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カッシー先生

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中学受験40年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2020/03/09] いまだからこそ、伝染病の歴史をふり返る


 新型コロナウイルスが世界中で流行しています。これは伝染病(でんせんびょう)の一種で、ときに、人類の歴史を変えるほどの力を持っています。

 小学校の教科書には、聖武天皇の時代(奈良時代)、伝染病の流行で多くの人がなくなり、世の中が混乱したという記述があります。『自由自在 高学年 社会』をお持ちの方は、353ページをご覧ください。聖武天皇が国分寺や東大寺の大仏をつくるように命じたのは、仏(ほとけ)の力で伝染病の流行をおさえ、国を治めようとしたからです。この時代の伝染病は「天然痘(てんねんとう)」だったと考えられています。

 あまり知られていませんが、平安時代にも伝染病が流行しました。藤原道長が実権をにぎった995年に、京都で「はしか(ましん)」が大流行しています。この感染力はきわめて強く、同じ空間に感染者といるだけで感染してしまい、マスクや手洗いでもウイルス侵入は防げないというのは周知の通りです。

 小学校の一部の教科書には、コレラに関する記述もあります。明治維新(1868年)直前の1858年~1860年に江戸を中心にコレラが大流行し、江戸では人口の2割以上が亡くなったという記録があります。1858年といえば、日米修好通商条約が結ばれた年です。

 第一次世界大戦中には「スペインかぜ」(インフルエンザの一種)が大流行しました。感染者は6億人以上、死者は4000~5000万人におよび、この大流行が第一次世界大戦の終結を早めたとも考えられています。

 太平洋戦争後、朝鮮半島や満州からの多数の引きあげ船で大流行したのは、やはりコレラでした。先日、近所のおじいさんが、「伝染病が流行しているときに船に乗ってはいかん。コレラ船を思い出してほしかったなぁ。」と言っていましたが、その通りです。コレラ船は沖合に40日間とどまり、入港できませんした。伝染病が流行したときの対応は、コレラ船もクルーズ船も変わりません。これ以外にやりようがないわけです。

 このようにふり返ってみると、伝染病とは古くも新しく、ワクチンの開発と新型ウイルスの登場がくり返されているといえます。新型コロナウイルスのワクチンが一刻も早くできるのをいのりたいと思います。


掲載日:2020年3月9日
次回の掲載は、2020年4月13日の予定です。

[2020/02/10] 税金の歴史と消費増税への流れ


 今回は、税金の歴史と消費増税への流れをお話ししましょう。

 日本で最初の税金はいまからおよそ1800年前の弥生時代、邪馬台国であったと考えられています。女王卑弥呼が支配したその国では、種もみなどの食べ物が税として納められていました。

 その後、645年から始まった大化の改新で、租・庸・調が定められ、701年の大宝律令で税制度が完成しました。農民に口分田をあたえる代わりに、租(取れた米の一部)、庸(労役やその代わりの布)、調(布や絹などの特産品)を税として納めました。

 室町時代や安土桃山時代になると、農民は「年貢(ねんぐ)」として米を領主に納めるようになりました。豊臣秀吉は全国の農地を測量し、面積や米の収かく高を調べ、年貢を割り当てていきました(太閤検地)。江戸時代になっても「年貢」が税の中心として引きつがれていきました。

 税のしくみが大きく変わったのは明治時代になってからです。農作物を税として納めるしくみは、年によって収かく高が変わるため、税の量が安定しません。そこで、毎年同じ量の税を集められるように土地の値段を決め、それに応じて毎年同じ金額の税を納めるしくみをつくりました。また、土地だけに税をかけるのでなく、個人や企業のもうけに応じて税をかけるなど、現在の税金のしくみの基本が出来上がりました。

 では、消費税はいつごろからあるのでしょうか。消費税は1989(平成元)年3月に3%の税率で始まりました。その後、1997年4月に5%、2014年4月に8%と税率が上がり続け、ついに、2019年10月から10%になりました。

 消費税は、ものを買ったりサービスを受けたりしたときに納める税です。ものを買う人が大人でも子どもでも等しく納めなければなりません。日常の買い物でも税をしはらっているわけです。

