公立中高一貫校をめざす方へのお役立ちサイトです。
ぜひご活用ください!

カッシー先生

PROFILEカッシー先生プロフィール

カッシー先生

中学受験40年のキャリアがお届けするとっておきの秘策。特に公立中高一貫校の適性検査では,社会科的な知識だけでなく,算数で学習する割合なども同時に求められます。社会と数的処理をじっくり解説していきますよ。
高桐アカデミー塾長 カッシー先生
ホームページ http://www.kotoac.com

[2020/11/09] お金の誕生と役割について考えよう


 お金がまだなかった時代、人々はおたがいにほしいものを交換し合っていました。これを「物々交換」といいます。しかし、その人がほしがるものを自分が持っていなかったらどうなるでしょう。「○○と交換してください」とお願いしても、「□□じゃないと交換したくない」と言われたら、交換は不成立に終わります。要は、物々交換はおたがいにほしいものを持っていなければ成立しません。

 そこで考えられたのが、みんなが同じ価値を認めるものをつくり、それを仲立ちにして、ほしいものを交換するしくみです。この仲立ちをするものがお金です。

 最初にお金として使われたのは、貝や石、布などでした。そのうち、人々がさまざまな場所に出かけていって商売を始めるようになると、お金の役割はますます重要になり、金属でできたじょうずな硬貨(こうか)が世界中に広がっていきました。いまでは、「ものを買う」とは、「お金」と「もの」を交換することをいうようになりました。

 お金には、「ものを交換する」「ものの価値をはかる」「ものの価値をためる」という3つのはたらきがあります。

 1つ目の「ものを交換する」とは、最も基本となるお金の役割です。たとえば、1個のアイスクリームを買うために、100円はらうということです。お金を仲立ちとしてものを買います。

 2つ目の「ものの価値をはかる」とは、値段というものさしで、ものの価値を決めるはたらきのことで、お金という単位を利用します。1個のアイスクリームが100円という値段が決まることで、ものの価値を決めるはたらきをもっています。

 3つ目の「ものの価値をためる」とは、ものを売ってお金に換えるということです。アイスクリームは時間がたてばとけます(食べ物はくさります)が、お金はそのままです。ものを売ってお金に換えれば、ものの価値を失うことなく持ち続けることができます。

 このように、お金の誕生(たんじょう)はいわば必然的ということができ、ものを交換するためにはものの価値をはかる必要があり、派生的にものの価値をためる役割も担(にな)うようになりました。


掲載日:2020年11月9日
次回の掲載は、2020年12月14日の予定です。

[2020/10/12] 明治時代のはじまりと産業の発展


 公立中高一貫校入試で歴史の出題は多くありませんが、出題された場合に取り上げられる確率が高いのは明治時代です。今回は、武家社会の江戸時代が終わり、西洋的な明治時代に代わる日本を見ていきましょう。

 265年続いた江戸時代が終わり、明治時代が始まったきっかけは黒船です。江戸時代、日本は長きにわたって、限られたごく少数の国以外とは貿易などの関わりをもたない鎖国政策をとっていました。

 ところが、その間に西洋諸国では、産業や工業の機械化が進み、アジアに進出するようになっていました。そういった流れの中で、日本は開国し、外国との貿易が始まりました。ただし、開国により、人々の不満が高まり、開国をうらむ声や、江戸幕府の政治に不満をもつ人が増え始めたため、新たに、天皇を中心とした新政府が生まれました。これが明治時代です。

 明治新政府は、西洋に負けない国をつくろうと考え、明治維新をスタートさせました。つまり、西洋の制度や文化を進んで取り入れた改革です。

 現在、日本は世界有数の先進工業国ですが、そのきっかけは、この明治時代までさかのぼります。明治新政府が近代産業を育てようとしたのです。

 日本が、西洋の先進国のような近代国家の仲間入りをするには、国が豊かになる必要があります。そのためには、国をあげていろいろな分野の産業を育てなければなりません。

 たとえば、官営模範工業の富岡製糸場では、フランス人技術者をまねいて技術指導を受け、生糸の質の向上と増産をはかりました。この工場で働いていたのは、士族や有力者の娘(むすめ)たちでした。彼女たちは、ここで身につけた技術をふるさとにもち返り、各地につくられた製糸工場で指導者になりました。富岡製糸場でつちかわれた技術が全国に広がり、製糸工業は成長していきました。

