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カッシー先生

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カッシー先生

中学受験37年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2019/06/10] 植物工場で野菜を生産する利点とは??


 今回は,公立中高一貫校入試の最新トピックである植物工場を取り上げます。

 種まきから収かくまでを建物の中でおこなうのが植物工場です。この工場が登場したのはいまから30年以上前の1980年代でした。

 理科の授業で,植物が発芽するためには水と空気と適温が必要であり,成長するためにはそれに加えて肥料と日光が必要だと学習しましたね。植物は光合成をおこない,自らでんぷんなどを作り出します。光合成とは,水と二酸化炭素を原料として,葉緑体という工場ででんぷんなどをつくるはたらきのことで,そのときにエネルギー源として日光を利用しているとイメージすればわかりやすいでしょう。そのとき出る余り物が酸素です。

 植物工場では日光の代わりに人工光を使い,土を使わずに水耕さいばいをおこないます。また,工場は室内なので空調設備を整え,植物の成長を管理することができます。自然環境(かんきょう)に左右されずに野菜を育てることができます。

 しかし,そのためには工場や設備の建築費や空調,人工光の維持(いじ)管理費など多額のお金がかかります。また,品質の整った野菜を生産する技術を確立することが難しく,企業(きぎょう)として利益を出すことができない時代が長く続きました。

 2000年代に入ると,植物工場を取り巻く環境に変化がおとずれます。天候不順により野菜の価格が上がり,一方で,LEDを用いることで電気代をおさえることができるようになり,植物工場の採算が取れるようになったのです。

 ここで余談。
 光合成がさかんにおこなわれるには,室内の人工的なLEDの光よりも自然の中での太陽光のほうがよいと思いませんか。しかし,その考えはまちがいです。太陽光の中には植物の成長をはばむ光がふくまれているため,LEDを使って成長に必要な光だけを当て続ければ,自然の中で育てるよりも短い時間で収かくできるようになります。さらに,当てる光の組み合わせを変えることにより,特定の栄養素,たとえばビタミンAをたくさんふくんだ野菜をつくるといったこともできるようになっています。

 また,農場で育てられる野菜は自然環境の変化により生育に大きな差が出ます。一方,植物工場では,当てる光だけでなく,工場内の温度,湿度(しつど),二酸化炭素濃度(のうど)などもコントロールすることにより,1年を通して同じ品質の野菜を出荷(しゅっか)できます。

 それらの変化により,植物工場は企業にとっても利益をもたらす存在になりつつあります。消費者にとっても,安全安心な野菜をいつも同じ値段で買うことができるという魅力(みりょく)は大きいですね。


掲載日:2019年6月10日
次回の掲載は,2019年7月8日の予定です。

[2019/05/13] 文章を正しく読む力を身につけるには??


 公立中高一貫校受験のための塾に通っているにもかかわらず,「国語の成績がほとんど伸びない」という話を,ここ数か月間で立て続けに聞きました。

 今回は,少し毛色を変えて,なぜそんなことになるのかをお話しします。

 通常,塾でおこなう指導は受験国語とよばれます。いわゆる,筆者が書いた本の一部分を切りぬいて,入試問題のようにその文章にぼう線を引いたり,空らんを設けたりして設問をつけた問題を解いていくという方法です。私たち塾業界では,こういった問題を「文章切りぬき問題」とよんでいます。

 確かに,試験と同じような問題を解けば問題慣れにはつながりますが,この方法では国語力は身につきません。なぜなら,この方法では文章を読む基礎力が養成できないからです。

 また,国語力の本質は「文章を正しく読む力」を身につけることですが,この「読む訓練」につながりません。サッカーでいえば,パスやドリブルの練習をせず,ひたすら試合をしているのと同じで,試合の形式に慣れても上達がないのと同じです。

 では,国語力の本質である「文章を正しく読む力」を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。

 答えは1つ。音読です。

 声に出して一語一語正確に読み進めるだけです。この音読訓練を半年続けるだけで,国語の成績はだれでも必ず伸びていくと断言できます。

 国語力の低い子は,正しく字面を追うことができず,それゆえ,文章を正しく読むことができません。音読は,なにより正しく字面を追う訓練につながります。また,意味のかたまり(文節)ごとに読んでいるか,わからない言葉がないかの確認もできます。