 これからますます少子高齢化が進む日本では、税金でやらなくてはならないことが増える一方で、税金を負担する人が減っていきます。このままでは国の借金はふくらむ一方です。これを解決するためには税金のむだづかいをやめ、税収を増やしていくしかないわけです。

 税収を増やすには消費税率を上げるのが一番簡単です。現在の税率は10%ですが、今後、15%、20%と上がっていくことになると主張する専門家も多くいます。日本の行く末が大変気になります。


掲載日:2020年2月10日
次回の掲載は、2020年3月9日の予定です。

[2020/01/13] 混ぜて「とかす」と温度が変化する


 砂糖(さとう)を水にとかすとどうなるでしょうか。もちろん、あまい砂糖水ができますね。しかし、それだけではありません。できた砂糖水は、砂糖をとかす前よりも少し温度が下がっています。これは砂糖水に限りません。これ以外にも、混ぜて「とかす」と温度が変化するものがいろいろあります。

 それはなぜでしょうか。

 実は、「ものが水にとける」とは、ものをつくっているとても小さなつぶ(これを分子といいます)が水の中でばらばらになって、水の分子と一様に混ざり合うことをいいます。つまり、ものの分子だけで結びついていたときとは、少し結びつき方が変わるのです。

 砂糖や尿素(にょうそ)などのいくつかの物質では、この変化が起きるときに最初のときよりもエネルギーが少し多く必要になることから、まわりから熱エネルギーをうばいとり、温度が低い状態になります。

 逆に、アルコールなどの別のいくつかの物質では、この変化が起きるとエネルギーがあまってしまうので、熱エネルギーを外に出し、温度が高い状態になります。

 このしくみを利用したものが、暑いときや熱が出たときなどに便利な「携帯冷却パック」です。中には尿素と水入り容器が入っていて、押しつぶすと水容器がこわれ、水と尿素とが混ざって冷えるようになっています。

 いつ、公立中高一貫校入試で取り上げられても不思議ではないテーマです。


掲載日:2020年1月13日
次回の掲載は、2020年2月10日の予定です。

[2019/12/09] 水道民営化について知っていますか??


 日本中にはりめぐらされている水道管の長さは,およそ66万kmで地球16周分の長さになります。いま,この水道管が大きな問題をかかえています。

 水道管の耐用(たいよう)年数はおよそ40年といわれています。2018年現在,この耐用年数をこえていまもそのまま使われている水道管は全体の14%をこえており,毎日どこかで古くなった水道管から水もれを起こしているという状況(じょうきょう)です。

 この問題を解決することは簡単です。耐用年数をこえた水道管を新しいものに代えればよいだけのことです。しかし,そのためにはばく大なお金がかかります。そのお金を水道料金に反映させるといまの水道料金の何倍にも上がってしまうそうです。水道料金が値上がりするのはさけられないとしても,できるだけ低くおさえる方法を考える必要があります。なぜなら,水は生活になくてはならないものですから。

 そのための方法として国が考えたのが水道事業の民営化です。2018年12月,水道法が改正され,市町村などの地方自治体がになってきた水道事業を,民間の会社に任せることができるようになりました。これにより,地方自治体と契約(けいやく)した民間の会社は自治体にお金をはらって,浄水場(じょうすいじょう)や水道管などの設備を借り,決められたはん囲内で水道料金を設定し,水道事業をおこなうことができるようになりました。このように,民間の会社に公共事業の運営を任せることを「民営化」といいます。

 ふつう,地方自治体よりも民間の会社のほうが経営が上手なので,民間の活力を利用することで水道事業もより効率的な運営ができる可能性があります。それにより水道料金の値上げもおさえられるかもしれません。しかし,生活必需品(ひつじゅひん)である水道を民間の会社に任せていいのだろうかと心配する人たちもいます。外国では民営化したものの水道料金がそれまでの数倍になったり,質の低下がみられたりして,もとの公営にもどされた例もあります。