 製糸工業は、鉄鋼業が始まるまでの長い間、日本の産業の中心を担(にな)いました。

 こういった政策によって、日本の産業はめざましく発展していき、工業国としての日本の基礎(きそ)が出来上がっていきました。

 産業を育て、強い国にする。そして、国を豊かにする。明治時代は、そんな夢と希望に満ちあふれたすばらしい時代でした。


掲載日:2020年10月12日
次回の掲載は、2020年11月9日の予定です。

[2020/09/14] ミツバチのくらしと巣のしくみ


 公立中高一貫校の適性検査問題を分析すると、ミツバチに関する出題が多いことがわかります。そこで、今回はミツバチを取り上げましょう。

 ミツバチは、はねが4枚、あしが6本で、めすは毒針(どくばり)をもつこん虫です。花のみつや花粉を食べ、それを巣にたくわえて、はちみつをつくることで知られています。

 日本にもともといたのがニホンミツバチで、その後、明治時代にヨーロッパからセイヨウミツバチが輸入されてきました。ニホンミツバチはセイヨウミツバチよりもからだが小さく、腹部が黒っぽいのが特ちょうです。性格はおとなしいといわれています。セイヨウミツバチは腹部が黄色っぽいのが多く、ニホンミツバチよりも気が荒いといわれています。

 ミツバチは春から夏は活発に活動し、花のみつや花粉を集めて巣にたくわえます。秋以降は活動しなくなり、冬はたくわえた食べ物を食べながら、巣の中ですごします。

 適性検査問題でよく取り上げられるのが巣のしくみです。

 野生のミツバチは木のほらの中や、地中のすき間、屋根裏といった、壁などで囲まれた場所に巣をつくります。巣は、「巣板」とよばれる数枚の板からなり、表と裏に、断面が六角形の部屋がぴったりくっついて並んでいます。この部屋をそれぞれ「巣房(すぼう)」といいます。

 働きバチは、「みつろう」という天然のろうを腹部から分泌(ぶんぴつ)します。これを材料にして巣房をたくみにつくり、子育てをしたり、花のみつや花粉をたくわえたりします。

 もし、巣房の形が丸いと、巣房と巣房のあいだに必ずすき間ができます。コンパスを使って、円周部分がくっつくように円をいくつかかいてみましょう。確かにすき間ができますよね。そうなると、そのすき間をうめる「みつろう」が余分に必要です。

 つまり、六角形は材料を最小限におさえつつも、可能な限り巣房を広くしたうえで、さらにじょうぶな空間をつくるのに最も適した形です。キーワードは、「材料の節約」「広さの確保」「じょうぶ」の3つです。これらをすべて満たすのが六角形というわけです。

 最後に、巣の中の温度に触れておきます。巣の中は春から秋にかけて、つねに35℃前後に保たれています。子育てをするには、この温度を保つ必要があるからです。

 夏の暑さで巣の中の温度が上がると、外に出る働きバチが水を口にふくんで巣の中にまきます。つまり、気化熱を利用します。打ち水と同じ原理ですね。また、巣の前でたくさんの働きバチがはねをふるわせて風を送り、巣の中の温度を下げます。一方、寒い冬は、巣の中心に固まり、からだをふるわせて熱を出してあたため合います。

 このように、ミツバチはとてもすぐれた能力をもつこん虫です。ぜひ、さらにミツバチの不思議な生態を調べてみましょう。


掲載日:2020年9月14日
次回の掲載は、2020年10月12日の予定です。

[2020/08/10] 戦争は動物たちの命もうばってしまう


 第二次世界大戦では、世界で5000万人以上の人がなくなったと考えられていますが、戦争の犠牲になったのは人間だけではありません。人間が起こした戦争により、たくさんの動物たちの命がうばわれました。

