そのしわ寄せが荷物を運ぶ人たちにかかっています。宅配の会社で働く人たち,特に荷物を家まで届けてくれる宅配ドライバーの人たちです。運ぶ荷物が増えすぎたために,休まずに働いても届けきれず,約束の時間におくれることも出てきました。その一方,宅配ドライバーを増やそうとしても,求人がうまくいきません。そのため,宅配便最大手のヤマト運輸では,労働組合から「これ以上の荷物は運べない」といわれました。

 そこで,会社側は料金を上げることにしました。この値上げ分で宅配ドライバーの待遇(たいぐう)が改善(かいぜん)され,働きやすい環境(かんきょう)が整えば,宅配ドライバーになる人が増えるかもしれません。

 宅配ドライバーの仕事が長時間におよぶのは,単に荷物の量が増えただけではなく,再配達が増えていることにも原因があります。単身世帯や共働き世帯など,日中家にだれもいないことが多い現在では,再配達になる割合が20%をこえています。こうなると,宅配ドライバーの負担がさらに増えます。また,再配達がないときと比べて,二酸化酸素はい出量も増え,地球環境にも悪いえいきょうが出ます。

 この再配達を減らすことも大きな課題となっています。そのため,政府は駅や商業施設などの外出先で荷物を受け取れる「宅配ロッカー」の設置を進めています。さらに,時間指定の方法を見直してドライバーの負担を減らし,1回で確実に受け取ることができるシステムをつくろうとしています。つまり,宅配便を利用する私たちがこれまでの便利すぎるサービスから,少し不便でも確実に荷物を受け取れるシステムづくりに協力していく必要があるのです。

 なお,本テーマは,来年の公立中高一貫校入試で出題が増えると予想されています。志望校に合格するためにも,しっかりと要点をおさえておきましょう。


掲載日:2017年11月13日
次回の掲載は,2017年12月11日の予定です。

[2017/10/09] 衆議院の解散は内閣総理大臣の専権事項なのか??


 日本は今,衆議院解散により総選挙がおこなわれようとしています。小学6年生のみなさんには,少し難しいテーマであることは承知のうえで,あえて今回はこのことについて考えてみたいと思います。

 以前,日本国憲法には3つの柱があり,その中でも最も大切なのが「基本的人権の尊重」であるとお話したことがありました。そして「基本的人権の尊重」を守るためのしくみの1つが「権力の分立」です。なぜなら,権力が1つの機関や個人に集まると,暴走を止めることができなくなるからです。

 日本は諸外国と同じように三権分立制を採用しています。これは権力を立法・行政・司法の3つに分け,それぞれを国会・内閣・裁判所にゆだねています。そして,それぞれの機関が暴走しないようにおたがいにチェックし,バランスを保つしくみを作っています。

 その1つが衆議院による内閣不信任案の議決です。日本では議院内閣制を採っています。これは内閣が国会の信任によって成り立つしくみであり,内閣総理大臣は国会の指名で決まり,内閣は行政権の行使に関して,国民ではなく,国会に対して責任を持つことになっています。

 これは「国民主権」に反しているように見えますが,主権者である国民が選挙で直接選んでいるのが,内閣総理大臣ではなく,国会議員だからです。憲法に「国会は国権の最高機関であり,国の唯一の立法機関である。」と書かれているのはこういうことなのです。

 ですから,衆議院による内閣不信任案の議決がなされたら,当然内閣は総辞職することになります。しかし,それでは内閣に対して国会の権限が強くなりすぎるため,三権分立に反します。そこで内閣は衆議院による内閣不信任案の議決がなされた場合,直ちに総辞職するか,衆議院を解散するかを選択できるようにしています。

 しかし,今回の解散もそうですが,現状では内閣総理大臣が自分の都合のよいときに,衆議院を解散できることになっています。これは三権分立の原則にも反しますし,本来,憲法が内閣総理大臣にそんな権限をあたえていると解釈すること自体に無理があります。