 香川県では全国に先がけて水道事業が2019年4月から一元化されました。県内16市町と県で広域水道企業団を構成し,これまで地方自治体ごとにおこなっていた経営を効率化し,人口減少に伴う水道料金の値上げをおさえようとしています。県全域の水道事業の統合(とうごう)は全国初で,古くなっている浄水場の統廃合(とうはいごう)も進め,現在71か所から,10年後には38か所まで減らす予定です。これにより,将来の水道料金の値上げを最小限におさえることができそうです。

 水道事業を民営化するかどうかは各地方自治体の判断に任されています。どちらにしてもこの問題はさけて通ることのできないものです。


掲載日:2019年12月9日
次回の掲載は,2020年1月13日の予定です。

[2019/11/11] キャッシュレス決済が広がっています


 お札や硬貨(こうか)といった現金(キャッシュ)がなくても,お店やインターネットで買い物ができるキャッシュレス決済が広がっています。お店の人手を減らしたり財布(さいふ)を持ち歩かなくてもよかったりするなど便利な面もあり,サービスを手がける会社が増えています。
注)決済とは,お金を支払(しはら)ってものの受け渡(わた)しや取引を完了させることをいいます。

 キャッシュレス決済では,JR東日本の「Suica(スイカ)」やイオンの「WAON(ワオン)」,セブン-イレブンの「nanaco(ナナコ)」といった電子マネーをはじめとして,クレジットカード,銀行口座の残高からすぐにしはらわれるデビットカード,「PayPay(ペイペイ)」などのスマホ決済(QRコード決済ともいう)など,いくつかの種類があります。日本銀行の調査によると,キャッシュレス決済の利用額は70兆円をこえていて(2018年),ネットショッピングやスマホ決済の普及(ふきゅう)などで2019年はさらに増えると考えられています。

 キャッシュレス決済のタイプは,実際にお金を支払うタイミングで3つに分けられます。

■前払い
 スマホやカードにあらかじめ入金(チャージ)しておき,その分だけ支払いに使える。「Suica」「WAON」「nanaco」などの電子マネー,「Paypay」などのスマホ決済がこれにあたる。
■即時(そくじ)払い
 支払うとすぐに自分の銀行口座からお金が引き落とされる。銀行などが発行するデビットカードなどがこれにあたる。
■後払い
 カード会社が代金を立て替(か)え,お金を使った人はあとからカード会社に支払う。VISA(ビザ),マスターカード,JCBなどのクレジットカードがこれにあたる。

 ただし,「Paypay」などはクレジットカードを使って入金できるため,前払いといいながら,実質的に後払いの場合もある。

 キャッシュレス決済が広がることで,今後,お店の無人化が可能です。すでに中国では,コンビニエンスストアなどの無人化が進んでいて,スマホをかざして入店し,商品のバーコードを読み取ってお金を支払うしくみが採用されています。また,アマゾン・ドット・コムがアメリカ合衆国で運営する「アマゾン・ゴー」というお店にはレジがありません。天井やたなに取りつけたカメラやセンサーで,だれがどんな商品を買ったかを見張っていて,お金はお店を出たときにそのお客さんのクレジットカードから自動的に支払われます。

 確かに,クレジットカードやスマホの悪用への不安などはありますが,現金はぬすまれたり落としたりすればそのままなくなってしまいますが,カードやスマホの場合はデータを追跡(ついせき)できるため,手元に現金を持っているよりもかえって安全になると考えられています。

 また,キャッシュレス決済により,働く人や働く時間を減らせるため,今後,人口減少をむかえる日本にとっての切り札になる可能性もひめています。

 社会に大きな変化をもたらすキャッシュレス決済。これからも要注目です。


掲載日:2019年11月11日
次回の掲載は,2019年12月9日の予定です。

[2019/10/14] コンビニエンスストアの24時間営業は必要か??