 東京都台東区にある上野動物園は、第二次世界大戦中、東京都長官(現在の東京都知事)が出したある命令により、ゾウやライオン、トラ、ヒョウなどがいなくなりました。

 その命令とは、動物たちを殺せ・・・・・・です。これにより、飼育員は毒入りのえさをあたえたり、水もあたえず餓死させたりしました。

 表向きの理由は、空襲でおりがこわれ、猛獣がにげ出して人々をおそってしまうおそれがあるからでしたが、実際には、動物のエサの確保が難しいことと、戦意を高めることでした。

 戦意を高めるとはどういうことでしょうか。
 それは、戦争の状況が厳しくなってきたため、動物を殺すことで「動物でさえ身をささげた」という事実をつくり、動物を殺させた敵へのにくしみをかり立てるということです。こんな意図のために、上野動物園を皮切りに、全国の動物園で多くの動物たちが殺されていきました。

 上野動物園の「ゾウのすむ森」の近くに、ぽつりと建つ石碑があります。戦争中に動物園で死んだ動物たちのための慰霊碑です。上野動物園の3頭のゾウが食べ物をもらえずに死んでしまった物語の絵本「かわいそうなぞう」にも、このお墓が出てきます。

 一方、兵士と同じように戦地に向かった動物たちもいました。

 馬は、人や物資を運ぶために戦地に送りこまれました。その数は数十万頭におよぶといわれています。当時の日本は技術力も経済力もなかったため、軍事用の自動車は少なく、移動には軍馬にたよるしかありませんでした。

 軍犬は、素早く姿勢が低いため、戦地では部隊の所在地などを知らせる紙を首輪に結んで運ぶ伝令役でした。

 また、電話などの通信手段がない大昔から通信用に伝われていたのがハトです。日本軍もハトの脚に手紙を入れた管をつけて飛ばし連絡を取り合う伝令に使われました。記憶力や方向感覚に優れたハトは、見知らぬ場所からも自分の巣だなへ飛んで帰ることができます。

 戦場で働いた動物たちは、そこに置き去りにされ、日本に帰ることはありませんでした。

 いま話したことは、遠い昔の話ではありません。たった75年前の出来事です。

 地球上には、人間以外にもたくさんの動物や植物が生きていて、それらがたがいに豊かな自然をつくっています。私たちは、もっと「すべての命の重さ」を考える必要があります。


掲載日:2020年8月10日
次回の掲載は、2020年9月14日の予定です。

[2020/07/13] インターネットは本当はこわい?!


 インターネットは、何かを調べたいときにとても便利なものですが、いまはそれにとどまらず、人とのコミュニケーションや買い物などでも欠かせないものになりました。

 現在、日本では総人口の8割にあたる約1億人がインターネットを使っていて、特に、手軽で高性能なスマートフォン(スマホ)の利用者が急速に増えて、ますます身近になりました。また、携帯ゲーム機からインターネットにつなげることもできるため、小学生のインターネット利用率も相当高いことがうかがえます。
※携帯ゲーム機の小学生普及率はおよそ6割で、そのほとんどが携帯ゲーム機でインターネットを利用しているという調査結果があります。

 一方で、インターネットに関わるトラブルはあとをたちません。
 そこで今回は、インターネットにはどのような特ちょうがあり、どのようなことに気をつけなければならないのかを考えていきましょう。

1 だれでも見ることができる

 インターネットは、住んでいる国や年齢、立場に関係なく、だれもが自由に情報を発信したり、その情報を見聞きしたりできます。知らない人と仲よくなれるのも大きな利点ですが、その一方で、知らないからこそトラブルになりやすいという現実も知っておく必要があります。