 日本が議院内閣制のモデルとしたイギリスでは,首相による「自由な解散」は2011年に法律により禁止されました。解散は,国民の代表である国会議員の身分をまたたく間にうばってしまう強権です。今のままでは,強すぎる行政府(内閣)と弱すぎる立法府(国会)が固定化し,国民の基本的人権がおびやかされているといえます。

 今回の総選挙は,これからの日本の政治のあり方を決める大切な選挙になるような気がします。みなさんも18才になったら選挙権を手にできます。自分たちの代表である議員をどんな基準で選ぶのか,考えておくことは大切なことですね。いや,それよりもこのコラムを読んでいる人の中から,立派な議員が誕生するかもしれませんね。そうなると,私はとてもうれしいのですが。


掲載日:2017年10月09日
次回の掲載は,2017年11月13日の予定です。

[2017/09/11] 高齢者による自動車運転の現状と対策 (2)


 高齢者講習は1998年から20年間にわたり実施されていますが,その効果は実社会でまったく検証されていません。つまり,効果があるかどうかもはっきりしていない対策がただ実施されているだけになっているのです。
 警察庁が発表している交通事故率の移り変わりを見ても,高齢者講習の効果があるとはいえません。高齢者講習で交通安全に対する意識が高まったという声もあるようですが,事故率の低下につながらないのであれば,講習の意義はほとんどないでしょう。

 また,免許返納についても,効果があるかどうか大変疑わしいといえます。そもそも免許を返納しようと考えるドライバーは,自分の運転が以前と比べて危険になっているという客観的な判断ができる人です。したがって,そのような人はたとえ運転を続けたとしても,事故を起こす確率は低いと考えられます。
 むしろ,自分の運転に自信があると考えているドライバーの方が危険性が高いと思われます。また,免許を返納したいと思っても,車を運転しなければ,日常の買い物にいくことも,病院に行くことさえもできないという環境で生活している高齢者も多くいます。

 では,高齢者ドライバー対策として有効な手段について考えてみたいと思います。

 一つは免許制度の改革です。
 高齢者一人ひとりの健康状態や,住んでいる地域に合わせて限定をつけた運転免許証を交付してはどうでしょうか。
 たとえば,高速道路上を運転してはいけない,日常運転することに慣れている限られた地域の中だけで運転することができる,明るい日中のみの運転に限る,といった条件付きで自動車の運転を認めるのです。いまでもオートマチック車のみを運転できる免許や,身体障害者がその障害に応じた条件で運転できる免許があります。

 もう一つは自動運転技術の活用です。
 自動運転技術により,高齢者ドライバーが安全に運転できる確率が高まります。また,無人タクシーや無人宅配システムが実現すれば,高齢者が運転する必要が少なくなり,高齢者ドライバー対策として非常に有効な手段になるでしょう。
 しかし,これにはもう少し時間がかかりそうです。すぐにできる対策としては,すでに実用化されている自動ブレーキとペダルふみまちがい防止装置を活用することです。免許制度の改革とも関係しますが,一定の年齢以上の高齢者には,これらの安全装置がついた自動車のみの運転を認める制度を設けてもよいと思います。

 最後は,自動車の運転が必要ない地域社会を実現することです。
 徒歩や公共交通で移動すれば生活できる地域では,車に乗る必要がなくなるので,交通量が減り,交通事故やはい気ガスも減少します。また,歩くことが増えれば健康維持にも効果的です。自動運転技術やドローン技術など最新の技術を活用することで,このようなコンパクトシティーをつくり出すこともできるでしょう。超高齢社会である日本では,コンパクトシティーを実現することが高齢者ドライバー対策の切り札なのかもしれません。


掲載日:2017年9月11日
次回の掲載は,2017年10月16日の予定です。

[2017/08/14] 高齢者による自動車運転の現状と対策 (1)