 まさにいいことずくめです。

 一見地道な訓練のように思えますが,こういったことを続ければ最短ルートで国語力が身につきます。ぜひ,「文章切りぬき問題」に手を染めてしまい,時間をむだにしないでいただきたいと思います。

 参考コラム [2018/04/09] 国語の勉強方法で悩んでおられる方へ


掲載日:2019年5月13日
次回の掲載は,2019年6月10日の予定です。

[2019/04/08] 地球温暖化対策の緩和策と適応策


 気象庁によると,日本の年平均気温はここ100年ほどで1.2度上がっています。このままでいくと,60年後には東京が鹿児島県の屋久島のような気温になるともいわれています。年を追うごとに,最高気温が30度以上の真夏日や,35度以上の猛暑日(もうしょび)も増えています。これにより,デング熱などの感染症(かんせんしょう)の原因ウイルスを広める蚊(か)の生息域が北上するなどのえいきょうが出始めています。

 では,みなさんは地球温暖化対策といえば何を思いうかべますか。電気や水をむだ使いしない,車のアイドリングをやめる,買い物のときはエコバックを持参するなどにより,二酸化炭素のはい出を減らすことでしょうか。

 ただし,これらは地球温暖化の進行をおさえるための対策で,「緩和(かんわ)」といわれています。もちろんこれらも大切なことですが,現実には地球温暖化が進行しており,えいきょうが出続けています。一方,これらの悪いえいきょうを減らしたり,さけたりすることを「適応(てきよう)」といいます。

 ヨーロッパでは,10年以上も前から国全体で「適応」のための対策が進められています。日本でも,2018年6月に気象変動適応法が成立しました。この法律では,温室効果ガスのはい出削減対策(緩和策)と,気候変動のえいきょうによる被害を減らしたり軽くしたりする対策(適応策)が両輪だと位置づけられています。そして,国,地方公共団体,事業者,国民が気候変動適応を進めるためにになうべき役割を明確化し,適応策を強力におし進めようとしています。

 国は,農業や防災等の各分野の適応をおし進める気候変動適応計画をつくり,その進展じょうきょうについて,はあく・評価手法を開発します。そのうえで,気候変動えいきょう評価をおよそ5年ごとにおこない,その結果にもとづいて計画をつくり変えていく予定になっています。

 具体的な適応策としては,高温でも育つ農作物の品種改良,魚類の分布が変化したことに対応した新しい漁場の整備,てい防やこう水調整しせつなどの整備などが考えられます。また,ハザードマップの作成をうながしたり,熱中症予防の対策を進めることなども考えられます。これらは,地方公共団体や事業者が中心となっておこなうものから,国民の生活に密接に関係するものまでいろいろあり,いずれもすばやい対応が必要なものばかりです。

 みなさんも,緩和策だけでなく身近にできる適応策についても考えてみましょう。


掲載日:2019年4月8日
次回の掲載は,2019年5月13日の予定です。

[2019/03/11] どうなるブレグジット!!-世界が大注目-


 みなさんは,「ブレグジット」という言葉をご存じでしょうか。これは,イギリスのEU離脱(りだつ)問題を指します。2016年6月におこなわれた国民投票により,イギリス国民はEUから離脱することを決めました。その離脱期限が2019年3月29日にせまっています。

 これまでイギリスはEUと交渉し,できるだけおだやかにEUから脱退しようとしてきました。しかし,イギリスのメイ首相がEUと交渉してまとめた離脱合意案を3月12日,イギリス下院は大差で否決しました。EUと合意しないまま離脱することもできますが,そうなると経済が混乱し,国民生活に大きなえいきょうが出ます。すると,13日にはこの「合意なき離脱」も否決したのです。そして,14日には離脱期限を3月29日から6月末日まで延期することを可決しました。

 どう見ても,イギリスは迷走しているとしか思えません。いったいどうしてこんなことになったのでしょうか。2016年7月13日のコラムでも取り上げましたが,そもそもイギリス国民は本当にEUから脱退したかったのでしょうか。