 日本初のコンビニエンスストアは1971年に開店しました。その後,1975年にセブン-イレブンが24時間営業を開始して以来,少しずつ24時間営業のお店が増えていきました。いまでは,「コンビニは24時間開いていて当たり前」の時代になっています。

 しかし,今後それは当たり前ではなくなるでしょう。

 この説明をする前に,簡単にコンビニのしくみを説明しておきます。ほとんどお店は家族経営のフランチャイズで,本部と契約してお店を運営しています。お店で売る商品はすべて本部から仕入れ,売り上げに応じて一定の割合をロイヤリティーとして本部に支払います。フランチャイズとしてお店を経営する人をオーナーといい,お店を運営するのにかかる経費はすべてオーナーの負担です。

 では,なぜ24時間営業が取りやめるコンビニが出てくるのでしょうか。一番大きな理由は人手不足です。要は,コンビニ運営のかなめとなるアルバイト(パートをふくむ)が足りないのです。そのため,24時間営業を続けるためには,そのお店のオーナーと家族が昼も夜も働くことになります。オーナーは経営者なので働く時間の制限がありません。このままでは働き過ぎでたおれてしまうオーナーが出てきてしまいそうです。

 考えてみれば,夜通しお店を開けることで利益が増える場所と,お店を開けることで人件費や光熱費ばかり増えてしまい,逆に利益が減少する場所があるのは当然といえるでしょう。売り上げが上がらなくても地域の人たちのために24時間営業が欠かせないとオーナーが判断する場合もあるでしょうし,これ以上24時間営業を続けることができないと判断するオーナーもいるでしょう。

 今後,コンビニの営業時間はオーナーが決める流れが加速すると思われます。

 コンビニ最大手のセブン-イレブンも最初はその名の通り,朝7時から夜11時までが営業時間でした。もう一度その原点にもどってみるのもよいかもしれません。

 みなさんはどう思いますか。コンビニは24時間営業が当たり前だと思いますか。それとも,深夜は閉まっていてもいいと思いますか。


掲載日:2019年10月14日
次回の掲載は,2019年11月11日の予定です。

[2019/09/09] 人間の自然治癒力はなんともすばらしい


 昨年,日本人として26人目のノーベル賞受賞者となったのが,本庶佑(ほんじょたすく)教授です。がん治療(ちりょう)に免疫(めんえき)細胞(さいぼう)を利用することに道を開いた研究が高く評価されました。

 免疫とは,人間の体に自然に備わっている,みずからの体を守る働きのことです。体に侵入(しんにゅう)してきた細菌(さいきん)やウイルス,がん細胞などを攻撃(こうげき)するのが免疫細胞です。人間の体は37兆個の細胞でできており,その一つひとつにマークがついています。マークがついていない細胞は外から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物だとわかり,免疫細胞がそれを攻撃します。

 免疫細胞は血液の中の白血球にあり,大きく2つのタイプに分けられます。一つは生まれながらに持っているタイプで自然免疫といわれます。もう一つは病気にかかることで備わるタイプで,獲得免疫といわれます。この獲得免疫を利用して病気にかかりにくくする方法が予防接種(せっしゅ)です。有名なのはインフルエンザの予防接種ですね。予防接種をすることで病気にかかりにくくなったり,かかっても症状(しょうじょう)をやわらげたりできます。

 免疫細胞は,24時間休みなく働いています。人間の体が健康なときは免疫細胞の働きも活発になり,病気にかかりにくくなります。しかし,体が弱っていると免疫細胞の働きも弱くなり,病気にかかりやすくなってしまいます。軽めの運動を毎日続けたり,毎日決まった時間に食事を取ったりして,規則正しい生活習慣を続ければ,自然免疫の働きを活発にできます。

 本庶教授は,1992年に免疫細胞の表面に「PD-1」というこれまで知られていない物質があることを発見しました。その後の研究で「PD-1」の働きを止めると免疫反応が過剰(かじょう)に働くことがわかり,「PD-1」は免疫が働くのをおさえる,いわばブレーキの役割を果たしていることをつき止めました。

 さらに,がん細胞がこのメカニズムを利用してヒトの免疫をのがれていることもわかりました。そこで,がん患者の体内で「PD-1」が働かないようにすることで,再び免疫ががん細胞を攻撃するようにして治療するという,それまでの抗(こう)がん剤(ざい)とはメカニズムがまったくちがう新しいがん治療薬の開発につながりました。

 つまり,本庶教授は病気に打ち勝つ手段として,人間が本来持っている免疫細胞を活用することで,がんの治療をおこなうことを可能にしたのです。私は,人間の自然治癒力(ちゆりょく)とはなんともすばらしいものだと感心しました。

 今年のノーベル賞受賞者の発表ももうすぐです。楽しみですね。


掲載日:2019年9月9日
次回の掲載は,2019年10月14日の予定です。

[2019/08/12] 百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群って?!