 インターネット上で見ず知らずの人から批判されるだけでなく、名前や住所、通学校先まで特定されて、インターネット上で公開されるという事件も多発しています。

2 一生消せない

 一度、インターネット上に公開された情報は、まずもって消すことができません。データのコピーが簡単で、自分が消してもだれかが保存していたり、勝手にほかのサイトにコピーされて残っていたりするからです。いたずらやおもしろ半分のつもりで書きこんだり、写真や動画を上げてしまったことが、あとになってトラブルにつながるケースもあります。

 顔を見せず、名前も名乗らないで情報を発信できるのはインターネットの大きな特ちょうですが、それは表面的に見えていないだけです。実際には、インターネットのサーバーにログとよばれる情報がすべて保存されているので、調べようと思えば、情報発信者を特定できます。つまり、「インターネットは、かくれて何か悪いことができる場所ではない」という事実を知っておく必要があります。

 あなたが友だちとけんかをしてしまい、そのときの感情にまかせて「あいつ、ウザい。」と、インターネット上に書きこんだことが原因で、その友だちが自殺してしまったら・・・・・・。

 そのことを知った見ず知らずの人が、あなたを特定して、「○○さんが自殺した原因は、こいつだ」と、あなたの名前や住所、通学先をインターネット上に公開したら・・・・・・。

 インターネット上であなたがしたことは、すべて証拠として残っている。
 この事実を忘れてはいけません。

3 うその情報もある

 くり返しになりますが、インターネットは、だれもが情報を発信できるため、その情報が本当かうそかは、私たち自身が判断しなければなりません。中には、だましてやろうと悪意をもってうそを流していることもあります。

 だから、頭から信じてしまうと、自分が損をするだけでなく、さらに自分が他人に迷惑をかけてしまうおそれもあります。

 みなさんは、それが正しい情報かどうかを見極める力が求められています。


掲載日:2020年7月13日
次回の掲載は、2020年8月10日の予定です。

[2020/06/08] 法令でレジ袋の有料化を義務づけるねらい


 2020年7月1日から、全国一律でプラスチック製買い物袋(いわゆるレジ袋)の有料化がスタートします(前倒しですでに有料化されているお店も多いですが)。対象となるのは、持ち手があるプラスチック製に限られ、紙製などは対象外です。

 また、プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のものなども、対象外です。

 とはいえ、紙製やバイオマス素材の配合率が25%以上のものであっても有料化するお店が多数あるようです。

 まずは、レジ袋の現状をお話ししましょう。なお、これから取り上げる数値は、すべて各省庁が公表した2018年の統計にもとづいています。

 現在、日本国内でレジ袋は年間およそ300億枚使用されており、これを原料の石油に換算すると、およそ50万キロリットルに相当します。日本の石油消費量は年間およそ1.8億キロリットルなので、レジ袋にしめる石油使用量は、日本の石油消費量のわずか0.3%強に過ぎません。製造工程のために石油が別に必要だと考えても、微々たる量にすぎないことがわかります。

 また、レジ袋のプラスチックごみ全体にしめる割合はおよそ2%にすぎません。仮に、レジ袋の使用がゼロになったとしても海洋ごみや地球温暖化などの解決には程遠いことがわかります。

 さらにいえば、燃やしたときに有害ガスが出るといわれていますが、それはウソです。基本的にレジ袋は高密度ポリエチレン製であり、レジ袋を燃やしても二酸化炭素と水が発生するだけで、有害な気体がほぼ発生しないことはすでに証明されています。だから、東京23区をはじめとして多くの地域では、レジ袋は可燃ごみに扱われています。

 もっといえば、レジ袋はうすくて発熱量が高いため、「焼却炉のえさ」に利用されています。生ごみだけでは燃えないため、石油を焼却炉に投入する必要がありますが、レジ袋といっしょに燃やすことで、石油投入量を減らすことができています。レジ袋がなくなると、石油を余分に投入することになり、資源のむだにつながります。

 このように見ていくと、レジ袋の使用を減らしても、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化といった問題はほとんど解決されないことがわかります。

 では、なぜ、レジ袋を有料化するのでしょうか。

 政府は、レジ袋有料化の目的について、「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています」(原文のまま)と述べています。

 経済産業省のホームページ
 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

 つまり、レジ袋を有料化することで使用量を減らせても、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化といった問題はほとんど解決されないことはわかりきっているが、これをきっかけにして、ライフスタイル(生活スタイル)を見直してほしいという願いがこめられていると判断できます。

 新型コロナウイルス対策でも、私たちはライフスタイルを変えることが求められています。よい機会にめぐまれたと個人的には感じています。

 いまやっていること、本当に必要なことですか??