 私たちは,65才以上の人たちを高齢者(こうれいしゃ)と呼んでおり,昨今,高齢者が自動車を運転しているときに交通事故が起きたという報道が目立つようになりました。では,高齢者が自動車を運転することは本当に危険(きけん)なことなのでしょうか。

 警察庁(けいさつちょう)が発表している資料によると,交通死亡(しぼう)事故の総数はここ10年ほどの間でおよそ4割減少していますが,80才以上の高齢者ドライバーが引き起こした交通死亡事故はほとんど変化していません。つまり,全体では4割減っているのに,80才以上の高齢者ドライバーによる交通死亡事故件数は現状維持(いじ)な分,全体にしめる割合が高まっているといえ,このことから,高齢者が運転する自動車の交通死亡事故が目立つようになっています。
※なお,65~80才までの高齢者による交通死亡事故は他の世代同様に減少傾向(けいこう)にあります。

 日本では,高齢者ドライバーの対策として,運転免許証(めんきょしょう)の返納(へんのう)推進(すいしん),運転免許更新(こうしん)時の高齢者講習,認知(にんち)機能検査の3つをおこなっています。
 高齢者講習は,高齢者ドライバーに事故を起こさず運転し続けてもらうことを目的としているのに対して,運転免許証の返納と認知機能検査は,高齢者ドライバーに運転をやめてもらうことで事故を防ごうとするものです。
 認知機能検査は,認知症(にんちしょう)の疑いのある高齢者ドライバーを見つけ出し,認知症の診断が下されたら,そのドライバーの免許を取り消すという点で,自主的な運転免許証の返納とは大きく異なります。

 では,果たしてこれらの対策に効果はあるのでしょうか。(つづく)


掲載日:2017年8月14日
次回の掲載は,2017年9月11日の予定です。

[2017/07/10] 東京都議会議員選挙の結果と間接民主制


 7月2日に東京都議会議員選挙の投開票がおこなわれ,小池百合子知事が率いる「都民ファーストの会」と,小池知事を支持する勢力が議会の過半数をはるかにこえる結果となりました。一方,自民党は57議席から23議席と半数以下に減り,過去最低になりました。

 東京都には,日本全人口の1割以上の人たちが住んでおり,経済・財政の面からも,地方公共団体でありながら,世界の国と比べて20位以内に規模に相当します。それゆえ,今回の結果が,今後の国政に大きなえいきょうをあたえるのは当然でしょう。

 今回の選挙では,築地市場の豊洲(とよす)への移転問題などが争点とされたはずでした。

 しかし,都民の関心は,森友学園や加計学園の疑惑(ぎわく)にきちんと答えようとせず,先月のこのコラムでも述べたように,課題が多い「共謀罪(きょうぼうざい)」の法律を強引に成立させ,その直後に国会を閉じるという安倍首相のやり方にあったと思います。

 さらに,閣僚(かくりょう)の失言や女性議員の暴言・暴行事件など,政治的スキャンダルを連発する自民党に都民が厳しい目を向けた結果になりました。

 フランスの政治思想家で『社会契約論(けいやくろん)』を書いたルソーは,次のように述べています。

「イギリスの人民は自由だと思っているが,それは大きなまちがいだ。かれらが自由なのは,議員を選挙する間だけのことで,議員が選ばれるやいなや,イギリス人民は奴隷(どれい)となり,無に帰してしまう。その自由な短い期間に,かれらが自由をどう使っているかを見れば,自由を失うのも当然である。」