 ある調査によると,24才以下のイギリスの若者は70%がEU離脱に反対しているものの,実際に投票したのは40%にすぎなかったとのこと。もし,もう一度国民投票が実施されたのなら,EU残留派が多数をしめるのは確実といわれています。EU離脱派の人たちもEUとの貿易で関税がかかることには賛成していません。しかし,移民は受け入れたくないのです。

 つまり,EU離脱を主張する人たちも,一方的に離脱するのではなく,EUに加盟していることの恩恵(おんけい)はそのままで,自分たちが我慢(がまん)しなければならないことだけイヤだと言っているのです。これでは,EU諸国と離脱案をまとめることは困難を極めます。

 EUには現在28か国が加盟しています。イギリス以外の国にとってもイギリスがこのまま脱退することは大きな問題です。というのも,イギリスは加盟国の中でドイツに次いで2番目の経済規模をほこっており,他のEU諸国との貿易では大きな赤字となっているのです。つまり,EU諸国はたくさん商品を買ってくれたお得意様を失ってしまうことになるわけです。また,イギリスが負担してきた加盟分担金を,今後は他の加盟国が負担しなくてなりません。つまり,EUにとってはイギリスの離脱は簡単には認められないことなのです。

 2016年6月に戻りたがっているイギリス人もいるようですが,一度おこなわれた国民投票の結果は重いものがあります。イギリスがこれからどうなるかはまだわかりませんが,私たちも対岸の火事とするのではなく,教訓となるように見守っていく必要があると思います。


掲載日:2019年3月11日
次回の掲載は,2019年4月8日の予定です。

[2019/02/11] 社会に目を向け,疑問に思い,考え続ける


 このコラム(カッシー先生のゆったり教室)が始まって早6年が過ぎようとしています。これまでさまざまなテーマを取り上げ,現状をお伝えしてきました。

 2018年に限ってみても,臓器移植(ぞうきいしょく),迎賓館(げいひんかん),観光公害,成人年齢(ねんれい),ハザードマップなど,主に社会に目を向け,私の意見を述べることよりも,現状をお伝えし,みなさんにいろいろ考えてもらいたいという思いで,このコラムを続けてきました。

 もしかしたら,「こんなテーマが,本当に公立中高一貫校入試に出題されるのかな??」と思った人がいるかもしれませんね。

 しかし,私は,「公立中高一貫校入試に出題されるかどうか」だけで,取り上げるテーマを選んだわけではありません。

 確かに,2018年11月12日に掲載したプラスチックごみは,今春,複数の公立中高一貫校入試で取り上げられ,「マイクロプラスチックに関する問題が解けた」というメールも頂きました。

 2018年8月13日に掲載したハザードマップについては,昨年,自然災害が多く発生したこともあり,予想通り,公立中高一貫校入試で出題が増えました。

 ただし,取り上げるテーマは,「私たちが暮らす社会に目を向け,疑問に思い,考え続けるための材料になるかどうか」を基準にしています。

 公立中高一貫校入試は,さまざまなテーマが出題材料になり,切り口も千差万別です。何が出題されるかわからない中で,「的中をねらう」こと自体,意味があるとは思えず,そもそもそんな努力をするだけむだというものでしょう。

 それよりも,どういったテーマが出題されても対応できるように,日ごろから「社会に目を向け,疑問に思い,考え続ける」ことを大切にしたほうがよほど有益なはずです。さらに,この取り組みは入試対策という枠(わく)を軽くこえていくはずです。
 もちろん,このコラムに限ったことではありません。

 ぜひこれからも,みなさんの身のまわりにあるさまざまなことに興味・関心を持ち,疑問に思い,考え続けていってほしいと願っています。

 小学6年生のみなさん,小学ご卒業,おめでとうございます。


掲載日:2019年2月11日
次回の掲載は,2019年3月11日の予定です。

[2019/01/14] 米中貿易戦争とアメリカ大統領選挙


 現在,アメリカ合衆国(がっしゅうこく)と中国はおたがいに関税を引き上げて,「貿易戦争」のような状況(じょうきょう)になっています。世界第1位と第2位の経済大国ですから,そのえいきょうは世界に広がりつつあります。