掲載日:2020年6月8日
次回の掲載は、2020年7月13日の予定です。

[2020/05/11] 新型コロナウイルスから身を守る方法


 前回は、新型コロナウイルスとマスクの関係を取り上げました。今回は、新型コロナウイルスから身を守る方法を考えます。

 新型コロナウイルスの感染(かんせん)経路は、現時点では、飛沫(ひまつ)感染と接触(せっしょく)感染の2つが考えられています。

■飛沫感染
 感染者のくしゃみやせき、つばなどの飛沫といっしょにウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸いこみ感染する。
※主な感染場所:ライブハウスや劇場、満員電車などの人が多く集まる場所

■接触感染
 感染者がくしゃみやせきを手でおさえたあと、その手で周りの物にふれてそこにウイルスがつき、別の人がそこにふれてウイルスが手につき、その手で口や鼻をさわって粘膜(ねんまく)から感染する。
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

 飛沫感染は、前回取り上げたようにマスクをつけ、三密をさけることで防止できるようです。

 やっかいなのは接触感染です。接触感染を防ぐには、感染者がさわった場所を特定してウイルスを取りのぞくという方法が考えられますが、エレベーターのボタンやエスカレーターの手すりなど、人はいろいろな場所をさわるため、感染者がさわった場所をすべて特定して対策を取るのは現実的には不可能です。

 ですから、接触感染を予防するために一番有効なのは、石けんによる手洗いやアルコール消毒ということになります。ウイルスがどこにいるかわからないのなら、どこにウイルスがいてもよい前提で考えればよいのです。

 では、ここで少し専門的な話をしましょう。
 前回、新型コロナウイルスは、大きさが1mmの1万分の1くらいの大きさだという話をしましたね。このウイルスにはタンパク質の突起(とっき)があり、これで感染できる細胞(さいぼう)を識別しています。このタンパク質の突起が日食の太陽のコロナのように見えるので、「コロナウイルス」とよばれています。

 70%のエチルアルコール(エタノール)は、このタンパク質の突起を変形させ、他の細胞に感染できなくする力を持っています。ただし、この時点では、ウイルスは死にません。

 一方、石けんはウイルス本体をおおっている膜(まく)をこわす力を持っています。膜は油の成分を中心にできているため、石けんで分解されて、こわれてぐちゃぐちゃになり、復活できなくなるのです。つまり、石けんを使えば、ウイルスはその時点ですぐに死にます。

 このように、もし外出中にウイルスにふれても、自分の手についているウイルスさえ死んでしまえば、目をこすったり、鼻をさわったり、ものを食べたりしても体内にウイルスが入ることはありません。そうすれば、どこにウイルスがいても感染することはありません。

 結局、新型コロナウイルスから身を守る方法は、マスクの着用と石けんによる手洗い(またはアルコール消毒)ということになります。

 他国からは、「日本は大した対策を取っていないのに、新型コロナウイルスの感染が広がっていないのはなぜだ」と、不思議がられています。しかし、日本人は日ごろマスクをしている人が多いですし、子どものころから「手洗い・うがい」の習慣が身についています。そう考えると、他国のような感染爆発が起こっていないことも納得できるのかもしれませんね。


掲載日:2020年5月11日
次回の掲載は、2020年6月8日の予定です。

[2020/04/13] 新型コロナウイルスの大きさとマスクとの関係


 今回も、新型コロナウイルスを取り上げます。

 新型コロナウイルス、正式には SARS-CoV-2(ザーズ シーオーヴィツー)
 これが引き起こす病気が急性呼吸器疾患(きゅうせいこきゅうきしっかん)で、専門的には、COVID-19(コビット ナインティーン)です。要は、新型コロナウイルス感染症(かんせんしょう)ですね。