 これはイギリスの間接民主制を批判(ひはん)した言葉ですが,今回の選挙で都民はルソーが指摘する自由を上手に使いました。

 私たちは,自分たちの自由を,そして自分たちの権利をいかに有効に使っていくか。このことをいつも考え続けなければなりません。


掲載日:2017年7月10日
次回の掲載は,2017年8月14日の予定です。

[2017/06/12] 国連までもが心配する法律が日本の国会で審議中


 みなさんは,日本人が最も守らなければならないきまりが日本国憲法(けんぽう)で,その3つの柱が「国民主権(しゅけん)」「基本的人権の尊重(そんちょう)」「平和主義」だということは知っていると思います。では,この3つの中で何が最も重要だと思いますか。それは「基本的人権の尊重」です。

 人間が人間らしい生活を営むうえで,生まれながらにして持っている権利を「基本的人権」といいます。日本国憲法では,「基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」によって確立されたものであり,「おかすことのできない永久の権利」として保障(ほしょう)されています。

 基本的人権には,自由権・平等権・社会権などの権利があります。また,現代社会の進展によって,プライバシー権・環境権・知る権利などといった「新しい人権」が生まれています。

 そして,この大切な基本的人権を守るために必要なのが「国民主権」であり,「平和主義(戦争の放棄)」なのです。

 ところで,今,日本の国会では「共謀罪(きょうぼうざい)」法案が審議(しんぎ)されています。日本政府は,2020年の東京オリンピック・パラリンピックを開くためにはこの法案が必要だと主張しています。

 一方,5月18日,国連のプライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が,安倍晋三首相に書簡を送りました。その内容は,「共謀罪法案が法律として採択(さいたく)された場合,プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながるおそれがある」というものでした。

 国連のプライバシー権に関する特別報告者とは,国連の人権理事会の任命を受け,各国の人権侵害(しんがい)などの状況(じょうきょう)を調査・監視(かんし)・公表する専門家です。各国から独立した立場にいて,調査した内容は,人権理事会や国連総会に報告することになっています。

 この書簡に対して菅官房長官は,「書簡の内容は明らかに不適切なものなので,強く抗議(こうぎ)している」「プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約するものではない」などと強く反発しましたが,これに対してケナタッチ氏は「私が日本政府から受け取った『強い抗議』は,ただ怒(いか)りの言葉が並べられているだけで,全く中身がない」と回答しています。

 この法律が今後どうなるかはわかりませんが,日本国憲法には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない。」と書かれています。基本的人権を守るためには,主権者である国民が努力を続けなければならないのです。今,国会で話し合われている「共謀罪」法案が本当に必要なのかどうか,国民一人ひとりが主権者として,真剣に考えることが大切だと思います。

掲載日:2017年6月12日
次回の掲載は,2017年7月10日の予定です。

[2017/05/08] これからはインバウンドが日本の経済成長を支える


 みなさんは,インバウンドという言葉を聞いたことがありますか。
 インバウンドとは,もともと「入ってくる」「内向きの」などを意味する言葉で,現在では訪日外国人旅行客または訪日旅行を意味します。
 国の調査によると,2016年の訪日外国人旅行客は2403万9000人で,過去最多を記録しました。日本政府はこれまで,2020年に訪日外国人旅行客数の目標を年間2000万人,2030年までに3000万人としていましたが,この目標を引き上げ,それぞれ4000万人,6000万人にしたほどです。

 では,なぜこれほどまで急速にインバウンドが増加したのでしょうか。
 日本は自然にめぐまれ,四季の変化がはっきりしており,長い歴史の中で育った文化,おいしく健康的な食事など,観光に必要なすべての要素を持っています。しかし,戦後の復興と高度経済成長期を通して,日本は製造業を中心とした国造りをしてきました。その過程では,インバウンドを増やそうという発想自体がなかったように思います。けれども現在,製造業を中心とした国造りが曲がり角をむかえました。