 最初に仕掛(しか)けたのはアメリカ合衆国です。トランプ大統領(だいとうりょう)は2018年7月,中国からの輸入品340億ドル分に25%の関税を上乗せしました。さらに8月には160億ドル分に25%の関税を上乗せし,制裁(せいさい)の規模(きぼ)は合わせて500億ドル相当にのぼりました。9月には第3弾の関税措置(そち)が発表されました。これに対して,中国は,アメリカ合衆国の措置は国際ルールに違反しているとして,同じ規模のアメリカ合衆国からの輸入品に25%の関税を上乗せする対抗(たいこう)措置をとったのです。

 なぜ,アメリカ合衆国は中国に対してここまで強引な貿易戦争を仕掛けているのでしょうか。それは,2015年に中国が発表した「中国製造2025」にあると思われます。中国はこの計画で,2049年までに情報通信技術,工場や家庭向けのロボット,自動車など,10分野の産業を重点的に強くし,世界一になることをねらっています。

 しかし,中国はアメリカ合衆国や日本など外国の会社に対して,中国に進出することを認める見返りとして,進んだ技術を教えるように求めたり,外国の技術をまねたりして成長してきました。

 このような中国の国家主導的な産業政策そのものを変えることをトランプ大統領はねらっているのです。具体的には,金融(きんゆう)分野などへの外国の会社単独での進出を認めること,中国との合弁企業を設立する際に技術の移転を求めないこと,中国政府による企業への不公平な補助金をやめることなどが,その主な内容です。

 トランプ大統領は,2020年11月におこなわれる大統領選挙で再選されることを最終目的としています。そのために,国民が納得する成果を上げようと必死になっているのです。昨年11月の中間選挙では,野党の民主党と引き分けともいえる結果に終わっています。このままでは2年後の選挙での再選が難しいと判断し,連邦議会と対立しても,メキシコとの国境(こっきょう)に壁を建設しようとしています。

 メキシコとの国境に壁を建設することや,中国に高い関税をかけることは,トランプ大統領が選挙でアメリカ国民に約束した公約の中にふくまれています。トランプ大統領は,これまで選挙での公約を次々と達成してきました。大統領になって2年で,その達成率は8割をこえており,これは近年にない達成率だといわれています。

 中国との貿易戦争でもトランプ大統領はアメリカ国民が納得する成果を示せるようになるまでは手を引かないと思われます。逆に言うと,アメリカ国民が納得する成果を出せれば貿易戦争も終わるということです。現在,アメリカ合衆国と中国ではこの問題で交渉(こうしょう)が進められています。早くこの問題が終わらなければ,世界経済にも大きなえいきょうをあたえることになります。


掲載日:2019年1月14日
次回の掲載は,2019年2月11日の予定です。

[2018/12/10] 道徳が教科になって何が変わった??


 小学校で2018年4月から道徳が教科になりました。中学校で教科になるのは2019年4月からです。教科になると,教科書を使うようになり,先生から「評価」も受けるようになります。すでにみなさんは通知表でその評価を受けたはずです。先生からどのようなコメントをもらいましたか。

 これまでも「道徳の時間」の授業は年間35時間ほど確保されていましたが,教科ではなかったため,教科書も評価もありませんでした。しかし,今年からは「善悪(ぜんあく)の判断」「誠実(せいじつ)」「国や郷土(きょうど)を愛する」など,教える内容が学年ごとに20項目ほど決められており,教科書はこれをすべて取り上げなければなりません。

 教科書検定時には,「伝統文化の尊重や郷土愛が不足している」として,教科書で取り上げられていた「パン屋」や「和菓子屋(わがしや)」に変わったことは,マスコミでも大きく取り上げられ,「意味のあることなのか」と話題になったことは記憶(きおく)に新しいところです。

 評価の方法は,国語や算数のように点数表示ではなくコメント記載(きさい)となっており,公立中高一貫校入試で道徳の評価が用いられることはありません。

 しかし,評価する側と評価される側がいる以上,そこには模範(もはん)解答とよべるものがあるはずです。教科書で示されたお手本が模範解答であるならば,高い確率でよい評価をもらうためには,「教科書に書かれてある模範解答をそのまま答えればよい」と考える児童がいても不思議ではありません。これでは,「考える」という行為が置き去りにされ,道徳が単なる暗記科目になってしまいます。