 大阪府南部にある「百舌鳥・古市古墳群(こふんぐん)」が7月6日,世界文化遺産に登録されました。点在する古墳は4世紀後半から6世紀前半にかけて作られたもので,世界文化遺産の対象は,現存している88基から厳選された49の古墳となっています。

 その中でも最も有名なのは,墳丘(ふんきゅう)の長さが486mという日本最大の「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)古墳(大仙(だいせん)古墳)」でしょう。教科書にも載(の)っていますね。それ以外にも,方墳・円墳・前方後円墳など,多種多様な古墳があるのも大きな特ちょうとなっており,当時の政治的・社会的な状況(じょうきょう)を示す証拠(しょうこ)となっています。そのあたりが「世界遺産に登録するにふさわしい」と判断される理由になったわけです。

 近畿(きんき)地方で唯一(ゆいいつ),世界遺産がなかった大阪府にくらす人たちにとって,この古墳群を世界遺産にするのは悲願だったようです。

 日本の世界遺産としては23か所目です。交通アクセスにもすぐれていることから,観光業界でも新たな商機をビジネスにいかそうと,さまざまな動きが起こっています。

 10年ほど前になりますが,私も大仙古墳の周りを歩いて一周したことがあります。そのときは古墳の大きさを実感できてよかったのですが,池の中にうかぶ巨大な森を見たような感じがしました。展望台などを設けて,上から全体を見て,前方後円墳を実感できるようにすればより感動できたのにと思いました。現在は,ヘリコプターによる遊覧や,VR(バーチャルリアリティー)を活用する取り組みも計画されているようです。

 一方,49基ある古墳のうち29基は天皇や皇族などの墓ということで,参道や一般拝所をのぞき原則非公開になっているうえ,森におおわれていることもあって全容を見ることができないため,観光業界にとっては大きな障がいになっています。

 実際,世界遺産で観光客をよびこむのは難しいところもあります。2017年に世界遺産に登録された「宗像(むなかた)・沖ノ島(おきのしま)と関連遺産群」ではどうでしょう。観光客としては沖ノ島に上陸をしたい気持ちになりますが,この島は「神宿(かみやど)る島」として厳しく入島が制限されており,立ち入ることができません。それ以外の構成資産への観光客は増えているようですが,今後は構成遺産の魅力(みりょく)をどのように伝えていくかが大きな課題となっています。

 それにしても,2013年以降,7年連続で日本国内から世界遺産への登録が続いています。来年は「奄美大島(あまみおおしま),徳之島(とくのしま),沖縄島北部および西表島」,2021年には「北海道・北東北の縄文(じょうもん)遺跡群」を世界遺産に推薦(すいせん)することが決まっています。まだまだこれからも増え続けていくのでしょうか。


掲載日:2019年8月12日
次回の掲載は,2019年9月9日の予定です。

[2019/07/08] IoTは私たちの大きく社会を変える?!


 IoT(アイオーティー)という言葉を聞いたことはありますか。あらゆるモノがインターネットにつながることで,それぞれのモノから個別の情報を取得し,その情報をもとにして最適な方法でそのモノを制御(せいぎょ)するしくみのことです。

 このIoTを組みこんだ家電を「スマート家電」と呼んでいます。

 スーパーマーケットなどでの買い物中に,「あれ? そういえばこの野菜,まだ冷蔵庫に残っていたっけ?」という経験をしたお母さんも多いと思います。しかし,スマート家電の冷蔵庫なら,外出先から庫内に取りつけてあるカメラを使ってスマートフォン経由で食材をチェックできるので,買い忘れや重複買いを防止できます。それだけでなく,冷蔵庫の食材から,おすすめのレシピも調べられるので,料理するときに,献立(こんだて)になやむことも少なくなります。