 では、なぜこのウイルスはコロナとよばれているのでしょうか。
 それは、新型コロナウイルスの表面のタンパク質の突起(とっき)が、日食のときに見える太陽のコロナに似ているからです。

 著作権の関係で写真を掲載(けいさい)できませんので、ぜひインターネットで、新型コロナウイルスの写真(またはイメージ図)と、日食のときに見える太陽のコロナを調べて、見比べてみましょう。「似てるといえば似てるかな」とは思ってもらえるでしょう。

 しかし、大きさはかなりちがいます。
 新型コロナウイルスの大きさは1mmの1万分の1くらいだとわかっています。定規で1mmを見てください。これを1万個に切ったうちの1つ分です。市中に出回るマスクで、このウイルスを防御(ぼうぎょ)できないといわれるのはそのためです。

 ザルがマスク、水がウイルスだと考えればよいでしょう。ザルで水をすくうことはできませんよね。それと同じです。「ガーゼを何枚も重ねて何重にもすればいい」という人がいますが、では、10個のザルをたてに並べ、上から水を流したとき、ザルに水はたまりますか。他人やマスコミが言うことに対して、疑ってかかることはとても大切なのですよ。

 では、なぜマスクをする必要があるのでしょうか。それは、あなたが感染者(かんせんしゃ)だった場合、マスクをすることで他人への感染を防げる可能性が高まるからです。いまや、「自分は絶対に感染していない」と言い切れないでしょう。

 人がせきやくしゃみをするとき、のどを通る空気の速度は時速100kmをこえることがわかっています。口から出たあと、だ液や鼻水のが混ざった息は、その人の周囲に拡散(かくさん)します。しかし、マスクをすることでその息を減速させられるので、拡散を最小限に防ぐことができます。

 また、新型コロナウイルスは市中に出回るマスクを通りぬけますが、せきやくしゃみをするときに出るだ液や鼻水の飛まつ(感染者の場合、当然ウイルスをふくんでいる)は大きいので、マスクで食い止めることが可能です。ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつ全体が風船だと考えればよいでしょう。ウイルスは通りぬけても、風船ならマスクでキャッチできます。

 つまり、マスクは他人を感染させないためにつけるものであって、感染していない人が感染しないようにウイルスを防御する効果はないというわけです。

 ただし、自分のそばに感染している人がいて、その人がせきやくしゃみをして、ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつが飛んでくる場合もありますね。そういうとき、ウイルスそのものではなく、ウイルスをふくんだだ液や鼻水の飛まつから自分を守る効果はあります。

 マスクの必要性をご理解頂けたでしょうか。

 みなさんは、根拠(こんきょ)のないうわさ話や、まちがった情報にまどわされず、しっかり自分で調べて、目的や理由を正しく理解したうえで行動できる人になってほしいと思います。

 そして、むぎっ子広場に集うみなさんの中から、ウイルスの研究者やワクチン開発者、またはこういった非常事態のときにしっかり対応できる国会議員や官僚(かんりょう)が誕生し、だれもが幸せになれる社会をつくってくれることを切に願っています。

 そのために、いまみなさんは勉強しているのですよ。


掲載日:2020年4月13日
次回の掲載は、2020年5月11日の予定です。

[2020/03/09] いまだからこそ、伝染病の歴史をふり返る


 新型コロナウイルスが世界中で流行しています。これは伝染病(でんせんびょう)の一種で、ときに、人類の歴史を変えるほどの力を持っています。

 小学校の教科書には、聖武天皇の時代(奈良時代)、伝染病の流行で多くの人がなくなり、世の中が混乱したという記述があります。『自由自在 高学年 社会』をお持ちの方は、353ページをご覧ください。聖武天皇が国分寺や東大寺の大仏をつくるように命じたのは、仏(ほとけ)の力で伝染病の流行をおさえ、国を治めようとしたからです。この時代の伝染病は「天然痘(てんねんとう)」だったと考えられています。