 道徳の教科化は,「人の心を評価する」ものなのか,または,「教科書に書かれてある模範解答を丸暗記する」だけのものなのかという点で,大きな危険性をはらんでいることを忘れてはいけません。


掲載日:2018年12月10日
次回の掲載は,2019年1月14日の予定です。

[2018/11/12] リフューズの必要性とプラスチックごみ


 スターバックスコーヒーやマクドナルドなどが,今後,プラスチック製ストローの使用を取りやめると発表しました。ストローよりもカップやふたで使われているプラスチックのほうが,はるかに量が多いのではないかと思われるかもしれませんが,問題は量ではなく大きさです。ストローは小さすぎて,リサイクルができないのです。

 プラスチックは19世紀後半に発明され,これまでに世界で83億トン生産されてきました。そのうち,はいきされたのは63億トンにのぼりますが,その中に回収されていないプラスチックは,実に57億トンもあるといいます。それらがどれだけ海に流入しているか,はっきりしたことはわかっていませんが,絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)もふくめた700種近い海洋生物にえいきょうをあたえ,毎年多くを死に追いやっていると推定(すいてい)されています。漁網(ぎょもう)にからまるなど,目に見える形での被害もありますが,目に見えない形で被害を受けている生物はもっと多いのです。

 プラスチックは自然に分解しませんので,くだかれて細かくなっていきます。最終的には,直径5mm以下の微小(びしょう)なプラスチック粒子(りゅうし)となり,これは「マイクロプラスチック」とよばれます。そして,いまでは動物プランクトンからクジラまで,あらゆる大きさの海洋生物の体内から,このマイクロプラスチックが見つかっており,深海のたい積物から北極の海氷にまでおよんでいます。

 3Rは,もうみなさんは知っているね。ゴミをできるだけ出さない「リデュース」,使えるものはくり返し使う「リユース」,そして「リサイクル」の3つですね。日本では,この中で「リサイクル」だけが注目されていますが,ペットボトルや空きかんのリサイクル率が上がっても,そのための費用やエネルギー消費を考えると万能ではありません。

 そもそも,最終的にごみとして処分しなければならないものを,家庭内に持ちこまなければ,ごみは出ないはずです。そのためには「リフューズ」が大切です。「リフューズ」とは,必要のないものを断るという意味です。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでもらうレジ袋を断る,レストランなどで自分のはしを持参し,わりばしを断る,などが考えられます。「リフューズ」を「リデュース」から独立させ,強調することがこれから必要になってくるのかもしれません。

 現在,日本政府はレジ袋の有料化を義務づけようと検討を進めています。すでに複数のスーパーマーケットではレジ袋の有料化が進み,マイバックの持参が増えるなどの効果が出ています。しかし,これらの規制を国が中心になって進めていかなければならないものなのかどうか深い議論が必要です。問題はレジ袋だけではないのですから。


掲載日:2018年11月12日
次回の掲載は,2018年12月10日の予定です。

[2018/10/08] いまや日本は「移民大国」なのです-その2-


 日本の人口は,2008年の1億2808万人をピークに減少に転じています。このままのペースでいくと,2048年には1億人を切り,2060年には8670万人になると予想されています。

 政府は少子化を止めるために,待機児童問題の解消や,女性が働きやすい職場環境を整えるための政策を実施していますが,その効果は上がっているとはいえません。現実問題として,人口減少を止めるには移民を増やすしかないでしょう。いまの水準の人口を維持しようとすると,毎年50万人の移民を受け入れる必要があると主張する専門家もいます。

 しかし,移民を増やすのに反対する人たちも多くいます。移民が増えることで犯罪の増加や,文化・宗教のちがいから争いが起こる可能性,そして何よりも,日本らしさが失われてしまうことを心配しているようです。

 日本は島国であり,江戸時代には250年にわたり鎖国政策を実施していました。そのせいか,外国人との接触に違和感を持つ人が多いようです。開国してから150年になりますが,いまだに日本は大和民族だけの単一民族国家がいいと考える人も多いようです。