 このような中で,日本政府が中心になり,官民あげてインバウンドに取り組むようになりました。皮肉なことに,日本の製造業がおとろえるということは,工場が進出していった中国や東南アジアの国々が豊かになっていくことを意味します。ちょうど日本が高度経済成長期に海外旅行がブームになったように,今,これらの国々では,海外外旅行がブームになりつつあるのです。そこに目をつけた日本は,タイ・マレーシア・ベトナム・フィリピン・インドネシアなどの東南アジアの国々を中心として,さまざまなきまりをゆるめています。これを規制緩和(かんわ)といいます。これにより,以前よりも簡単(かんたん)に日本を旅行することが可能になり,これらの国々からのインバウンドが増加したのです。

 さらに,政府がこれから法整備に取り組もうとしていることに,民泊(みんぱく)とIRがあります。民泊とは,ホテルや旅館ではない,ふつうの住居を観光客などに宿泊所として貸し出すことをいいます。政府のインバウンドの目標を達成するためには,ホテルや旅館が不足するのは明らかなので,民泊の活用が急務となっています。

 IRとは統合型リゾートのことで,ホテル・ショッピングセンター・国際展示場・劇(げき)場(じょう)(げきじょう)などを統合した大型観光施設のことで,特にカジノをふくむものをいいます。日本では2016年12月にIR推進法が成立しましたが,その具体的内容は何も決まっていません。これからどうなるのかを見守っていく必要がありそうです。


掲載日:2017年5月8日
次回の掲載は,2017年6月12日の予定です。

[2017/04/10] 世界で最も新しい国と古い国はどこだろう??


 みなさんは,世界にはいくつの国があるか知っていますか。実は,この疑問に対しての明確な答えはないようです。

 日本が国として認(みと)めているのは現在196か国ですが,その中には国連に加盟(かめい)していないバチカン,コソボ,クック,ニウエの4か国がふくまれています。国連に加盟している国の数は193か国ですが,その中には日本が認めていない北朝鮮がふくまれています。ちなみに,いまから50年前の1967年の加盟国は123か国です。国連加盟国はどんどん増えています。

 では,新しい国が生まれるとはどういうことでしょう。何もない場所に国が生まれるのは神話の世界しかありません。実際には,それまである国の植民地や特定の地域(ちいき)が新しい国家として自立し,自ら決定権を得ることを「独立」といいます。独立するためには,まず,その国に住んでいる住民,つまり「国民」がそこにいることが必要です。さらにその国が領有する「領土」,政治をおこなうための「政府」も必要ですね。これらの条件を満たしたうえで,独立した国がほかの多くの国に認められることによって,国際社会でやっと新しい国となることができるのです。

 国連に加盟している国のうち,最も新しい加盟国は南スーダンです。この国は,1980年代から20年以上内戦が続いたスーダンから分かれて2011年に独立し,193番目の国連加盟国になりました。南スーダンの首都ジュバには,2012年1月から国連平和維持(いじ)活動(PKO)で日本の自衛隊が派遣(はけん)されています。目的は荒(あ)れた国土の整備を支援(しえん)することでしたが,2013年に内戦が始まり,避難(ひなん)してくる人々の警護(けいご)が最重要任務になりました。ただし,陸上自衛隊は今年5月で任務を終わらせ,帰国することになりました。

 南スーダンは石油の埋蔵量(まいぞうりょう)が多いため,その利益をめぐる争いが絶えません。国民は貧しく,南スーザンは世界で最も貧しい国の一つに数えられています。新しい国を作るだけでなく,その新しい国で生活する国民が,安全・安心に生活できるようになることが国のリーダーたちの責任のはずですが,現状ではそうなっていません。

 では,現在国連に加盟している国の中で一番古い国はどこだと思いますか。実は,日本という説が有力です。アメリカ合衆国(がっしゅうこく)も古い国の一つですが,国家自体は1776年に形成されており,日本では江戸(えど)時代中期にあたります。

 小学6年生のみなさんは,これから社会科の授業で歴史を学習します。日本の歴史を学ぶことは,世界の歴史と同じ意味を持つということでしょう。


掲載日:2017年4月10日
次回の掲載は,2017年5月8日の予定です。