 あまり知られていませんが、平安時代にも伝染病が流行しました。藤原道長が実権をにぎった995年に、京都で「はしか(ましん)」が大流行しています。この感染力はきわめて強く、同じ空間に感染者といるだけで感染してしまい、マスクや手洗いでもウイルス侵入は防げないというのは周知の通りです。

 小学校の一部の教科書には、コレラに関する記述もあります。明治維新(1868年)直前の1858年~1860年に江戸を中心にコレラが大流行し、江戸では人口の2割以上が亡くなったという記録があります。1858年といえば、日米修好通商条約が結ばれた年です。

 第一次世界大戦中には「スペインかぜ」(インフルエンザの一種)が大流行しました。感染者は6億人以上、死者は4000~5000万人におよび、この大流行が第一次世界大戦の終結を早めたとも考えられています。

 太平洋戦争後、朝鮮半島や満州からの多数の引きあげ船で大流行したのは、やはりコレラでした。先日、近所のおじいさんが、「伝染病が流行しているときに船に乗ってはいかん。コレラ船を思い出してほしかったなぁ。」と言っていましたが、その通りです。コレラ船は沖合に40日間とどまり、入港できませんした。伝染病が流行したときの対応は、コレラ船もクルーズ船も変わりません。これ以外にやりようがないわけです。

 このようにふり返ってみると、伝染病とは古くも新しく、ワクチンの開発と新型ウイルスの登場がくり返されているといえます。新型コロナウイルスのワクチンが一刻も早くできるのをいのりたいと思います。


掲載日:2020年3月9日
次回の掲載は、2020年4月13日の予定です。

[2020/02/10] 税金の歴史と消費増税への流れ


 今回は、税金の歴史と消費増税への流れをお話ししましょう。

 日本で最初の税金はいまからおよそ1800年前の弥生時代、邪馬台国であったと考えられています。女王卑弥呼が支配したその国では、種もみなどの食べ物が税として納められていました。

 その後、645年から始まった大化の改新で、租・庸・調が定められ、701年の大宝律令で税制度が完成しました。農民に口分田をあたえる代わりに、租(取れた米の一部)、庸(労役やその代わりの布)、調(布や絹などの特産品)を税として納めました。

 室町時代や安土桃山時代になると、農民は「年貢(ねんぐ)」として米を領主に納めるようになりました。豊臣秀吉は全国の農地を測量し、面積や米の収かく高を調べ、年貢を割り当てていきました(太閤検地)。江戸時代になっても「年貢」が税の中心として引きつがれていきました。

 税のしくみが大きく変わったのは明治時代になってからです。農作物を税として納めるしくみは、年によって収かく高が変わるため、税の量が安定しません。そこで、毎年同じ量の税を集められるように土地の値段を決め、それに応じて毎年同じ金額の税を納めるしくみをつくりました。また、土地だけに税をかけるのでなく、個人や企業のもうけに応じて税をかけるなど、現在の税金のしくみの基本が出来上がりました。

 では、消費税はいつごろからあるのでしょうか。消費税は1989(平成元)年3月に3%の税率で始まりました。その後、1997年4月に5%、2014年4月に8%と税率が上がり続け、ついに、2019年10月から10%になりました。

 消費税は、ものを買ったりサービスを受けたりしたときに納める税です。ものを買う人が大人でも子どもでも等しく納めなければなりません。日常の買い物でも税をしはらっているわけです。

 これからますます少子高齢化が進む日本では、税金でやらなくてはならないことが増える一方で、税金を負担する人が減っていきます。このままでは国の借金はふくらむ一方です。これを解決するためには税金のむだづかいをやめ、税収を増やしていくしかないわけです。

 税収を増やすには消費税率を上げるのが一番簡単です。現在の税率は10%ですが、今後、15%、20%と上がっていくことになると主張する専門家も多くいます。日本の行く末が大変気になります。


掲載日:2020年2月10日
次回の掲載は、2020年3月9日の予定です。