 移民を増やすかどうかを議論する前の根本的な問題として,「日本の適切な人口はどれぐらいか」ということを考える必要があると思います。

 いまの人口を維持しなければならないと考えるのか。それとも,1億人ぐらいでいいのか,8000万人ぐらいでいいのか。はっきりとした国民的な合意を形成しなければ,議論が進まないでしょう。

 そのうえで,移民を受け入れるのであれば,どのような人たちを何人受け入れていくのか,移民に対して日本社会に適応するための教育や行政サービスをどのように整えていくのかを検討する必要があります。

 もし,移民を一切受け入れないとすれば,日本の人口は300年後には0人になるという人もいます。言い方を変えれば,日本人は絶滅危惧種だと言っているようですね。

 現実問題として,日本は「人」「もの」「お金」「情報」などが国や地域をこえて行き交うグローバル社会の一員になっています。幼稚園でも小学校でも外国籍やハーフの子どもたちが増えています。もうすでに社会の多様性が進んでいるのです。

 少子高齢・人口減少社会に突入している日本で,これから移民をどうしていくのかということをみなさん一人ひとりの問題として考えてみてください。


掲載日:2018年10月8日
次回の掲載は,2018年11月12日の予定です。

[2018/09/10] いまや日本は「移民大国」なのです-その1-


 最近街中で,外国人の店員さんをよく見かけるようになったと思いませんか。特に,コンビニエンスストアやファミリーレストランに入ると,外国人の店員さんによく出会います。しかも,東京や大阪などの大都市ばかりではありません。地方都市でも増えています。いったい何が起きているのでしょうか。

 安倍首相は,「移民政策はとらない」と宣言した上で,外国人労働者の受け入れを増やしています。安倍首相によると,「移民」とは,日本に入国した時点で永住権を持っている者であり,仕事をするためや勉強するために日本に入国する者は「移民」にあたらないという立場を取っています。

 今の日本政府が取っている政策は,労働力不足を補うために外国人労働者は必要だが,日本で永住することは認めていないのだから「移民」ではないということのようです。

 国際的に合意された「移民」の定義はありませんが,よく引用されるのが,1997年に当時の国連事務総長が国連統計委員会に提案したものです。それによると,移民とは,「通常の居住地以外の国に移動し,少なくとも12か月間その国に居住する人のこと」と述べられています。移動する目的や原因には関係ないので,転勤,留学,研修,海外旅行なども12か月以上であればすべて移民にふくまれることになります。

 国際移住データベースは,世界約200の出身国・地域別に1年間のOECD(先進工業国の経済協力機構)加盟35か国への外国人移住者を集計しています。日本への移住者は「有効なビザを保有し,90日以上在留予定の外国人」を計上しています。

 それによると,2015年は,1位がドイツ(約201万人),2位がアメリカ合衆国(約205万人),3位がイギリス(47万人),4位が日本(約39万人),5位が韓国(約37万人)でした。

 つまり,日本は2015年の時点で実質的に世界第4位の移民受け入れ国になっているのです。2018年はさらに増えているでしょう。

 外国人が日本で長期間滞在するためには,在留資格が必要です。在留資格には,日本で働くことを目的とした資格と,技能実習生や留学生など,働くことを目的としない資格に分けられます。その割合は,前者が18.6%にすぎず,ほとんどが後者です。しかし,後者に属する人たちが日本の労働力を支えているのも事実です。

 技能実習生とは,日本で技術や知識を習得するために,日本の企業が雇用する外国人のことです。本来は母国でその技能を活用することが目的なのですが,人手不足を解消する手段として利用する企業が問題となっています。

 留学生には1週間あたり28時間までのアルバイトが許されています。日本語取得など留学本来の目的よりも,日本でのアルバイトを目的とした場合も多く,問題となっています。

 少子高齢・人口減少社会となっている現在の日本で,このまま外国人を受け入れ続けていくべきなのか,次回のコラムで考えていきたいと思います。


掲載日:2018年9月10日
次回の掲載は,2018年10月8日の予定です。