 帰宅する前に「部屋をすずしくしておきたい,またはあたたかくしておきたい」と思ったとき,スマート家電のエアコンなら,外出先からスマートフォンでエアコンの操作(そうさ)ができるので,帰宅時に部屋が快適な温度にすることができます。スマートフォンで温度を設定できるだけではなく,エアコンの電源を切り忘れたかな,と思ったときにでも自宅にもどらずにスマートフォンで電源を切ることもできます。

 IoTを取り入れることで,第一次産業も大きく様変わりします。たとえば,稲作農家にとって水田管理はとても大切です。特に水位を適切に管理することで,気温の変化に左右されない一定の水温を保つことができます。しかし,広い水田の水温管理を人力でおこなうには手間と時間がかかります。

 そこで活やくしているのが水田センサーです。このセンサーには通信機能がついていて,10分おきに水温と水位のデータを送ってくれます。このデータをスマートフォンでチェックすることで,必要に応じて水位の調節ができるようになります。いちいち水田に行く手間がはぶけることで,時間に余裕ができます。

 IoTによってあらゆるモノから個別の情報を取得できるため,クラウド(コンピューターサーバー)上にはぼう大なデータが集まってきます。このぼう大なデータのことをビッグデータと呼びます。このビッグデータをAI(人工知能)が学習し分析(ぶんせき)することで,これまで以上に必要とされている製品やサービスの開発に利用され,社会も変化していくことになります。

 しかし,社会がよくなるように変化していけばよいのですか,個人情報の保護や,ビッグデータの活用の仕方など,これからの社会に必要な新しいルールをどうするのかといった点では課題が残っていると思います。


掲載日:2019年7月8日
次回の掲載は,2019年8月12日の予定です。

[2019/06/10] 植物工場で野菜を生産する利点とは??


 今回は,公立中高一貫校入試の最新トピックである植物工場を取り上げます。

 種まきから収かくまでを建物の中でおこなうのが植物工場です。この工場が登場したのはいまから30年以上前の1980年代でした。

 理科の授業で,植物が発芽するためには水と空気と適温が必要であり,成長するためにはそれに加えて肥料と日光が必要だと学習しましたね。植物は光合成をおこない,自らでんぷんなどを作り出します。光合成とは,水と二酸化炭素を原料として,葉緑体という工場ででんぷんなどをつくるはたらきのことで,そのときにエネルギー源として日光を利用しているとイメージすればわかりやすいでしょう。そのとき出る余り物が酸素です。

 植物工場では日光の代わりに人工光を使い,土を使わずに水耕さいばいをおこないます。また,工場は室内なので空調設備を整え,植物の成長を管理することができます。自然環境(かんきょう)に左右されずに野菜を育てることができます。

 しかし,そのためには工場や設備の建築費や空調,人工光の維持(いじ)管理費など多額のお金がかかります。また,品質の整った野菜を生産する技術を確立することが難しく,企業(きぎょう)として利益を出すことができない時代が長く続きました。

 2000年代に入ると,植物工場を取り巻く環境に変化がおとずれます。天候不順により野菜の価格が上がり,一方で,LEDを用いることで電気代をおさえることができるようになり,植物工場の採算が取れるようになったのです。

 ここで余談。
 光合成がさかんにおこなわれるには,室内の人工的なLEDの光よりも自然の中での太陽光のほうがよいと思いませんか。しかし,その考えはまちがいです。太陽光の中には植物の成長をはばむ光がふくまれているため,LEDを使って成長に必要な光だけを当て続ければ,自然の中で育てるよりも短い時間で収かくできるようになります。さらに,当てる光の組み合わせを変えることにより,特定の栄養素,たとえばビタミンAをたくさんふくんだ野菜をつくるといったこともできるようになっています。

 また,農場で育てられる野菜は自然環境の変化により生育に大きな差が出ます。一方,植物工場では,当てる光だけでなく,工場内の温度,湿度(しつど),二酸化炭素濃度(のうど)などもコントロールすることにより,1年を通して同じ品質の野菜を出荷(しゅっか)できます。

 それらの変化により,植物工場は企業にとっても利益をもたらす存在になりつつあります。消費者にとっても,安全安心な野菜をいつも同じ値段で買うことができるという魅力(みりょく)は大きいですね。


掲載日:2019年6月10日
次回の掲載は,2019年7月8日の予定です。